答弁本文情報
平成十年六月二十三日受領答弁第四六号
内閣衆質一四二第四六号
平成十年六月二十三日
衆議院議長 伊※(注)宗一郎 殿
衆議院議員平賀高成君提出トラック事業の経営環境とそこで働くトラック労働者の労働条件改善に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員平賀高成君提出トラック事業の経営環境とそこで働くトラック労働者の労働条件改善に関する質問に対する答弁書
一の1及び2について
貨物自動車運送事業者が収受する運賃及び料金は、基本的には、荷主又は利用運送事業者との間で任意に定められるものである。貨物自動車運送事業者は、貨物自動車運送事業法(平成元年法律第八十三号)第十一条第一項等の規定に基づき、運賃及び料金をあらかじめ運輸大臣に届け出ることとされており、一般貨物自動車運送事業者については、運輸大臣は届出のあった運賃及び料金が同条第二項に規定する各号のいずれかに該当する場合には変更を命ずることができることとされている。
なお、運輸省においては、運賃及び料金に係る事項を含め、貨物自動車運送事業の健全な運営の確保に資するため、貨物自動車運送事業者に対し、荷主との協力関係の確立に努めるよう所要の指導を行うとともに、利用運送事業者に対し、貨物自動車運送事業の正常な運営を阻害しないよう所要の指導を行っているところである。
全国貨物自動車運送適正化事業実施機関は、地方貨物自動車運送適正化事業実施機関におけるそれまでの指導実績を踏まえ、指導項目についてその重点化を図る観点から見直しを行い、地方貨物自動車運送適正化事業実施機関は、平成七年度から、当該見直し後の指導項目に基づき指導を行っているところであるが、引き続き、運賃及び料金の割戻しに関する事項を含めて運賃及び料金に係る不当な取扱いに関する指導を行っているものと承知している。
お尋ねの趣旨の調査は、特段行っていないが、例えば、運輸省の自動車運送事業経営指標(一九九八年度版)によれば、平成八年度において、一般貨物自動車運送事業の総費用に占める軽油引取税等を含めた燃料費の割合は、約四パーセントである。
租税は、国民、地域住民等が必要とする公的サービスを賄うための財源であり、法律や条例に基づき国民にその負担を求めるものである。御指摘の消費税は消費一般に広く負担を求める間接税であり、軽油引取税は地方の道路目的財源として受益者負担的な性格を持つ間接税である。
また、公共料金については、従来から物価や国民生活への影響を十分考慮して厳正に取り扱ってきたところである。
いずれにしても、これらをどのように価格に転嫁するかは価格設定の在り方の問題であり、消費税率及び軽油引取税の税率の引上げの際には、貨物自動車運送事業者及び荷主に対し、税率引上げ分が適正かつ円滑に転嫁されるよう周知徹底したところである。
過積載による運送の防止については、関係省庁の緊密な連携の下に、貨物自動車運送事業者及び荷主に対する指導及び監督の強化並びに違反事業者に対する厳正な処分を行っているところである。この結果、悪質な過積載の事例は減少してきているところであり、今後とも、これらの施策を継続してまいりたい。積載重量計の貨物自動車運送事業の用に供する自動車への備付けについては、耐久性や精度の向上等技術的な問題点の検討を行っているところであるが、その検討結果、過積載による運送の状況等を踏まえつつ、適切に対処してまいりたい。
運送に必要な事項は、運送の引受けの際に荷主から貨物自動車運送事業者に対して通知されるものであり、これを踏まえ、過積載、過労運転等を防止し、輸送の安全を確保することは、貨物自動車運送事業法第十七条等の規定により貨物自動車運送事業者の義務とされている。
なお、政府としても、輸送の安全の確保を含め、貨物自動車運送事業者と荷主との協力関係の確立に努めるとともに、同法第六十四条の規定に基づく荷主への勧告等関係法令の適切な運用を図っているところである。
労働省の調査によれば、陸上貨物運送事業における交通労働災害の原因としては、自動車の運転者の前方不注意、不適切な運転操作、速度超過等が多くなっている。また、これらの災害の中には、拘束時間が長い、休息期間が短いなど労働時間等の管理が不十分であることや、事業者の走行管理が不十分であること等が背景となっているものも存していると考えられるところである。
政府としては、陸上貨物運送事業における交通労働災害を防止するために、交通労働災害防止を担当する管理者の選任、適正な走行管理等について定めた「交通労働災害防止のためのガイドライン」の周知徹底を図るとともに、労働時間等の適正な管理に関する「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年労働省告示第七号)の周知徹底を図っている。
また、貨物自動車運送事業法の規定に基づき、過労運転、過積載による運送の防止等輸送の安全の確保を図るため、事業者に対する監督を強化するとともに、貨物自動車運送適正化事業実施機関が行う指導の徹底等を図っている。
さらに、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)に規定する最高速度違反行為、過積載をして自動車を運転する行為及び過労運転に係る下命又は容認の禁止規定、都道府県公安委員会による指示及び使用制限命令規定、両罰規定等に基づき、自動車の運転者の違法行為の取締りに加え、自動車の使用者に対する責任の追及を行っているところである。
今後とも、これらの取組を通じて交通労働災害防止対策の徹底に努めてまいりたい。