平成25年4月4日(木)(第4回)

◎会議に付した案件

日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(日本国憲法の各条章のうち、第五章の論点)

衆議院法制局当局から説明を聴取した後、自由討議を行った。

◎自由討議

●各会派の代表者からの意見表明の概要

岸 信夫君(自民)

  • 首相公選制は、我が国の国柄を考えるとなじみにくい。行政権が内閣に属するという現行憲法の根幹は維持しながら、総理の専権事項を拡大するという方向で対応すべきと考える。また、国民代表機関たる国会が総理を選ぶという議院内閣制は、民意の国政への反映という観点と、国会と政府のねじれを防ぐという観点とのバランスが図られた制度であると考える。
  • 総理がリーダーシップをより発揮できるよう、我が党の憲法改正草案では、総理が閣議に諮らずに自分一人で決定できる専権事項を 3つ設けた。それは、「行政各部の指揮監督・総合調整権」「衆議院解散の決定権」「国防軍の最高指揮権」である。
  • 国務大臣の任命については、現行の制度を特に改める必要はない。
  • 衆議院解散の決定権は、現在は憲法 7条の中に読み込んで解釈されているが、総理の権限として明文化すべきである。
  • 総理に不測の事態が生じた場合については、危機管理上の観点から、あらかじめ指定した国務大臣が臨時に総理の職務を行うとの規定を憲法に置くべきである。
  • 国会の行政監視機能の強化については、そのための機関を新設するよりは、法律の制定改廃や、国会審議の充実を含めた運用改善を通じて果たされるべきである。

古川 元久君(民主)

  • 我が党は、統治機構の在り方については、「国民主権の徹底」と「権力分立の明確化」を基本に議論すべきと考える。
  • 総理主導の政府運営の確立のため、 5章の主体を総理とし、65条の「行政権」を「執政権」に切り替え、総理の首長としての地位と行政の指揮監督の権限を明確化することや、内閣法等を見直し、総理による政治任用を柔軟化してその行政組織権を明確化するべきである。この点は、立法や運用によって相当改善できると考えられ、民主党政権下での国家戦略室の設置はこの目的に資するものであったと思う。
  • 国会の行政監視機能の拡充強化のため、国会を単なる法案審査の場とせず、複雑な行財政システムや対外関係を律することが可能な専門的情報管理とチェック機能を果たす仕組みとすべきである。具体的には、行政活動に関する評価機能をも持った「行政監視院」を設置すること、国政調査権を少数でも行使可能とすること等である。なお、総選挙前に決算行政監視委員会で国会版事業仕分けが行われたが、これを恒常化することは、国会の行政監視機能の強化に資するものであると思う。
  • 非常事態下においても国民主権や基本的人権の尊重などが侵されることなく、憲法秩序が確保されるよう、国家緊急権を憲法に明記することが必要である。その際には、非常事態下における総理の解散権の制約が含まれるべきである。

坂本 祐之輔君(維新)

  • 首相のリーダーシップの強化に関しては、行政権の主体を首相にすべき。道州制導入後の州知事と対応するためにも、強力な権限を持つ首相を誕生させることが重要である。
  • 行政各部の指揮監督・総合調整権については、首相が広範な人事権を有する方向で検討している。自衛隊の指揮権についても、首相の専権事項として憲法に明記する方向で調整している。
  • 首相公選制については、全面的に賛成である。同時に、立憲君主国であることを憲法に明記する。イスラエルの失敗例を基に、首相と議会の多数派のねじれを懸念する声もあるが、イスラエルと日本では国情や選挙制度が異なる。こうしたねじれの懸念が出ないようにするため、国会議員の選挙制度等も含めて検討すべき。
  • 国務大臣の任命については、民間登用の道を残すべきであり、国会議員に限定することは反対である。
  • 衆議院解散の決定権については、首相にあることを憲法に明記すべき。臨時代理の規定についても、憲法に整備すべき。
  • 国会の行政監視機能の強化については、国会の附属機関として行政監視院、会計監査院を設置することに基本的に賛成し、具体策を検討する。行政監視の前提として、政策決定過程の見える化が実現する制度が重要である。
  • 国政調査権を議員の権能とすることについては、慎重に検討していきたい。
  • 内閣の指揮監督から外れている人事院や会計検査院については、責任と権限の連動の観点から検討する。

