平成18年11月2日(木) (第4回)

◎会議に付した案件

日本国憲法の改正手続に関する法律案(保岡興治君外5名提出、第164回国会衆法第30号)
日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案(枝野幸男君外3名提出、第164回国会衆法第31号)

上記両案について、日本国憲法の改正手続に関する法律案等審査小委員長近藤基彦君(自民)から、小委員会の経過及びその概要について報告を聴取し、小委員である委員から補足的発言があった。その後、提出者保岡興治君(自民)、園田康博君(民主)、船田元君(自民)、小川淳也君(民主)、葉梨康弘君(自民)、赤松正雄君(公明)、鈴木克昌君(民主)、枝野幸男君(民主)及び加藤勝信君(自民)に質疑を行った。

(補足的発言を行った小委員である委員)

 船田 元君(自民)

 枝野 幸男君(民主)

 赤松 正雄君(公明)

 糸川 正晃君(国民)

 笠井 亮君(共産)

 阿部 知子君(社民)

(提出者に対する質疑者)

 柴山 昌彦君(自民)

 筒井 信隆君(民主)

 大口 善徳君(公明)

 笠井 亮君(共産)

 阿部 知子君(社民)

 糸川 正晃君(国民)


◎小委員長報告

近藤 基彦小委員長(自民)

日本国憲法の改正手続に関する法律案等審査小委員会における審査の経過及びその概要について、ご報告申し上げます。

本小委員会は、本日、会議を開き、参考人として、ジャーナリスト、真っ当な国民投票のルールを作る会事務局長今井一君、日本弁護士連合会副会長吉岡桂輔君、成蹊大学法学部講師福井康佐君及び日本自治体労働組合総連合副中央執行委員長田中章史君をお呼びし、「日本国憲法の改正手続に関する法律案」及び「日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案」、特に国民投票運動規制・罰則についてご意見を聴取した後、これらの参考人に加えて、日本弁護士連合会副会長松本光寿君及び日本弁護士連合会憲法委員会事務局長菅沼一王君にもご参加いただき、懇談を行いました。

会議における参考人の意見陳述の内容を本委員会全体で共有するために、その概要を簡潔に申し上げますと、

今井参考人からは、公務員等・教育者の地位利用による国民投票運動を容認してはならないが、その禁止規定を憲法改正手続法に盛り込むことには反対であり、これらの行為に対しては、日本国民の良識の力、日本社会の民主主義力をもって対処するのが基本であるとの意見が述べられました。その根拠として、本年の海外調査における意見交換においても見られるように、諸外国においては、公務員等の国民投票運動について常識的判断に委ねられ、行き過ぎは国民的批判により抑制されることが基本的姿勢とされていること、我が国の住民投票においても買収等に対する罰則規定がないが大きな混乱は見られなかったことが挙げられました。

吉岡参考人からは、憲法改正国民投票は、憲法改正についての国民の意思決定を仰ぐものであり、特定の候補者を当選させるために行う選挙とは性質が大きく異なるため、公職選挙法の規制をそのまま用いるべきではないとの見解が述べられました。その上で、(1)国民投票運動が規制される特定公務員に裁判官、検察官、警察官などを含めること、(2)公務員・教育者の国民投票運動を「地位利用」という不明確な概念で規制すること、(3)組織的多数人買収・利害誘導罪を設けることについて、それぞれ反対であるとの意見が述べられました。

福井参考人からは、一般に、投票者は国民投票・住民投票において、情報不足のときには、反対票、すなわち現状維持の方向に投票すると言われており、投票案件に不安を感じると反対票を投じる傾向があり、反対キャンペーンが非常に有効であるとの説明がなされました。このような傾向に対しては、度を超えた反対運動を容認すると必要な改革ができなくなるとの否定的評価ができる一方、国民の判断の一つであり、国民が自ら「最後の砦」になっているという肯定的評価もできるとされました。また、(1)政党間・政治的エリートの合意が成立しても、一般国民の意識との間に差があることが多い、(2)投票案件が確定してから時間が経つと反対票が増える、(3)政権に対する批判・政権の人気が影響しやすいとの説明がなされ、国民投票法制の整備に当たっては、情報の流通と議論の拡散を保障する方向での国民投票運動のあり方が望ましいとの意見が述べられました。

