平成29年4月20日(木)(第4回)

◎会議に付した案件

日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(国と地方の在り方(地方自治等))

参考人大津浩君、小林武君、齋藤誠君及び佐々木信夫君から意見を聴取した後、質疑を行った。

(参考人)

明治大学法学部教授      大津 浩君

沖縄大学客員教授         小林 武君

東京大学大学院法学政治学研究科教授   齋藤 誠君

中央大学教授        佐々木 信夫君

(参考人に対する質疑者)

中谷 元君(自民)

古本 伸一郎君(民進)

北側 一雄君(公明)

赤嶺 政賢君(共産)

小沢 鋭仁君(維新)

照屋 寛徳君(社民)

◎大津浩参考人の意見陳述の概要

1.対話型立法権分有とは

  • 「立法権分有」という言葉は、@連邦国家のような「立法権分割」だけでなく、A国と自治体の同一事項への重複的な関与及び何らかの形での両者の対等性・競合性が憲法で保障される「立法権重複」をも含む概念である。  
  • 多様な利害の調整と実現のためには、国家意思決定権力の一元的な集中を避ける試みである対話型・相互交流型の多元的民主主義が不可欠である。国と地方の関係も同様であり、私はこれを「対話型立法権分有」と呼ぶ。  
  • 神奈川県臨時特例企業税条例事件では、訴訟の帰趨とは別に、紛争を通じて地方税法改正が実現し、川崎市の指紋押捺拒否事例でも、その後法改正が行われ、自治体の抵抗が国の立法権に事実上の影響を与え、その改善を促す結果を生み出している。地域側にその必要性と合理性とが相当程度ある抵抗の結果としての国の立法の修正は、「対話型立法権分有」の重要な一要素である。

2.日本国憲法における立法権分有制採用の可能性

  • 対話型立法権分有論に対しては、単一国家であることを理由に否定する見解も強く、最高裁も否定的であり、条例の本質を法律ではなく政省令レベルに近い法規範と考えられている。しかし、例えばイタリアは、単一国家でありながら立法権を分割する地域国家であり、先ほどの議論は現代の世界の趨勢に合わない。
  • 地域生活と全国生活の両面を持つ国民が国と地域の多元的代表機関を通じて重層的・重複的に主権を行使することこそ、現代の国民主権の意味である。  
  • 対話型立法権分有が「地方自治の本旨」の第一の要素となる。  
  • 92条と94条をあわせて解釈すれば、条例制定権の範囲を限定する法律は、地方自治の本旨に反しないものでなければならないはずである。
  • 国・地方関係では、41条は国の法律優位を原則として認めつつ、地域的な必要性と合理性が相当程度認められる場合には例外的に条例が優位することが認められなければならない、ということが「地方自治の本旨」によって要求されている。

3.立法権分有制に向けた憲法改正は必要か

  • 「地方自治の本旨」に立法権分有は含まれており、憲法改正は不要である。しかし、官僚法学や判例の変更が期待できないのであれば、やむを得ず行う憲法改正私案として、以下のようなものが考えられる。
    @92条の改正:「地方公共団体〔地方自治体〕の組織及び運営に関する事項は、国民主権の地域的行使の場としての地方自治の本旨に基づいて、法律及び自治体憲章でこれを定める。」
    A94条の改正:「地方公共団体は、……地域における立法の機能を有し、地方自治の本旨に適合する法律の範囲内でこれを行使する。地方公共団体の立法は自治体憲章又は条例の名称を持ち、自治体憲章は地方公共団体の組織と運営に関する基本事項を定め、条例はこの憲章の範囲内で制定される。」
    B95条に第2項を追加:「自治体憲章の制定改廃は、地方議会の議決の後、その住民の投票において過半数の同意を得なければならない。」  
  • 2012年自民党憲法改正草案のように、「地方自治の本旨」を住民に身近な自主行政に限定する憲法改正は、日本の分権改革を進める点にも、世界の地方自治原理の発展に日本が先進的な寄与をする点にも真っ向から反するので、反対である。

