平成19年3月29日(木) (第4回)

◎会議に付した案件

1 日本国憲法の改正手続に関する法律案(保岡興治君外5名提出、第164回国会衆法第30号)
日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案(枝野幸男君外3名提出、第164回国会衆法第31号)

(1) 上記両案に対する保岡興治君外3名提出の修正案について、提出者保岡興治君(自民)から、提案理由の説明を聴取した。

(2) 上記両案及び修正案について、提出者保岡興治君(自民)、園田康博君(民主)、船田元君(自民)、枝野幸男君(民主)、赤松正雄君(公明)、鈴木克昌君(民主)、葉梨康弘君(自民)、小川淳也君(民主)及び修正案提出者保岡興治君、船田元君、赤松正雄君、葉梨康弘君に質疑を行った。

(提出者に対する質疑者)

 近藤 基彦君(自民)

 平岡 秀夫君(民主)

 大口 善徳君(公明)

 笠井 亮君(共産)

 辻元 清美君(社民)

 糸川 正晃君(国民)

2 新潟地方公聴会及び大阪地方公聴会(平成19年3月28日開催)の派遣報告を聴取した。

  報告者 枝野 幸男君(民主)


◎提出者保岡興治君(自民)による修正案の提案理由説明

ただいま議題となりました与党・自由民主党及び公明党共同提出の「日本国憲法の改正手続に関する法律案」並びに民主党提出の「日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案」の両案に対する、与党・自由民主党及び公明党共同提出の「併合修正案」につきまして、提出者を代表して、提案の理由及び内容の概要をご説明申し上げます。

国民投票法案については、一昨年9月に設置された本委員会におきまして、国会に提出される以前から、各会派からの意見表明、専門家を招致しての参考人質疑、委員間の自由討議など、様々な観点から、活発な議論が繰り広げられてまいりました。昨年には、これらの調査と並行して、理事懇談会において、憲法改正国民投票法制の是非を含めて、その具体的な制度設計に関する「論点整理」を、合計7回にわたって行いました。委員会における調査及び理事懇談会における論点整理の協議の時間は、総計で約50時間に及んでおります。それらの調査を踏まえて、昨年5月には、与党と民主党から、それぞれ国民投票法案が提出され、本委員会は、両法律案の審査に全力を傾注してまいりました。より充実した審議をするために、本委員会の下に、小委員会を設置し、論点ごとに、小委員会における参考人の意見表明、小委員と参考人との懇談、委員会における質疑を繰り返しました。また、先週は中央公聴会、昨日は新潟・大阪での地方公聴会を開催しました。これらを合わせると、両法律案に関する審査は、約50時間にも達します。このように、この法案に関する調査・審議時間は総計約100時間にも及びます。私どもは、対案を提出された民主党のみならず、共産党・社民党・国民新党のご主張にも十分耳を傾けながら、真摯に対応し、よりよいご意見はそれらを踏まえて思い切って修正するという姿勢で臨んでまいりました。こうして、議論を繰り返しているうちに、法案提出時に見られた与党案・民主党案の違いは、もうほとんどなくなったのであります。そこで、私どもは、委員会における議論の到達点を修正案という条文の形で確認したいと考え、この修正案を提出した次第であります。

以下、本修正案の主な内容についてご説明申し上げます。

第一に、「国民投票の対象」についてですが、「憲法改正国民投票」と、「一般的な国民投票」とでは、その本質をまったく異にするものであり、その詳細な制度設計については、更に議論を深める必要があることから、今回は、憲法改正国民投票法制に限定して制度設計を行うのが適当である、と考えております。しかし、憲法改正を要する問題等についての国民投票制度につきましては、議会制民主主義を基本とする現行憲法の下においても検討に値するものと考えられます。そこで、この憲法問題予備的国民投票とでも言い得る法制度を中心とした一般的国民投票制度については、この法律の公布後速やかに、その意義及び必要性の有無、具体的な制度設計のあり方について検討を行い、必要な措置を講ずる旨の検討条項を附則に置くこととしております。

