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令和六年四月五日提出
質問第七七号

諫早湾干拓開門問題の解決及び有明海の再生に向けた国の取組姿勢に関する質問主意書

提出者  大串博志




諫早湾干拓開門問題の解決及び有明海の再生に向けた国の取組姿勢に関する質問主意書


一 国は、平成二十九年四月二十五日の農林水産大臣談話の中で「有明海の再生を速やかに進めるため、改めて(諫早湾潮受け堤防の)開門によらない基金による和解を目指す」方針を示した。令和五年三月二日の農林水産大臣談話(以下「令和五年の大臣談話」という。)の中でも「平成二十九年の農林水産大臣談話の趣旨を踏まえ」るとしており、今日までその方針を堅持している。令和六年二月十四日には佐賀、福岡、熊本の三県の漁業者団体代表者が坂本農林水産大臣と面談し、過去の開門訴訟の中で国が示していた総額百億円の基金の創設を前提に、令和五年の大臣談話への賛同の文書を手渡したとされる。しかし、中長期開門調査を行わずに有明海再生は本当に達成できるのか。できるとすればなぜそう言えるのか。自然は自然の法則にしか従わないことに鑑み、純粋な科学の視点から政府の見解を明らかにされたい。
二 報道によれば、佐賀県有明海漁協幹部が令和五年の大臣談話に係る国の提案に同意する決定をした理由として、佐賀県有明海漁協の西久保組合長は「司法判断が非開門で統一されてしまった以上、仕方ない。」という趣旨の説明をしている。しかし、司法判断が非開門で統一されたわけではなく、引き続き国に開門義務があることは令和五年十一月八日の衆議院農林水産委員会でも確認されている。漁業者団体の受止めは間違った認識を基に導かれたものである。同年三月一日の最高裁判所の上告棄却決定、上告不受理決定によって確定した令和四年三月の福岡高等裁判所の請求異議訴訟差戻控訴審判決の付言では「双方当事者や関係者の前記諸問題の全体的・統一的解決のための尽力が強く期待される」と述べている。さらに言えば、令和三年四月二十八日に福岡高等裁判所が示した「和解協議に関する考え方」においては、「とりわけ、本件確定判決等の敗訴当事者という側面からではなく、国民の利害調整を総合的・発展的観点から行う広い権能と職責を有する控訴人の、これまで以上の尽力が不可欠であり、まさにその過程自体が今後の施策の効果的な実現に寄与する」と指摘し、非開門が話し合いの前提として和解協議を拒否する国の姿勢を強く叱責している。
 漁業者団体が求める基金による有明海再生において非開門を前提とする合理的理由は無く、開門の是非にかかわらず基金による再生策を行うべきではないか。否というのであれば、非開門前提を良とする合理的理由を明らかにされたい。
三 国は、令和五年十一月二十七日に原告漁民側に示した文書の中で、令和五年の大臣談話への賛同が話し合いの前提との立場を示し、「開門によらない有明海再生の取組を前提とするという趣旨」と述べて、非開門に同意することが話し合いの前提という立場を示している。しかし、令和五年の大臣談話や十一月二十七日付けの文書は国の考えを述べたものであり、それが前提という姿勢は話し合いの名に値しない一方的な押しつけである。確定した開門請求権を持つ原告漁民が非開門に同意しない場合、国が方針を変えない限り「話し合いの場」は実現しないが、国はどのような方策で諍いの解決を図るのか。国には諍いを解決する責務があり、福岡高等裁判所の「和解協議に関する考え方」に照らした真摯な姿勢が求められることを踏まえた回答を求める。
 
 右質問する。

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