◎小林武参考人の意見陳述の概要

1.はじめに

  • 国と地方の在るべき関係について、特に沖縄を視野に入れて意見を述べる。  
  • 現在、第8章を改正する事情は存在せず、また、それを要求する世論は多数ではない。むしろ、これを実現するための方策を講じることが求められている。  
  • 憲法改正には限界があると解するのが、憲法学界の通説であり、人権宣言の基本原則や国民主権、国際平和の原理、憲法改正の国民投票制などの改正は許されない。これに照らすと、2012年自民党憲法改正草案は、改正限界に抵触している疑念がある。

2.第8章の意義

  • 明治憲法下では、地方団体は実質上中央政府の下請機関であり、また、住民の手による本来の自治は実現されることもなかった。それに対して、日本国憲法が地方自治に憲法的保障を与えたことは、憲法原理上の根本的な変革であり、画期的な意義を有する。  
  • 第8章(地方自治)は第2章(戦争放棄)とともに、明治憲法下の官治主義と軍国主義を排除するものとして不可分一体の双子の形で誕生した。第8章は、平和国家の建設にとって不可欠の章である。

3.国と地方の関係の在るべき姿

  • 地方自治は、民主主義の価値において国の政治と対等の位置にあるが、実際には政府は地方自治を軽視し、国と地方は上下主従の関係にあるかのようにみなされていた。この点、1999年の地方自治法改正は、国と地方の対等関係を相当前進させた。  
  • 我が国の国と地方の関係を極めて不正常なものにしている要因として、日米安保条約の問題がある。米軍への基地提供の法的仕組みの大本には安保条約があるが、住民と自治体の権利・権限を制限し、義務を課す直接の根拠となるのは条約ではなく法律であることを国は自覚すべき。  
  • 地方自治体は、国に代わって米軍・米軍人の違法行為を規制し、住民を保護する住民保護条例を制定すべきである。

4.沖縄に対する国の姿勢の問題性

  • 沖縄では国と地方の関係の在り方が極端に歪められている。  
  • 名護市辺野古における米軍新基地の建設に沖縄県民は一貫して反対している。地方自治の原則に照らすなら、沖縄の民意を尊重して基地建設を断念することが、憲法の下にある政府がなすべき選択であるにもかかわらず、こうした民意を政府が一顧だにしようとしないことは、地方自治を蔑ろにするもので、民主主義の死滅をもたらす。  
  • 国が行政不服審査法の審査請求をしたり、知事個人への損害賠償請求を表明したりするなどの沖縄県に対する国の姿勢は、国と地方の対等関係を真っ当に理解したものとは言えない。  
  • 沖縄を政治的・軍事的「辺境」とみなす政府の姿勢は、原発事故で甚大な被害を被った福島に対する姿勢にも通底する。

5.第8章の改定ではなくその充実こそ今日の課題

  • 第8章の改定ではなく、「地方自治」の保障の原点に立ち返って、これを充実させるべきである。その内容は、@地域社会にとって根幹的な行政の自治体への総合的な移譲、A財政権限の移譲による自治体財源の確保、B現行の二層制を維持し、将来、狭域行政の制度づくりに進むこと、C自治体が自らの行財政を立案・実行する公共経営能力を持つこと、D自治体の政策を作る過程への住民の参加と意見表明の保障などである。

◎齋藤誠参考人の意見陳述の概要

1.地方自治の基本理念につき振り返る

  • 帝国憲法改正案の審議において、金森大臣は、第8章について「民主主義原理が根本にあり、国民の自由、公共団体の自由を保障するものであって、自治の本旨の理念からすると、人間の個性の尊重に眼目がある」とする。また、後に、個人の尊重を地方自治の基礎に据えることで、自治体には「基本的自治体権」があるとする。  
  • 特別区長公選制廃止に係る昭和38年最高裁大法廷判決は、第8章の保障の所以について「新憲法の基調とする政治民主化の一環であり、住民の手で住民の団体が主体となって地方の公共的事務を処理する政治形態の保障である」旨を述べる。  
  • 個人の尊重、自由、民主主義を基調に地方自治保障を構築する視点は、今後とも重要である。しかし、個人の尊重、自由の確保のための分権、権力分立という観点も併せて指摘すべき。  
  • 明治憲法には「地方自治」に関する規定はなかったが、10条(官制大権)の例外として「法律事項」とされていた。しかし、「国家統治のための地方自治」という色彩が濃く、日本国憲法下での地方自治とは大きく異なる。

