衆議院

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平成十年十月三十日受領
答弁第一五号

  内閣衆質一四三第一五号
    平成十年十月三十日
内閣総理大臣 小渕恵三

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員保坂展人君提出死刑制度等内閣の姿勢に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員保坂展人君提出死刑制度等内閣の姿勢に関する質問に対する答弁書



一の(1)について

 御指摘のような歴史的事実について調査を尽くすことは困難である。
 死刑制度などに関する質問に対する答弁書(平成十年八月二十一日内閣衆質一四二第六四号。以下「平成十年八月二十一日答弁書」という。)一の(1)についてでお答えするに当たっては、我が国における死刑制度等に関する文献について可能な範囲で調査を行ったものである。その結果、八世紀に成立した律令制の下において制度として笞、杖、徒、流、死の刑罰が整備された旨記述されたものがあったが、それ以前の状況については判然としなかったものである。

一の(2)について

 刑種として死刑を存続させた上で、八百十年(弘仁元年)から千百五十六年(保元元年)までの間、死刑が執行されなかった旨の記述がみられる文献があることは承知していたが、それは、死刑が廃止されたことを示すものではないことから、平成十年八月二十一日答弁書一の(2)についてでは、死刑が廃止されていた時代、時期があるとの事実については承知していない旨お答えしたものである。

一の(3)について

 昭和三十五年九月二十八日東京地方裁判所判決(死刑受執行義務不存在確認請求事件)が、「明治六年太政官布告六五号が法律としてであれ命令としてであれ今日なお効力を有するかどうかは必ずしも明白ではなく(中略)、仮りになお効力を有するものとしても、それと現行の方法とは完全に同一のものではないこと、右太政官布告を現行のものの如く改めた適法な改正手続のみるべきもののないことは弁論の全趣旨に徴し当事者間に争ないものというべきであつて、よし屋上絞架式と地下絞架式の相違は受刑者が階段を上ると平地を歩むとの差異に過ぎずその基本的な機構ないし用法においては変るところはないとしても、少くとも右太政官布告が規定したところと異なる限度において現在その拠るべき準則を欠いていることは否定し得ない。これは行刑の実質が逐次近代化され、合理化されつつある今日驚くべきことである。」と判示していることは承知している。
 しかし、平成十年八月二十一日答弁書一の(5)についてでお答えしたとおり、昭和三十六年七月十九日最高裁判所大法廷判決は、右太政官布告が現在法律と同一の効力を有するものとして有効に存続していること及び現在の死刑の執行方法は右布告で規定した死刑の執行方法の基本的事項に反しておらず、憲法第三十一条に違反しないことを判示しており、判例上、問題は解決していると理解している。

一の(4)について

 御指摘の昭和四十年十二月二十三日の第五十一回国会衆議院法務委員会での政府答弁には、その時点において同年中に死刑の執行を受けた者の数が三名であるなどと答えた部分があるが、これは、個々具体的な死刑執行に関する事項につき答弁をしたものではなく、個々具体的な死刑執行の事実が推測されるおそれがないと判断される場合において、年の途中の特定の日までに死刑の執行を受けた者の数等について答弁したものである。また、右の法務委員会において、政府委員は、「死刑執行は具体的に事実がいつあったかということは、外部に公表いたしておりません。」と答弁している。
 なお、現在は、各種質問等に対し統一的に対応するため、毎年末までの死刑の執行を受けた者の数について答弁等を行っているところである。

一の(5)について

 改正刑法草案において、死刑を存置するとしてもその適用をなるべく制限するのが望ましいと考えられたのは、死刑がその言渡しを受けた者の生命を断つ極刑であることによるものと思われる。

一の(6)について

 お尋ねの「一部に疑義を差し挟む向きもあった。」との答弁は、昭和三十八年三月十五日付け法務省矯正局長依命通達「死刑確定者の接見及び信書の発受について」(以下「昭和三十八年通達」という。)が発出された当時、死刑確定者の接見及び信書の発受についての監獄法(明治四十一年法律第二十八号)の解釈運用につき、行刑関係の部内の職員の中に接見等の制限の根拠やその在り方について疑義を抱く者が一部存在していたことがうかがわれることを述べたものである。

