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答弁本文情報

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平成十年十一月十日受領
答弁第二九号

  内閣衆質一四三第二九号
    平成十年十一月十日
内閣総理大臣 小渕恵三

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員枝野幸男君提出「薬害エイズ問題」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員枝野幸男君提出「薬害エイズ問題」に関する質問に対する答弁書



一の(一)について

 後天性免疫不全症候群AIDSの実態把握に関する研究班(以下「研究班」という。)の第一回の議事を録音したテープについては、厚生省としてその内容を確認するとともに、当該議事の内容を公開する方法等を検討するため仮還付を受けたものである。

一の(二)について

 研究班の会議については、厚生省が主催したものではないこと及び公開を前提として開催されたものではないことから、その議事の内容を公開する方法等を判断するに当たっては、研究班の各班員の意向を確かめる必要があり、速やかに結論を得たいと考えている。

一の(三)について

 御質問のテープの押収場所については、本年九月十四日、東京地方裁判所で開廷された被告人松村明仁に対する業務上過失致死被告事件の第二十五回公判において、厚生省薬務局企画課血液事業対策室であることが東京地方検察庁検察官により明らかにされている。

一の(四)について

 一の(三)についてで述べたとおり東京地方検察庁は厚生省薬務局企画課血液事業対策室から御指摘のテープを差し押さえており、御質問のその際の立会人は同室室長等であることが、前述の公判において明らかにされている。その他の押収物については、当該刑事事件の公判において明らかにされるべき事柄であると考えられるので、答弁を差し控えたい。

一の(五)について

 厚生省薬務局企画課血液事業対策室が東京地方検察庁の強制捜査を受けた当時使用していた部屋の過去の使用状況は、次のとおりである。


二の(一)について

 御質問については、「薬害エイズ問題」に関する質問に対する答弁書(平成十年七月十四日内閣衆質一四二第七〇号)二の(三)についてで答弁したとおりであり、押収品目録を公開することは適当ではないと考えている。

二の(二)について

 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第四十七条ただし書は、「公益上の必要その他の事由」があるのみならず、訴訟関係書類の存否や内容を公にすることが「相当と認められる場合」、換言すれば、同条本文が定める訴訟関係書類の非公開の原則により保護されるべき公益、すなわち関係者の名誉、人権の保護や現在及び将来における捜査及び裁判に対し不当な影響が及ぶことの防止と、当該書類の存否や内容を公にすることによって得られるべき公益とを比較衡量して、後者が優先すると認められる場合に限って、例外的取扱いを許したものと解している。
 御質問の過去の例としては、昭和五十一年におけるいわゆるロッキード事件の灰色高官問題について、同年四月二十一日の衆参両院議長裁定において「国会は、ロッキード問題に関し、本件にかかわる政治的道義的責任の有無について調査するものとし、国会の国政調査権の行使に当たっては、政府は事態の推移を見て、刑事訴訟法の立法趣旨をも踏まえた上で事件の解明に最善の協力を行うものとする。」旨が述べられたこと並びに、国会において、国政調査権に基づく要求がなされたこと、各党の異論のないところを踏まえ政治的道義的責任のあるいわゆる「灰色高官」の基準が示されたこと及び秘密会における報告とする決定がなされたことを受けて、当該基準に合致する者の氏名を秘密会で明らかにしたことがあるほか、交通事件の実況見分調書のように、事故現場の状況を表す書類であって、代替性がなく、民事事件の立証上不可欠の書類であり、かつ、これが現在及び将来の捜査及び裁判に対し不当な影響を与えたり関係者の名誉、人権を害するおそれがないと認められるような場合には、当該事故に関する民事裁判の係属している裁判所からの送付嘱託に応じてこれを提出している例がある。

二の(三)について

 特定の資料の存否や捜査当局によるその押収の有無については、それ自体捜査の秘密に属し、また関係者のプライバシー等にもかかわる事柄であり、これを捜査、公判の遂行の目的から離れて、公判以外の場で公にすることは、それだけで、これに応じた関係者の口裏合わせその他の罪証隠滅活動を招き、あるいは裁判所に予断を生じさせる等、具体的事件の捜査及び裁判に対し不当な影響が及ぶおそれが十分に認められる上、捜査、公判の遂行という公益上の目的から捜索及び押収の権限を認めた刑事訴訟法の趣旨及び国民の捜査機関への信頼に反し、その結果として、国民の協力を不可欠の前提とする将来の捜査及び裁判一般に対し不当な影響を及ぼすおそれがあると考えられる。

三について

 厚生省が本年実施した調査においては、郡司元生物製剤課長は、平成八年の血液製剤によるHIV感染に関する調査プロジェクトチーム(以下「調査チーム」という。)が送付した質問調査票及び質問調査関連資料以外の資料を郡司元課長に提供した者について、厚生省職員であったと思うが、誰であったのか記憶はないと回答しており、また、調査チームに在籍した職員で当時公表されていた資料以外の資料を郡司元課長に提供したと回答した者はいなかったところであり、御質問の資料が誰から、いつ、どのようにして郡司元課長に渡ったのかを確認することはできなかったものである。郡司元課長に対する御質問の資料の送付状況の確認については、厚生省においては、当時の関係者の記憶を問う以外に方法はなく、これ以上の事実関係を確認することは困難であることから、更なる調査を実施する考えはない。

四の(一)について

 厚生省が本年実施した調査において聞き取り調査の対象となった者は、調査チームに在籍した職員、平成八年当時の保健医療局エイズ結核感染症課、薬務局企画課血液事業対策室及び同課医薬品副作用被害対策室の職員、文書による質問調査に対してエイズ研究班のものと識別できる録音テープを管理していたと回答した者及びその者と同時期又は前後して同じ係又は隣りの係に在籍していた職員、研究班の議事メモを作成した、議事メモを見た等と回答した職員等の約八十名である。

四の(二)について

 聞き取り調査の実施部署は、医薬安全局企画課、同局企画課医薬品副作用被害対策室、同局血液対策課及び保健医療局エイズ疾病対策課である。

四の(三)について

 郡司元課長以外からの聞き取り調査は、医薬安全局若しくは保健医療局内又は調査対象者の勤務先での面接及び電話により実施したものであり、面接は原則として複数の者で実施したが、一名で実施した場合もある。

四の(四)について

 聞き取り調査に際しては、テープ録音は行わず適宜メモを作成したが、調査結果として報告すべき内容はすべて調査報告書で明らかにしている。

四の(五)について

 郡司元課長に対する聞き取り調査については、医薬安全局企画課及び同局血液対策課の職員により、省外の会議室における二回の面接及び数回の電話により行ったところである。

五の(一)について

 御指摘のテープについては、本年七月一日、東京地方裁判所で開廷された被告人松村明仁に対する業務上過失致死被告事件の第二十二回公判において、厚生省からの押収物の中に第二回以降の研究班の議事内容を録音したテープはないことが東京地方検察庁検察官により明らかにされている。
 また、第三回及び第四回の研究班の議事メモについては、刑事裁判の進展に伴い厚生省が入手できる状況となったことから、厚生省において、本年十月三十日に東京地方検察庁から当該資料を入手したところであり、現在、公開の方法等を検討しているところである。

五の(二)及び(三)について

 法務省は、国を当事者又は参加人とする訴訟の適切な追行という目的のため、所管行政庁から種々の資料の提供を受けているものであり、具体的な事件においていかなる資料の提供を受けたかということについての答弁は差し控えたい。





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