平成18年11月9日(木) (第5回)

◎会議に付した案件

日本国憲法の改正手続に関する法律案(保岡興治君外5名提出、第164回国会衆法第30号)
日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案(枝野幸男君外3名提出、第164回国会衆法第31号)

上記両案について、日本国憲法の改正手続に関する法律案等審査小委員長近藤基彦君(自民)から、小委員会の経過及びその概要について報告を聴取し、小委員である委員から補足的発言があった。その後、提出者船田元君(自民)、葉梨康弘君(自民)、鈴木克昌君(民主)、小川淳也君(民主)、加藤勝信君(自民)、保岡興治君(自民)、赤松正雄君(公明)及び枝野幸男君(民主)に質疑を行った。

(補足的発言を行った小委員である委員)

 愛知 和男君(自民)

 園田 康博君(民主)

 赤松 正雄君(公明)

 笠井 亮君(共産)

 辻元 清美君(社民)

(提出者に対する質疑者)

 早川 忠孝君(自民)

 長妻 昭君(民主)

 石井 啓一君(公明)

 笠井 亮君(共産)

 辻元 清美君(社民)


◎小委員長報告

近藤 基彦小委員長(自民)

日本国憲法の改正手続に関する法律案等審査小委員会における審査の経過及びその概要について、ご報告申し上げます。

本小委員会は、去る7日、会議を開き、参考人として、社団法人日本民間放送連盟報道委員会委員・報道小委員長 渡辺興二郎君、社団法人日本民間放送連盟放送基準審議会委員・放送倫理小委員長 山田良明君、ジャーナリスト、真っ当な国民投票のルールを作る会事務局長 今井一君、日本弁護士連合会副会長 吉岡桂輔君及び専修大学文学部助教授 山田健太君をお呼びし、「日本国憲法の改正手続に関する法律案」及び「日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案」、特にメディア規制・国民に対する周知広報についてご意見を聴取した後、これらの参考人に加えて、日本弁護士連合会憲法委員会事務局長 菅沼一王君にもご参加いただき、懇談を行いました。

会議における参考人の意見陳述の内容を本委員会全体で共有するために、その概要を簡潔に申し上げますと、

渡辺参考人からは、まず、当初検討されていたメディア規制が基本的に盛り込まれなかったことは、率直に評価したいとの見解が述べられました。次に、国民投票における放送の使命は、正確な報道と議論を触発するための場を提供することであり、民放連では、政治的公平と多角的論点の提供という観点から、偏りのない放送を心がけているとの意見が述べられました。また、政党に認められる無料の意見放送については、国会の発議の時点で賛成が3分の2に達しているため、賛成意見が圧倒的に多くなることが予想され、バランスがとれないのではないかとの危惧が述べられました。また、憲法改正において、国会の役割は発議であり、その後は、国民の自主的判断と議論にまかせられており、政党にのみ特権を与えることには疑問があるとの意見が述べられました。

山田良明参考人からは、まず、投票日前7日間の国民投票運動のための広告放送の制限について、この時期においては国民の議論が最も活発になされるべきであり、放送の自主自律の観点から反対であるとの意見が述べられました。また、国民投票のCMについては、商業CMと異なる、これまでにないCMの形態であり、課題は少なくないが、自主的に解決していきたいとの意見が述べられました。

今井参考人からは、まず、テレビ・ラジオを通じた広告については、理性より感性に訴える力が強く、また、広告料金が高く、資金の多寡によって不平等を生むおそれがあるといった放送広告の特徴を踏まえ、事業者の常識と良識による自主的な制限が望ましいが、それがなされない場合には、規制もやむを得ない、しかし、期間については、期日前投票が開始されるまでしか認めるべきでないとの意見が述べられました。一方、新聞や雑誌等の活字媒体を通じた広告については、一切規制の必要はないとの意見が述べられました。また、テレビ・ラジオ番組のキャスターの発言について、意見表明は自由とすべきであるが、反対の意見への配慮も必要であり、これに係る規制については、良識に基づいた自主的な制限が望ましいとの考えが述べられました。