第二に、「投票権者」についてであります。諸外国では、成人年齢に合わせて18歳以上の国民に投票権を与える例が非常に多いようでありますが、他方、投票権年齢や選挙権年齢及びそれらの基礎となっている民法の成人年齢を引き下げることは、わが国の他の法制度、社会的制度への影響が非常に大きいのであります。そこで、これらのことを勘案し、投票権年齢を満18年以上とした上で、この法律が施行されるまでの間に、満18年以上満20年未満の者が国政選挙に参加することができること等となるよう、公職選挙法、民法等について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとし、この法制上の措置が講ぜられ、満18年以上満20年未満の者が国政選挙に参加することができるまでの間、投票権年齢を満20年以上とする旨の規定を附則に置くこととしております。

第三に、「投票用紙への賛否の記載方法及び『過半数』の意義」についてであります。この点については、投票人の意思をくみ取ることを重視する観点から、さらに検討を加え、あらかじめ投票用紙に印刷された賛成・反対の文字を○で囲むこととし、無効票をできるだけ少なくする方式に変更した上で、賛成の投票数が賛成の投票数と反対の投票数の合計数の2分の1を超えた場合に、国民の承認があったものとしております。

第四に、「国民投票運動が禁止される特定公務員の範囲」については、選管職員等に限ることとしております。これは、本委員会での議論を通じて、憲法改正国民投票における意見表明は、主権者国民が直接に国政に対して発言できる重要かつ貴重な機会であり、それは、裁判官や検察官等の職種に就いている者でも、同じように保障されるべきであると考えたからであります。

第五に、「公務員等及び教育者の地位利用による国民投票運動の制限」については、「地位利用」の範囲を明確にした上で存置することとしております。その上で、これに違反した場合にも罰則を設けないこととしております。なお、以上の公務員の国民投票運動に関する制限に関連して、「国は、この法律が施行されるまでの間に、公務員が国民投票に際して行う憲法改正に関する賛否の勧誘その他意見の表明が制限されることとならないよう、公務員の政治的行為の制限について定める国家公務員法、地方公務員法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる」旨附則に規定することといたしております。

第六に、「組織的多数人買収罪」については、適用対象を、最も悪質な部分に限定するため、「勧誘行為」を明示的なものに限定するとともに、「投票に影響を与えるに足りる物品その他の利益」という要件についても「多数の者に対する意見の表明の手段として通常用いられないものに限る」と限定した上で存置することとしております。

第七に、「国民投票における周知広報」については、まず、国民投票公報には、「憲法改正案及びその要旨並びに憲法改正案に係る新旧対照表その他参考となるべき事項に関する分かりやすい説明」を記載することとしております。また、説明会の開催の規定については、これを削除することといたしました。テレビや新聞等における無料広報枠においても、賛成意見・反対意見を「公正かつ平等」に扱うこととしております。その上で、一般の団体については、無料枠の割当てを受けた各政党等において、その一部を指名する一般の団体の利用に供する形で使用することができることが明確となるよう修正をしました。

第八に、「テレビ・ラジオにおける有料広告」については、禁止期間を国民投票の期日前2週間に延長するとともに、放送事業者は、国民投票に関する放送については、放送法の規定の趣旨に留意するものとする旨の規定を設けることとしております。

最後に、「この法律の施行期日及び憲法審査会の審査権限」については、施行を公布の日から起算して3年を経過した日とするとともに、それまでの間は、憲法審査会は「調査」に専念することを明記することとしております。