2.地方自治保障の充実(1)〜国の立法権に対して〜

  • 国の立法権による過度の介入を防ぐため、実体的な規定を詳細化する観点がある。  
  • 第一次分権改革で導入された地方自治法2条11項(自治体に関する法令の立法原則)は、過度の立法介入の抑制や司法審査の基準としては機能しなかった。  
  • そこで、第二次分権改革でより具体的なメルクマールを設定し、法令による義務付けを見直す作業が行われたが、この介入抑制手法は閣法において機能するが、省令や告示、議員立法で行われる義務付けを有効にチェックできない。よって、地方自治法2条11項の内容を憲法レベルで規定することは、より体系的・包括的に立法権による過度の介入を防ぐ意義がある

3.地方自治保障の充実(2)〜地方自治権の司法的救済〜

  • 地方自治保障の実体的な内容を憲法レベルで全て書き切ることはできない。そこで、訴訟を通じて地方自治保障の内容を明確化し、実現するプロセスも重要となる。  
  • 自治体が国に対して出訴するルートは極めて限られているため、自治体の司法的救済に訴える権利を定めるヨーロッパ自治憲章11条のような規定を憲法レベルで設け、地方自治の広い意味での手続的保障を検討することは、価値がある。

4.地方自治保障の充実(3)〜地方自治権の事前手続による保護〜

  • 国の立法等に関して地方の意見を反映させる事前手続は、95条を除けば法律レベルで手当てされているにとどまる。事前手続は、国と地方の協議の場に関する法律等により充実してきており、立法や運用で実を上げることは可能だが、国側の当事者は内閣・各大臣であり、国の立法者は直接には登場しない。  
  • よって、立法府の手続を規律するためには、徳島県の地方自治に関する憲法課題研究会案97条2項のように憲法レベルで規定することが考えられる。  
  • また、法律のみならず条約についても、自治体に多大な影響を及ぼすのであるから、その検討過程への自治体の参加手続も論点になる。  
  • 実体的規定の詳細化は限界があるので、憲法レベルでの地方自治保障の充実については、事前手続と司法的救済を併せて検討する必要がある。

5.二元代表制と首長公選制の伝統と憲法

  • 地域における様々な課題に対応するため、多様な自治体の在り方が重要であるにもかかわらず、議員と長の直接公選という一律の組織体制の存続が93条により要請されている。  
  • 集権的な道州制には反対である。  
  • 集権的ではない道州制を検討する場合にも、道州が憲法上の地方公共団体として位置付けられると、議員と長の直接公選は維持される。広域団体として、多様な民意の反映と集約という視点から、首長を議会が選出する可能性も模索すべき。

6.結びに代えて

  • 今後、憲法改正論議を深めるに当たっては、地方自治及び分権の保障の充実という観点からも、平和の維持と構築に配慮してほしい。

◎佐々木信夫参考人の意見陳述の概要

1.はじめに

  • 憲法制定から70年、日本社会は大きく変化すると同時に人口減少時代を迎えており、憲法改正について様々な側面から吟味する必要がある。  
  • 戦後日本は中央集権体制で国全体の底上げ戦略に成功してきた。2000年からの地方分権改革は、どのような中央・地方関係を目指すのか、国家像が不明なまま停止しており、国が政策決定し、国・地方が一体となってサービスを提供する「集権・融合型」を変えるには至っていない。

2.国と地方のあり方について

  • 分権改革を進める場合、英米系国家の「分権・分離型」か、北欧系国家の「分権・融合型」のどちらを目指すか決める必要がある。地域間格差の大きい日本では、地方が主体的に政策形成から結果責任まで負う体制をとり、国は財政調整と政策のガイドラインを示す役割に限定する「分権・融合型」が望ましい。  
  • これまで国は、地方自治体間の均衡を重視してきたが、今後は、「自治の原則」を重視し、「均衡の原則」は補完的なものにする必要がある。

3.地方自治制度について

  • 地方自治制度については、第一に、規律密度の高い地方自治法を廃止し、自治基本法に変えるべき。第二に、全国一律に二元代表制とするのではなく、多様な自治制度を用意し、地域が選択できるようにすべき。第三に、議会は専門職と一般職に分けて選挙するなど多様性を持たせるべき。第四に、より選択的な大都市特例制度とすべき。第五に、都道府県制度を改革し、国家の統治機構全体を見直す意味で「道州制」を検討すべき。

