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平成十二年十一月二十一日提出
質問第四〇号

受刑者の処遇に関する質問主意書

提出者  保坂展人




受刑者の処遇に関する質問主意書


 現在の無期懲役刑においては、「仮釈放」の基準が明らかにされておらず、十五年程度で釈放される例もある一方で、二十五年、三十年経っても仮釈放されないケースもあると聞く。
 他方、現在、与党内プロジェクトチームにおいて、「終身刑」の導入を巡る検討が開始されているという。
 そこで、終身刑論議の参考のためにも、現行法上、無期懲役を初めとする長期受刑において顕在化する「受刑者の処遇」について、お尋ねしたい。
 受刑者処遇については、「社会復帰」を目的とし、「処遇の社会化」「処遇の人権化」「処遇の国際化」の観点から、行刑に携わる方々は尽力されていると聞くが、現在において、その趣旨は全うされているとは言えない実態にあると考えられる。
 そこで、「社会復帰」を目指す、「処遇の社会化」「処遇の人権化」「処遇の国際化」をいかにして前進させるべきかという観点から、以下質問する。

一 仮釈放と再審請求の関係
 現在、全国の受刑者中無期刑受刑者の総数は約一〇〇〇名、出所者平均受刑在所期間は、約二十一年六月と報告されている(矯正統計年報)。
 しかし、この「約二十一年六月」というのは、「仮釈放」された受刑者の平均であり、他方では、執行開始後二十五年以上経過している受刑者が約七十名、中には、四十年から五十年以上服役している受刑者もいる。
 長期刑受刑者にとっては、仮釈放の諾否は重要な問題であり、無期刑受刑者の場合は、より切実な問題となる。また、「再審請求をしている者は、仮釈放が認められにくい」と言われ、実際、再審請求をし続けて三十年近く服役している無期刑受刑者もいると聞く。
 この点、冤罪を訴え再審請求を続けた狭山事件の石川一雄氏(無期確定 一九九四年仮出所)は、収監年数三十一年七月で仮出所が認められ、白鳥事件の村上国治氏(懲役二十年)は、再審請求をしながら七年で仮出所が認められたが、このように再審請求をなしながら、仮釈放が認められたケースは、過去十年のうち、何件か。
 また、戦後五十五年の間の総数は、何件か。
二 受刑者の外部交通について
 受刑者が「社会復帰」を果たす上で、家族・友人らとの外部交通が確保されること、殊に、妻・夫・婚約者・子供等の近親者とは、拘禁による制限の中においても、「親密性・プライバシー」を保ちうる外部交通が保障されなければ、受刑者と近親者との絆は維持し難いと考えられる。
 しかしながら、現在においては、受刑者の外部交通には、大幅な制限が課され、ごく限られた親族と、ごく限られた回数・時間でしか面会が許されず、文通・差入れも大幅な制限が課されている。
 また、その限られた親族との面会においても、「刑務官立会の下で、プラスチックの仕切越しに二十分、三十分」という、到底、「親密性・プライバシー」を保ちうる面会とは言えない現状にある。
 そこで、

 (1) 家族・友人らとの絆を保ち、広く社会の実情を知り、受刑者の「社会復帰」を促進する観点から、一般の友人・知人らとの外部交通を認めるべきだと考えるが、如何か。
 (2) 夫婦・婚約者・子供等近親者との親密且つプライベートな絆を維持するために、近親者らにつき「プライベートな面会」を認めるべきではないか。
 @ この点、スウェーデン、デンマーク等北欧諸国においては、「個室に於けるプライベートな家族面会」が制度上認められ、そのための設備も整備されており、また、アメリカ合衆国の多くの州においても、看守の立会抜きの「夫婦面会」(conjugal visit)が当然の権利として認められていると聞く。
 また、かかる「夫婦面会」の制度は、欧米のみならず、アジア・中南米・アフリカ諸国においても制度として認められつつある。
 このような海外の趨勢を御存知か。
 A また、現在、本邦においても、栃木女子刑務所における立会なしの面会(炬燵等の置かれた部屋で、立会なしに面会できる制度)が認められているが、全国の行刑施設における「立会なしの面会」「夫婦面会」の実数は如何なるものか。
 かかる面会を実施している施設の数、施設の名称、実施件数をお答え願いたい。
 また、かかる面会制度における、処遇上の効果、運用上の問題点についても、お答え願いたい。
 (3) 現在、本邦においても、受刑者処遇上、外出・外泊制度を取り入れることが積極的に議論され、導入が検討されているという。
 @ そこで、一時外出・外泊制度導入にあたり、どの様な条件(許可の要件等)が検討されているか。
 A 外出・外泊制度につき、全国において、例えば、近親者に不幸があった場合など、受刑者に一時外出を認めた例があるか、あるとすれば、過去十年間における件数を明らかにされたい。
 また、戦後五十五年の間では何件か。
 (4) 受刑者の「表現の自由」について
 死刑確定囚を含め、受刑者が獄中で制作した文芸作品、サークル活動等で制作した作品を、社会に発表するための投稿や出品活動は、如何にして認められ、保障されているか。
 また、施設によっては、管区毎に絵画のコンクールを開催するなどの配慮をしているが、他方では、出展作品は、その著作権と所有権を放棄させられ、制作者の手元には戻ってこないなどの苦情もある。
 そこで、かかる施設における展覧会における制作者の知的財産権の保護、及び、出展作品の保管は、如何にしてなされているか、明らかにされたい。