一の(7)について

 刑事施設法案の審議経過の概要は次のとおりである。
 1 第一回目
  昭和五十七年四月二十八日 第九十六回国会に法案提出
  昭和五十八年十一月二十八日 第百回国会での衆議院の解散により、審査未了のまま廃案
 2 第二回目
  昭和六十二年四月三十日 第百八回国会に法案提出
  昭和六十三年五月十七日 第百十二回国会の衆議院本会議において趣旨説明
  昭和六十三年五月二十四日 第百十二回国会の衆議院法務委員会において提案理由説明
  昭和六十三年十月十八日 第百十三回国会の衆議院法務委員会において審査開始
  平成二年一月二十四日 第百十七回国会での衆議院の解散により、審査未了のまま廃案
 3 第三回目
  平成三年四月一日 第百二十回国会に法案提出
  平成五年六月十八日 第百二十六回国会での衆議院の解散により、審査未了のまま廃案
 政府としては、本法案については、国会議員の間に種々の御意見があったこともあり、右のような審議経過をたどり、議決されるに至らなかったものであると理解している。

一の(8)について

 憲法第四十一条は、「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」と定めているところであり、その権能は極めて重要であると考えているが、平成十年八月二十一日答弁書一の(12)についてでお答えしたとおり、昭和三十八年通達は、現在効力を有している監獄法の法意を明確にしたものであり、刑事施設法案が成立していないことが昭和三十八年通達の有効性に影響を及ぼすものではないと考えている。
 なお、質問主意書に対する答弁書は、内閣の立場において答弁しているものであり、閣内の議論については、答弁を差し控えたい。以下、一の(9)及び(11)、二の(2)並びに三の(10)についても同様である。

一の(9)について

 通達発出前については、関係記録がすべて残っているわけではなく、具体的事例は明らかにできないものの、法令の解釈運用の在り方を明らかにするために、典型的なものを類型化して示した通達等としては、例えば、監獄法第三十一条及び監獄法施行規則(明治四十一年司法省令第十八号)第八十六条の解釈運用の在り方を示した、収容者に閲読させる図書、新聞紙等取扱規程(昭和四十一年法務大臣訓令法務省矯正甲第千三百七号)第三条に定める閲読の基準がある。その後の運用の実態にかんがみれば、これらの通達等は妥当であると考えている。

一の(10)について

 御指摘の事実の存否については、法務省内の記録を精査したが、その確認には至らなかったものである。また、当時の新聞記事の内容を調査したが、調査した範囲では御指摘の事実を掲載するものは見当たらなかった。
 なお、一般的にいえば、行政は、特段の事情がない限り、原則として、継続性をもって行われるべきものであると考えている。

一の(11)について

 政府としては、お尋ねの意見書について、謙虚に受け止めているところであるが、なお、死刑制度の存廃は、国民世論に十分配慮しつつ、社会における正義の実現等種々の観点から慎重に検討すべき問題であるところ、国民世論の多数が、極めて悪質、凶悪な犯罪については、死刑もやむを得ないと考えており、多数の者に対する殺人、誘拐殺人等の凶悪犯罪がいまだ後を絶たない状況等にかんがみると、その罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては、死刑を科することもやむを得ないと考えている。

二の(1)について

 いずれの国においても「人間の尊厳を尊重する姿勢」や「人道主義」が尊重されるべきものであることは当然であるが、死刑制度の存廃の問題については、それらを前提としつつも、基本的には各国において当該国の国民感情、犯罪情勢、刑事政策の在り方等を踏まえて慎重に検討されるべきものであり、それぞれの国において独自に決定すべきものであると考えている。

二の(2)について

 死刑をめぐる情報公開については、それぞれの国の刑事法制等の違いを反映し、おのずからその程度に違いがあるものと考えている。

三の(1)について

 御指摘のような捕虜等の取扱いについては、外務省が保管する外交記録、防衛庁が保管する戦史資料等につき可能な範囲で調査したところ、関連の事実につき断片的な記録しか残っていないため、政府としてその状況を明確にすることは困難である。
 なお、断片的な記録しか残っていない理由については、相当の年数を経ていることでもあり、判然としない。