吉岡参考人からは、まず、当初検討されていたメディア規制が削除されたことは、率直に評価したいとの見解が述べられました。次に、憲法改正に関するメディアにおける意見広告、国民に対する周知広報については、あくまでも賛否平等でなければならないとの見解が述べられました。その上で、投票日7日前からの放送規制に反対であること、政党等以外の団体や市民にも無料広告を認めること、無料広告枠について、賛成・反対の意見を同等の割当てとすること、広報協議会の構成について、外部委員の選任の検討を含め、賛成・反対の意見が平等に反映されるように委員を選任すべきであること、国民投票公報は、国民の目線に立って正確かつ分かりやすく丁寧に、公正な立場から作成されるべきであること等の意見が述べられました。

山田健太参考人からは、まず、広告表現は商業活動であるとともに、憲法が保障する表現の自由の一形態であり、原則自由で必要最小限の合理的規制とすべきであるとの見解が述べられました。その上で、メディア規制について、投票日7日前の運動禁止の根拠等についての問題点が指摘され、さらに、無料広告枠の提供について、政党等にのみ認める根拠、広報広聴活動について政治的機関である国会に広報の内容を負わせることの危険性、議員数を配分の基準とすることの危険性等についての問題点が指摘されました。これらの問題点を踏まえ、より具体的な見直しの方向性として、広告を含むメディア規制は行わないこと、認定団体に対する広告助成等の意見が述べられました。

このような参考人のご意見を踏まえて、小委員及び参考人の懇談が行われ、小委員及び参考人の間で、活発な意見の交換が行われました。

特に今回のテーマであるメディア規制・国民に対する周知広報について申し上げますと、まず、総論的な事項として、当初検討されていたメディア規制が盛り込まれなかったことに対し、各参考人から高く評価する声が多く述べられました。

放送の中立性に関しては、放送法3条の2に定められており、放送局には、放送の公平が義務づけられていることから、国民投票に際してもバランスを欠いた放送を行うとは考えられず、個別の放送のあり方に関しても、基本的には各放送局の自律的判断に委ねられるべきであるとの意見が述べられました。

これに対しては、放送の中立を確保するためには、何らかの担保が必要なのではないかとの意見が述べられ、また、個別の放送のあり方に関しては、放送局が広告主の意向を無視し得ない現状にかんがみると、自主規制に任せてよいものかとの疑問が呈されました。

メディアにおける意見広告を無制限に認めることの是非については、資金力の多寡によって有利不利があるのは問題であり、放送料のミニマムプライスレートの適用、国民投票運動期間の延長等の方策を検討すべきであるとの意見が述べられました。

法案提出者からは、公平・公正の観点から規制をするとなれば、広告の内容にわたる規制は不可能であるから、法案においては、投票前7日間の広告放送の制限という形でしか行っていない、また、放送時間、放送料金などの広告条件の平等取扱いについては、きちんと対処する必要があると考えている旨の発言がありました。

投票日の7日前から広告放送を制限することの是非については、与党案・民主党案ともに、放送メディア特有の扇情的な影響力の大きさ、その扇情的な言論を「言論の自由市場」で淘汰する時間的余裕の確保の必要性にかんがみ、投票の7日前からは、政党等による無料広告放送を除いては、テレビ・ラジオを利用した広告放送を禁止することとしておりますが、政党が行う無料広告であっても、投票日前の一定期間は禁止すべきであり、その禁止期間は、期日前投票の開始日以降とすべきであるとの意見が述べられた一方、国民投票運動が一番盛り上がると想定される投票日直前の時期こそCM放送を行うべきであるとの意見、効果的な宣伝効果を出そうとする資金力のない勢力に不利となるおそれがあるとの意見が述べられました。

