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答弁本文情報

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平成十一年一月十九日受領
答弁第三号

  内閣衆質一四四第三号
    平成十一年一月十九日
内閣総理大臣 小渕恵三

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員寺前巖君提出「海上コンテナ」の陸上輸送における安全確保に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員寺前巖君提出「海上コンテナ」の陸上輸送における安全確保に関する質問に対する答弁書



一について

 貨物自動車運送事業法(平成元年法律第八十三号)第十七条等の規定に基づき輸送の安全を確保することは、貨物自動車運送事業者の義務とされており、貨物自動車運送事業者においては、運送の引受けの際に、運送に適した荷造りをするよう荷主に対して要求しているものと承知している。
 国際運送に係るコンテナは、貨物が収納されてから国内の道路において運送されるまでの間に複数の運送手段を経るものであり、その間に当該貨物の収納の状態が変化する場合があることにかんがみると、御指摘のような施策を講ずることについては慎重な検討が必要である。

二の1から3までについて

 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)、毒物及び劇物取締法(昭和二十五年法律第三百三号)等の法令に規定されている危険物、毒物又は劇物等の物質(以下「危険物等」という。)の運送に当たっては、各法令の規定に従い適正な取扱いを行うこととされている。これらの法令の規定に基づき輸送の安全を確保することは、貨物自動車運送事業法第十七条等の規定に基づき、貨物自動車運送事業者の義務とされており、貨物自動車運送事業者においては、運送の引受けの際に、輸送の安全を確保するために必要な情報の提供を荷主に対して要求するとともに、運転者に対して必要な指導を行っているものと承知している。
 危険物等を運送する際には、消防法第十六条の規定に基づく危険物の規制に関する政令(昭和三十四年政令第三百六号)第三十条第一項第二号及び毒物及び劇物取締法第十六条の規定に基づく毒物及び劇物取締法施行令(昭和三十年政令第二百六十一号)第四十条の五第二項第二号等の規定に基づき、危険物等を運送する車両に標識を掲げることとされているほか、同項第四号の規定に基づき、運送する毒物又は劇物の名称、成分及びその含量並びに事故の際に講じなければならない応急の措置の内容を記載した書面が備えられなければならないこととしている等必要な措置を講じている。
 また、危険物等を運送する車両による事故の防止及び迅速な処理のための施策を推進するため、関係省庁及び日本道路公団においては、「危険物運搬車両の事故防止等対策についての申合せ」(平成九年十二月十二日)を取りまとめ、当該申合せに基づいて、危険物等に関するデータベースの構築に向けた検討を進める等必要な施策を推進しているところである。また、当該申合せを受け、社団法人日本化学工業協会は、危険物等の運送中に事故が生じた際に運転者等が採るべき措置等を記載したイエローカードの一層の普及に努めるとともに、その運用についても改善を図っているものと承知している。
 化学物質安全性データシートについては、これまでも産業界においてその普及が図られてきたところであるが、平成十年九月に取りまとめられた化学品審議会の中間報告における提言を受けて、その流通の徹底を図るため、化学物質の製造事業者等に化学物質の譲渡等の際に提供することを義務付けるべく、法制化のための検討を進めているところである。
 今後とも、これらの取組を通じて、危険物等を運送する車両による事故の防止及び迅速な処理のための施策を推進してまいりたい。

二の4について

 国際海事機関海上安全委員会(以下「委員会」という。)は、危険物コンテナ等検査についての千九百九十五年六月一日付け回章文書(MSC/Circ.694)によって、危険物を収納したコンテナの国際海上危険物規程への適合性を検査する危険物コンテナ等検査の実施及びその結果の報告を同機関加盟国五に要請している。
 運輸省においては、平成八年六月に行ったアメリカ合衆国沿岸警備隊における危険物コンテナ等検査の実施方法等に関する調査を踏まえ、委員会の要請に応えるべく、平成九年七月から関東運輸局において、平成十年四月から近畿運輸局において、同年十月から神戸海運監理部において、それぞれ港湾運送事業者等の協力を得て試験的に危険物コンテナ等検査を実施しているところである。
 今後とも、委員会における危険物コンテナ等検査の実施に関する審議等を踏まえ、我が国における危険物コンテナ等検査の在り方について検討を進めてまいりたい。

