衆議院

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平成十一年十二月七日受領
答弁第三号

  内閣衆質一四六第三号
    平成十一年十二月七日
内閣総理大臣 小渕恵三

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員細川律夫君提出変造外国硬貨等使用による自販機荒らしに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員細川律夫君提出変造外国硬貨等使用による自販機荒らしに関する質問に対する答弁書



一について

 加工した貨幣を使用して自動販売機の中の現金を窃取する手口の窃盗事件が著しく増加していることから、警察においては、自動販売機を設置し又は管理する者に対し、視認が容易な場所への自動販売機の移動、売上金の早期回収、被害発見時の早期通報等被害防止のための措置について指導を行うとともに、この種事犯の警戒及び検挙に努め、平成十一年一月一日から十月三十一日までの間に、二千二百九十件(前年同期比約七十二パーセント増)を検挙し、犯行に使用された加工した貨幣約六十五万七千枚(同約百八十一パーセント増)を押収している。
 今後とも、警察においては、被害防止のための措置について自動販売機設置者等への指導を行うとともに、警戒及び検挙に努めるなどして、この種事犯に対処するものと承知している。

二について

 大韓民国の五百ウォン硬貨(以下「五百ウォン硬貨」という。)の密輸入については、加工した五百ウォン硬貨を使用した窃盗事件の増加を考慮し、全国の空港及び海港において、麻薬、覚せい剤、けん銃等の輸入禁制品の場合と同様に、関係機関による取締りの強化を図っている。具体的には、情報の収集及び分析によって絞り込んだ要注意貨物、要注意旅客等に対する重点的検査の実施、エックス線検査装置等の検査機器の積極的活用、税関、警察及び海上保安庁による合同取締りの実施等の対策を講じている。
 このような取組の結果、五百ウォン硬貨の密輸入が初めて摘発された平成九年九月十日から平成十一年十月三十一日までの間に、全国の空港及び海港において、十九件の密輸入を摘発し、五百ウォン硬貨約十六万九千枚を押収している。今後とも、この種の密輸入事犯の取締りに万全を期してまいりたい。

三について

 警察庁においては、自動販売機製造業者の団体及び自動販売機を設置し又は管理する者の団体に対し、加工した貨幣を排除することのできる自動販売機の開発及びその普及の促進等を要請しているところであり、自動販売機製造業者においても、電気ドリル、旋盤等を使用して重量を調整した貨幣を排除することのできる機能を持つ装置を開発し、このような装置を搭載した自動販売機の普及に努めているものと承知している。

四について

 加工した五百ウォン硬貨等を使用した犯罪に対しては、警察等の関係機関において鋭意取組がなされており、自動販売機製造業者においても、犯罪防止に有効な硬貨識別装置の開発及びその普及が行われているところであると承知している。
 また、御指摘の国際協調については、諸外国との間において貨幣の製造等に関する情報交換を行っており、今後、新しく貨幣を製造する際における他国の貨幣の形式等への配慮について、各国の協力を得られるよう努力してまいりたい。

五について

 刑法(明治四十年法律第四十五号)第百四十八条の通貨偽造及び行使等の罪は、通貨発行権者の発行権を保障することによって通貨に対する社会の信用を確保しようとするものであり、同条の「偽造」とは、通貨の発行権限を有しない者が通貨の外観を有する物を作ることをいい、通常人が不用意にこれを一見した場合に真正の通貨と誤認する程度に製作されることを要すると解している。
 また、通貨及証券模造取締法(明治二十八年法律第二十八号)第一条は、「貨幣、政府発行紙幣、銀行紙幣、兌換銀行券、国債証券及地方債証券ニ紛ハシキ外観ヲ有スルモノヲ製造シ又ハ販売スルコトヲ得ス」と規定し、同法第二条は、同法第一条の違反行為に対する罰則を規定しているが、同法は、通貨等に対する社会の信用と経済取引の安全の確保を目的とするものであり、同法第一条の「紛ハシキ外観ヲ有スルモノ」とは、その色彩、形状等に照らし、その用い方いかんによっては、通常人が真正の通貨等と誤認するおそれがあり、人を欺く手段としても用いられる危険性を有する物をいうと解している。
 さらに、貨幣損傷等取締法(昭和二十二年法律第百四十八号)第一項は、「貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶしてはならない。」と規定し、同法第三項は、同法第一項の違反行為に対する罰則を規定しているが、同法は、我が国の貨幣の健全な流通と貨幣制度の維持確保を目的とするものであり、同法第一項の「貨幣」とは、我が国において法律による強制通用力がある貨幣をいうと解している。
 五百ウォン硬貨等を加工して、又は加工した五百ウォン硬貨等を使用して、刑法第百四十八条の通貨偽造若しくは偽造通貨行使等に該当するような行為又は通貨及証券模造取締法第一条の貨幣に紛らわしい外観を有する物の製造若しくは販売に該当するような行為が行われていれば、通貨偽造若しくは偽造通貨行使等の罪又は同法第二条の罪が成立し得るが、加工後の当該五百ウォン硬貨等が真正の通貨と誤認されるおそれがないような場合には、これらの罪は成立しない。また、我が国において法律による強制通用力のない五百ウォン硬貨等は貨幣損傷等取締法第一項の「貨幣」に該当しないため、このような五百ウォン硬貨等を損傷する等の行為が行われても、同法第三項の罪は成立しない。
 刑法第百四十八条、通貨及証券模造取締法及び貨幣損傷等取締法の解釈の変更については、それぞれの立法目的、保護法益等に照らし、困難であると考えるが、加工した貨幣を使用して自動販売機の中の貨幣を取得する行為については、窃盗罪が成立する場合が多いものであり、これによって取締りを行うことが可能である。また、これらの改正その他の立法措置については、諸般の事情を踏まえ、種々の観点から慎重に検討する必要がある。



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