平成18年11月30日(木) (第6回)

◎会議に付した案件

日本国憲法の改正手続に関する法律案(保岡興治君外5名提出、第164回国会衆法第30号)
日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案(枝野幸男君外3名提出、第164回国会衆法第31号)

上記両案について、日本国憲法の改正手続に関する法律案等審査小委員長近藤基彦君(自民)から、小委員会の経過及びその概要について報告を聴取し、小委員である委員から補足的発言があった。その後、提出者船田元君(自民)、園田康博君(民主)、加藤勝信君(自民)、鈴木克昌君(民主)、保岡興治君(自民)、葉梨康弘君(自民)、小川淳也君(民主)、赤松正雄君(公明)及び枝野幸男君(民主)並びに衆議院法制局当局に質疑を行った。

(補足的発言を行った小委員である委員)

 船田 元君(自民)

 園田 康博君(民主)

 赤松 正雄君(公明)

 笠井 亮君(共産)

 辻元 清美君(社民)

(提出者等に対する質疑者)

 越智 隆雄君(自民)

 中川 正春君(民主)

 福島 豊君(公明)

 笠井 亮君(共産)

 菅野 哲雄君(社民)

 糸川 正晃君(国民)


◎小委員長報告

近藤 基彦小委員長(自民)

日本国憲法の改正手続に関する法律案等審査小委員会における審査の経過及びその概要について、ご報告申し上げます。

本小委員会は、去る16日、会議を開き、参考人として、慶應義塾大学法学部教授・弁護士 小林節君、上智大学大学院法学研究科教授 高見勝利君及び大東文化大学法科大学院助教授 井口秀作君をお呼びし、「日本国憲法の改正手続に関する法律案」及び「日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案」、特に憲法審査会その他国会法改正部分についてご意見を聴取した後、懇談を行いました。

会議における参考人の意見陳述の内容を本委員会全体で共有するために、その概要を簡潔に申し上げますと、

小林参考人からは、まず、憲法審査会に、憲法改正原案の起草・提出権限に加えて調査権限を付与していること、憲法審査会の議事手続の特則として、会議の公開、公聴会開催の義務付け、会期不継続の原則の不適用、合同審査会による勧告等を予定していることは妥当である、との意見が述べられました。次に、憲法に関する基本問題についての国民の理解が十分ではないことから、憲法審査会が国会内合意だけでなく、国民合意を形成するための中心責任機関の役割を果たすべきである、広報協議会の名称は「国民投票広報協議会」の方が適当であり、その構成は両院対等であるべきである、憲法に関する論点整理の一助として、国会による有権的世論調査とも言うべき予備的な国民投票を用いることも一考に値する、との意見が述べられました。また、民主党案における国政問題国民投票について、間接民主制を原則とする現行憲法体制にそぐわないものであり、反対するとの意見が述べられました。

高見参考人からは、まず、憲法審査会の権限及び憲法改正原案の審査に関して、憲法審査会は日本国憲法に密接に関連する基本法制についても広範かつ総合的に調査を行うものとされており、既存の委員会との間で競合が生じる可能性がある、憲法改正原案の審査を閉会中にも可能とする特例があるが、この特例を憲法改正原案に限るのであれば、その根拠を示す必要がある、各議院の憲法審査会は、憲法改正原案に関し、合同審査会を開くことができるものとし、その上で合同審査会に各議院の憲法審査会への勧告権を付与しているが、両院の意見調整は、本来、両院協議会で行うべき事項であり、憲法の両院制から導かれる独立活動の原則の下で、合同審査会の国会法制上の位置付けを議論する必要がある、憲法審査会が基本法制等の憲法適合性を審査することは、憲法保障の観点からも望ましいが、この審査のみを行う機関であるとすれば、国会に一つ設置すればよい、との意見が述べられました。次に、広報協議会の在り方に関して、憲法改正案の発議において賛否を表明した議員が、公平中立が要請される広報活動の責任主体となることは適切ではなく、第三者機関を立ち上げるべきではないか、との意見が述べられました。

