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平成十三年五月二十三日提出
質問第七一号

ケニア共和国ソンドゥ・ミリウ水力発電事業に関する質問主意書

提出者  首藤信彦




ケニア共和国ソンドゥ・ミリウ水力発電事業に関する質問主意書


 プロジェクトの概要

 ケニア共和国ビクトリア湖に注ぐソンドゥ・ミリウ川において、現在水力発電事業(60MW、30MW×2基、流れ込み式発電所)が進行中であり、このプロジェクトに日本政府は総額181億5500万円もの円借款供与を行なう予定である。
 しかしながら、本事業に対して、経済的な事業可能性(フィージビリティースタディー)、環境、社会・文化的側面から様々な問題があるとして、地域住民およびNGOから強い懸念の声が出されており、国際社会でも問題視され始めている。今まさに公正で詳細な分析を行った上で、「受益者としての地域住民」という視点に基づき事業への融資を再検討することが求められている。プロジェクト決定の経緯や、重債務国であるケニアに対する新規円借款供与の意味という面からも考慮すべき点があると考えられるため、以下質問する。

一 円借款を供与する根拠について
 ケニア政府の財政は危機的状況にあり、2000年11月に債務返済繰り延べを要請、合意したが、旱魃の影響もあり経済状況は悪化している。2000年から2004年まで789百万ドルのファイナンシング・ギャップが生じると予想され、ドナーからの資金流入がなければ再度の債務返済繰り延べは避けられない見通しである。IMFの見込みでは、我が国に対しても2009年まで毎年80億円以上の債務返済が予定されている。

 1 このような財政状況を踏まえた上で、本事業を円借款で実施する根拠、資金回収の見込を示されたい。
 2 本事業には1989年10月には技術協力の所要資金として6億6800万円(金利2・5%)、1997年3月には、第一期の調達資金として69億3300万円(金利2・3%)の借款契約が調印されたが、これまで具体的にどのように使われたのか、項目ごとに支払い相手、および金額を示されたい。
 3 フェーズ2に対する105億5400万円の借款供与(金利2・3%)は具体的にどのように使われる予定なのか、項目ごとに支払い相手および金額を示されたい。
 4 上記のような厳しい財政状況の中で、ケニア政府の債務返済可能性についてどのように考えているか、政府の見解を示されたい。
 5 本件の工事は鴻池組が受注したが、その経緯や理由について詳細説明を示されたい。

二 環境への影響について
 流量変化に関する問題
 1985年12月国際協力事業団によって行なわれた『ソンドゥ川水力発電開発計画調査書 主報告書』によると、ソンドゥ川の1946年から1983年までの1JG1測水所における月平均流量の平均値は41・59立方メートル毎秒となっている。ソンドゥ・ミリウ水力発電に必要な水量は40立方メートル毎秒であり、流量の大半は発電用に使われることになる。特に1月から3月にかけての乾季および10月から12月にかけての少雨季の間、6ヶ月間は川の流量が大幅に減少することになり、周辺の砂漠化など環境への影響は避けられない。

 1 1991年7月に日本工営株式会社によって行われた「環境アセスメント報告書」によると、ケニア水資源開発省(The Ministry of Water Development)の基準により流域住民の水利用のために4・0立方メートル毎秒の水を取水堰の下流に流す必要があるとのことだ。乾季において4・0立方メートルの水を流すことができるのか。また、この程度の流量では水が土壌に吸収されてしまう可能性が極めて高いと懸念されるが、政府はどのように考えているのか。詳細な見解を示されたい。
 2 川の流量が大幅に減少する乾季、少雨季の環境保全、および耕地のため、どのような対策が講じられているのか。具体的な説明を詳細に頂きたい。