4.憲法改正を要する諸論点

  • 憲法の条項は、国の統治機構と地方の統治機構を大分類して規定すべき。  
  • 地方自治の性格付けについて、憲法に地方自治権、間接民主主義、直接民主主義、住民監視権などを明示してはどうか。また、課税権、財政権の明示とともに、財政規律を維持できるような適正化義務も入れてはどうか。  
  • 「近接性の原則」を規定して市町村を基礎自治体と明示し、揺りかごから墓場までの行政は基本的に基礎自治体の役割とする。また、「補完性の原則」に沿い、広域政策を広域自治体の役割とし、国は、内政に関しては補完性の原則及び国家的に統一して行うべき事項に限定し、主力は外交等の対外政策にあることを明示してはどうか。  
  • 地方政府のあり方を選択制とする。議会の設置及び首長の公選制は明記し、道州議会議員は一定割合を市町村長等の兼務とし、簡素で地域の意思を反映できる州議会の構成とすべき。  
  • 条例制定権について、自治体の立法権強化の視点から見直すべき。法律に対する上乗せ、はみ出し、横出しの裁量権を認め、道州には法律に優位する条例も認めてはどうか。  
  • 都道府県制度を抜本的に見直し、道州制移行を本格的に検討すべき。広域自治体としての道州を内政の広域拠点と位置づけ、制度化すべき。  
  • 道州制について、大都市や基礎自治体を基礎に置く新たな州の創造というイメージを作っていく必要がある。「州制度移行国民会議」を設置し、広域の地域をどう変えていくか議論を始めてはどうか。  
  • 首都、副首都を憲法上、明記してはどうか。そこで採用する自治制度は「都市州」とし、10州2都市州という国家像が考えられるのではないか。

◎参考人に対する質疑者及び主な質疑事項等

中谷 元君(自民)

<大津参考人に対して>

  • 「地域主権」という表現はおかしいと思うが、どのように考えるか。

<小林参考人に対して>

  • 沖縄の米軍基地移設に、県民は「一貫して反対」との陳述があったが、実際は県側も受け入れてきたのではないか。また、県内の市長選で自民党が勝利した要因を「辺野古基地移設を訴えなかったから」と説明するのは誤りではないか。  
  • 公有水面埋立てに関し、沖縄防衛局が行政不服審査法を悪用したとの指摘があったが、正当な手続に則っており、指摘は当たらないのではないか。また、翁長知事に対する損害賠償請求も適正なもので、地方自治体に圧力をかけるものではないと考えるが、いかがか。  
  • 岩礁破砕は漁業権が消滅しており知事の免許は不要ではないか。  
  • 国の安全保障の措置と国民の生命・暮らしを守る権限を憲法に規定しておく必要があると考えるが、いかがか。

<齋藤参考人に対して>

  • 徳島県の地方自治に関する憲法課題研究会案は、地方団体との協議を経なければ立法できないとしているが、これは、地方団体が国の立法に拒否権を持つことになるのか。そうだとすれば、41条の重大な例外となってしまう。また、95条の地方自治特別法で住民投票が必要とされることとの関係は、どのように整理されるか。

古本 伸一郎君(民進)

<小林参考人に対して>

  • 自主立法権・自主財政権は、84条の租税法定主義と94条の地方公共団体の権能のバランスの問題だと思う。地方自治体に自主立法権はあると考えるか。

<大津参考人に対して>

  • 地方税は、法定のものと任意のものがある。例えば賛否の分かれるゴルフ場利用税について国が廃止を決めた場合、市町村が反対の意見書を提出しても、採択するかは国が決めるのであり、地方の限界だと思う。今の例で地方は何ができて、何ができないのか。現行憲法での問題点があれば指摘してほしい。

<齋藤参考人に対して>

  • 地方消費税率は法定税率なので、地方で勝手に変更できない。超少子高齢化が進み、人口の都市集中・地方の過疎が進む中で、一律での課税を続けていて、自治体経営ができるのか。自主課税権に限界があるのであれば、憲法改正をしてでも自治体が自主性を発揮できるようにすべきか。

<佐々木参考人に対して>

  • 地方の意見を立法プロセスへ反映させるため、地方自治体の経営者が参議院に議席を持てばよいという考えもあり、一つの選択肢だと思う。これを実現するためには憲法改正が必要となるか