田中参考人からは、憲法改正という国政上の重大問題に国民が主権者としてこの国の統治過程に参加するためには、憲法改正に関わる情報の自由な交換、賛否の意見の自由な発表及び知らせるための表現の自由が最大限に尊重されなければならないのであり、国民投票運動は自由を基本として原則として規制はすべきではないとの見解が述べられました。その上で、(1)特定公務員の国民投票運動の「一律禁止」を削除すべきである、(2)「公務員等の地位利用」も削除すべきである、(3)少なくとも国民投票運動については、国家公務員法の政治活動の規定の適用除外を明記すべきであるとの意見が述べられました。

このような参考人のご意見を踏まえて、小委員及び参考人の懇談が行われ、小委員及び参考人の間で、活発な意見の交換が行われました。その概要を簡潔に申し上げますと、

小委員及び参考人からは、不適切な国民投票運動に対する対処のあり方すなわち罰則を設けることの是非、「地位利用」概念の不明確さ等に起因する国民投票運動規制の濫用のおそれやその萎縮的効果のほかに、憲法改正手続法を制定する時期、国民主権行使のための国民投票法制の制定の必要性、広報協議会における広報のあり方、想定される一般的国民投票のイメージ等について、さまざまな角度から問題提起を行う発言がありました。

特に今回のテーマである国民投票運動規制・罰則について申し上げますと、

国民投票運動に対する基本的な考え方としては、人を選ぶ選挙と国のあり方を決定する憲法改正国民投票とは、その性質が異なり、公職選挙法上の運動規制をそのまま国民投票運動にも規定することはできないこと、主権者国民が憲法改正についての賛否を判断するためには、自由闊達な意見交換が不可欠であることから、規制は必要最小限とし、できる限り自由にすべきであることに異論はありませんでした。

その上で、各論としてはまず、国民投票運動が規制される特定公務員の範囲については、与党案では、選管関係者等のみならず裁判官、検察官、警察官等も含めるべきであるとされている一方、民主党案では、選管関係者等に限定すべきであるとされておりますが、与党案提出者から、海外調査の内容を踏まえ、この点は今後、検討の対象とすべきであるとの意見も述べられたところであります。

次に、公務員等・教育者の地位利用による国民投票運動規制については、与党案では、これを規制すべきであるとされている一方、民主党案では規制すべきではないとされておりますが、民主党案提出者から、主権行使の重要場面である国民投票運動の重要性にかんがみ、民主党案についても国家公務員法等の政治的行為の制限規定の適用除外を明記するような修正案を考えているとの意見、与党案提出者からもそのような修正は検討に値するとの意見も述べられました。

国民投票運動に係る買収・利害誘導行為については、与党案では、組織的多数人買収・利害誘導行為を規制すべきであるとされている一方、民主党案では、そのような限定は困難であり、規制すべきでないとされておりますが、与党案提出者からも、規制されるべき買収・利害誘導行為の範囲をさらに限定することを工夫したいとの意見も述べられました。

会議を通じての、小委員長としての感想を申し上げれば、憲法改正国民投票が国民の主権の行使の一場面であることから、主権者国民の意思が国民投票の結果に公正に反映されなければならないという要請がある一方、国民投票は国民の自由闊達な意見交換を踏まえた上でなされなければならないという要請があり、双方の要請のバランスが重要であるところであります。この点、必要最小限の規制を置きつつ、国民投票運動の自由を最大限保障する必要があることについて、各小委員に共通の認識が形成されてきており、各小委員の間の見解の相違が縮まってきつつあることを改めて認識いたしました。

今回のテーマである国民投票運動・罰則の問題は、まさに憲法改正国民投票のあり方そのものに直接関わる問題であると考えております。本委員会におかれましては、小委員会における議論を踏まえて、さまざまな角度から、国民投票運動・罰則に関する議論をさらに深めていただければと思っております。

以上、御報告申し上げます。


◎補足的発言を行った小委員である委員及び主な発言事項

船田 元君(自民)

