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答弁本文情報

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平成十一年三月十六日受領
答弁第七号

  内閣衆質一四五第七号
    平成十一年三月十六日
内閣総理大臣 小渕恵三

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員若松謙維君提出税制改革に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員若松謙維君提出税制改革に関する質問に対する答弁書



一について

 相続税における土地の評価に関する事項については、土地評価審議会に係る土地の評価についての基本的事項等に関する省令(平成三年大蔵省令第三十三号)第二条において、国税局長は、土地の評価に関する事項を定めたときは、土地を有する者の便宜にも配慮して、当該事項を速やかに国税局及び税務署において閲覧に供するものとされており、国税局長が、地価公示価格の評価時点である一月一日を評価時点として、土地の評価基準となる路線価等を定め、例年八月中旬に、財産評価基準書においてこれを公表しているところである。
 相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)第二十七条においては、相続の開始があったことを知った日の翌日から十月以内に申告書を提出しなければならない旨規定されており、一月一日に相続が開始した場合でも、財産評価基準書の公表から申告及び納付の期限まで二月を超える期間があることとなる。
 財産評価基準書の公表時期については、例年三月下旬に公表される地価公示価格等との均衡を図りつつ、全体で約四十四万を超える数の標準地の評価及びその標準地を基とした個々の路線価等の評価を全国的かつ適正に行う必要があり、そのために相当の事務を要することから、八月中旬としてきているところであるが、国税庁においては、納税者の便宜に配慮し、事務の一層の効率化を図ることなどにより、可能な限り早期公表に努めてまいりたい。

二について

 利子税及び年七・三パーセントの割合の延滞税(年十四・六パーセントの割合の延滞税のうち、その二分の一の免除により結果として年七・三パーセントの割合となる延滞税を含む。)については、現在の極めて低い金利の状況を勘案し、これらの軽減を図るため、「租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案」により、当分の間の措置として、これらの割合について特例を設ける改正案を提案しているところである。
 なお、延滞税については、納税の猶予等の場合の延滞税の免除制度が設けられており、実際に年十四・六パーセントの割合が適用される場合は、基本的には、納税の督促を受けてもそのまま放置している場合等の滞納者が納税について誠意を示さない場合であり、このような滞納者に対しては強く納付を促す必要があること等から、年十四・六パーセントの割合の延滞税を軽減対象とすることは適当でないと考えている。

三について

 少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度は、企業の事務負担に配慮したものであるが、税制調査会の法人課税小委員会報告(平成八年十一月二十六日)においても指摘されているように、この取扱いによって多額の償却費が一時に計上される結果、法人税の課税ベースがかなり狭められている場合があると考えられること、さらに、期末において一種の利益調整が可能となっているのではないかと考えられること等を踏まえ、主要先進国における取扱いも参考にしながら、平成十年度の税制改正において、本制度に係る取得価額基準を二十万円未満から十万円未満に引き下げたところであり、この改正の趣旨にかんがみれば、これを引き上げることは適当でないと考えている。
 なお、一括償却資産の損金算入制度は、少額の減価償却資産の損金算入制度の見直しに伴い、取得価額が二十万円未満の減価償却資産の個別管理に係る事務負担に配慮して設けたものであり、本制度が企業の購買意欲の低減や景気回復の阻害の原因となるものとは考えていない。

四について

 消費税の簡易課税制度は、中小事業者の納税事務負担に配慮する観点から、事業者の選択により、売上げに係る消費税額を基礎として簡易に仕入れに係る消費税額を計算することを認める特例措置であり、これを選択するか否かにより売上げ、仕入れに関する記帳の内容に影響を及ぼすこと、また、このような特例措置の選択は、本来、納付税額が有利になるか不利になるかという考慮に基づき行われるべき性格のものではないことから、その適用の有無については課税期間開始前に確定しておくことが不可欠である。
 したがって、簡易課税制度に関する届出書については、その適用を受けようとする課税期間の開始前に提出を求めているものであり、このような届出制度を廃止し、又は提出時期を変更することは困難である。
 いずれにしても、消費税の申告、納付に関する手続は極めて簡素なものとなっており、各種届出書等の提出についても、適正な課税を図るための必要最小限の範囲に限っているところである。

五について

 農地についての相続税の納税猶予の特例は、農地については法制上所有と経営が不可分とされている等の特殊事情があることを考慮して設けられているものである。
 御指摘の環境保全緑地や農業用宅地がいかなる内容のものであるか明らかではないが、一般的に、緑地や宅地が農地と同様の事情にあるとは考えられず、相続税の納税猶予の特例の対象とすることは適当でないと考えている。

六について

 贈与税の基礎控除額の水準は、少額不追求の観点、相続税の補完税である贈与税の機能の維持の観点等から設定されているものであり、現在の六十万円という水準は、このような観点にかんがみ、妥当な水準であると考えている。





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