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平成十八年十二月八日提出
質問第二二八号

運輸安全マネジメントに関する質問主意書

提出者  伴野 豊




運輸安全マネジメントに関する質問主意書


 平成十七年四月に発生したJR西日本福知山線列車脱線事故をはじめとする事故や、JALにおける各種トラブル等の運輸分野における事故、トラブル等の発生を背景として、運輸の安全性の向上を図るため「運輸の安全性の向上のための鉄道事業法等の一部を改正する法律」(以下、「運輸安全一括法」という。)が、第一六四回国会において成立し、平成十八年十月一日に施行された。これに基づき、運輸事業者が構築した安全管理体制を記載する安全管理規程及び安全統括管理者等の選任についての国土交通大臣への届出が、運輸事業者に対して義務付けられた。
 また、これに対応して、国土交通省は、安全管理規程に記載された運輸事業者の安全管理体制の運用状況を確認する運輸安全マネジメント評価を実施することとし、平成十八年十月十八日及び十九日にはJR西日本に対して、十一月十四日及び十五日にはJALに対して、運輸安全マネジメント評価を実施している。
 以上を踏まえ、次の事項について質問する。

一 運輸安全一括法によって、各事業者に対して安全管理規程及び安全統括管理者の届出が義務付けられることとなったが、それらの届出状況はどのようになっているのか、明らかにされたい。
二 各事業者に対して国土交通省が運輸安全マネジメント評価を実施することとなったが、運輸安全マネジメント評価において、国土交通省はどのような点を重視して評価を実施するのか。また、運輸安全マネジメント評価の対象となる事業者はどの程度あるのか。さらに、それらの事業者に対する評価は、今後どのような日程で行われる予定なのか、既に実施済みも含めて明らかにされたい。
三 平成十八年十月十八日及び十九日に、JR西日本に対する運輸安全マネジメント評価が実施されたところであるが、その評価結果はどのようなものであったのか。JR西日本の安全管理体制や安全確保に向けた取り組みによって、同社においては福知山線列車脱線事故のような悲惨な事故は再び起きることがないと評価できるか、明らかにされたい。
四 平成十八年十一月十四日及び十五日に、JALに対する運輸安全マネジメント評価が実施されたところであるが、その評価結果はどのようなものであったのか。同社においては頻発した機材不具合やヒューマンエラーを原因とするトラブルが再び起きることがないと評価できるか、明らかにされたい。
五 平成十八年十一月二十七日JR東日本に対しても運輸安全マネジメント評価が実施された。JR東日本管内においては、過去、「三鷹事件」(平成十一年九月から翌年一月にかけてJR東日本三鷹電車区において発生した、JR総連に加盟するJR東労組の役員等が、JR連合に加盟するJRグリーンユニオンの組合員と交流した運転士である組合員に対し、JR東労組を脱退させたうえ、集団で執拗な嫌がらせや、悪質な運転妨害をした事件)、続いて「浦和事件」(平成十二年十二月から翌年にかけてJR東日本浦和電車区において発生した、JR東労組役員等がJRグリーンユニオンの組合員と交流した運転士である組合員に対し、組合脱退及び退職を強要し、職場で長期間にわたり組織的かつ執拗な追及を受け、運転にも支障をきたした事件)、さらに、「佐久事件」(平成十五年五月から発生したJR東労組の役員を務めていたJR東日本長野支社の運転士が、平成十五年五月十日から十三日に開催されたJR東労組運輸車両部会常任委員会で組織破壊行為を行なったとの理由で、JR東労組役員から集団で脅迫、暴行を受けて精神的病理に陥ったとして告訴した事件)、最近では、「長岡事件」(平成十七年四月二十四日深夜に発生したJR東日本新潟支社の運転士四人が勤務中の高崎支社の車掌三人に暴行し、肋骨を折るなどの被害を与え、八月に長岡警察署が傷害容疑で書類送検した事件)が発生している。いずれの事件も鉄道の安全安定輸送に直接係わり、乗客の命を預かる運転士や車掌に対して集団での執拗な嫌がらせ、運転妨害、脅迫、暴行という一般社会においてもあるまじき行為がJR東日本という限られた会社組織の中で繰り返し発生した。