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平成十二年八月九日提出
質問第一八号

カルテ開示に関する質問主意書

提出者  保坂展人




カルテ開示に関する質問主意書


 医療機関はなぜ、カルテを患者に開示しないのか。治療の不備、診療報酬の過大請求など、何か都合の悪いことでもあるのか。内閣の司法制度改革審議会でも医療過誤訴訟は大きな論点となり、同審議会の公聴会では、患者側から医療機関の訴訟への不誠実な対応、訴訟制度の不備などが相次いで指摘された。医療機関と患者が信頼関係を築くための基礎として、カルテの開示が急務との立場から以下、質問する。

一 医療事故

 (1) 一九九五年から今年にかけて発生した医療事故について、厚生省は何件報告を受けたか。報告を受けた事故について、医療機関名、事故の概要、原因、原因の調査方法、事故後の医療機関の対応、刑事手続きと民事訴訟の状況、カルテを患者側に開示したかどうかを具体的に明らかにされたい。
 (2) 一九九五年から今年にかけて発生した医療事故がきっかけで、厚生省が発出した通達をそれぞれ明らかにされたい。
 (3) 一九九五年から今年にかけて発生した医療事故から、政府は何を学んだか。具体的に説明されたい。
 (4) 薬害エイズ事件から政府は何を学んだのか。具体的に明らかにされたい。同事件の反省から改めた施策を具体的に明らかにされたい。
 (5) ヤコブ病への対応のまずさについて、報道が続いているが、ヤコブ病をめぐり、どのような対策が講じられてきたか。その経緯を具体的に明らかにされたい。
 (6) ヤコブ病への対応で、政府は薬害エイズ事件の反省が生かされたと考えているか。生かされたと考えている場合はどういう点か。具体的に説明されたい。生かされなかったと考えている場合は、その責任の所在を明らかにされたい。
 (7) 一九九五年から今年にかけて発生した医療事故で、医療機関側や医者側がカルテを改竄するなどして、証拠隠滅を図ったケースはあるか。あるとすれば、政府は証拠隠滅罪で捜査機関に告発し、行政処分に付したか。それぞれ具体的に明らかにされたい。

二 カルテ開示

 (1) 政府は人と人との信頼関係を確立するためには、まず何が必要と考えるか。信頼関係を崩壊させる行為は何か。
 (2) 人と人との信頼関係を確立するために必要なことや反対に崩壊させる行為について、小学校などの検定教科書に記載はあるか。
 (3) 情報公開を求める国民の声が高まっている理由について、政府はどのように考えているか。
 (4) 医療従事者が患者にカルテを見せなかったり、ミスを隠すために虚偽を記載したりした場合、患者と医療従事者との信頼関係は確立するか。
 (5) 日本で、患者本人から医療従事者への診療記録の開示請求権は法的に確立しているか。確立していないとすれば、なぜか。
 (6) 米国と英国、フランス、ノルウェー、スウェーデン、オーストリアの六カ国について、医療従事者から患者へのカルテの開示はどのような法制度になっているか。日本との違いはどのような事情から発生しているのか。各国について、それぞれ説明されたい。
 (7) カルテの患者への開示について、厚生省の「カルテ等の診療情報の活用に関する検討会」がまとめた報告書の内容を明らかにされたい。
 (8) 医療審議会が昨年七月一日付けで、厚生大臣に提出した「医療提供体制の改革について(中間報告)」は「改革の基本的方向」の中で、「医療従事者と患者との信頼関係を確立し、患者・国民の適切な選択によって良質な医療が提供されるよう、患者に対する診療情報の開示や医療機関に関する情報の患者・国民への積極的な提供を図る」としている。この趣旨を実現するため、政府はどのような施策を展開してきたか。
 (9) この中間報告には「今後、診療情報の積極的な提供や診療記録の開示を医療現場において普及、定着させていくためには、医療従事者の側の自主的な取り組みが不可欠であり、現在進められつつある医療従事者の自主的な取り組みが医療現場に定着することが必要である」との指摘もあるが、政府は医療従事者の「自主的な取り組み」の内容を明らかにされたい。
 (10) 政府は医療従事者の「自主的な取り組み」だけで「医療従事者と患者との信頼関係を確立し、患者・国民の適切な選択によって良質な医療が提供されるよう、患者に対する診療情報の開示や医療機関に関する情報の患者・国民への積極的な提供を図る」ことが可能と考えているか。
 (11) 世界医師会が一九九五年に採択した「バリ宣言」について、政府は内容を承知しているか。承知しているとすれば、患者の医療記録開示については、どのように規定されているか。
 (12) 「バリ宣言」の採択に参加した国は何カ国あったか。日本はどのような理由から、どういう態度をとったか。
 (13) 政府は患者・国民の側が医療従事者に求めているものは、何だと考えているか。

三 司法救済

 (1) 一九九五年から今年にかけて、国立医療機関の医療行為をめぐり、患者側が国に賠償を求めた訴訟は何件あるか。それぞれについて、時期、医療機関名、事案の概要、国側の認否とその理由、判決が言い渡されたものはその要旨を明らかにされたい。
 (2) 一九九五年から今年にかけて、国立医療機関の患者がカルテの開示を求めた訴訟は何件あるか。それぞれについて、時期、医療機関名、カルテが開示されなかった理由、訴訟での国側の認否とその理由、判決が言い渡されたものはその要旨を明らかにされたい。
 (3) いわゆる医療過誤訴訟で、患者側が自分または死亡した近親者のカルテを証拠保全する際、どのくらいの費用がかかるか承知しているか。承知しているとすれば、こうした患者の負担は当然と考えるか。「当然」「当然とは考えない」の二者択一で答弁されたい。
 (4) 司法制度改革審議会の第二十一回会議で「証拠開示というのがもうちょっと行われないと、医療事故というのは、問題になってくる」と指摘している委員がいる。政府に証拠開示が医療事故訴訟の障害になっているという問題意識はあるか。
 (5) 同審議会第二十二回会議では、最高裁の千葉民事局長が証拠開示をめぐって「医療過誤で言えば、カルテ、レントゲン写真は黙っていても出すべきです」と指摘している。カルテやレントゲン写真が「黙っていても」出る状況にないのはなぜか。状況を改めるために施策を講じる意向はあるか。
 (6) 同審議会公聴会で、医療過誤訴訟について、発表者が陳述した意見の要旨を明らかにされたい。

 右質問する。



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