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答弁本文情報

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平成十一年九月二十八日受領
答弁第五一号

  内閣衆質一四五第五一号
    平成十一年九月二十八日
内閣総理大臣 小渕恵三

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員山本孝史君提出ホームレス問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山本孝史君提出ホームレス問題に関する質問に対する答弁書



一について

 人口密集地域であり、簡易宿所が密集する地域を抱えていることから、全国的に見てもいわゆるホームレスの数が多い地域であると推測される東京都(特別区の区域に限る。)、川崎市、横浜市、名古屋市及び大阪市における野宿生活者等の数について各地方公共団体に聴取したところ、それぞれの地方公共団体で「野宿生活者」、「屋外生活者」、「路上生活者」等の異なる名称及び定義並びに方法により調査した結果であるが、平成十年八月において合計で約一万五千人との報告を得た。
 その後、本年二月に、内閣内政審議室、厚生省、労働省、建設省、自治省及び警察庁並びに地方公共団体の職員で構成するホームレス問題連絡会議を設置し、ホームレス問題に対する対応策を検討する過程において、ホームレス(特定の住居を持たずに、道路、公園、河川敷、駅舎等で野宿生活を送っている者をいう。以下同じ。)の全国的な実態を把握するため、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(川崎市、横浜市、名古屋市及び大阪市を除く。)、同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市及び都道府県庁の所在の市(指定都市及び中核市を除く。)について各地方公共団体に同様に聴取したところ、合計で約千人程度との報告を得たところである。
 今般、ホームレスの数が増加傾向にあるとの指摘もあることから、再度、全国的な実態を把握するための調査を行ってまいりたい。

二について

 ホームレス問題連絡会議において本年五月に取りまとめた「ホームレス問題に対する当面の対応策について」(以下「当面の対応策」という。)では、今後の具体的施策の方向として、「総合的な相談・自立支援体制の確立」、「雇用の安定」、「保健医療の充実」、「要援護者の住まい等の確保」及び「安心・安全な地域環境の整備」の五分野において、国及び地方公共団体が適切な役割分担の下で、一体となって施策を推進していくこととしたところである。
 その際、国は、地方公共団体に対して必要な助成を行うとともに、地方公共団体の実情を把握して、財政運営に支障が生じないよう、適切な地方財政措置を行うこととしており、その具体的内容については、平成十二年度予算の編成過程で検討してまいりたい。

三について

 ホームレス問題の解決に向けては、まずは、当面の対応策に基づく施策を着実に実施していくことが重要であると認識しており、地方公共団体が実施しているホームレスのための各種事業に対して国庫補助を行うことができるようにするための特別法の制定が必要であるとは考えていない。

四について

 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)に規定する保護施設については、社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)の規定により、事業の実施期間が六月を超えること等の条件が定められているほか、生活保護法の規定により、救護施設、更生施設、授産施設及び宿所提供施設の設備及び運営に関する最低基準(昭和四十一年厚生省令第十八号)に規定する基準(以下「最低基準」という。)を満たす必要がある。
 御指摘の臨時的施設の整備に要する費用については、当該施設が一時的に供用されるものであること、当該施設の構造及び設備が最低基準を満たさないと考えられること等から、保護施設に準じた国庫補助を行うことは適当ではないと考えている。
 また、生活保護法第三十条第一項ただし書の規定において、被保護者を保護施設以外の適当な施設に収容し、又は収容を委託して生活扶助を行うことができることとされており、御指摘の臨時的施設が保護施設に該当しない場合であっても、当該施設の設備及び運営が最低基準をおおむね満たし、収容して生活扶助を行う施設として適当であると認められる場合においては、保護の実施機関は必要に応じ、当該施設に被保護者を収容し、又は収容を委託して保護を行うことができる。この場合においては、保護の実施に要する費用及び収容又は収容の委託に要する費用が国庫負担の対象となる。

五について

 当面の対応策に基づくホームレスの自立支援のための事業(以下「自立支援事業」という。)を実施する施設の整備については、地方公共団体においてホームレスの概数、施設を立地する場所の確保状況等を勘案しつつ検討がなされていると承知しており、政府としては、地方公共団体の検討結果を踏まえ、必要な支援を行ってまいりたい。
 自立支援事業を実施する施設には、無料で宿泊する場所を提供することのみならず、健康診断、生活相談、職業相談等を行うための設備を確保することが必要であるため、旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)の規定に基づき、宿泊料を受けて人を宿泊させることのみを目的とする簡易宿所が、自立支援事業を実施する施設としての要件を同時に備えることは、困難であると考えている。また、簡易宿所を経営する事業については、対象者及び料金に関する規定がないため、生計困難者のために、無料又は低額の料金で、宿泊所その他の施設を利用させる第二種社会福祉事業として位置付けることは、適当ではないと考えている。

六について

 東京都、川崎市、横浜市、神戸市等において、被保護者が簡易宿所に継続的に居住している事例があると承知している。
 簡易宿所は、一時的に宿泊させる施設であることから、最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長するという生活保護法の目的にかんがみ、被保護者が継続的に居住する住居として必ずしも適当ではないと考えている。
 しかしながら、地方公共団体によっては、被保護者が住宅を賃借することが困難であること、保護施設の整備状況から保護施設に入所することが困難であること等の事情により、やむを得ず簡易宿所を住居として保護を行っていると承知している。

七について

 平成十二年度における更生施設、養護老人ホーム等の整備については、平成十二年度に、各地方公共団体の申請を受け、施設及び設備の整備費について国庫補助又は国庫負担を行う対象を決定することとなっている。

八について

 地方公共団体によっては、早期に恒久的な施設を確保して自立支援事業を実施することが困難な場合も想定されることから、一年のうちの一定期間を限って仮設の施設において自立支援事業を実施することを緊急的な事業とすることを検討している。

九について

 ホームレス問題連絡会議の構成については、当面の対応策の実施状況等を踏まえつつ、必要に応じ検討してまいりたい。

十について

 ホームレスの生活上の相談については、福祉事務所における相談、保健所及び福祉事務所が連携して行う街頭相談等により対応しているところである。
 今後とも、これらの積極的な活用により、地域の実情を踏まえた総合的な相談体制の充実を図ってまいりたい。

十一について

 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第六十九条の七に規定する日雇特例被保険者については、就労期間が短く、就労状態が安定的でないといった特性を考慮し、同法第六十九条の十二第二項第一号の規定において、保険給付を受ける日の属する月の前二月間に通算して二十六日以上又は当該日の属する月の前六月間に通算して七十八日以上の保険料が納付されていることを保険給付を受けるための受給要件としている。この受給要件は、平均して一月当たり十三日の保険料を納付することで満たすことができるものであり、日雇特例被保険者の就労実態にかんがみれば決して厳しいものではないこと、また、一般被保険者に係る給付及び負担との均衡も考慮する必要があることから、その緩和を図ることは適当ではないと考えている。

十二について

 雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第四十三条第一項に規定する日雇労働被保険者に係る求職者給付の受給要件については、平成六年の同法の一部改正により既に緩和され、その失業の日の属する月の前二月間において、保険料が通算して二十六日分以上納付されていることで満たされるものであること、また、一般被保険者に係る求職者給付の受給要件との均衡を考慮する必要があること等から、更に緩和することは適当ではないと考えている。





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