政党のみに無料広告を認めることの是非については、与党案・民主党案ともに、無料のテレビ・ラジオ放送及び新聞広告は、国会に議席を有する政党等に与えられるものとしておりますが、政党以外の団体の無料広告枠は認められておらず、公正中立な制度といえないとの意見が述べられた一方、憲法改正が発議された経緯やその議論の状況等につきこれを当事者として最もよく理解している政党等によって活発に国民投票運動がなされる必要があり、だからこそ、政党等に無料広告枠を認める必要があるとの発言がありました。

無料広告枠の割当基準については、与党案・民主党案ともに、無料広告の放送時間や放送回数は、政党等に所属する国会議員数を踏まえて、広報協議会が定めることとしておりますが、無料広告の配分について、賛否の多寡は、国会が発議する局面で問題となる要素であり、発議後は、国民に対し賛否両論を十分に説明することが重要なのであるから、賛否平等とするべきであるとの意見が述べられました。

なお、この点に関し、民主党案提出者から、賛否平等に取り扱う制度への修正を考えているとの発言があり、それを受けて、与党案提出者からも、より賛否平等に近づける方向で議論しなければならないと考えている旨の発言がありました。

広報協議会の構成については、与党案・民主党案ともに、各会派の所属国会議員数を踏まえて各会派に割り振ることとなっておりますが、少数派に対する配慮規定が設けられており、両法案の考え方で問題ないとの意見が述べられた一方、広報協議会の役割が、広報の実施内容について協議するという性格のものであれば、その構成は賛成派・反対派同数とすべきではないかとの意見が述べられました。

国民投票公報の内容の一つとして挙げられている、憲法改正案の「解説」は、賛成の立場からの解説にほかならないのではないかとの意見が述べられた一方、法案提出者からは、憲法改正案の「解説等」とは、現行憲法との対照表や審議の経緯等に関する客観的・中立的な説明を想定している旨の発言がありました。また、参考人から、滋賀県の米原における市町村合併住民投票の際の、広報紙の表面に選択肢で等分した解説を、裏面に各議員で等分したコメントを掲載した例が紹介されました。

会議を通じての、小委員長としての感想を申し上げれば、先国会において、放送・雑誌・新聞業界から参考人を招いて意見を拝聴したのに引き続き、今回、小委員会において議論を行い、かなり議論が深まってきたと感じております。民主主義社会の基盤である表現の自由に基づいて多様な観点からの自由な報道がなされることが、国民の知る権利に奉仕し、投票に際しての判断に資することから、何よりも報道の自由が確保されることが重要である点については、各小委員に共通の認識であったと考えます。また、無料広告枠の割当てについて、両案の提出者から、賛否平等の方向で議論したいとの大きな歩み寄りの発言があったことも特筆すべきことであると感じました。投票に際して、国民が適切に判断できることが重要との認識に立ち、本委員会において各委員の知恵を出し合うことにより、必ずや合意形成を行うことができると確信した次第です。

今回のテーマである「メディア規制・国民に対する周知広報について」は、国民投票に際して国民の判断の基礎を提供する重要な問題であると考えております。本委員会におかれましては、小委員会における議論を踏まえて、さまざまな角度から、メディア規制及び国民に対する周知広報に関する議論をさらに深めていただければと思っております。

以上、御報告申し上げます。


◎補足的発言を行った小委員である委員及び主な発言事項

愛知 和男君(自民)