これらの運転士や車掌への嫌がらせ、運転妨害、脅迫、暴行などの行為は往来危険罪に該当する危険行為であり、JR東日本経営者は、JR東日本の社員である被害を受けた当該運転士や車掌を安全に仕事ができるよう保護することなく、労働契約に付随する安全配慮義務違反の責任を免れないと認識する。そのうえで、警察庁は、これらの四つの事件を刑事事件としてどのように把握しているか。とりわけ、平成十八年十月二十五日の衆議院国土交通委員会で、米村敏朗警察庁警備局長が答弁したJR総連及びJR東労組へ相当浸透しているとされる革マル派と事件との係わりについてどのように把握、認識しているのか。また、国土交通省は、これらの四つの事件を、鉄道の安全安定輸送に悪影響を及ぼしている事件としてどのように把握、認識しているのか。さらに、監督官庁である国土交通省は、JR東日本に対して今後同様の事件が発生しないように、どのように指導、助言してきたか、具体的に明らかにされたい。
六 過去、国土交通省は、JR東日本経営者に対して、山下八洲夫議員の質問主意書の答弁(内閣参質一六四第五三号平成十八年五月十二日)で政府も認めている革マル派の浸透問題について指導、助言したことはあるのか。あるとすれば具体的に明らかにされたい。ないとすれば鉄道の安全安定輸送に係わる重大な問題であるにもかかわらず、なぜ指導、助言しないのか、明らかにされたい。
七 冬柴鐵三国土交通大臣は、平成十八年十月二十五日の衆議院国土交通委員会で、労使関係やJR東労組等への革マル派の浸透の問題と、監督官庁としての鉄道事業者への指導等との関係について、「国土交通省としては、仮に鉄道輸送の安全に係わるような問題が生じてくるようなことがあれば、そのときには適切に対処していかなければならない」と答弁したが、未だ鉄道輸送の安全に係わるような問題が生じていないとする理由、そのように判断している根拠は何か、明らかにされたい。JR東日本における三鷹事件、浦和事件、佐久事件、長岡事件はいずれも安全に深く係わる問題であることは明らかであるから、「運輸安全マネジメント評価」における「経営トップ・現場双方向のコミュニケーションの確保」に関連して、国土交通省は、監督官庁としてJR東日本経営者に対し厳しく指導する必要があると考えるが見解はどうか。具体的な指導、助言の時期、方法を明らかにされたい。また、どのようになったら鉄道輸送の安全に係わるような問題とするのか、その判断基準及び判断基準とする具体的な事象を明らかにされたい。
八 国土交通省は、平成十八年十一月二十七日に実施したJR東日本に対する運輸安全マネジメント評価において、JR東日本会社における安全安定輸送に係わる最大の問題である革マル派浸透問題について指導、助言した形跡が見られないがその理由を明らかにされたい。
九 国土交通省は、山下八洲夫議員の質問主意書の答弁(内閣参質一六四第五三号平成十八年五月十二日)で、政府も認めているJR東日本内の革マル派の存在、浸透について同様の認識であるかどうか明らかにされたい。認識が違うとすれば閣内不一致と断言せざるを得ないがどうか。
十 山下八洲夫議員の質問主意書の答弁(内閣参質一六四第五三号平成十八年五月十二日)並びに平成十八年十月二十五日衆議院国土交通委員会における米村敏朗警察庁警備局長答弁でも明らかなように、JR東日本において浸透している革マル派に対して、JR東日本経営者は積極的にその問題解決に向けて尽力していると国土交通省は評価しているか、否か。評価しているとすればその理由、評価していないならばその理由を明らかにされたい。
十一 JR東日本において浸透している革マル派問題の解決にはJR東日本、国土交通省、警察庁の三者がそれぞれ持ち得る情報を交換し、一体となってその問題解決にあたるべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
十二 政府は、JR東日本において浸透している革マル派問題について、政府の持ち得る全ての力を結集し、鉄道の安全安定輸送問題、並びに国家の治安問題と位置づけ解決すべきと考えるが、政府の見解はどうか、明らかにされたい。

 右質問する。



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