衆議院

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平成十二年八月一日提出
質問第四号

我が国官庁の秘密保全体制に関する質問主意書

提出者  金田誠一




我が国官庁の秘密保全体制に関する質問主意書


 我が国官庁の秘密文書が漏えいしている事実が立て続けに明らかになっている。それにもかかわらず、当該官庁においては関係職員に対する処分はおろか、流失経路の調査すら行われていない。
 昨今の公務員不祥事を見ると、身内の不祥事に関する当事者及び監督権者のかばい立てがそうした行為を助長したことは明らかであり、当事者の自浄力を期待し得ないゆえに、政府の見解をただすために以下質問する。いずれも我が国国家秘密の保全体制に関わる重大な問題のため、今国会の会期中に答弁されたい。

一 防衛庁における秘密漏えいについて
本年二月十四日の衆議院予算委員会において志位委員から「海上施設に係る技術検討・評価報告書」(以下「報告書」という。)と題する、防衛庁が管理する秘密資料が明らかにされた。
国会議員が政府の見解をただすための官庁の秘密情報を収集することは誠に正当な国政調査活動であるが、一方で官庁の秘密情報が流失したこと自体は、秘密保全の義務を怠ったわけであり、当該官庁はその責任を免れることはできない。そこで以下の点について政府の見解を明らかにされたい。

 1 報告書が次のいずれかに該当するのか否か明らかにされたい。
 @ 「自衛隊法」第五十九条で定める「秘密」。
 A 「秘密保全に関する訓令」(昭和三十三年防衛庁訓令第百二号)第二条で定める「秘密」。
 B 「日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法」第一条第三項で定める「防衛秘密」。
 C 「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法」第六条で定める「合衆国軍隊の機密」。
 2 報告書が「秘密保全に関する訓令」第二条で定める「秘密」に該当するのであれば、報告書の関係職員について以下明らかにされたい。
 @ 「秘密保全に関する訓令」第二条第三項(1)で定める「管理者」の官職と氏名。
 A 同訓令第二条第三項(3)で定める「取扱者」の官職と氏名。
 B 同訓令第二条第三項(6)で定める「管理者又はその職務上の上級者から特にこれらの保管を命ぜられた者」の官職と氏名。
 C 同訓令第四条で定める「保全責任者」、「保全責任者の補助者」及び「臨時にその職務を代行する職員」それぞれの官職と氏名。
 3 報告書が日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法第一条第三項で定める「防衛秘密」に該当するのであれば、報告書の関係職員について以下明らかにされたい。
 @ 「防衛秘密の保護に関する訓令」(昭和三十三年防衛庁訓令第五十一条)第二条第三項(1)で定める「管理者」の官職と氏名。
 A 同訓令第二条第三項(3)で定める「取扱者」の官職と氏名。
 B 同訓令第二条第三項(6)で定める「官房長等又はその指定した者から特にこれらの保管を命ぜられた者」の官職と氏名。
 C 同訓令第三条で定める「保全責任者」、「保全責任者の補助者」及び「保全責任者の職務を臨時に代行する職員」それぞれの官職と氏名。
 4 報告書の流出が発覚した後の政府の対応について以下の点を明らかにされたい。
 @ 「秘密保全に関する訓令」第九条第一項の各号で掲げる措置が適切に取られたか否か明らかにされたい。
 A 同訓令第九条第二項で定める通りに官房長等は、「その事実の調査を行ない」、「防護上必要な措置を講じ」、「すみやかに、その旨を防衛庁長官に報告」したのか否か明らかにされたい。
 B 「防衛秘密の保護に関する訓令」第八条第一項の各号で掲げる措置が適切に取られたか否か明らかにされたい。
 C 同訓令第八条第二項で定める通りに官房長等は、「その事実の調査を行ない」、「防護上必要な措置を講じ」、「すみやかに、その旨を防衛庁長官に報告」したのか否か明らかにされたい。
 5 報告書の作成には防衛庁職員以外(外務省、通産省、運輸省、建設省)の政府職員(以下「その他の政府職員」という。)が関わっていることについて以下の点を明らかにされたい。
 @ その他の政府職員は報告書の作成及び取扱に関して「秘密保全に関する訓令」及び「防衛秘密の保護に関する訓令」に従う義務があるのか否か明らかにされたい。
 A その他の政府職員が報告書の作成及び取扱に関して@で掲げた各訓令に従う必要がない場合、その他に従うべき法令が存在すればその全てについて明らかにされたい。
 6 報告書は「普天間飛行場の代替ヘリポートとして考えられる海上施設の技術的可能性の検討を適切かつ公正に実施するとの観点から、関係省庁の技術的知識を活用するために技術支援グループ(TSG)を、また、有識者の意見を聞くために技術アドバイザリーグループ(TAG)を設置し、それぞれ、6回、4回の会議を開催し、とりまとめられたものである」(まえがき)。
 そこで報告書に記載されたTAGのメンバーは法律上の守秘義務を有しない民間人であることについて以下の点を明らかにされたい。
 @ TAGのメンバーに対し政府は、「秘密保全に関する訓令」第二十六条に定める「厳密な調査を行ない、秘密の保全上支障がないことを確認」したのか。また「厳密な調査」はいかなる方法で行われたのか明らかにされたい。
 A 「秘密保全に関する訓令」第二十七条第一項は「秘密の文書、図画又は物件の作成等を政府機関以外の者に委託するときは、委託中における秘密の漏えい等の危険を防止するため、契約条項に秘密の保全に関する規定を設ける等必要な措置を講じなければならない」とし、同条第二項は「前項の秘密の保全に関する規定は、特に支障のない限り、別記第4号様式の基準によるものとする」と定めている。
 そこで、TAGのメンバーに対して同条に基づく「必要な措置」が講じられていたのか明らかにされたい。
 B TAGのメンバーに対し政府は、「防衛秘密の保護に関する訓令」第二十一条に定める「厳密な調査を行ない、秘密保護上支障がないことを確認」したのか。また「厳密な調査」はいかなる方法で行われたのか明らかにされたい。
 C 政府は「日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法施行令」第六条に定める「必要な措置を講じた」のか明らかにされたい。