以上が、この修正案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。

今回提出しているこの修正案のほとんどは、本委員会における議論から導き出されたものであります。昨日の大阪地方公聴会では、民主党の元副議長の中野寛成氏が、憲法関連基本法の一つである国民投票法案のとりまとめに当たっては、「与党は度量を、野党は良識を」示すべきであるとの意見を述べられたと伺いました。私もこの言葉には共感を覚えます。この修正案は、私ども与党としての精一杯の「度量」を示したつもりであります。この修正によって、憲法改正国民投票法案は、憲法改正の基本的手続を定める公正中立なルールとして、さらに十全なものになったと自負しております。今までも野党の皆さんからは、建設的なご意見を頂戴してまいりましたが、できますれば、本修正案に賛成、あるいは本修正案を基礎としての共同提出に向けての調整など、どういう形でかは別として、皆様方の「良識」を示していただけるならば、私ども与党側としても、更なる「度量」を示す余地があることを明確に述べておきたいと存じます。そして、今後とも、あるべき憲法改正国民投票法制の構築に向けて、より幅の広い合意形成を目指してまいりたいと思っております。付言しますと、これまでの本委員会でのご議論の成果を大切にしたいとの基本的姿勢に基づき、冒頭に申し上げたように、今回の修正案は、「併合修正」という方式をとることによって、与党提出の法律案と民主党提出の法律案の両案に対する修正案とした次第です。

なにとぞ、速やかにご賛同あらんことをお願い申し上げる次第であります。


◎提出者に対する質疑者及び主な質疑事項等

近藤 基彦君(自民)

<修正案提出者に対して>

  • 憲法改正問題についての国民投票制度に関する検討条項を修正案に置いた趣旨を伺いたい。

<民主党案提出者に対して>

  • 民主党は、対象を限定した一般的国民投票を一案として検討しているようであるが、その検討状況を伺いたい。また、上記の与党の検討条項に対する評価を伺いたい。

<修正案提出者に対して>

  • 公務員による国民投票運動に関する国家公務員法及び地方公務員法上の取扱いは、修正案においてはどのように整理されたのか。
  • 修正案において、国民投票に関する放送を行う者は放送法3条の2第1項の規定の趣旨に留意する旨を規定した趣旨は何か。また、これは、料金その他の広告条件の賛否平等取扱いに関する配慮規定と異なるのか。
  • 併合修正はどのような修正形式か。また、そのような形式をとった理由を伺いたい。

<民主党案提出者に対して>

  • 与党案と民主党案を一本化した上で共同修正案を提出することを望むが、この点について、民主党筆頭理事としての枝野議員の感想を伺いたい。

平岡 秀夫君(民主)

<発言>

  • 与党案を「国民投票法案」と呼称するのは適切でなく、「憲法改正手続法案」とすべきである。
  • 憲法改正手続法は、国民主権の行使方法を定めるものとして存在を否定できないが、現在は冷静な議論ができる状況ではない。

<修正案提出者に対して>

  • 修正案は、一般的国民投票制度を事実上葬り去ることになるのではないか。
  • 与党案提出者が自ら修正案を提出するのは論理矛盾であり、法案を撤回して出し直すべきではないか。
  • 修正案で加えられた附則で検討することとされている憲法問題予備的国民投票制度は、いつまでに検討することが想定されているのか。憲法審査会における審査が開始されるまでに必要な措置がとられるべきではないか。
  • 修正案で加えられた附則で投票権者の年齢に関連して法制上の措置を講じなければならないのは、どこまでの範囲か。
  • 憲法96条の「過半数」は、投票総数の過半数と解すべきであると考えるが、いかがか。
  • 国民投票の一部無効のために再投票がおこなわれる場合、広告放送の制限、国民投票運動の禁止、広報協議会による広報などの規制や手続は、どのようになるのか。

大口 善徳君(公明)

<修正案提出者に対して>

  • 修正案では、憲法改正問題についての国民投票制度に関する検討条項が規定されているが、これは中央公聴会で江橋公述人が指摘した予備的国民投票の導入を念頭に置いたものか。
  • 修正案では、投票権者の範囲の拡大に伴い3年間で公選法等に必要な法制上の措置を講ずる旨を規定しているが、いかなる法律を改正するのか。また、その間で行うのは法改正だけか、改正法の施行も含むのか。
  • 修正案において、公務員等・教育者の地位利用による国民投票運動の禁止規定は、(a)どのように修正され、それは公選法における禁止規定と同一なのか、(b)地位利用禁止規定に違反した者の制裁はどのようなものか、(c)公務員職権濫用罪が適用される事例はどのようなものか。