井口参考人からは、まず、国民投票はあくまでも発議された憲法改正案に対する承認に過ぎないので、その否決は発議された案に対する否決の意味しか持たないことから、「大多数の国民が改憲を望んでいないという改憲反対派の主張を実証するためには、国民投票で否決するのが筋である」との一部の主張は、誤りであるとの意見が述べられました。さらに、条文と現実との乖離を埋めるための発議は意味のない国民投票をもたらす、少数派にも憲法改正原案の提出権・修正権を認め、国民に多様な選択肢を提供すべきである、憲法改正原案の個別発議原則に関しては、内容において関連しない問題を付加しないという限りにおいて支持したい、国民投票における無料の意見広告を政党等にのみ認めることの根拠は不明であり、そのような制度には疑問を持っている、との指摘がなされました。最後に、憲法改正手続法の制定に必ずしも反対というわけではないが、現状では誤った憲法論や国民投票論につながるため賛成できない、憲法改正は、現実の政治、社会状況の中で行われるものであり、憲法が不完全だから変えるというものではない、との表明がありました。

このような参考人のご意見を踏まえて、小委員及び参考人の懇談が行われ、小委員及び参考人の間で、活発な意見の交換が行われました。

特に今回のテーマである憲法審査会その他国会法改正部分について申し上げますと、まず、総論的事項として、憲法改正国民投票制度の整備と発議に係る国会法改正を同じ法案で行うことの是非に関して、これに疑問を呈する意見が述べられた一方、参考人からは、一連の憲法改正手続をどの部分から整備するかは問題ではない、との意見が述べられました。

憲法審査会を国会に常置することの是非に関して、立憲主義の原則の下で、国会議員に憲法尊重擁護義務が課せられていることとの関係で疑問視する発言があった一方、憲法改正原案の審査権限を担う憲法審査会の常置は、立憲主義、憲法尊重擁護義務に反するものではないばかりか、民主主義の原則及び憲法96条の存在からしても、あってしかるべきとの意見が述べられました。

憲法審査会等における憲法改正案の議論の進め方に関連しては、与党案提出者から、ポスト憲法調査会において改正を前提にして、現行憲法を徹底的に調査すべきであるとの発言、憲法審査会は、少なくとも当初の2年間、憲法改正案の発議権を凍結して憲法や基本法制の調査に専念することを本法案の附則に明記すべきであるとの発言、2年間の凍結期間後も改正手続は拙速を避けて進めるべきであるとの発言がなされました。
次に、憲法改正に関する予備的な国民投票の実施の是非に関して、与党案提出者から、ポスト憲法調査会の議論が一定の形を持った時期における予備的な国民投票の実施に前向きな意見も述べられました。
他方、民主党案提出者からは、そのような予備的な国民投票を行うためにも一般的国民投票制度の創設が必要であるとの発言、一般的国民投票の対象を憲法に関わることに限定することを党内で議論したい、その際には選択肢を柔軟にすることも考えたいとの発言がなされました。

次に各論的事項として、憲法審査会の憲法に密接に関連する基本法制の調査権限と他の委員会の権限との関係に関して、常任委員会等とは別に設置し、憲法改正の観点から日本国憲法及びそれに密接に関連する基本法制の調査をするのは当然であるとの意見が述べられた一方、憲法に関する調査はそれぞれの委員会で日常的に行っており、それで足りるとの意見が述べられました。

将来的に憲法審査会が法律の憲法適合性の審査権を持つことの是非に関しては、与党案提出者・民主党案提出者から、現時点では憲法改正案の審議・発議や憲法やそれに密接に関連する基本法制の調査の権限のみを想定しているが、諸外国にも見られるように、将来的には憲法適合性の審査権を持つことも考えられるとの意見が述べられました。

合同審査会とその勧告権については、参考人から衆参両院の意見が合致しない場合に合同審査会で調整を試み、調整が整った部分について勧告を行うことが想定されているとすると、異なる視点から二度の審議を尽くすという憲法の両院制の趣旨からして疑問が残るとの意見が述べられました。
これに対して、民主党案提出者からは、憲法改正原案の起草は、実質的に衆参両院の合同審査会において行い、それを両院において、それぞれ十分に時間をかけて議論するという形にしないと現実的なプロセスとならないことから、このような制度を設計したとの説明がなされました。与党案提出者からも、同じ意見である旨述べられました。

憲法改正原案が一院で否決された場合に両院協議会を開催する規定を設けることの是非に関して、参考人から、96条が衆議院の優越を認めていないことから、一院で否決された場合は発議の不成立と理解すべきであるとの発言がなされました。
これに対して、与党案提出者から、そもそも両院協議会は、衆議院の優越の有無とは別に、およそ国会の議決を要する案件について両院の意思の調整を図るものであり、憲法改正の場面においても両院が任意に協議して意見の一致を図ることは否定されるべきではないとの発言がなされました。