大口 善徳君(公明)

  • 内閣法 6条にある「閣議にかけて決定した方針に基づく」という要件は、総理独断の権限行使に対する最低限の歯止めとも考えられるため、総理の権限強化という趣旨からこの要件を削ることについては、慎重であるべき。
  • 与党各党の代表たる閣僚全員の一致により政策決定を行うという形の方が、連立政権が続く我が国の実態になじむ。
  • 首相公選制については、首相と国会との間の新たなねじれの懸念もある。イスラエルでは失敗に終わっている。議院内閣制を実効的に機能させることが重要だ。
  • 参議院議員からの国務大臣の選任の在り方については、議院内閣制の趣旨、衆参の役割分担についての考え方を踏まえた検討が必要だ。
  • 解散の決定権の所在、総理が欠けたときの臨時代理については、あえて憲法改正は必要ない。
  • 国会の行政監視機能については、少数会派による調査の機会をいかに確保するかが重要だ。衆議院では 40人以上の議員の要請に基づく予備的調査制度がある。ただ、40人という基準については検討が必要だ。
  • オンブズマン制度については、議会のチェック機能を強化することが本筋で、新しい組織を作ることの優先度は高くない。

小池 政就君(みんな)

  • 首相、内閣の権限の拡大が必要である。予算編成の権限を財務省から切り離し、政治主導による予算編成を行うことや、内閣が幹部官僚の人事権を掌握することにより、真の政治主導を目指す。さらに、道州制導入との関係で、中央官庁の役割の縮小再編成を行う。このように、首相、内閣の権限を拡大する一方、国民による行政監視の観点から、行政情報の記録徹底や会計制度改革等を行う。これらは、現行憲法の下でも実行可能であると考える。
  • 現在の首相の選出方法は、必ずしも民意が反映されているとは言えない。政権与党内の派閥の論理によって、国民の意識とは違う首相が選ばれており、政治への信頼が失われ、改革の推進力が乏しいものとなっている。国民が直接首相を選ぶ制度に変えていくべきである。
  • 我が党は、憲法改正の必要がない日本型首相公選制の導入を目指しているが、これは、国会議員が、国民投票により示された世論を尊重して、首相を選出するものである。将来的には憲法改正により首相公選制を導入すべきと考えており、天皇との関係では、天皇は元首としての地位があることを明確にすることとする。解散権、不信任をどうするかは検討中である。国民から直接選ばれた首相が直接国民に責任を負うことにより、国民の意識を変革できると考える。

笠井 亮君(共産)

  • 憲法は、国民主権の下で議院内閣制を採用しており、内閣が、民意を反映した職務執行を行うことを要請している。しかし、歴代内閣においては、日米安保条約を巡る諸対応、経済成長の停滞に伴う労働条件の悪化、福島原発事故への対応等に鑑みても、民意を忠実に反映する職務執行を行っているとは言い難い。
  • 90年代以降、内閣や首相の権限強化を目指す政治改革が行われてきたが、その一環として導入された小選挙区制については、死に票が過半数に及ぶなど、民意を大きく歪めるという根本的欠陥が浮き彫りとなった。また、首相のリーダーシップ強化による盤石な政権運営は実現せずに、短命・脆弱な政権運営が繰り返されている。それでもなお民意に背く政治を繰り返そうとしていることを国民は望んでおらず、現実の徹底検証こそ必要である。
  • 安倍総理は、まず 96条改正に取り組む旨を明言している。しかし、憲法の本質的役割は、国民の側に立って国家権力を縛ることであり、 96条は、時の政治権力が都合よく憲法を改正できないように定められているものである。それを改めて国会の発議要件を過半数に引き下げようとすること、しかも時の内閣がその先頭に立つことは危険な動きであり、憲法の本質に関わる重大問題である。

鈴木 克昌君(生活)

