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令和六年四月十六日受領
答弁第七七号

  内閣衆質二一三第七七号
  令和六年四月十六日
内閣総理大臣 岸田文雄

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員大串博志君提出諫早湾干拓開門問題の解決及び有明海の再生に向けた国の取組姿勢に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員大串博志君提出諫早湾干拓開門問題の解決及び有明海の再生に向けた国の取組姿勢に関する質問に対する答弁書


一について
  
 お尋ねの「中長期開門調査を行わずに有明海再生は本当に達成できるのか」については、有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律(平成十四年法律第百二十号)第二十四条に基づき設置され、同法第二十六条に基づき環境の保全及び改善又は水産資源の回復等に関し十分な知識と経験を有する者で構成される有明海・八代海等総合調査評価委員会の令和四年三月の中間取りまとめに示されているとおり、「平成二十八年度委員会報告以降、・・・気候変動に伴う気温や水温の上昇、豪雨やそれに伴う大規模出水等による影響も顕在化している状況」であることから、現時点において具体的な見通しをお示しすることは困難である。
 一方で、同委員会の平成二十九年三月の報告においては、「再生に向けた方策(再生方策)等の考え方」として、「必要な調査・研究・評価(モニタリング等)を適切に行い、得られた情報や科学的知見を再生目標の達成状況等の確認及び対策の検討のためにフィードバックを行う。すなわち、予想外の事態が起こり得ることを予め環境施策のシステムに組み込み、常にモニタリングを行いながら、その結果に基づいて対応を変化させる「順応的な方法」により、多くの関係者と協働し、総合的に諸施策を進めていく必要がある」こととされ、また、「有用二枚貝に係る方策」として、「二枚貝について、海域毎の主な減少の原因・要因及び海域間の相互関係(浮遊幼生の輸送等のネットワーク)を把握したうえで、海域毎の状況に応じ、一)浮遊幼生の量を増やす、二)着底稚貝の量を増やす、三)着底後の生残率を高める、の各ステージについて適切な対策を講ずる」こととされており、政府としては、これらを踏まえ、有明海沿岸各県と協力し、例えば、アサリについては母貝の保護等の取組を行っているところ、農林水産省が有明海沿岸各県に委託して実施した調査の結果によれば、令和五年度秋季の浮遊幼生は約七万二千個体となり、秋季の浮遊幼生の調査を開始した平成二十七年度から令和四年度までの平均より多く出現したと承知しているところである。

二及び三について
  
 農林水産省からよみがえれ!有明訴訟弁護団に宛てた令和五年十一月二十七日付けの書簡で述べているとおり、同省は「「開門によらない有明海再生の取組を進める」とした平成二十九年農林水産大臣談話の趣旨を踏まえつつ、話し合いにより、関係者が合意し、協働して実施する取組を後押しする必要な支援を講ずるべく」、令和五年三月二日の農林水産大臣談話「への賛同の働きかけを行っているところ」であり、御指摘の「確定した開門請求権を持つ原告漁民が非開門に同意しない場合」との仮定を前提としたお尋ねにお答えすることは差し控えたい。その上で、同談話で述べているとおり、平成二十二年十二月六日の福岡高等裁判所の判決「が確定した後、国は開門義務の履行に向けて、最大限の努力を重ね」たが、「結果としてその履行をなし得」なかったこと、令和五年三月一日の最高裁判所の決定により、同判決「に基づく強制執行は、これを許さない」とした令和四年三月二十五日の福岡高等裁判所の判決が確定したことを踏まえ、諫早湾周辺の農業者、地域住民等が抱える将来の農業経営や日常生活の安全・安心に対する不安を払拭するとともに、漁業者を始めとする有明海沿岸の関係者に共通する思いである有明海の再生を速やかに進めるため、開門によらない有明海再生を目指すことが最良の方策との考えの下、御指摘の「基金による」ものか否かにかかわらず、「国民的資産である有明海を豊かな海として再生させる」ための取組を進めてまいりたい。

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