  • メディア規制が基本的に削除されたことをメディア側の参考人が評価したことは、委員会での議論による大きな進歩と感じた。
  • 政党等だけではなく市民団体等にも無料広告を認めるかについては、慎重な検討が必要である。
  • 政党等の無料広告枠の割当基準を所属議員数の比率によるのではなく賛否平等とすべきとの意見に対して、与党案・民主党案の提出者から、前向きな意見が述べられたことが印象的であった。
  • 投票日前7日間の広告放送の制限について、放送メディアの持つ影響力や資金力の多寡による不平等などを考慮に入れると、国民が冷静な判断を下せる環境を一定期間作ることが必要ではないか。
  • 広報協議会の構成を賛否同数にすべきとの意見が述べられたが、国会の組織である以上、所属議員数の比率によることが原則であり、反対会派への配慮規定を置いていることからも、問題はない。
  • 国会が広報を行うべきではないとの参考人の意見もあったが、憲法改正案について、国民に十分に周知し、議論の場を提供することは国会の役割である。
  • 国民が正しい判断を下すためには、憲法改正の議論の経過を国民に見せることが最も効果的な周知の方法であり、NHKや民放が国会中継を積極的に行うようにすべきである。
  • 国民投票を実施することで、国民の意識が高まるのであり、国民の国民投票や憲法に関する意識が低いから、国民投票を実施すべきでないという議論は、論理が逆である。意識を高めるには、国民投票法を一刻も早く成立させ、国民投票を実施する必要がある。

園田 康博君(民主)

  • 各参考人の意見を聴取し、今の時点では与党案のみならず民主党案にも若干の修正の余地があると認識している。
  • 政党等の無料広告枠の割当基準について、民主党案では所属議員数の比率によるものとしているが、政治的公平性を保ち、国民に多角的な論点を提供し理解を深めてもらうために、賛否平等に取り扱う制度が適当ではないかと考え始めている。
  • 広報協議会は、あくまでも国民への広報を客観的かつ中立的に行う機関と想定しており、同協議会が作成する「解説」が多数意見である改正賛成意見に偏るとの疑念が生じないよう、国民投票公報の記載事項についての修正を考えている。また、その構成員として国会議員以外の外部委員を選任するという意見もあったが、参考意見を聴取するといった運用面での対応も考えられるのではないか。
  • メディア規制は原則として自主規制に委ねることが望ましいが、商業広告の影響は大きく、資金力の多寡による不公平が生じるおそれがあるので、何らかの規制は必要であるとも考えられる。投票日前7日間の広告放送の制限は、冷静な判断を投票者に求めるために設けた規定であるが、今後も検討したい。
  • 政党等のみに無料広告を認めた趣旨は、発議の経緯を熟知している国会議員・政党等によって国民投票運動が行われることが最もふさわしいということである。政党以外の団体に無料広告を認めるとした場合、いかなる団体が対象となるかの要件を設定することは困難ではないか。
  • いずれにしても、幅広く意見を聴取して、法案提出者として柔軟な対応をとりたい。

赤松 正雄君(公明)

  • 投票日前7日間の広告放送の制限に対し反対の意見が多かった中で、テレビ広告を賢く視聴している日本人の良識一般を信頼しているものの、消費者金融の商業広告を放送するようなテレビ局を信用できないとの今井参考人の指摘は印象的であった。
  • 放送媒体の当事者が常識、良識に基づいて自主規制を行うことが望ましいが、これが現実に行われないときには、テレビ広告が時間的制約のため投票権者の感性だけに訴える扇情的な誇大広告になるおそれがあることから、何らかの法規制が必要である。
  • 民放連が、投票日前7日間の広告放送の制限についてマイナスの結果をもたらさないか否かを含めて真摯に検討すると述べていたこと、消費者金融の商業広告に見られる有害広告の現実についての指摘を神妙に受け止めていたことは印象的であった。

笠井 亮君(共産)