二の5について

 毒物及び劇物取締法においては、日常流通する有用な化学物質のうち、主として急性毒性による健康危害が発生するおそれが高い物質を毒物又は劇物に指定している。御質問の塩化ステアロイルについては、経口的半数致死量が体重一キログラム当たり七千五百ミリグラムとの報告があり、これは劇物として指定されているものが有する急性毒性の二十五分の一以下に相当するものであるため、現時点では指定する必要はないと考えている。
 御指摘の表示義務については、毒物及び劇物取締法においては、毒物又は劇物を車両を使用して大量に運搬する場合には、毒物及び劇物取締法施行令第四十条の三第二項の規定に基づき、容器又は被包の外部に、その収納した毒物又は劇物の名称及び成分の表示がなされていなければならないとされ、同令第四十条の五第二項の規定に基づき、車両には、標識が掲げられるとともに、運搬する毒物又は劇物の名称、成分及びその含量並びに事故の際に講じなければならない応急の措置の内容を記載した書面が備えられなければならないとされている。また、同令第四十条の六の規定に基づき、荷送人は運送人に対し、毒物又は劇物の名称、成分及び含量等並びに事故の際に講じなければならない応急の措置を示した書面を交付しなければならないとされている。化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和四十八年法律第百十七号)においては、第一種特定化学物質及び第二種特定化学物質の規制を行っているところ、第一種特定化学物質については同法第六条及び第十一条の規定に基づき、その製造及び輸入を許可制としているが、これまでに許可を与えた実績がなく、我が国において製造及び輸入はされていない。また、第二種特定化学物質については、同法第二十八条の規定に基づき、その容器、包装又は送り状に当該第二種特定化学物質による環境の汚染を防止するための措置等に関する表示をすることとされている。消防法においては、七危険物を運搬する場合には、危険物の規制に関する政令第二十九条第二号の規定に基づき、運搬容器の外部に危険物の品名、数量等を表示して積載することとされ、同令第三十条第一項第二号の規定に基づき、指定数量以上の危険物を車両で運搬する場合には当該車両に標識を掲げることとされている。なお、これら各法令に基づく表示義務及び物質情報携行義務と併せて、我が国化学業界を中心として、前述のイエローカードの自主的な携行も普及しつつあるところである。
 次に、毒物及び劇物取締法においては、現在規制対象になっていない物質及び新規物質であって、毒物又は劇物と同等以上の急性毒性を有することが明らかになったものについては、毒物又は劇物への指定を随時行っている。消防法においては、危険物は、同法第二条第七項において同法の別表の品名欄に掲げる物品で同表に定める区分に応じ同表の性質欄に掲げる性状を有するものと定義されており、同表の品名欄及び同欄中の規定に基づく危険物の規制に関する政令第一条には、同表の性質欄に掲げる性状を有する可能性があると通常考えられる物品がすべて掲げられているところである。化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律においては、新規化学物質を製造し、又は輸入しようとする者に対し同法第三条の規定に基づき届出義務を課し、当該届出により同法第四条の規定に基づいてその安全性に係る審査を行うこととされている。労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)においては、同法第五十七条の二の規定に基づき、新規化学物質を製造し、又は輸入しようとする事業者は、あらかじめ一定の有害性調査を行い、その結果を労働大臣に届け出なければならないこととされている。
 以上のように、それぞれの省庁においては、それぞれの法令の目的に沿って所要の規制を行っているところであるが、危険有害物による危害防止のため、今後とも必要に応じ関係省庁間の連携を図ってまいりたい。

三について

 運輸省においては、国際運送に係るコンテナを国内においてセミトレーラに積載して運送する場合には、運送作業指図書にコンテナの総重量を記載するよう、平成十年四月から貨物自動車運送事業者に対して指導している。また、貨物自動車運送事業者は、運送の引受けの際に、コンテナの総重量等輸送の安全を確保するために必要な情報の提供を荷主に対して要求しているものと承知している。
 したがって、当該コンテナの運送を行う運転者は、運送作業指図書により、その総重量を把握し得るものと承知している。





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