二 外務省における秘密漏えいについて
最近、元公安調査官の野田敬生氏による著作「CIAスパイ研修―ある公安調査官の体験記―」(現代書館)が公表された。その内容は普段うかがい知ることのできない公安調査庁の内情が明らかにされると共に、外務省の秘密資料の内容についても言及されている。そこで以下質問する。

 1 公安調査庁における秘密保全のための規則の全てにつき明らかにされたい。
 2 外務省における秘密保全のための規則の全てにつき明らかにされたい。
 3 この著作においては外務省の秘密資料である「信号情報SIGINTの世界」(外務省国際情報局作成)及び「インテリジェンス読本」(同右)の内容が公表されているが、これに関し以下の点を明らかにされたい。
 @ これら資料は「国家公務員法」第百条で定める「秘密」に該当するのか。
 A これら資料が同氏に渡った経緯について。

三 「日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法施行令」第七条に基づき各省庁の長が現在講じている「防衛秘密の保護上必要な措置」の全てを明らかにされたい。
四 官吏服務紀律について
政府は、特別職の国家公務員のうち国務大臣等については「官吏服務紀律」(明治二十年勅令第三十九号、以下「紀律」という。)の規定の例により守秘義務があるとの見解を取っている。(例えば「衆議院議員西村眞悟君提出我が国における外国人諜報部員の把握に関する質問に対する答弁書」(千九百九十七年十一月二十一日)四頁)。そこで以下の点を明らかにされたい。

 1 国務大臣等が紀律の定めに違反し、秘密を漏えいした場合の罰則は存在するのか。存在するのであればその根拠法令と内容について明らかにされたい。
 2 現在、紀律の対象となっている国務大臣等の範囲を明らかにされたい。
 3 現在、紀律が定める条項は全て有効なのか。もし無効の条項が存在するなら、当該条項とその理由について明らかにされたい。

五 「刑事訴訟法」第二百三十九条(「告発」)について
「刑事訴訟法」第二百三十九条第二項は「官吏又は公吏はその職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」と定めている。
この条項に従うなら、官庁において秘密情報の保全を担当している職員は、その漏えいの事実を知った時点で当該官庁の内部調査の進捗に関わりなく、同条に基づいて「告発」しなければならないと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

 右質問する。



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