  • 改憲案の周知広報においては、各参考人から賛否平等の取扱いが必要であると述べられたことが印象的であった。
  • 所属議員数の比率による政党等の無料広告については、渡辺参考人から、公正中立な放送ができなくなることを危惧するとの指摘があった。
  • 投票日前7日間の広告放送の制限については、吉岡参考人から、国民の関心が最も高くなる時期に規制を設けることは、この期間にも政党等の無料放送が許されていることと相まって、不平等性がより顕著になるとの指摘が、山田健太参考人から、表現の自由に対する行き過ぎた規制となること、広告について政党等のみ無料と優遇していることも疑問であるとの指摘があった。
  • 広報協議会の構成については、吉岡参考人から、所属議員数の比率によることは公平性に疑問が残るとの指摘が、山田健太参考人から、所属議員数の比率によることは、小選挙区制に起因する得票率と議席数との乖離など議論すべき問題が残っているとの指摘があった。
  • こうした指摘から、与党案・民主党案ともに改憲に有利な広報の仕組みであることが明らかになった。またこの問題は、憲法96条の理解に関わる根本問題である。
  • 与党案・民主党案は、(a)国民投票運動を萎縮させかねない仕組みであること、(b)周知広報が改憲派に有利な仕組みとなっていることから、投票率の引上げにつながらず、少ない国民の賛成で改憲案が承認されかねない仕組みであることが明らかである。

辻元 清美君(社民)

  • メディア規制がないのは当然であるが、放送の有料広告を無制限に認めることの是非については、各参考人からの指摘のとおり、資金力の多寡による不公平が危惧される。公平性確保のために何らかのルールの必要性をさらに検討すべきと改めて感じた。
  • 政党等の無料広告については、賛否平等にすべきとの意見が参考人においては大勢であった。無料広告を政党等のみに認めている点も問題であり、市民団体等にも議論の場が与えられるよう検討すべきとの山田健太参考人の指摘があった。
  • 広報協議会の構成については、賛否同数にすべきとの吉岡参考人の指摘があった。また、政党が議論の中心になることと、社会に流れる情報の発信源が政党中心になることは似て非なるものであるとの山田健太参考人の指摘は傾聴に値する。
  • 憲法96条の「3分の2」の要件はあくまで発議要件であり、発議後は賛否の意見が平等に取り扱われるべきとの私見に、菅沼参考人も賛意を示した。96条が国民投票を定めた趣旨から、国会の役割は改正発議までであり、その後は国民の自主的判断と幅広い議論に委ねるべきであるとの渡辺参考人の指摘は、主権者国民の立場からは当然である。
  • 改憲案が世に問われる段階では、所属議員数の比率という国会内の基準によるのではなく、広報活動における賛否の平等な取扱い、それを担う機関の中立公正な運営と客観的判断が必要である。
  • 山田健太参考人の指摘のとおり、法案審議の議論は始まったばかりであり、今後さらに議論を深めるべきである。

◎提出者に対する質疑者及び主な質疑事項等

早川 忠孝君(自民)

<発言>

  • 憲法改正手続法制については、戦後60年もの間整備されてこなかったのであり、是非とも法律を制定することが本委員会の使命である。小委員会においては、法案提出者としての立場や護憲的立場を超越した誠実な議論を行い、両法案の調整に尽力してもらいたい。
  • 投票権者の範囲については、これまでの議論を踏まえ、18歳以上へ拡大すべきであると考えるに至った。
  • 国民投票法案の審査に当たっては、国民が「自らの基本法を自らが作る」という実感を持つことができるような制度の構築を目指さなければならない。

<与党案提出者に対して>

  • 報道の在り方については、当初は一定の制限規定を設けることを予定していたものの、議論の結果、法案ではメディアの自主的な規制に委ねることとなったが、これについての所見を伺いたい。

<発言>

  • 政党等以外の団体への無料広告枠の配分といった新しい論点については、消極的な立場であるが、小委員会において議論を尽くしてもらいたい。

長妻 昭君(民主)

<発言>

  • 与党案・民主党案ともに、メディア規制に関しては、いろいろな論点はあるが、基本的に自主規制に任せていることは適切である。

<与党案提出者に対して>

  • 国民投票に関する報道番組に関して、政府・与党は一切介入せず、圧力をかけないと明言していただきたい。また、教育改革タウンミーティングにおける質疑の在り方が問題となっているが、国民投票に関する集会では適切に質疑が行われることについても、確約していただきたい。