三 懲罰について
 行刑施設における懲罰は、その恣意的運用等が問題となるケースが多く、全国で国家賠償請求訴訟が提起されるなどしている。
 また、現在の累進処遇制度において、基準の不明確な内規により、進級を妨げられ、不利益処遇に甘んじなければならないケースも多いと聞く。
 この点、徳島刑務所の星野文昭氏(渋谷事件 無期確定後再審請求中 収監期間二十五年)は、再審請求申立から四ヶ月後、第三級から第二級への進級一週間前に、徳島刑務所において服役中、ゴキブリを踏んづけた足を洗い、それを刑務官に見咎められたため、足を洗った理由を説明したところ、二十日間の懲罰を受け、第四級に降格され、以後、第三級には進級したものの、以後四年が経過するも、進級は全くなしであるという。
 そこで、全国の刑務所等の全行刑施設における内規、及び、累進処遇における進級基準の主なものを明らかにされたい。
 また、この内規・進級基準は、受刑者に明らかにされているか。
四 刑務作業賞与金について
 現在、死刑囚以外の受刑者は、禁錮受刑者の請願作業(就業率九三.七%)を含め、その殆どが、刑務作業に従事している。
 刑務作業に対しては、その就労の対価として賃金が支払われることはなく、恩恵的・奨励的性格を有する「作業賞与金」が支給されるのみである。
 そして、この「作業賞与金」は、一九九九年度の一人一ヶ月平均四〇八二円(二〇〇〇年版「犯罪白書」)と言われ、依然として低額に止まっていると言う。
 他方、刑務作業を通じて製作された商品は、「財団法人矯正協会刑務作業協力事業部」を通じて販売されると言うが、その販売ルート、年間収支等は、受刑者に明らかになっているとは言えない。

 (1) また、ここ数年、「国家財政の赤字」を理由に、作業賞与金の支給が遅滞しており、外部に援助者のない受刑者は、生活用品の購入等にも不自由を来し、また、外部の困窮した家族への仕送りもできない状態にあると聞くが、この支給遅滞は、いつ解消されるのか、その見通しは。
 (2) 更に、「釈放時支給」としても、余りに低額であるため、出所後就労までの生活を支えるには、到底足りないと言うが、増額は検討されているか。
 (3) 三にも共通するが、懲罰を受けた場合に、それまで貯められていた作業賞与金が没収される例があるというが、事実か。
 あるとすれば、この一年間で没収例は何件であり、その金額はいくらか。
 懲罰としての賞与金の没収には、問題があると考えるが、如何か。
 (4) 受刑者が、事件の被害者に対し、慰謝の措置を講じたいと願う場合に、作業賞与金から送金することは可能か。
 可能であるとすれば、そのようなケースは、過去一〇年に何件ほどあったか。

五 受刑者の健康維持について
 行刑施設は、収容している受刑者の健康維持に対し責任を有すると考えられるが、施設においては、温度調節や、体調不良時の対策等につき、問題が多いという声を、受刑者から聞くことがある。

 (1) 例えば、多くの刑務所においては、受刑者が風邪等の体調不良を訴える場合でも、居房で横になることを許可せず、病状を悪化させる例が多いと聞くが、受刑者体調不良時には、各施設毎、如何なる配慮をなしているのか。
 中には、一定の条件の下に横臥を認めている施設もあると聞くが、このような施設は全国で何件か。
 (2) 多くの刑務所においては、厳冬の氷点下前後の気温の日にも居房に暖房もなく、多くの受刑者が寒さに苦しみ、また、猛暑気温四〇度の夜には、受刑者は眠れず苦しむという。
 この点、韓国の刑務所においては、冬も室内気温が十八度以下にならないように、全国の刑務所統一基準が定められていると聞く。
 この点、日本の行刑施設においては、受刑者の健康維持上、温度調節については、どの様な対策をなしているか。
 (3) 受刑者の歯科治療については、自己負担とされる場合が多く、高額な医療費を負担できない受刑者は、歯科治療も受けられないと聞くが、現状はどうなっているのか。
 具体的に、例えば、歯科補綴治療において、受刑者が自己負担した治療費の平均額、及び、最高額はいくらか。

 右質問する。



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