三の(2)及び(3)について

 平成十年八月二十一日答弁書三の(2)についてでお答えするに当たっては、御指摘の戦争中の捕虜等の取扱い、殺害者数等について、外務省が保管する外交記録、防衛庁が保管する戦史資料等につき可能な範囲で調査を行ったが、当該事項を確認するに足りる記録が見当たらなかったものである。
 なお、当該事項を確認するに足りる記録が見当たらない理由については、相当の年数を経ていることでもあり、判然としない。

三の(4)について

 公刊物、行刑に関する部内資料等を指すものである。

三の(5)について

 平成十年八月二十一日答弁書三の(4)についてでお答えした各裁判国別死刑者数は、法務省が保管しているいわゆるBC級戦争犯罪裁判に関する資料に基づくものである。したがって、平成十年八月二十一日答弁書三の(11)についてでお答えしたとおり、その内容の正確性についての保証が十分ではなく、右各裁判国別死刑者数も正確に把握しているものではない。

三の(6)及び(7)について

 憲法前文においては、日本国民が「人間相互の関係を支配する崇高な理想」を深く自覚するものであることは、我が国が平和主義の立場に立つことの理由の一つとして述べられているものであり、公務員の綱紀等との関係で述べられているものではない。
 なお、相次ぐ公務員の不祥事により、行政及び公務員に対する国民の信頼を傷つけるに至ったことは極めて遺憾であり、政府として引き続き綱紀の厳正な保持に努めてまいりたい。
 また、死刑に関する質問の一部に対して、「個々具体的な事項について答弁を差し控えたい」旨お答えしているのは、死刑を執行された者の遺族の感情、他の死刑確定者の心情の安定等に配慮しているためである。

三の(8)について

 憲法前文においては、日本国民が「人間相互の関係を支配する崇高な理想」を深く自覚するものであることは、我が国が平和主義の立場に立つことの理由の一つとして述べられているものである。したがって、平成十年八月二十一日答弁書三の(13)についてでお答えしたとおり、このことと我が国の刑事司法において罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者を対象として死刑制度を存続させることとは関係がないと考えている。

三の(9)について

 死刑の執行については、法令に従い適正に行っているところである。
 なお、憲法前文第二段中の御指摘の部分は、我が国が平和主義の立場に立つことを宣明したものであり、死刑の存廃や死刑に関する情報公開の具体的程度との関係で述べられたものでないことは、その文言に照らして明らかである。平成十年八月二十一日答弁書三の(14)についての答弁は、このような観点から行ったものであり、御指摘のような意図の下に行ったものではない。

三の(10)について

 相次ぐ公務員の不祥事により、行政及び公務員に対する国民の信頼を傷つけるに至ったことは極あて遺憾であり、政府として引き続き綱紀の厳正な保持に努めてまいりたい。
 なお、政府の保有する情報の公開については、現在、政府は「行政機関の保有する情報の公開に関する法律案」を国会に提出しているところである。
 また、山一証券の経営状況等については、しかるべく報告が行われていたものである。

三の(11)について

 例えば、法律の定めるところに従い、警察官、自衛官、監獄官吏、入国審査官、入国警備官、税関職員、麻薬取締官、麻薬取締員、海上保安官及び海上保安官補が他人の生命の保護等のため武器を使用する場合が考えられる。

四の(1)について

 お尋ねの刑法(明治四十年法律第四十五号)第十一条第一項は、明治十三年七月十七日に公布された刑法(明治十三年太政官布告第三十六号。以下「旧刑法」という。)第十二条の「死刑ハ絞首ス但規則ニ定ムル所ノ官吏臨検シ獄内ニ於テ之ヲ行フ」との規定が改正されて、「死刑ハ監獄内ニ於テ絞首シテ之ヲ執行ス」とされたものである。当時の政府提出刑法改正案理由書においては、その改正理由として、「本條第一項ハ現行法第十二條ト同シク死刑ノ執行ニ關スル規定ナリ現行法二死刑ハ絞首ストアルヲ改メテ絞首シテ執行スト爲シタルハ絞首シテ生命ヲ絶ツコトヲ明ニシタルモノニシテ絞首ニ依リ一旦絶命シタル後蘇生スルコトアルモ更ニ絞首シテ生命ヲ絶ツ可キコトヲ命シタルナリ」と記述されている。
 なお、旧刑法において死刑の執行方法が絞首のみとされた経緯等については、平成十年八月二十一日答弁書一の(4)についてでお答えしたとおりである。