  • 現在の議院内閣制の根本や、「行政権は内閣に属する」という規定は維持すべきだが、行政各部の指揮監督・総合調整を総理単独の権限とし、総理のリーダーシップを強化するべきである。
  • 首相公選制については、過去に成功した事例がなく、制度上難しい問題があることなどから、採用するべきではない。
  • 衆議院の解散については、内閣の解散決定権を明文で位置づけるべきである。解散できる場合に関し制限を加えるべきか等については、検討を進めたい。
  • 総理が欠けたときの臨時代理について、憲法に明示するべきである。さらに、総理以下すべての国務大臣が欠けた場合などについても、規定を整備する必要がある。
  • 行政監視機能の強化のため、国会に行政監視のための附属機関を設置すべきであり、加えて、少数者調査権についても規定すべきである。

●委員からの発言の概要

高木 宏壽君(自民)

  • アルジェリアでのテロ事件や国内の各種大災害等に鑑みると、内閣の危機管理機能の強化は喫緊の課題である。元来、我が国の法体系は危機を想定したものとはなっておらず、これが危機管理の障害となっているため、憲法を含めた法体系を見直すべきである。緊急事態に備えるのも法の役割であるから、総理大臣が危機に際して適切にリーダーシップを発揮できるようにするため、指揮監督・総合調整の権限を内閣総理大臣の単独の権限として明記すべきである。

高鳥 修一君(自民)

  • 憲法上、自衛隊の最高指揮官が防衛大臣でも統合幕僚長でもなく、内閣総理大臣であることを、その職務の中に明記すべきである。

船田 元君(自民)

  • 行政権については、合議体として内閣が機能する点を尊重すべきだが、危機管理の観点や、首相のリーダーシップをさらに発揮する必要がある国内外の情勢に鑑み、首相の専権事項を憲法に限定的に規定すべきである。具体的には、衆議院解散の決定権、自衛隊の最高指揮権、行政各部の指揮監督・総合調整権を首相の専権事項とすべきである。
  • 首相公選制については、慎重に議論すべき。首相のリーダーシップを発揮するための権限が十分保障されれば、首相公選制は当面必要ない。議論は続けるべきだが、議会の多数派とのねじれが発生した場合の対応策、天皇制との関係、ポピュリズムを助長するなどの懸念を解決する必要がある。

武正 公一君(民主)

  • 首相の地位に関して、小選挙区制の導入以来、衆議院議員総選挙については首相を選択する選挙が標榜されている。
  • 我が党も、首相のリーダーシップを発揮すべきという立場である。民主党政権下においては、事務次官会議を廃止したり、政務三役会議を開催したりした。首相公選制を採用しなくても、首相のリーダーシップを高める方法はある。
  • 内閣法 3条にある国務大臣の主任大臣としての分担管理規定は、縦割り行政の弊害となっているのではないか。縦割り行政に横串を通す必要がある。

笠井 亮君(共産)

  • 首相公選制については、衆議院憲法調査会でも議論されたが、導入に否定的な意見が多数を占めた。
  • 日本共産党は、 2001年に、政府の独走を野放しにする首相公選制に反対し、議会制民主主義を守り抜くという立場を明らかにした。国民が首相を選ぶから民主主義にふさわしいと言えるのか。また、同制度導入は、首相と政府を憲法が「国権の最高機関」と定めた国会から事実上独立させるもので、首相と政府が国会のチェックから制度の上でも切り離されることにより、執行権力の独走体制を許すこととなる。
  • 衆議院憲法調査会の海外派遣によるイスラエルの調査でも、首相公選制の導入は失敗だったという共通認識だった。憲法が定めた国民主権に基づく統治の諸原則を徹底することが大事である。

高鳥 修一君(自民)

  • 日本維新の会とみんなの党から首相公選制が提案されているが、具体的にどのような制度設計を考えているか。
  • 日本維新の会の考え方では、閣僚は国会議員中心で構成されるのか。首相の候補者は国会議員であることが必要か。首相と議会のねじれが起こりうるのは事実と思うが、「首相公選制とバランスがとれた議会制度」とはどのようなものか。
  • みんなの党が憲法改正せずに導入するという日本型首相公選制とは「すべての国会議員の中から国民がふさわしいと思う人」に投票するという理解でよいか。国民投票の世論を尊重して選ぶとのことだが、これは国会議員の投票行動を縛ることにならないか。憲法改正して導入する首相公選制とはどう異なるか。
  • 内閣不信任が可決された場合、首相を選んだ民意との関係について、どのように考えるか。
  • 私は首相公選制に反対というわけではないが、総理と内閣、総理と議会の関係や制度設計についてお聞きしたいという趣旨で質問させていただいた。