発議の単位としての「内容において関連する事項」の意味に関して、その解釈によっては、国民の意思が適切に反映されないことになるのではないかとの疑問が提起されました。
これに対して、参考人からは、「内容において関連する事項」の意味を、個々の改正項目が有機的関連を有する場合と解するとの発言、具体的な関連性の有無は条文では決めようのないことであり、政治の判断であるとの発言等がなされました。

国民投票で否決された憲法改正案の再発議に関しても、一回否決されているのだから同じ憲法改正案が再発議されることは考えられないとの意見が述べられた一方、参考人から国会における一事不再議原則と同様、憲法改正案の内容が異なる場合や事情変更があった場合には、再発議が認められるとの発言がなされました。

会議を通じての、小委員長としての感想を申し上げれば、今回、第3回の小委員会において、これまで比較的議論の少なかった国会法改正部分について、参考人をお招きして議論を行い、かなり議論が深まってきたと感じております。
日本国憲法の改正手続において、主権者たる国民の意思を憲法に適正に反映するためには、国民投票の対象となる憲法改正案を発議する国会における手続が適正なものであることが不可欠である点については、各小委員に共通の認識であったと考えます。
また、国民の理解を得ながら憲法改正手続を進めるという観点から、与党案提出者から、憲法審査会は、少なくとも当初の2年間、憲法改正案の発議権を凍結して憲法や基本法制の調査に専念することを本法案の附則に明記し、その後も改正手続は拙速を避けて進めるとの大きな歩み寄りの発言があったことは特筆すべきことであると感じました。
さらに、与党案・民主党案において態度が異なっている一般的国民投票制度の創設の是非について、民主党案提出者から、一般的国民投票の対象を憲法に関わることに限定することを党内で議論したいとの発言があったことも、今後の議論に向けての大きなステップになると感じました。
主権者国民の意思に沿った憲法改正案が発議できるよう、国民の負託を受けた私たち国会議員が議論する際の適正なルールづくりが重要との認識に立ち、各委員の知恵を出し合うことにより、必ずや合意形成を行うことができると確信した次第です。

今回のテーマである「憲法審査会その他国会法改正部分について」は、国民投票において国民の判断を仰ぐための憲法改正案を発議する手続を定める重要な問題であると考えております。本委員会におかれましては、小委員会における議論を踏まえて、提出されている法律案の審査をさらに深めていただければと思っております。

以上、ご報告申し上げます。


◎補足的発言を行った小委員である委員及び主な発言事項

船田 元君(自民)

  • 憲法審査会が憲法問題についての国会内及び国民的な合意形成の中心責任機関となるべきとの小林参考人の意見は、傾聴に値する。諸外国を見ても、国民の理解が不十分である場合には、国民投票が否決される傾向がある。したがって、国民的合意の形成や国民への周知に憲法審査会が大きな役割を果たすべきである。
  • 一種の有権的世論調査である予備的な国民投票については、憲法に関する論点整理の一助になるという小林参考人の意見もあるが、国会に対する事実上の拘束力を持つことを踏まえると、その取扱いは難しい。ただ、国民の意思を推し量る上でも有益であるとも考えられるので、憲法審査会の運用の中で検討していきたい。
  • 憲法審査会において日本国憲法に密接に関連する基本法制に係る憲法適合性を審査することは望ましいとの高見参考人の意見に同感である。ただ、これは法案に明記するのではなく、今後、各党で慎重にこの権限について議論していきたい。
  • 憲法審査会において直ちに憲法改正原案の審査を行うのではなく、少なくとも2年間は憲法等の調査に専念することを法案の附則に明記すべきであるとこれまで述べてきた。しかし、国民の幅広い理解を得るという観点から、3年間調査に専念するという方向で調整したい。

園田 康博君(民主)

  • 憲法審査会の在り方について、少なくとも当初の2年間から3年間は憲法改正原案の審査を凍結する旨の発言があったが、この期間を国会内及び国民的な共通認識の形成に努力する期間として捉え、憲法の調査を深めることに重点を置く必要がある。
  • 一般的国民投票制度は何らかの形で必要であると考えている。国家の意思形成に当たって国民の意思を参考にするという民主党の考え方と、間接民主制を採用している現行憲法の原則に反するという批判との調整は、一般的国民投票の対象を憲法に関わることに限定することにより可能か否か、党内で議論を行っていきたい。
  • 日本国憲法に密接に関連する基本法制についての憲法審査会の調査権限は、憲法についての議論との関係で憲法関連法律に及ぶものと考えており、従来の常任委員会が有している具体的立法権限にまで及ぶものではない。
  • 合同審査会については、両院の意見調整の場という位置付けではなく、超党派で原案を起草することを想定している。その勧告に基づく共通認識の下、両院で十分に議論することが可能と考える。
  • 憲法審査会の常置により憲法改正原案の提出・審査につながると懸念する向きもあるが、96条の改正規定や99条の憲法尊重擁護義務規定の趣旨に従って憲法審査会が適切に役割を果たし、国会内及び国民的な合意形成の責任に応えることを期待している。