四の(2)について

 お尋ねの「多数の国」とは、我が国のほか、イギリス、アメリカ合衆国等世界の多数の国である。

四の(3)について

 御指摘のような外国の歴史的事実について調査を尽くすことは困難である。
 平成十年八月二十一日答弁書四の(3)についてでお答えするに当たっては、ドイツ連邦共和国の死刑制度に関する文献等について可能な範囲で調査を行ったものである。その結果、千九百三十三年(昭和八年)三月に制定された法律により、一定の重罪についての死刑の執行方法として絞首によることができるものとされたことを承知し、また、文献には、千九百四十四年(昭和十九年)七月のヒトラー暗殺計画事件に関し、二百名以上が死刑に処せられ、その一部の者につき絞首刑に処せられた旨を記載したものがあることについては承知したが、ナチス政権下で絞首刑が銃殺やギロチンによる斬首以上に残虐な刑罰とされていたことについては、判然としなかったものである。

四の(4)について

 御指摘のような外国の法制において特定の死刑の執行方法が採用された理由についてまで調査を尽くすことは困難である。
 平成十年八月二十一日答弁書四の(6)についてでお答えするに当たっては、アメリカ合衆国において死刑制度がある三十八州の死刑の執行方法に関する文献等について可能な範囲で調査を行ったものである。その結果、これらの州のその執行方法については承知したが、その執行方法が採用された理由についてまでは把握することができなかったものである。

四の(5)について

 御指摘のような諸外国の法制において特定の死刑の執行方法の採用の有無及びこれが採用された理由についてまで調査を尽くすことは困難である。
 平成十年八月二十一日答弁書四の(7)についてでお答えするに当たっては、死刑制度がある国に関する文献等について可能な範囲で調査を行ったものである。その結果、国際連合に加盟している国のうち死刑制度がある国については承知したが、そのうち、絞首刑を採用している国の数及びその理由についてまでは把握することができなかったものである。

五の(1)について

 矯正施設職員募集用のパンフレットは、矯正施設職員の募集のためにその職務内容等の概要を分かりやすく説明することを目的とするものであり、その職務のすべてを記載する必要はないと考えている。死刑の執行については、矯正施設職員が日常的に行っている一般的な職務とはいえず、募集時に周知徹底する必要はないので、これを記載していない。

五の(2)について

 職員の心情は様々であり、一概にお答えすることはできない。

五の(3)について

 お尋ねの通信は、調査した限り、御指摘の事例以外には見当たらない。

五の(4)について

 職員の心情等に耳を傾けた結果、必要と判断されれば、所要の対応が行われるものと考えている。

五の(5)について

 少なくとも相当数の死刑確定者が、死刑執行に直面することによって、自己の罪責を深く自覚し、悔悟する側面を、多かれ少なかれ有していると認識している。また、矯正施設においては、死刑確定者の心情を的確に把握すべく、関係職員が勤務に精励しているところである。

五の(6)について

 死刑の執行については、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百二十一号)は、「死刑の執行は、法務大臣の命令による。」(第四百七十五条第一項)、「裁判の執行は(中略)検察官がこれを指揮する。」(第四百七十二条第一項)と規定し、法務大臣の命令及び検察官の執行指揮が必要としている。他方、刑法第十一条第一項は、「死刑は、監獄内において、絞首して執行する。」と規定し、また、監獄法第七十一条第一項は、「死刑ノ執行ハ監獄内ノ刑場ニ於テ之ヲ為ス」と規定している。このように、死刑は、検察官の指揮を受けて監獄内の刑場において執行することが規定されていることから、検察官の指揮を受ける者は、監獄における刑の執行責任者である監獄の長であると解される。
 以上のとおり、検察官の指揮の相手方が監獄の長であることは、右の法律の規定から当然に導かれるところである。執行事務規程(平成六年法務大臣訓令法務省刑総訓第二百二十八号)第十条は、このことを確認的に規定しているものである。