馬場 伸幸君(維新)

  • 首相公選制について、我が党では、詳細な制度設計の議論は道半ばであり、今後も議論を深めていきたい。

小池 政就君(みんな)

  • 首相公選制について我が党も議論中である。我が党は国会議員が世論を尊重して首相を選ぶとしているが、これは、国会議員の考えが必ずしも世論と一致しないこともあり得るからである。議会からの不信任の在り方については、冒頭の発言で示したところでもあるが、現在党内で議論中である。

山下 貴司君(自民)

  • 首相の指揮監督権に関しては、閣議決定された方針が存在しない場合でも、内閣の明示の意思に反しない限り、一定の方向で処理するよう行政各部に指示を与える権限を有するとの最高裁判決がある。この「指示」に関し、内閣の一部局に過ぎない内閣法制局が、「任意の実施を求めるという概念」であると解釈していることは、問題ではないか。また、そのように解釈した場合、首相の指示に反したときには罷免事由となるのか。
  • 内閣法制局が国会で憲法解釈を答弁する根拠規定は何か。

武正 公一君(民主)

  • 内閣不信任案に関し、ドイツでは、審議されることが明確でない場合は提出できない制度とされ、事前に後任首相も決めている。このような、いたずらに政局に利用されない制度は、一つの参考となるのではないか。
  • イギリスのように、政権交代前に野党に対して行政情報を提供するなど、政権交代がスムーズにできるよう、行政から立法へのサポート体制が必要である。

船田 元君(自民)

  • 国務大臣の職責の重さを考えると、民間人出身の大臣への登用は、国民に対する責任の所在があいまいであり、疑問がある。また、政権が機能するには内閣に属している人が与党に属していることが必要と考える。こうした点から、国務大臣は全て国会議員であることが望ましいのではないか。

西川 京子君(自民)

  • 国務大臣は国会議員の中から選ぶべきである。民間人が持つ専門的な知識・見解は、諮問機関等から得ることができる。
  • 衆議院の解散については、同意しない大臣を罷免する手間を省く観点からも、首相の専権事項とし、憲法に明文化すべきである。

武正 公一君(民主)

  • 行政府の情報公開・透明性確保について、民主党政権下では行政刷新会議や事業仕分けが役割を果たしたほか、各省庁による行政事業レビューが政務三役のリーダーシップの下で実施された。また、昨年、決算行政監視委員会が国会版事業仕分けを行ったことを評価する。
  • 憲法 72条2号・3号により外交関係の処理、条約締結権が内閣の専権事項とされていることが、外交・安全保障について国会への説明責任が十分に果たされないことにつながっている。現憲法下においても、秘密会の開催や一部議員に限った情報共有などにより、行政からの説明・情報共有が図られるべきである。

船田 元君(自民)

  • 国会が国政調査権を行使する手段・方法が、十分に機能していないと考える。現状では決算行政監視委員会があるものの、常任委員会の一つであってその権限は十分に強いものではなく、やはり、国会に行政監視院といった第三者機関を設ける必要がある。その場合、衆院は予算を、参院は決算を中心に審査するという両院の機能分化の観点からは、この機関は参院に設けることもあり得る。
  • オンブズマン制度は、北欧では効率的・効果的にその機能が発揮されているものの、我が国の場合には第三者的・中立的な組織・人物による北欧型オンブズマンは難しいのではないか。検討は続けるべきだが、我が国での導入は時期尚早である。

大塚 拓君(自民)

  • 国会の行政監視機能を論じる際は、政党や個別の議員の機能強化について論じることも重要だと思う。昨今、身を切る改革の風潮が強く、財政が厳しい状況の中でこれらについて機能強化をすることには批判も出てくるが、行政を監視し、又は独自の立法を行うためにも、政党や個別の議員の機能強化やそのための予算措置は必要である。

笠井 亮君(共産)

