答弁本文情報
平成十二年一月十四日受領答弁第二一号
内閣衆質一四六第二一号
平成十二年一月十四日
国務大臣 青木幹雄
衆議院議長 伊※(注)宗一郎 殿
衆議院議員平賀高成君提出タクシー行政の改善に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員平賀高成君提出タクシー行政の改善に関する質問に対する答弁書
一の(一)について
賃金制度の在り方については、本来、労使の自主的な話合いにより決定されるべきものであるところ、労働基準監督機関においては、タクシー運転者などの自動車運転者について歩合給制度を採用している場合には、通常の賃金の六割以上の保障給を定めること、さらに、歩合給制度のうち極端に走行意欲を刺激することとなる累進歩合制度については、廃止することを指導している。今後とも、政府としては、タクシー運転者の労働条件の改善を図るため、的確な監督指導を実施してまいりたい。
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)においては、原則として、使用者は休憩時間を除き週四十時間を超えて労働させてはならないこととされているが、労使間で協定を締結し、所轄労働基準監督署長に届け出た場合においては、届け出た限度において労働時間を延長することができることとなっている。
したがって、当該協定が締結され、所轄労働基準監督署長に届け出されたときには、労働時間が週四十時間を超えている場合であっても、直ちに違法な状態とならないが、これまで、政府としては、タクシー運転者の労働時間の改善を図るため、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年労働省告示第七号)のほか労働基準関係法令の遵守の徹底に努めてきたところであり、今後とも、業界団体に対する指導及び個別事業者に対する監督指導を実施してまいりたい。
平成九年三月の政府の規制緩和推進計画(以下「再改定計画」という。)を踏まえ、運輸省は、「需給調整の運用の緩和その他タクシー事業に係る当面の規制緩和措置について」(平成九年自旅第九号自動車交通局長通達)に基づき、平成九年度分及び平成十年度分に増車を認めたが、平成十一年度分については、ほぼ全国的にタクシー輸送の需要が落ち込んだことにより、同通達に基づく需給調整の判断に従った増車の基準が満たされなかったことから、増車をほとんど認めなかったところである。
御指摘の平成九年度分及び平成十年度分のタクシーの増車については、再改定計画を踏まえ、道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第六条の基準に従って適切に行われたものである。
タクシーの供給が過剰となった場合における過剰状態の解消については、各事業者の自主的な経営判断によることが基本であると認識している。
いわゆるアルバイト運転者の選任状況については把握していないが、事業者に対する監査の際に、旅客自動車運送事業等運輸規則(昭和三十一年運輸省令第四十四号)第三十六条第一項の規定に違反して運転者の選任がなされていないかどうかを調査しているところである。
また、同規定に違反している事業者があった場合には、道路運送法第四十条に規定する行政処分を行うことも含め適切に対処してきているところである。
労働基準監督機関における監督指導については、労働災害の防止、労働時間の短縮等その時々の課題に応じて効果的かつ重点的に実施しているところである。
タクシー事業に対する平成十年の臨検による監督件数が平成元年と比較して減少しているのは、近年、週四十時間労働制の実施に向けた労働時間制度の改善・定着を図るため、全業種に対する幅広い監督指導等の実施に重点を置いたことによるものである。
政府としては、タクシー事業者に対し、今後とも労働時間等の労働条件の改善につき重点的に監督指導を行うとともに、監督体制の整備については、厳しい行財政事情を踏まえながら適切な措置を講ずるよう努力してまいりたい。
また、労働基準関係法令違反の事業者に対しては厳正に対処していく所存である。
労働基準監督機関では、労働条件の引下げを就業規則の変更によって行う場合には当該変更によって労働者が被る不利益の程度、当該変更の必要性等に照らし当該変更の内容が合理的なものであることが必要であるとする判例等の考え方を労使双方に周知している。
また、都道府県労働基準局長は、労働条件についての労働者と使用者との間の紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該当事者に対し、必要な助言又は指導を行っている。
さらに、不当労働行為に該当する場合には、労働組合等からの救済の申立てにより、労働委員会が命令を発する等適切に対処している。