<与党案提出者・民主党案提出者に対して>

  • 投票日前7日間の広告放送の制限については、諸外国では一定期間の禁止などさまざまであるが、与党案・民主党案で7日間とした理由は何か。また、規制は投票日の前日・当日に止めるべきとの意見もあるが、いかがか。
  • 政党等の無料広告枠の割当基準について、与党案・民主党案ともに、所属議員数の比率により広報協議会が定めるとしている。賛否平等であるべきと考えるが、いかがか。

<発言>

  • メディアに対する安易な介入は、萎縮効果を生じさせる。与党案提出者は、本日の答弁を厳守していただいきたい。

石井 啓一君(公明)

<発言>

  • 小委員会においてテーマごとに議論を深めることは有意義であるが、小委員とそれ以外の委員との間に情報格差が生じる。小委員会の開催から委員会の開催までに、会議録速報版を読めるだけの間隔を置くことが望ましい。

<与党案提出者・民主党案提出者に対して>

  • 先の小委員会において民放連及び日弁連は、投票日前7日間の広告放送の制限を到底許容できないと主張したが、この制限を設けた理由を伺いたい。
  • 政党等以外の団体にも無料広告を認めるべきとの意見に対する所見を伺いたい。

<民主党案提出者に対して>

  • 政党等以外の団体にも、一定の条件を満たせば無料広告を認めるポーランドの例を参考として、無料広告を認めることを今後検討するか否かについて伺いたい。

<与党案提出者・民主党案提出者に対して>

  • 政党等の無料広告の割当基準について、所属議員数の比率によるのではなく、賛否平等にすべきとの意見についての所見を伺いたい。
  • 広報協議会の構成について、所属議員数の比率によるのではなく賛否平等にして、外部の意見も聴くべきとの見解もあるが、いかがか。

 笠井 亮君(共産)

<与党案提出者・民主党案提出者に対して>

  • 改憲案を国民に発議する国会は賛成を求める機関であるから、国会が改憲案に対して中立的であるかには疑問があるとの指摘がある。憲法96条の理解として、発議機関としての国会と国民投票との関係について、どのように考えるか。
  • 与党案・民主党案において、広報協議会の構成は、国会の組織であることから所属議員数の比率によることとされている。しかし、改憲案の発議とは別個に、主権者国民の判断がなされるという憲法改正手続の特殊性から、このような広報協議会の構成は適切ではないのではないか。
  • 広報協議会の構成について、所属議員数の比率によることの理由として、それが発議時の民意を反映しているからであるとする答弁が本会議においてなされた。しかし、発議時の議席の配分が憲法に関する民意を十分に反映しているとすれば、改めて国民投票を実施する必要がないこととなる。このような本会議答弁は、憲法96条に国民投票が規定されている趣旨に反するのではないか。

辻元 清美君(社民)

<与党案提出者・民主党案提出者に対して>

  • 広報協議会の構成について、反対会派に「配慮」するという発想は、どこから出てきたのか。
  • 憲法改正について国会はあくまで発議機関にすぎず、発議後は主権者国民の判断に委ねるべきであり、中立的な広報機関の設置を可能な限り模索すべきである。選挙公営も現有議席の比率ではなく候補者数を基準にしているので、無料広告の割当基準につき、発議機関である国会と主権者国民との関係から考え直す余地はないか。

<与党案提出者に対して>

  • 無料広告の割当基準を政党間平等にすると、政治状況等による影響を受けるおそれがあることから、賛否平等にする方向でさらに検討すべきではないか。

<与党案提出者・民主党案提出者に対して>

  • 国民投票公報にどのような事項を掲載することを想定しているのか。憲法改正案の解説を客観的に行うことは困難であるが、「解説」という文言については修正すべきではないか。
  • 広報協議会が行う説明会は、どのようなものを想定しているか。また、全都道府県で説明会を開催すべきと考えるが、そうであるならば60日から180日とされている周知期間は、短いのではないか。

<発言>

  • 与党案・民主党案の共通部分についても、それぞれの提出者の認識が食い違っており、さらに議論が必要である。