  • 公務員等の国民投票運動については、可能な限り規制せず、国民の常識・良識で対応すべきであるとの認識が今井参考人から示されたが、この点に関し、与党案提出者として柔軟に対応する必要を感じたので、議論を尽くしてまいりたい。
  • 吉岡参考人から、憲法改正手続法制の議論を憲法改正問題が具体化する前に行うことに難色を示す意見の紹介があったが、その考え方には与しない。
  • 憲法改正手続法制は、憲法改正の是非を国民に問うためのものであり、改正のためのものではないことを強調しておきたい。
  • 情報の獲得が不十分である者には反対票を投じる傾向があり、また、投票に付された案件に不安を抱く者には現状維持的な投票傾向があるとの福井参考人の指摘は、広報協議会における徹底した広報の必要性を強く認識させた。
  • 憲法改正案について国民の議論を盛り上げるのではなく、盛り上がっている議論をもとに憲法改正案を作成するのが筋であるとの福井参考人の意見は、本末転倒ではないだろうか。
  • 立憲主義を覆す改憲案が提示されており、そのような状況で国民投票法制を整備することはそのような改憲を推し進めることにつながるため、法案には反対の立場ではあるものの、提案された制度をより良いものにするため大いに議論はするとの田中参考人の前向きな発言は、議論することの重要性を再認識させるものである。

枝野 幸男君(民主)

  • 公務員の国民投票運動は、原則として、規制しないこととしたい。したがって、国家公務員法等において規制されることのないように、関係法令の整理をしたい。
  • 裁判官・検察官の国民投票運動規制は常識で判断すべきであり、意見表明の範囲であると考えれば、規制は不要である。
  • 買収罪における対価関係の成否はあいまいにならざるを得ない。そうであるならば、規制するのではなく常識に判断を委ね、買収行為があれば世論やメディアによる批判に委ねるべきである。常識に委ねることは決して理想論ではない。
  • 地位利用行為についても、与党案では構成要件があいまいであり、たとえ最高裁で無罪と判断されても、いったん逮捕・起訴された者は、大きなダメージを受ける。最高裁の判例をもってしてもその範囲が明確とならず、文理上、拡大解釈の余地があるのであれば、規制ではなく常識に委ねるべきではないか。

赤松 正雄君(公明)

  • 一部の参考人からは、憲法改正手続法制について議論することが憲法改正を促進することに結び付いてしまう懸念も述べられた。その懸念は理解するところではあるが、両者は明確に分離されるべきであるから、勇気をもって両者を分離し、手続法制の議論に積極的に参加して欲しい。
  • 国民投票によって9条問題に決着を付けるべきであるとの今井参考人の意見、国民投票によって9条改正案が否決された場合の政治的影響(否決は、現状維持を意味するのか、改正案と逆の方向への議論を意味するのか等)について検討しておく必要があるとの福井参考人の指摘は、強く印象に残った。
  • 福井参考人からは、国民投票に当たっては、情報の流通と議論の広がりを保障する方向での制度構築が望ましいとの認識が示されたが、賛否両論が自由闊達に戦わされる状況を作ることの重要性を改めて痛感した。
  • 特定公務員の運動規制については、公職選挙法における運動規制との性質の違いを考慮すると、与党案の規制範囲は広すぎるのではないかと感じた。この点については再考の余地が十分にあるのではないだろうか。

糸川 正晃君(国民)

  • 憲法に国民の声を反映させるためには、国民一人一人が自由に国民投票運動を行い、自由闊達に意見を戦わせることが必要であり、そのためには、国民投票運動は原則自由とし、規制はあくまでも必要最小限度のものとしなければならない。
  • 「国民投票運動は原則自由・規制はあくまでも必要最小限」の原則からすると、(1)国民投票運動が禁止される「特定公務員」の範囲、(2)地位利用による国民投票運動の禁止、(3)罰則(特に買収罪の是非)、のそれぞれについて、放置することのできない行為等がある一方、過度の規制をかけてしまう危惧を覚え、どのようにしてこの思いを解決するか悩ましい。
  • 国民投票運動におけるインターネットの位置付けは、真剣に議論しておかなければならない論点である。
  • 以上の諸点については、海外調査によって得られた知見を最大限に活用することによって、問題の解決を見出すべきである。

笠井 亮君(共産)

  • 特に、吉岡参考人及び田中参考人から、立憲主義や恒久平和主義を覆そうとする国民投票法制定の動機に対して、強い危惧が表明されたことが印象的であった。
  • 憲法制定権を持つのは国民であり、国民の意思が最大限に反映されなければならない。したがって、国民投票運動は自由でなければならず、また、罰則も設けてはならないはずである。それぞれの参考人からも、同様の意見が述べられた。
  • 国民投票運動に最大限の自由が確保されなければならないにもかかわらず、法案における「国民投票運動」の定義そのものが運動規制の規定を置くことを前提としており、そのような立法思想自体が問題である。
  • 公務員や教育者の自由な活動を不当に規制し、萎縮させる現実的な危険性として、日弁連や自治労連の参考人より、学校教育の現場における萎縮効果、地位利用とは関係ない時間外の行為に対する警察権力の不当な介入等が挙げられた。
  • 投票率を上げるためには活発な国民投票運動が重要と言いつつ、国民投票運動を広汎に規制するこの法案に対し、大変な危惧を覚えた。