赤松 正雄君(公明)

  • 憲法調査会の報告書では、5年間の調査の結果として憲法を改正すべきであるという意見が多数を占めた。しかし、その後1年7か月が経過したが、1946年憲法をどのように改正するかの議論が棚上げにされている。こうしたことを踏まえると、憲法に関する論点を国民に提示する恒常的な機関が必要であると痛切に感じる。
  • 法案が成立したならば、憲法をどのように改正するかの論点を国民に提示する場・時間が必要である。これは、憲法審査会を二つの期間に区切るのではなく、憲法審査会とは異なる名称の機関で行うのが筋であるが、今後の議論に委ねたい。
  • 憲法改正原案の審査に先立つ憲法の調査はより慎重に行うべきであって、その期間は2年間では短いのではないか。期間を区切らず行うべきである。
  • 予備的な国民投票も一考に値するとの小林参考人の発言があったが、憲法改正の方向性を国民に諮るためにも、その活用を検討しても良いのではないか。

笠井 亮君(共産)

  • 改憲についての調査・審査をする憲法審査会の常置には立憲主義の原則から疑問があり、憲法審査会の常置は不要との井口参考人の意見に同感である。
  • 個別発議については、関連事項であっても、例えば自衛隊を憲法上位置付ける規定とその海外活動を認める規定を一括して発議するのは不適切であり、このような不適切な発議については、棄権に一定の意味を持たせるべきとの井口参考人の意見は、重要な指摘である。
  • 憲法改正案の発議機関である国会が、公正中立を要求される広報活動の責任主体となることは不適切であるとの高見参考人及び井口参考人の意見は、重く受け止めるべきである。
  • 小委員長報告において、「各小委員に共通認識であった」、「必ずや合意形成を行うことができる」といった文言があったが、日本共産党は改憲のための手続法は不要であるとの立場であり、共通認識や合意を形成するために審議に参加しているのではないことを表明する。
  • 国会法改正の狙いは、改憲のための調査・審査を常時行い、いつでも改憲原案を提出できる機関を国会に設け、合同審査会や両院協議会によって何が何でも両院で3分の2の多数を得ようとすることである。このような改正は、両院制や96条の趣旨に反するものである。

辻元 清美君(社民)

  • 国会法は国会内のルールであり、国民投票法は公共空間における国会外のルールであって、本来性質を異にするものである。両者を一つの法案にまとめることは問題である。
  • こうした法案の構造に違和感を持つのは、「改憲ありき」から逆算して一連の制度設計を行っているためである。井口参考人が発議と承認という性質が異なるものを一つの法案にまとめていることに懸念を示したことを、真摯に受け止めるべきである。
  • 憲法審査会の審査手続に特例を設けた理由が、専門家である参考人にすら周知されていない状況は問題である。
  • 個別発議は問題ごとにすべきであり、また、国民が改憲を望まないことを立証するための国民投票は無意味だとの井口参考人の指摘、憲法の基本問題についての国民への調査啓発活動が足りないとの小林参考人の指摘等は、重要である。
  • 政治的効果や歴史的意味を考えながら、法案に関する議論を更に続けていくべきである。特に国会法の一部改正をどのように扱うのかについては、法案提出者からも慎重な意見が出ており、参考人との懇談は非常に有益であった。

◎提出者等に対する質疑者及び主な質疑事項等

越智 隆雄君(自民)

<与党案提出者・民主党案提出者に対して>

  • 法案提出者から、憲法改正原案の審査を2年間又は3年間凍結するとの発言があり、これは国会内及び国民的合意を形成するために妥当な方向であると考えるが、その期間について今後どのように議論を深め、判断していくか。
  • 合同審査会は、憲法改正原案の起草段階において、どのような役割を果たすのかそのイメージを伺いたい。

<発言>

  • 憲法改正に関する予備的な国民投票については、与党案提出者から憲法審査会設置後に検討したいとの発言、民主党案提出者から一般的国民投票を憲法関係に限定することで前向きに検討するとの発言がなされたが、今後議論を深めていきたい。

中川 正春君(民主)