五の(7)について

 平成十年八月二十一日答弁書五の(10)についてでお答えしたとおり、現行法上、死刑は、確定判決に基づき、法務大臣の命令により、検察官が監獄の長にその執行を指揮し、監獄の長の職務上の命令に従い職員が執行することとされている。また、刑事訴訟法第四百七十七条第一項は、「死刑は、検察官、検察事務官及び監獄の長又はその代理者の立会の上、これを執行しなければならない。」と規定している。
 死刑の執行の指揮及びその立会いは、死刑の執行が死刑を宣告した確定判決に基づいて法令に従い適正に行われるよう監督するとともに、その執行を確認するためのものであるところ、これらについては、検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)第四条の定めるところにより裁判の執行の監督を職務とする検察官が行うこととし、他方、監獄法第七十一条第一項の定めるところにより死刑は監獄内の刑場において執行するものとされているところ、その執行については、刑の執行を職務とする監獄の職員が担当するとともに、その執行の責任者として監獄の長又はその代理者が立ち会うこととしていることは、いずれも相当であると考えている。
 御指摘の改正案については、このような現行制度との関係について慎重な検討がなされるべきものであると考えている。

五の(8)について

 検察事務官募集用のパンフレットは、検察事務官の募集のためにその職務内容等の概要を分かりやすく説明することを目的とするものであり、その職務のすべてを記載する必要はないと考えている。死刑執行の立会い等については、検察事務官が日常的に行っている一般的な職務とはいえず、募集時に周知徹底する必要はないので、これを記載していない。

五の(9)について

 検察事務官に対しては、死刑を含む刑の執行に関する研修が行われている。

六の(1)について

 無罪判決が確定した事件について、処分を行うべき事由が存在しなかったためである。

六の(2)について

 検察当局においても、死刑確定者が再審で無罪となった事件における問題点についての検討は必要であると考えているところであり、既に、平成十年八月二十一日答弁書六の(3)についてでお答えしたとおり、検察当局においては、これらの事件の無罪判決において捜査又は公判にかかわる問題点が指摘されていることを深刻に受け止め、これらの事件における捜査及び公判上の問題点について必要な検討を行った結果、信用性のある供述の確保とその裏付け捜査の徹底、証拠物やその鑑定等の客観的な証拠の十分な収集、検討等に一層の意を用い、事件の適正な捜査処理に努めているものである。

六の(3)について

 お尋ねの刑事訴訟法第三百五十一条第一項は、大正十一年五月五日に公布された刑事訴訟法(大正十一年法律第七十五号。以下「旧刑事訴訟法」という。)第三百七十六条の「上訴ハ検察官又ハ被告人之ヲ為スコトヲ得」との規定が改正されて、「検察官又は被告人は、上訴をすることができる。」とされたものであるが、その改正においては、旧刑事訴訟法の規定と同様、検察官に対し、公益の代表者の立場から上訴する権限を与えることとしたものである。

七の(1)について

 平成十年八月二十一日答弁書七の(1)についてでお答えしたとおり、イギリスにおいて通常犯罪につき死刑が廃止された当時の民間の世論調査には死刑の存続に賛成する意見が八十五パーセントを占めたものがあるが、その世論調査における質問は、「あなたは、法律上、@すべての殺人について絞首刑を定めるべきであると思うか、A一定の類型の殺人についてのみ絞首刑を定めるべきであると思うか、B絞首刑を全く定めるべきではないと思うか。」というものであったと承知している。なお、このような質問に対して、@のすべての殺人について絞首刑を定めるべきであると思うとの意見が三十八パーセント、Aの一定の類型の殺人についてのみ絞首刑を定めるべきであると思うとの意見が四十七パーセントであり、これらの死刑の存続に賛成する意見が八十五パーセントを占あたものと承知している。
 また、平成十年八月二十一日答弁書七の(1)についてでお答えしたとおり、フランス共和国において死刑制度が廃止された当時の民間の世論調査には、死刑の存続に賛成する意見が六十二パーセントを占めたものがあるが、その世論調査における質問は、「あなたは、個人として、死刑に賛成ですか、反対ですか。」というものであったと承知している。

七の(2)について

 イギリスやフランス共和国においては、それぞれの国の諸事情を踏まえて慎重に検討された結果、通常犯罪又はすべての犯罪につき死刑を廃止することを内容とする法律が成立し、死刑が廃止されたものと承知している。
 その背景や経緯については、平成十年八月二十一日答弁書二の(1)及び(2)並びに(4)から(6)までについてでお答えしたとおりである。