<大津参考人に対して>

  • 地方の意見に配慮した、国会を縛る上位概念を憲法の中に作らなければ、地方議会でいくら意見書を採択しても、国会で反映されないことになると思う。その点について、憲法改正の要否をどう考えるか。
  • 参議院について地方代表のニュアンスをより強めることはできないか。各県1人は果たして無理なのか。地方の意見を直接国に反映するために、例えば中核市の市長や市議会議長が、参議院又は衆議院の比例枠に議席を持ってもよいと思う。これを実現するには憲法改正は必要となるか。

北側 一雄君(公明)

<大津参考人及び齋藤参考人に対して>

  • 「地方自治の本旨」及び国の役割、地方の役割とは何であるか。

<齋藤参考人に対して>

  • 議員立法を制定する上で、地方自治の観点から注意すべきこと、念頭に置くべきことはあるか。

<佐々木参考人及び齋藤参考人に対して>

  • 地方で最も深刻な問題は過疎化である。地方が政策を実施するためには財政上の担保が必要であり、過疎化が進む現状では、国が財政調整機能を担うしかないと考えるが、意見を伺いたい。

<齋藤参考人及び佐々木参考人に対して>

  • 佐々木参考人が提案した「多様性」を重視した「選択的」な地方制度を踏まえ、現状の画一的な二元代表制を続けることがよいのか意見を伺いたい。

赤嶺 政賢君(共産)

<全参考人に対して>

  • 沖縄における最大の問題は、沖縄の民意が首長選挙や国政選挙で明確に示されているにも関わらず、一顧だにされないことに尽きる。そこで、沖縄の民意と政府の政策の対立状況について、憲法や地方自治の角度からどのように考えるか。

<発言>

  • 齋藤参考人の指摘するとおり、国と地方の関係を整理するに当たっては、国地方係争処理委員会が昨年示した国と沖縄県の協議を呼びかける意見は、とても大事な考え方である。

<大津参考人に対して>

  • 大津参考人の論文において、国と地方自治体の対話を認め、両者の競合性を保障するのが92条の地方自治の本旨であると指摘しているが、憲法が地方自治の本旨を保障しているにも関わらず、地方自治がその理念どおりに実現できていないことに対する考えを伺いたい。

小沢 鋭仁君(維新)

<佐々木参考人に対して>

  • 「地方自治の本旨」という言葉は、国と地方の関係を考える上で重要である。日本維新の会は、「住民自治」と「団体自治」に加え、「補完性の原理」に基づく国と地方の役割分担という三つの原理原則で国と地方の関係を考えていくべきだと主張しているが、補完性の原理について、見解を伺いたい。

<齋藤参考人に対して>

  • 先ほど齋藤参考人は、国と地方の関係について「補完性の原理まで行くと問題がある」と指摘したが、その理由について詳しく伺いたい。

<小林参考人及び大津参考人に対して>

  • 日本維新の会は、設立時から一貫して、イデオロギー対立ではない憲法改正、時代の変化に合わせた社会システムの構築を目指すという考えにより、「道州制」を訴えてきた。このような我々の考え方について、意見を伺いたい。

<佐々木参考人に対して>

  • 時代の変化に合わせ、それぞれの地方の特徴をもっと出せるような仕組みを作っていった方がよいと思うが、見解を伺いたい。

照屋 寛徳君(社民)

<小林参考人に対して>

  • 米軍による騒音防止協定違反、米軍人軍属の犯罪、オスプレイの配備に係る日米合意違反に対する住民の抗議が無視されている現状について、92条の地方自治の本旨及び98条の憲法の最高法規性と条約遵守の問題に照らし、どのように考えるか。  
  • 辺野古新基地建設をめぐる国と沖縄県の一連の裁判、そして、翁長知事が前知事の埋立承認の撤回を表明した際に、菅官房長官が翁長知事個人への損害賠償請求を求める可能性を示唆したことについて、憲法と地方自治の本旨に照らし、どのように考えるか。

<大津参考人に対して>

  • 自民党憲法改正草案92条1項では、地方自治は身近な行政に限定されているが、これは地方の意見表明を封じ、大津参考人の主張する「対話型立法権分有」に反するのではないか。また、同草案は、地方自治の本旨との関連で、どういう問題があるか。