<発言>

  • 与党案及び民主党案の相違点に一般的国民投票制度の導入の有無があるが、各国の国民投票や地方の住民投票が間接民主制を補完していることを踏まえれば、同制度を導入すべきである。

<民主党案提出者に対して>

  • 今回の憲法改正手続の整備において、一般的国民投票制度を盛り込んだ意図は何か。
  • 一般的国民投票の結果に法的拘束力を付加することは構わないと考えている。今回の法案において法的拘束力を有しないこととした理由は何か。
  • 一般的国民投票の発議に当たっての議決要件を特別多数でなく単純多数と解釈できる憲法上の根拠は何か。

<与党案提出者に対して>

  • 一般的国民投票制度は、直接民主制の採用には当たらず、国民の直接参加により間接民主制を補完する手段であると考えるが、与党案提出者が一般的国民投票制度に反対する具体的な理由は何か。

福島 豊君(公明)

<与党案提出者・民主党案提出者に対して>

  • 小林参考人から、憲法についての国民の理解を得ることが重要であるとの指摘があった。今後、憲法論議に関する国民の理解をどのように深めていこうとしているのか。また、そのために憲法審査会はいかにあるべきと考えるか。
  • 憲法審査会の審査対象である「憲法に密接に関連する基本法制」として、どのような範囲の法律を想定しているのか。また、そうした基本法制の在り方について、どのような審査を行うことを想定しているのか。
  • 広報協議会に関して、憲法改正案の広報は議員自ら行うべきであるとする意見について、また、広報協議会における少数会派の意見はどのように反映されるのかについて、それぞれ伺いたい。

笠井 亮君(共産)

<与党案提出者・民主党案提出者に対して>

  • 憲法審査会を常設機関とした理由は何か。基本法制の調査については既存の常任委員会で十分であり、憲法改正については国民が改憲を必要としたときに特別委員会を設置すれば足りるのではないか。
  • 合同審査会の勧告については、法案提出者から、一院から憲法改正原案が起草されることは他方の院の体面に関わるので、合同審査会において憲法改正原案を起草することを想定するとの発言があったが、憲法改正問題において、政治的思惑や体面を問題にするのは不適切ではないか。
  • 法案に両院協議会の規定を設けることについては、与党案提出者から、両院の意見調整のために両院協議会の規定を設けることは許されるとの発言があった。憲法改正原案について両院協議会を認める憲法上の根拠は何か。憲法上に根拠がない両院協議会の規定を設けることは、96条の趣旨に反するのではないか。

菅野 哲雄君(社民)

<与党案提出者に対して>

  • 憲法改正案の発議に当たり、条文ごとではなく、「内容において関連する事項ごとに区分」することとした理由は何か。

<与党案提出者・民主党案提出者に対して>

  • 憲法改正原案の審議に関し、後議の議院が否決の場合又は後議の議院の修正に先議の議院が不同意の場合、法律案と同様に両院協議会を設置して成案を得ることとしているが、その理由は何か。

<衆議院法制局当局に対して>

  • 合同審査会には、各議院の憲法審査会に対する勧告権という強い権限が付与されているが、これまで両院に対して勧告権を有する委員会等は存在したか。また、現在そのような権限を有する委員会等が存在しない理由について、どのように考えるか。

<民主党案提出者に対して>

  • 合同審査会に両院の憲法審査会への勧告権という強い権限を付与した理由は何か。

糸川 正晃君(国民)

<与党案提出者・民主党案提出者に対して>

  • 国民投票手続に係る部分と憲法改正の発議手続に係る国会法改正部分を、本法案に一本化した理由は何か。また、国会法改正部分に関する審査を本委員会で行う理由は何か。
  • 「憲法審査会」として、他の委員会と異なる機関を設置することとした理由は何か。
  • 憲法審査会の基本法制について調査は、具体的に何を想定しているのか。また、それは既存の委員会の権限と衝突するおそれはないのか。

<与党案提出者に対して>

  • 与党案提出者から、憲法審査会は、少なくとも当初の2年間、憲法改正原案の審査を凍結して憲法や基本法制の調査に専念することを本法案の附則に明記したいとの発言があった。憲法改正まで、どのようなスケジュールを描いているのか。

<与党案提出者・民主党案提出者に対して>

  • 合同審査会はいかなる場合の開催を想定しているのか。また、その勧告はどのようなものを想定しているのか。
  • 憲法審査会の権限に関して、諸外国にも見られるように、将来的には憲法適合性の審査権を持つことについて、どのように考えるか。