  • 憲法では、予算の議決や大臣の出席要求など国会による行政監督権が広く認められている。オンブズマン制度については、憲法調査会で、法改正で対応可能という参考人の陳述がある。我が国においても国会の行政監督権の強化が議論されており、日本共産党も、国会の行政監視機能と国民の救済機能を併せ持つ行政監視院(オンブズマン)法案の大綱を発表した。憲法の立場に立って行政監視を進めていくことが大事である。
  • 憲法審査会の運営に関しては、憲法の検証、憲法上の論点の意見交換ということで行ってきた。各党の改憲案について質問しあうのは改憲案の議論と変わらない。現在何をやっているのかについて、幹事会で整理していただきたい。

斉藤 鉄夫君(公明)

  • 我が党の議論では、今の国会は国民が期待している行政監視機能を果たしていないという認識である。同機能を強化するには、一つには国政調査権を議員の権能とし、そのサポート機能を強化することが、基本的な方向としては必要である。
  • 民主党政権時代に事業仕分けが行われたが、結果として文化・科学分野が削られ、本質的な部分に切り込めず中途半端に終わったのは残念だ。公開の場で、専門家と国会議員が事業の必要性について議論することは非常に大切である。本来、決算行政監視委員会でやらなくてはならないが、これをもう少し明確化していくべきである。

衛藤 征士郎君(自民)

  • 憲法改正原案は、国会に一度も提出されていない現状だ。昨年 4月27日に、私どもは超党派で、国会法の規定以上の賛成者を得て憲法改正原案を提出したが、機関承認がないため議長のもとで預かられたままになってしまった。このような現状の国会のルールは、速やかに改正されなければならない。

笠井 亮君(共産)

  • 機関承認なしでは提出できないというのは、手続的な問題ではない。国民との関係で、憲法改正が望まれていないと各党が判断したものであり、国民が憲法改正を望んでいないということの反映である。

大塚 拓君(自民)

  • 国会法の規定以上の賛成者を得たということは、それらの議員を選んだ国民の意思でもあり、少なくとも国会で審議をすべきである。議論すらされないのは、国会の不作為、職務放棄とも言える。国会で議論をして記録を残し、国民の知るところとするのが国会の責務である。

鳩山 邦夫君(自民)

  • 国会法の規定以上の賛成者を得た憲法改正原案が、議長預かりのままとなったことは残念である。再びこのような事態が起こらないようにすべきである。

笠井 亮君(共産)

  • 先ほど国会の「不作為」との発言があったが、国民の側から国会に対してそのような声は上がっていない。

大塚 拓君(自民)

  • 実際に多くの国民から一院制の実現を望む声がある。国会において議論し、その結果、そのような声が多数でなかったならば、国会はその案を否決すればよい。国会で議論するというのが本来あるべき姿だ。

笠井 亮君(共産)

  • 政党の機関承認については、歴史的経緯もあり、司法における判決でも立法府の裁量の範囲内とされている。機関承認は政党内の問題として、政党内で議論するべきである。

西野 弘一君(維新)

  • 議論することは必要だが、それだけでなく、結論を出していくことが我々の使命である。機関承認の慣例についても変えていくことが必要である。
  • 憲法改正国民投票法における 3つの宿題についても、早く結論を出すべきである。

畠中 光成君(みんな)

  • 憲法の内閣制度と公務員制度改革は密接に関係している。我々は改憲勢力だが、憲法改正の前に、公務員制度を改革すべきである。

篠原 孝君(民主)

  • 公務員制度改革と言えば、縦割りの弊害をなくすために国家公務員を一括採用すべきとの議論になるが、これでは専門分野を持たない役人を作ることになり、問題だ。その道のプロを育てるべきであって、農政も外交も財政もやれるような万能な者はいない。縦割り行政の問題点は、首相や大臣など政治家がしっかりすればよいだけの話である。

畠中 光成君(みんな)

  • 現在の官僚主導の縦割り行政の問題点については、長い間言われている。オールジャパンの認識を持った官僚が頑張っていけるような霞が関改革を進めることが重要である。

土屋 正忠君(自民)

