衆議院

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平成十二年四月二十一日受領
答弁第一三号

  内閣衆質一四七第一三号
  平成十二年四月二十一日
内閣総理大臣 森 喜朗

       衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員石井紘基君提出徳山ダム建設事業地域に棲息する大型猛禽類に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員石井紘基君提出徳山ダム建設事業地域に棲息する大型猛禽類に関する質問に対する答弁書



一について

 環境庁においては、平成八年八月、ダムの建設などの開発行為等に際して猛禽類の保護対策を進めていくための指針として、「猛禽類保護の進め方」(以下「進め方」という。)を策定し、事業者が個々の事業ごとに進め方を参考として専門家の指導助言を仰ぎながら適切な調査及び保護対策を検討すべきであるとの基本的な考え方を示しているところである。徳山ダムの建設事業の事業者である水資源開発公団(以下「公団」という。)は、今後、「徳山ダム環境保全対策委員会(仮称)」を設立し、同委員会を中心に専門家の指導及び助言を得ながら、効果的な環境保全対策及び一層の調査研究を推進するとしており、当該事業の実施に当たっては、進め方の考え方に沿って、専門家の指導及び助言を得ながら、希少な猛禽類の保護への配慮がなされていくものと考えている。

二の1について

 平成十一年十二月に公団が公開した「徳山ダムワシタカ類に関する資料」によれば、御指摘のイヌワシDつがいの行動圏には、徳山ダムの建設事業に係るダム湖、湛水域、道路等として地形が改変される区域が含まれており、当該事業によりイヌワシDつがいの生息に影響が及ぶ可能性があると考えられるため、公団においてイヌワシDつがいの生息環境についての適切な保全対策を講じる必要があると考えている。

二の2について

 御指摘のイヌワシFつがいについては、公団において平成十一年十一月からその行動圏に関する補足調査を実施しており、同調査の結果を踏まえて、必要に応じ、イヌワシFつがいの生息環境についての保全対策が講じられるものと考えている。

二の3について

 個々の開発行為等に伴うイヌワシ等の希少な猛禽類の保護対策は、進め方で示しているように、各事業者が主体となって実施することが基本になると考えている。
 環境庁においては、イヌワシ等の希少な猛禽類の分布や生態に関する科学的な知見の充実に努めるとともに、御質問の地域を含め猛禽類の保護対策上必要と判断される場合は、事業者に対し助言等を行ってまいりたい。

三の1について

 「徳山ダムワシタカ類に関する資料」の百二ページは、徳山ダムの建設事業により自然が改変される区域を中心に選定した観察地点において観察されたすべてのクマタカの飛翔記録等を図示したものであるが、飛翔記録があることのみをもって、御指摘のようにこの地域のすべてのクマタカの行動圏と徳山ダムの建設事業により自然が改変される区域がほぼ重なると判断するのは適切ではなく、飛翔記録の頻度や営巣等の状況を踏まえれば、徳山ダムの建設事業がこの地域に生息するクマタカ個体群すべてに甚大な影響を与えるものとは考えられない。
 公団は、これまでも現地の状況に応じて付替道路工事においてトンネル区間を増やすなど道路線形を変更したほか、平成十一年五月に工事現場の近くでクマタカの営巣木が確認された際には、工事を一時中断し、周辺の調査を行う等の対応を行ってきており、徳山ダムの建設事業に関し、環境保全対策に万全を期して工事を実施しているところである。また、一についてで述べたとおり、公団において今後更に必要な調査研究及び環境保全対策の検討が進められるものと承知している。

三の2について

 御指摘のダム関連工事と工事予定地周辺におけるクマタカの繁殖の成否との関係については、環境庁において十分な知見を有しておらず、その因果関係は明らかではない。

四の1について

 進め方は、猛禽類の生息地周辺において各種開発行為等が実施される際に各事業者が猛禽類の保護対策を進めていくための指針として策定されたものであり、各事業者が進め方の考え方に基づき、適切な調査及び保護対策を講ずることが重要であると考えている。環境庁においては、進め方の考え方が適切に反映されるよう、必要に応じ、各事業者が行う保護対策等に関する情報の収集に努めてまいりたい。

四の2について

 環境庁においては、猛禽類の保護対策は重要な課題と認識しており、各種開発行為等と猛禽類の保護との適切な調整を図る上で必要となる科学的知見の充実を図るため、平成九年度から五年間の計画で、通商産業省、建設省等の関係省庁と共に、所要の予算を確保しつつ、全国のイヌワシ及びクマタカの分布を明らかにするとともにその行動や生息環境などの生態を把握するための調査を進めているところである。今後とも、猛禽類の保護対策を進めていく上で必要な科学的知見の充実に努めてまいりたい。

四の3について

 環境基本法(平成五年法律第九十一号)第二十条においては、「事業者が、その事業の実施に当たりあらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測又は評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮する」こととし、国はこれを推進するために必要な措置を講ずる旨が規定されている。生物環境の保全についても、事業者がそれぞれの事業の特性に応じた適切な配慮を行うべきものと考えており、環境庁においては、猛禽類等の野生動植物の保護の観点から、必要に応じ、各事業者に対する助言又は指導を行ってまいりたい。

五について

 猛禽類の保護に当たっては、専門家の意見を踏まえて、イヌワシ、クマタカ等の各つがいごとに、行動圏及び行動圏内部における営巣、採餌等の環境利用の状況を明らかにし、それぞれの生息環境としての機能に応じて、適切な環境保全対策を講じていくことが重要と考えている。
 公団は、「徳山ダム環境保全対策委員会(仮称)」を設立し、同委員会を中心に専門家の指導及び助言を得ながら、効果的な環境保全対策及び一層の調査研究を推進するとしており、猛禽類の生息環境の保全について適切な対応が図られていくものと考えている。

六について

 徳山ダムの建設事業については、昭和五十一年九月二十八日、公団が水資源開発公団法(昭和三十六年法律第二百十八号)第二十条に基づく事業実施計画の認可を受けていることから、環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)附則第三条第一項第一号の規定により環境影響評価の適用を除外されている。
 一方で、公団は、平成八年五月から平成十年九月までの間において「徳山ダムワシタカ類研究会」等の専門家の指導を得ながら猛禽類調査を実施し、平成十一年十二月、イヌワシ及びクマタカの行動圏等について「徳山ダムワシタカ類に関する資料」として公開するとともに、平成十二年二月、徳山ダムの建設事業によるイヌワシ及びクマタカの生息環境への影響について「徳山ダム周辺の希少猛禽類とその保全」として公表するなど、環境の保全について適切な配慮を行うための措置の実施に努めてきている。
 さらに、公団は、「徳山ダム環境保全対策委員会(仮称)」を設立し、同委員会を中心に専門家の指導及び助言を得ながら、効果的な環境保全対策及び一層の調査研究を推進するとしており、生物環境の保全について適切な対応が図られていくものと考えている。



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