衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十一年四月十三日受領
答弁第二〇号

  内閣衆質一四五第二〇号
    平成十一年四月十三日
内閣総理大臣 小渕恵三

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員保坂展人君提出外国人登録証常時携帯義務と国連規約人権委員会の勧告の重みに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員保坂展人君提出外国人登録証常時携帯義務と国連規約人権委員会の勧告の重みに関する質問に対する答弁書



一の1の@について

 外国人に登録証明書、旅券等身分事項を証する書類の携帯を義務付けている国としては、現在把握している限り、米国、フランス、ドイツ、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、アイルランド、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、アイスランド、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニア、チリ、ヴェネズエラ、コロンビア、ブラジル、アルゼンティン、メキシコ、ペルー、中国、韓国、タイ、ミャンマー、フィリピン、マレイシア、インドネシア、インド、パキスタン、イスラエル、エジプト及びケニアがある。

一の1のA及びBについて

 一の1の@についてでお答えした国はいずれも、いわゆる永住外国人に対しても登録証明書、旅券等身分事項を証する書類の携帯を義務付けており、また、その多くの国において、これを担保するため、その違反に対し罰則を設けているものと承知している。例えば、米国においては、移民法第二百六十四条(e)において、永住者に対して、外国人登録受理証(永住者カード)の常時携帯義務を課し、その違反に対し、百ドル以下の罰金若しくは三十日以下の禁錮に処し、又はこれを併科することとしている。

一の2の@について

 不法入国者や不法残留者が多数存在する等の今日的状況の中では、外国人が合法的な在留者であるか否か等、その居住関係及び身分関係を即時的に把握するためには、登録証明書の常時携帯制度は合理的かつ必要なものであり、制度としてこれを廃止することは適切でなく、また、この制度の目的を達成するためには、この違反に対し間接強制である罰則による担保が必要であると考えている。
 また、外国人が合法的な在留者であるか否か等を即時的に把握するため、外国人に一定の義務を課し、罰則でこれを担保することについては、前記のような目的の合理性、必要性、方法の相当性が認められ、日本人に対する取扱いとの間に差異があったとしても、その差異には合理的根拠があり、市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第七号。以下「規約」という。)第二十六条に違反するものではないと考えている。
 ちなみに、一の1のA及びBについてでお答えしたとおり、規約を締結している多くの国において、我が国と同様、永住外国人に対し登録証明書、旅券等身分事項を証する書類の携帯を義務付け、これを担保するため、その違反に対し罰則を設けている。

一の2のA及びBについて

 憲法第九十八条第二項は、我が国が締結した条約については、これを誠実に遵守することを必要とする旨規定しており、規約は、当然にこれを遵守しなければならないものである。
 規約第二十八条1に基づいて設置された人権委員会(以下「委員会」という。)が我が国の第四回政府報告の検討を踏まえて千九百九十八年(平成十年)十一月五日に採択した最終見解については、法的拘束力はないものの、一般論として言えば、今後ともその内容等を検討し、適切に対処していく必要があると考えているが、登録証明書の常時携帯義務違反に関する政府の見解は一の2の@についてでお答えしたとおりであり、このことは、様々な場において明らかにしているところである。

一の2のCについて

 御指摘の刑罰規定を廃止しない理由は、一の2の@についてでお答えしたとおりであるが、必要に応じ、委員会に対してもその旨を説明し、理解を得てまいりたい。
 なお、平成四年四月十七日の衆議院法務委員会及び同年五月十九日の参議院法務委員会において、「外国人登録証明書の常時携帯・提示義務等に関する規定の運用に当たっては、外国人の日常生活に不当な制限を加えることのないよう配慮し、いやしくも濫用にわたることのないように努めること。」との附帯決議がなされたところ、登録証明書の常時携帯義務違反については、この趣旨に沿い、例えば、外国人であるという理由だけで画一的、機械的に登録証明書を携帯しているかどうかを確認するような運用は行わないなど、常識的かつ弾力的な運用がなされており、政府としては誠実に対処しているところである。





経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.