阿部 知子君(社民)

  • 諸調査によると、66%の国民が憲法改正に国民投票が必要であることを認識していない状況において、国会と国民の意識のずれが大きいまま、この法案の成立を図ることには断固反対する。
  • 与党案においては、条文の3分の1を国民投票運動に対する規制が占めており、このような制度の下では、改憲に反対するほとんどの意見に対して規制が加えられる結果になりかねない。
  • 「国民投票運動」の定義自体が不明確であり、いかようにも拡大解釈されることになりかねない。
  • 国民投票運動を禁止される「特定公務員」の範囲、公務員等の地位利用による国民投票運動の禁止についても、さらに絞り込み、厳密に議論しなければならない。そもそも、現行法上、公務員の政治活動が禁止されていること自体、国際条約等に違反するものであり、その解決こそ先決問題である。
  • 組織的多数人買収及び利害誘導罪は削除すべきである等、罰則の内容についても大いに問題がある。
  • 改憲ムードに乗った改憲のための国民投票制度であってはならず、国民の主権行使のための公正な国民投票制度を、時間をかけてじっくりと検討していくべきである。

◎提出者に対する質疑者及び主な質疑事項等

柴山 昌彦君(自民)

<与党案提出者・民主党案提出者に対して>

  • 両案は、特定公務員の国民投票運動禁止の範囲等について違いはあるものの、それぞれ国民投票運動規制が設けられているが、規制により守ろうとする保護法益は何か。
  • 公務員の職務の中立性に対する国民の信頼を確保するため、裁判官、検察官、公安委員会の委員、警察官については、一定の国民投票運動の制限が必要であると考えるが、いかがか。
  • 与党案では、教育上の地位を利用した国民投票運動は、それが国民投票の投票権を有しない児童に対するものであっても、禁止されているが、その趣旨は何か。

<与党案提出者に対して>

  • 与党案の組織的多数人買収及び利害誘導罪で規定されている「影響を与えるに足りる物品その他の財産上の利益」とはどのようなものか伺いたい。

<民主党案提出者に対して>

  • 民主党案では買収罪に関する規定はないが、買収が行われた場合に社会的ペナルティが科されるだけで足りるのか。

筒井 信隆君(民主)

<与党案提出者に対して>

  • 公務員等に対する国民投票運動規制と地位利用行為規制は、条文上漠然としており、罪刑法定主義に反する。前者については黙示的なものであっても規制対象となるのではないか。後者については意見表明も規制の対象となるのではないか。
  • 教育者が授業において意見を表明することが地位利用行為に当たらないとは、条文上読めないのではないか。
  • 立法者意思として、教育者が授業において意見を表明することは地位利用行為に当たらないのか。当たらないのが明確であれば、条文上も明確にすべきではないか。
  • 公職選挙法の判例を援用して条文案を作成したとしても、判例は変更の可能性があるから、条文上明確に規定すべきではないか。
  • 公務員等と教育者に限定して地位利用行為を規制した理由は何か。
  • 教育者は影響力が強いから規制対象としたというのであれば、他にも対象とすべき者がいるのではないか。また、私立学校の教員は民間人であるが、同じ民間であるならば大企業の方がより影響力が大きいと思うが、なぜ規制対象としないのか。

大口 善徳君(公明)

<与党案提出者に対して>

  • 選挙運動と国民投票運動は、どのように違うのか。国民投票運動の規制についての基本的な考え方は、どのようなものか。
  • 公職選挙法上の特定公務員の選挙運動の禁止と、国民投票法における特定公務員の国民投票運動については、規制の対象となっている主体に差があり、また、諸外国においては、公務員の国民投票運動に制限を課していない国が多数存在している。この法案における「特定公務員」の範囲に対する提出者の考えを伺いたい。
  • 公務員等・教育者の地位利用による国民投票運動の禁止については、どのような場合に投票の公正が侵害されるのか、との観点から、もう少し限定すべきと考えるが、いかがか。
  • 公務員等・教育者の地位利用についての公職選挙法の判例における解釈と国民投票法の解釈は、同じでよいのか。
  • 与党案において、組織的多数人買収及び利害誘導罪を設けた理由を伺いたい。