三 地域の合意について

 1 地域住民への情報提供の欠如について
 ソンドゥ川の流域の住民は、環境影響評価書の策定時、川の流量変化など事業に伴う社会・環境影響について十分な説明を受けていなかったが、工事が始まって2年以上たった今も流量変化について知らされていない。
 この状況は適切とされる環境アセスメント手続きが取られていないことを示している。地域の住民に十分な情報が与えられていないのはなぜか。また、今後はどのような対応を考えているのか。政府の対応策を示されたい。
2 対話集会について
 2001年1月24日・26日、ケニア側実施機関、住民、NGOが参加する対話集会が現地で開催された。外務省によると、本事業の継続支持、早期の第二期借款の供与要望が表明され、事業実施の過程で懸念が示された諸点については第二期事業の過程で定期的な協議を実施することが決議されたとのことである。しかしながら、NGO側からは事業継続支持を表明した事実はないと議事録の記述内容について強い疑念の声が挙がっている。
 現在、政府に対し対話集会の議事録の内容提示を求めている。当初は在ケニア日本大使館が管理しており、テープ起こしのために時間がかかるとの説明を受けていたが、その後、対話集会を主催したケニア電力公社が管理しているため、早期内容提示はできないと説明された。このように説明が変化したのは何故か。また、議事録の提示に多大な時間を要する理由は何か。明確な説明を求めたい。

 3 技術委員会について
 2001年1月26日、当事業の再検討を行う技術委員会が設置された。しかし、現在の技術委員会は、計画を推進する側のケニア電力公社の職員中心に構成されており、公正ではない上に、専門知識を持っているメンバーが十分ではないとの指摘がNGO連合から出されている。

 @ 技術委員会のメンバーが公正な検討を行うには再構成が必要であり、法律家や地質学者、水利技術者、土地測量士など、適切な専門知識を持った外部の専門家が参加するべきだと思われる。現状を解決するために具体的な行動を起こす予定はあるのか否か。政府の見解を示されたい。
 A NGO連合は、技術委員会はケニア電力公社と地域住民の法的拘束力のある合意書に基づいた機関になるべきであると強く求めている。これは本事業が内外から信頼を得るためには必要な措置だと思われるが、政府はどのように考えているのか、説明を求めたい。
 B NGO連合は、技術委員会の委員長は、ダム建設による利害から超越した、人々に広く受け入れられる人が適任であるとの見解を示している。ところが技術委員会の現委員長はケニア電力公社により選出され、ダム建設者の利益のみを優先する態度を続けてきた。この点について政府はどのように考えているのか。また現状を解決するために具体的な行動を起こす予定はあるのか否か。政府の見解を示されたい。
 C 本事業執行の第一期において、重大な汚職、人権侵害が指摘されていることを踏まえ、事業への支援金や機材についての監査は、事業に対する利害関係がなく国際的に信頼度の高い監査人が行うべきとの提案がNGO連合より出されている。今後、このような対応を行う予定があるか否か。政府の見解を示されたい。

 4 環境社会調査ミッションについて
 国際協力銀行では、2001年2月26日から3月2日までの日程で環境社会調査ミッションを派遣し、本件事業の批判に対する現地調査を行ったとのことである。下記について説明を伺いたい。

 @ 住民の多くは本件事業の継続を求める一方、雇用の拡大等を要望したとあるが、住民の多くとは、現地のどのような住民を対象としたのか、またどのような方法で意見を聞いたのか、具体的な方法、対象地域、対象人数などについて説明を伺いたい。また、雇用拡大の要望についてはどのような対応を考えているのか、政府の見解を伺いたい。
 A 現地では、工事の開始に伴って従業員向けの商店や飲食店が増加しており、全体として地域が貧困化しているとは考えられないとの報告がなされている。しかし、漁業や農業に従事している住民は経済的に負の影響を受けており、受益者は地元有力者など地域住民の一部であるとのNGO等からの指摘もある。新しく営業を開始した商店や飲食店の数は具体的にはどの程度なのか。また商店等の経営者は地域におけるどのような立場の人なのか。また、立ち退きによって影響を受けた地域住民の自立に向けて、地域ビジネスの起業支援など何らかの対策がなされているのか。説明を伺いたい。

 右質問する。



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