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平成十二年六月二日受領
答弁第三五号

  内閣衆質一四七第三五号
  平成十二年六月二日
内閣総理大臣 森 喜朗

       衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員保坂展人君提出「少年審判への検察官関与」と少年えん罪に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員保坂展人君提出「少年審判への検察官関与」と少年えん罪に関する質問に対する答弁書



一について

 御指摘のいわゆる草加事件の捜査の当否については、個別の事件の捜査の内容にかかわる事項である上、少年審判及び民事訴訟事件における裁判所の判断にかかわる事項であるので、答弁を差し控えたい。
 一般論として申し上げれば、捜査当局においては、少年の特性を念頭に置きつつ、証拠の収集、収集された証拠の検討、自白の吟味等、真相解明のため必要な捜査を実施し、的確な事実認定とこれに基づく適切な処理を行うよう努めているものと承知している。

二及び七について

 公的な被疑者弁護制度の導入については、司法制度改革審議会等における議論も踏まえつつ、法務省において、最高裁判所及び日本弁護士連合会との間で、同制度に関連する諸問題について議論を行っているところである。
 現在の刑事訴訟の実務上、適正な取調べによって得られた被疑者の供述が事案の真相を解明する上で極めて重要な役割を果たしていることにかんがみると、取調べに際しての弁護人の立会いや取調状況の録音・録画等被疑者の取調べの在り方については、最大限二十三日間という限られた被疑者の身柄拘束期間の中で迅速に捜査を遂げて実体的真実を追求する必要があること等を考慮しつつ、広く刑事訴訟制度全体の枠組みの中で慎重に検討すべきものであると考える。
 少年審判における自白の取扱いについては、家庭裁判所においては、送付された一件記録や裁判所において実施した証拠調べ等の結果を踏まえ、非行事実の有無を判断しており、その審理の過程において、自白調書の信用性についても慎重な吟味がなされているものと承知している。
 少年審判への検察官の関与については、今国会において審議されている少年法等の一部を改正する法律案(以下「少年法改正法案」という。)において、一定の事件について、これを可能としているが、これは、少年審判における証拠の吟味等に関して多角的な視点を確保し、その事実認定の適正に対する国民の信頼を確保するとともに、争われる事件において裁判官と少年が対立するような状況に陥ることを回避して円滑、適正な審判の実現を図ることを目的とするものである上、検察官が関与する場合に、少年に弁護士である付添人がないときは、弁護士である付添人が付されることとされており、的確な事実認定に資するものと考える。

三について

 書類、証拠物その他家庭裁判所の審判の参考となる資料については、少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)等の規定に基づいて、可能な限り速やかに家庭裁判所に送付されるべきものであり、捜査当局においては、今後ともその趣旨を徹底していくものと承知している。

四及び六について

 少年事件の捜査においては、少年の特性を考慮し、捜査の時期、場所、方法等について慎重に配慮するとともに、成人の事件と同様、客観的な証拠の収集を十分に行い、これらの証拠に基づいて事実の存否を的確に判断することが重要であると考えている。
 捜査当局においては、少年の取調べに際し、少年法の精神を踏まえ、言動に十分注意するなど、少年の特性に配意して事案の解明に当たってきたものと承知しており、例えば、本人の年齢、性格、経歴等を念頭に置きながら、無用の緊張を与えないよう配慮しつつ、その主張も十分聞くよう努めているところであると承知している。

五について

 少年の取調べに際しては、四及び六についてでお答えしたとおり、少年法の精神を踏まえ、その特性に配意して事案の解明に当たることが必要であると考えている。
 少年警察活動要綱(昭和三十五年警察庁次長依命通達第六号)は、第十二条第三号において、少年と面接する場合においては、やむを得ない場合を除き、少年と同道した保護者等その他適切と認められる者の立会いの下に行うこととしているが、これは、少年に無用の緊張を与えることを避け、真実の解明のための協力や事後の効果的な指導育成の効果を期待するという趣旨に基づくものである。適切と認められる者であるかどうかは、あくまで少年の保護及び監護の観点から判断されるものであり、少年を保護又は監護する者とは通常言えない弁護人を念頭に置いているものではない。また、各都道府県警察においては、少年事件の捜査等に当たっては、個別の事案に即し、この趣旨に沿って対応しているものと承知している。
 捜査段階における取調べに際しての弁護人の立会いについては、二及び七についてでお答えしたとおりである。

八について

 御指摘のような調査は行っていないが、御指摘のような凶悪事犯を含め、捜査当局においては、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)及び犯罪捜査規範(昭和三十二年国家公安委員会規則第二号)の規定に基づき、成人の場合と同様、少年の取調べに際しても、自己の意思に反して供述する必要がない旨を告げ、また、逮捕した少年被疑者については、弁護人を選任することができる旨を告げた上で弁解の機会を与えており、さらに、これらの権利の告知に際しては、個々の少年がその内容を十分に理解できるよう、分かりやすい言葉で行うように努めているものと承知しており、自己の権利保護のために必要な事項の理解は図られているものと考えている。

九について

 捜査当局においては、刑事訴訟法及び犯罪捜査規範の規定に基づき、成人の場合と同様、少年の取調べに際しても、自己の意思に反して供述する必要がない旨を告げ、また、逮捕した少年被疑者については、弁護人を選任することができる旨を告げた上で弁解の機会を与えており、さらに、刑事手続等についても必要に応じて告知をしている場合もあるものと承知している。また、家庭裁判所においても、審判の前までに、少年審判手続等について説明がなされていると承知している。

十について

 家庭裁判所調査官は、家庭裁判所における少年等の行状、経歴、素質、環境等の調査に関し重要な役割を果たしているものと認識している。また、少年法改正法案において、一定の事件について、少年審判の非行事実認定手続への検察官の関与を可能としているが、少年法改正法案における検察官関与が実現した場合においても、家庭裁判所調査官の役割に変更はないと考えている。



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