<民主党案提出者に対して>

  • 買収罪を設けなかった場合に生ずる弊害についてどのように考えるか。

笠井 亮君(共産)

<与党案提出者に対して>

  • 安倍総理が英米のメディアに対し具体的な改憲スケジュールについて述べるなど、もはや国民投票法制を静かに議論する段階にはないと考える。このような状況の中、提出された法律案は、具体的な改憲案を通すためのものとなっていると考えるが、いかがか。
  • 公務員等・教育者の地位利用による国民投票運動の禁止の規定が捜査当局により濫用されない保障がどこにあるのか。
  • 教育者が児童又は保護者から改憲に対する見解を問われ、自らの意見を表明した場合に、その受け止め方によっては地位利用による国民投票運動ととられる可能性があるなど、地位利用による国民投票運動の禁止の規定は、あいまいかつ抽象的な規定と考えるが、いかがか。
  • 教育者の地位利用による国民投票運動の禁止は、萎縮効果を生む規定と考えるが、いかがか。
  • 国民投票運動は原則自由としながら、組織的多数人買収及び利害誘導罪という罰則を科してまで運動を規制している。原則自由という考えとこのような罰則を設ける姿勢は両立するのか。

<民主党案提出者に対して>

  • 以前、枝野議員は、国民投票法制は、改憲案が具体化していない段階で、整備されなければならないと指摘していた。その時点においては、「今ならばぎりぎり間に合う、むしろ遅きに失した」と発言していたが、現時点の状況についての認識を伺いたい。
  • 思想信条に基づき、国家公務員が国民投票に関する記事が記載されている機関誌・ビラを配布する行為が規制されるのか、枝野議員の見解を伺いたい。

阿部 知子君(社民)

<与党案提出者に対して>

  • 海外調査において、教育者に対する国民投票運動の規制は存在したか。それを踏まえた上で、なぜ与党案では規制することとしたのか。
  • 教育者に対する罰則を特定公務員に比べ厳しくした理由は何か。教育現場に一層萎縮効果をもたらすおそれはないか。
  • 現在、憲法教育はどのように行われているのか。また、国民投票法の成立によって憲法教育が「地位利用による国民投票運動」と受け取られるおそれはないか。憲法について国民が十分な認識を持たないまま、国民投票法が論じられることは国民にとっても不幸であり、国民の憲法に対する認識を深めることが、国民主権を保障する96条の趣旨に沿うものと考えるが、いかがか。

<与党案・民主党案提出者に対して>

  • 憲法はいったん改正されれば、長きにわたり影響力を持つため、なるべく多くの世代の意見を反映することが必要と考えるが、与党案では年齢要件を20歳以上、民主党案では18歳以上、場合によっては16歳以上とすることも考慮するとしている。憲法に対する認識の形成という観点も踏まえ、どのように年齢要件を考えているのか。

糸川 正晃君(国民)

<与党案・民主党案提出者に対して>

  • 憲法に国民の声を反映させるためには、国民投票運動は原則自由とし、規制はあくまでも必要最小限のものとすべきである。国民投票運動の規制についての原則的な考え方を伺いたい。
  • 与党案と民主党案においては、いくつかの点で罰則の有無に相違があるが、その根本にある罰則についての基本的な考え方はどのようなものか。
  • 与党案では、裁判官等の特定の公務員の国民投票運動を禁止しているが、それはなぜか。一方、民主党案では、中央選挙管理会の委員等を除き国民投票運動を禁止しなかった理由は何か。
  • 与党案では公務員等・教育者の地位利用による国民投票運動を禁止したのはなぜか。民主党案では公務員等・教育者の地位利用による国民投票運動を禁止しなかったのはなぜか。
  • 前回の委員会では与党案提出者が投票年齢の引下げに若干の理解を示したが、投票年齢が引き下げられた場合、国民投票運動の仕組みについての教育が重要になると思うが、いかがか。
  • 公職選挙法とは異なり、インターネットを利用した投票運動は、両案においては何ら規制されていない。例えば、影響力の大きい個人がブログで虚偽の情報を発信した場合に、削除請求もできないのは不当である。他方、国外からの発信もあるなどネットの規制は実際には困難を伴う。そこで、インターネットの規制についてどのように考えるか。