  • 現行憲法は、内閣制を採用して主任の大臣に関する規定も置いており、内閣法や国家行政組織法で行政権を分任して、内閣を構成する仕組みとなっている。みんなの党の公務員制度改革は、大臣の任免権も含めて提言していると解しているが、憲法上の内閣制度そのものにも問題があると考えているのか。

畠中 光成君(みんな)

  • 我が党の公務員制度改革は、憲法改正せずとも、現行憲法の範囲内で可能である。

土屋 正忠君(自民)

  • 国の行政権は非常に幅広く、各省の役割は質的に異なるため、公務員の専門性が非常に重要である。その意味で、分任制度は非常に良い制度である。
  • 国家公務員の一括採用によって大臣から人事権を奪うというのは、現行の内閣制度に馴染むのか疑問である。省庁の縦割りを排するためには、閣議などで対応すればよい。

畠中 光成君(みんな)

  • 国家公務員は国民に奉仕するための存在だ。幹部官僚が省益を優先するような姿は、是正することが必要と考えている。国民のために働く官僚組織に変えるためには、幹部人事の掌握が極めて重要だ。幹部官僚については、必ずしも専門性を有する必要はなく、専門性は他の方法で補完できる。

土屋 正忠君(自民)

  • 官僚が省益・省の設置目的を追求するのは、各省設置法等が予定したものであり、当然である。官僚が必要以上に他省のことに口を出せば、それはむしろ権限の踰越だ。省庁間に横串を入れたければ、それは政務三役である政治家がやるべきことであって、官僚がすべきことではない。官僚の人事権が発動できないのは、大臣の資質の問題である。

山下 貴司君(自民)

  • 衆議院憲法調査会報告書の中にも、憲法解釈が政府の一部門である内閣法制局に事実上委ねられていることは不当であるという意見がある。内閣法制局は、内閣の法律顧問の立場に過ぎず、その解釈が次の政権を縛るものではない。憲法解釈は内閣であれば閣議決定によって決められるべきである。

斉藤 鉄夫君(公明)

  • 憲法解釈はその時々の解釈を積み重ねてきた歴史や議論の上に成り立っているもので、政権が変わったら簡単に変えるというのは良くない。内閣法制局もこの憲法解釈の歴史や内閣の意見を踏まえて解釈しており、この歴史の積み重ねは大事である。

西川 京子君(自民)

  • 内閣法制局の解釈が良い形で積み重なればよいが、そうではない。例えば「集団的自衛権は、保有しているが使えない」という解釈は、その時々の政治状況の中で政治的な判断による解釈が積み重なってきたものであり、絶対的な解釈というものではない。憲法解釈は、その時々の政治家が決めていくべきである。

武正 公一君(民主)

  • 民主党政権下では、国会審議で内閣法制局長官を政府特別補佐人としていない時期もあったが、通告なしで内閣としての法令解釈を求められたときに答弁が難しかったこともあり、内閣としての考え方を主体的に述べていこうという判断から、政府特別補佐人として出席を認めることとなった。
  • 閣議決定の内容が政権交代の後も継承されるのかどうかは議論があるところだが、行政の継続性や立法府による行政府のチェックの観点からは、継承されてしかるべきと考える。
  • 内閣法 3条の分担管理の原則に関して、各省庁の横串を通すべきとの発言を行ったが、これは、過去に各省庁がそれぞれの分担を越えないこととする覚書が交わされたことを立法府としてチェック出来なかったという反省にも立つものである。
  • 会派制が現在の国会のルールとしてある以上、法案提出においては会派の承認が必要とされるものと考える。

小池 政就君(みんな)

  • 首相公選制に失敗したというイスラエルの例は、民族性や文化も異なるので我が国には当てはまらないとの指摘もあった。また、仮にねじれが生じたとしても、議論の調整・集約を行い、国民に提示することが国会の本来の役割であることに鑑みれば、それは良いねじれなのではないかと考える。
  • ポピュリズムの問題に関しては、立候補の条件の明示、選挙を通じた候補者の能力・意見の確認等の制度設計により、改善できるのではないか。
  • 国民投票の結果を、国会議員が「尊重」して総理を選ぶとしている点に関しては、国民の意思を総理の指名に反映させることを大きな意義としていることに鑑みれば、国会議員も、国民の投票結果にある程度縛られる形での選択になるのではないかと考える。