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平成十二年六月二日受領
答弁第三六号

  内閣衆質一四七第三六号
  平成十二年六月二日
内閣総理大臣 森 喜朗

       衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員保坂展人君提出国際人権(自由権)規約に定める死刑囚の裁判を受ける権利に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員保坂展人君提出国際人権(自由権)規約に定める死刑囚の裁判を受ける権利に関する質問に対する答弁書



一について

 法務大臣が「再審請求は重要な考慮の対象である」というような趣旨を述べたことはあると承知している。
 法務大臣は、死刑執行命令を発するに当たっては、再審請求がなされていることを十分参酌することとしている。

二について

 人身保護請求中に死刑の執行が行われた事例はある。人身保護請求は身体の自由を回復するための制度であり、その請求があったことは、原則として、死刑執行に影響するものではないと考えている。

三について

 再審請求中又は人身保護請求中、その推移を見守っていた事例はある。個々具体的な死刑執行に関する事項については、答弁を差し控えたい。

四について

 戦後、再審請求中に死刑の執行が行われた事例はある。個々具体的な死刑執行に関する事項については、答弁を差し控えたい。

五について

 調査した範囲では、死刑確定者について、検察官が再審を請求した事例はない。なお、検察官は、死刑確定者の恩赦に係る上申権を有していない。

六及び七について

 法務大臣は、死刑執行命令を発する権限と義務を有しており、その責務を果たすため、再審の事由の有無等を検討し、再審開始の要件等がないと認められる場合に死刑の執行を命ずるものであり、そのことが司法権の独立を侵すものではない。
 再審開始の要件がないと認められる場合としては、例えば、再審請求が全く同じ理由で度々繰り返されるような場合があり、そのような場合には、当然棄却されることを予想せざるを得ず、死刑の執行を命ずることもやむを得ないと考えている。

八について

 死刑執行命令が取り消された事例はある。個々具体的な死刑執行に関する事項については、答弁を差し控えたい。

九について

 再審請求段階における国選弁護人制度については、再審請求人は通常手続により判決において有罪と認定され、その判決が確定した者であって、被告人と同一に論じることはできず、また、再審請求審は裁判所が確定判決について職権で再審請求の理由の有無を調査する手続であること等から、慎重な検討を要するものと考えている。

十について

 再審請求と刑の執行停止との関係については、通常手続により有罪の判決が確定しており、再審請求がなされても、それだけでは確定判決に影響を及ぼすものではない上、再審請求があったことをもって必要的な刑の執行停止の事由とすることは、再審請求を繰り返す限り永久に刑の執行をなし得ないこととなるのであって、採り得るところでない。
 なお、一についてでお答えしたとおり、死刑執行命令を発するに当たっては、再審請求がなされていることを十分参酌することとしている。

十一について

 死刑は、適正な法の手続に基づいて言い渡された確定判決により執行するものであり、執行に関しては、個々の事案につき関係記録を十分に精査し、刑の執行停止、再審又は非常上告の事由の有無、恩赦を相当とする情状の有無等について慎重に検討し、これらの事由等がないと認めた場合に初めて死刑執行命令を発することとしているものであって、執行命令に対する防御のために御指摘のような事前告知をする必要があるとは考えていない。
 なお、死刑執行の事実を当日より前に告知することについては、死刑の執行を受ける者の心情の安定を著しく害する等の弊害があり、適切ではないと考えている。





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