七の(3)について

 被害者やその遺族が犯人の処罰を望んでも、検察官としては、捜査の結果、法と証拠に照らして起訴するに足りる犯罪の嫌疑が十分でないと認められる場合においては、事件を不起訴処分としているところであるが、その場合においても、被害者やその遺族に対して誠実に対応すべきであると考えている。

七の(4)について

 検察官は、捜査の結果、法と証拠に照らして起訴するに足りる犯罪の嫌疑があると認めた場合において、その犯人を起訴すべきか起訴猶予とすべきかを決するに際し、被害者やその遺族が犯人の処罰についていかなる心情を有しているかを重要な判断要素の一つとして考慮しているとともに、起訴した事件については、裁判結果にこれが適切に反映されるように裁判所に意見を述べ、また、そのための立証活動をしている。
 なお、御指摘の件に関し、処分は行っていない。

七の(5)について

 犯罪被害者の救済については、加害者に資力がないために十分な損害の回復がなされない場合が多いことから、実質的にその実現を図る必要があると考えている。このような観点から、犯罪被害者等給付金支給法(昭和五十五年法律第三十六号)が制定され、人の生命又は身体を害する犯罪行為により、不慮の死を遂げた者の遺族又は重障害を受けた者に対し、国が犯罪被害者等給付金を支給する制度が設けられている。平成九年度においては、二百四十人の被害者又はその遺族(以下「被害者等」という。)に対して総額約五億七千万円の給付金が支給されている。
 また、犯罪被害者の救済に関連して、警察庁では、平成八年二月に「被害者対策要綱」を定め、被害者等の視点に立った活動の推進に組織的、総合的に取り組んでいるところである。
 さらに、被害者等に対して相当と認められる範囲の情報提供を行っていくことが必要であると考えており、このような観点から、警察において、殺人、強盗致死傷、一定の重大な傷害、ひき逃げ事件、交通死亡事故等につき被疑者の検挙の状況、処分状況等を連絡する「被害者連絡制度」を実施している。また、同様の観点から、多数の検察庁においては、事件の処理結果、公判期日、判決結果等を通知する「被害者等通知制度」を実施しているところであるが、このような情報の提供は、被害者等国民の検察に対する負託にこたえるとともに刑事司法の適正かつ円滑な運営に資するものであることから、今後、全国の検察庁において「被害者等通知制度」を実施すべく検討を進めているところである。
 なお、被害者の損害回復を容易にするための司法手続上の方策として、刑事手続との関連において犯人の財産の保全の在り方等について検討を行っているところである。

八の(1)について

 法務省において記録の有無等を調査したものである。
 なお、雑誌の出版社への問い合わせは行っていない。

八の(2)について

 我が国における死刑執行の方法、死刑確定者に対する処遇の状況、死刑判決が言い渡された事件の被害者の遺族の救済にかかわる現状等が一般論として国民に伝えられることは、死刑制度に関する国民の理解及び議論に資するものであると考えている。
 なお、個々具体的な死刑執行に関する事項及び個々の死刑確定者の処遇の状況については、死刑確定者の心情の安定、死刑を執行された者の遺族の感情、個別の事件の被害者の遺族の感情等に配慮し、公表を差し控えるのが相当であると考えている。

八の(3)について

 学校においては、教育課程の基準である学習指導要領に基づき、生徒の発達段階等に応じ、適切な配慮の下に指導を行うこととされており、各学校においてその取組がなされているところである。なお、高等学校公民科の教科書の中には、例えば、死刑を定めた刑法の規定は違憲でないと判断した昭和二十三年三月十二日最高裁判所大法廷判決の判旨を紹介しているものがみられるところである。

八の(4)について

 少年事件の発生件数等に影響を与える要因としては様々なものがあると考えられ、また、死刑制度についての学校の教師や児童、生徒の受け止め方にも様々なものがあると考えられるので、死刑制度がこれらにどのような影響を与えているかは、一概にはお答えできない。

八の(5)について

 死刑に関する論議に影響を及ぼす要素は様々であり、その中で、死刑に関する情報公開の程度がどのような影響を及ぼすかについては、これを実証的に明らかにすることは極めて困難であることから、「判断が困難」とお答えしたものである。

八の(6)について

 個々具体的な死刑執行に関する事項については、答弁を差し控えたい。



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