<民主党案提出者に対して>

  • 国民投票運動における新聞の重要性は、中央公聴会で浅野公述人が指摘したが、国会に議席を有する政党等が行う新聞広告の一部公営制度の検討状況を伺いたい。

<与党案提出者・民主党案提出者に対して>

  • 個別発議の原則からは、憲法の全面改正は難しいと考えるが、「内容において関連する事項ごと」をどう判断するのか。

<修正案提出者に対して>

  • 施行期日を、公布から3年を経過した日と与党案原案より1年間延長した理由は何か。

<民主党案提出者に対して>

  • 5月3日の憲法記念日までに国民投票法を成立させたいとの気持ちに変わりはないか。今後、民主党内での議論はどのように進むのか。枝野議員に伺いたい。

笠井 亮君(共産)

<与党案提出者・民主党案提出者に対して>

  • 公聴会や地方公聴会などにおける法案の慎重審議を求める国民の意見をどのように受け止め、今後の法案審議にどのように反映させるつもりか。

<与党案提出者に対して>

  • 改憲のために憲法改正手続法を成立させたいとの安倍首相の発言からすると、公正・中立なルールづくりという与党の提案理由説明がなされた時とは状況が変わってきたと考えるが、いかがか。

<修正案提出者に対して>

  • 修正案により放送法への留意規定が加えられたことや、国家公務員法等の適用除外をしなかったことは、これまでの委員会での議論と異なる。修正案作成の経過を伺いたい。

<与党案提出者に対して>

  • 最低投票率制度については、公聴会や地方公聴会において導入を求める意見が強いことや硬性憲法の性格からも導入すべきであると考えるが、いかがか。

辻元 清美君(社民)

<与党案提出者に対して>

  • 安倍総理大臣が今国会において国民投票法案を成立させるなどと発言したことは、行政府による立法府への介入ではないか。護憲・改憲の立場に関係なく抗議すべきでないか。船田議員に伺いたい。

<民主党案提出者に対して>

  • 昨年の海外調査において議会内及び国民的なコンセンサスの重要性を学んできたが、今の与党の姿勢をどう考えるか。

<与党案提出者に対して>

  • 議会内でのコンセンサスが崩れている中で、法案審議を急ぐべきではないと考えるが、いかがか。
  • 憲法上、内閣には憲法改正原案の提出権はないと考えるが、法案において、憲法改正原案を提案できるのは国会議員のみか。また、塩崎官房長官等から憲法上、内閣にも憲法改正原案の提出権がある旨の答弁があったが、内閣が憲法改正原案を提出した場合、提出されている法案との関係で、取扱いはどうなるのか。
  • 憲法改正原案の提出権の所在は重要な問題であり、国会の意思として内閣には提出権がないことで統一すべきでないか。

糸川 正晃君(国民)

<修正案提出者に対して>

  • 修正案の提案理由に「委員会の議論の到達点」とあるが、今後更に再修正を検討する余地があるのか。

<民主党案提出者に対して>

  • 修正案の提案理由の「与党案と民主党案の違いはほとんどない」との認識について、どのように考えるか。

<与党案提出者に対して>

  • 民主党からどのような修正案が出されたのならば、与党として受け入れることができるのか。

<修正案提出者に対して>

  • 国民投票運動が禁止される特定公務員の範囲について、修正案により、民主党案と同様、裁判官、検察官、警察官等を除いた趣旨は何か。
  • 公務員の国民投票運動について、昨年12月に国家公務員法等の政治的行為の制限の規定の適用除外をするとの発言があったが、修正案でなぜ適用除外をしなかったのか。
  • 広報協議会が作成する国民投票公報には、具体的にどのような事項が記載されることを想定しているのか。また、修正案では、説明会の開催が広報協議会の事務から削除されているが、その理由は何か。
  • 投票期日前の有料広告放送の制限は、表現の自由に対する重大な制約であるとの意見もある中、修正案においてその期間を7日間から14日間に延長した理由は何か。

<民主党案提出者に対して>

  • 投票期日前の有料広告放送の制限の期間を延長した修正案をどのように評価するか。

◎派遣委員枝野幸男君(民主)による新潟地方公聴会及び大阪地方公聴会の派遣報告

団長にかわりまして、派遣委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。

派遣委員は、中山太郎委員長を団長として、理事愛知和男君、理事船田元君、理事園田康博君、理事赤松正雄君、委員石井啓一君、委員笠井亮君、委員辻元清美君、委員糸川正晃君、それに私、枝野幸男を加えた10名であります。なお、新潟においては、田中眞紀子委員及び筒井信隆委員が現地参加されました。

地方公聴会は、3月28日の午前に新潟市のホテル日航新潟の会議室において、午後に大阪市のホテルニューオータニ大阪の会議室において、第164回国会、保岡興治君外5名提出、日本国憲法の改正手続に関する法律案、及び第164回国会、枝野幸男君外3名提出、日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案の両案をテーマとして開催しました。

はじめに、午前の新潟市での地方公聴会の概要について御報告いたしますと、まず、中山団長から、派遣委員及び意見陳述者の紹介並びにあいさつ等を行った後、新潟大学大学院実務法学研究科助教授田村秀君、新潟県弁護士会会長馬場泰君、新潟大学名誉教授藤尾彰君及び新潟国際情報大学情報文化学部教授越智敏夫君の4名から意見を聴取いたしました。

各意見陳述者の意見内容につきまして、簡単に申し上げますと、田村君からは、投票権者を18歳以上の者にすることは、諸外国の例から見ても適当であり民法など関連法令の議論を急ぐべきであり、また、最低投票率制度が法案に規定されていないことは適当である、との意見、馬場君からは、憲法改正は国民の熟慮と総意に基づいて行うことが必要であり、そのためには最低投票率制度の導入が必要であるとの意見、藤尾君からは、過半数の意義を投票総数の過半数と解すべきであり、白票、無効票も投票総数に含めて計算すべきとの意見、及び越智君からは、憲法は権力抑制のための安全装置であることにかんがみ、憲法改正国民投票制度はなるべく憲法を変更しにくいものであるべきとの意見、がそれぞれ開陳されました。

意見の陳述が行われた後、各委員から、本委員会の活動に対する評価、一般的国民投票の在り方、国民に対する適切な周知期間、最低投票率制度の導入を否定する論拠の妥当性、憲法改正手続法を早急に制定する必要性の有無、憲法改正議論に関する世論調査に対する評価などについて質疑がありました。

次に、午後の大阪市での地方公聴会の概要について御報告いたしますと、まず、中山団長から派遣委員及び意見陳述者の紹介並びにあいさつ等を行った後、国民投票・住民投票情報室事務局長・ジャーナリスト今井一君、新時代政策研究会会長中野寛成君、関西大学法学部教授吉田栄司君及び弁護士中北龍太郎君の4名から意見を聴取いたしました。

各意見陳述者の意見内容につきまして、簡単に申し上げますと、今井君からは、憲法改正手続法を制定しないことは国民の制憲権の侵害である、最低投票率制度には棄権運動のおそれがあり反対、一般的国民投票制度には原則賛成との意見、中野君からは、憲法論議は国権の最高機関である国会の主導で行うべきであり、国民投票法案の議論に当たっては拙速や党利党略は避けるべきとの意見、吉田君からは、両案は、両院協議会、国民投票無効訴訟等の規定や最低投票率制度の不採用の点で憲法学界の見解を反映せず、違憲の疑義があるとの意見、及び中北君からは、両案は9条改憲が目的なのは明らかであり、国民主権に基づく憲法改正国民投票手続の本来の在り方に反しているとの意見、がそれぞれ開陳されました。

意見の陳述が行われた後、各委員から、現時点での憲法改正手続法整備の必要性、本委員会の今後の運営の在り方、公明党の「加憲」に対する考え方、公務員等・教育者に対する運動規制の効果・影響、内閣の憲法改正原案提出権の有無、有料広告放送の規制の在り方などについて質疑がありました。

なお、会議の内容を速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと思います。また、速記録ができ上がりましたならば、本委員会議録に参考として掲載されますよう、お取り計らいをお願いいたします。以上で報告を終わりますが、今回の会議の開催につきましては、関係者多数の御協力により、円滑に行うことができました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。

以上、御報告申し上げます。