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平成十三年六月六日提出
質問第八七号

バルーチャン水力発電所修復プロジェクト(ミャンマー)に関する質問主意書

提出者  首藤信彦




バルーチャン水力発電所修復プロジェクト(ミャンマー)に関する質問主意書


プロジェクトの概要
 日本政府は本年四月、来日した外務副大臣に対しミャンマー東部カヤー州のバルーチャン水力発電所の修復について無償資金協力(35億円)を行うことを約束した。
 バルーチャン水力発電所はミャンマーにおける最大の水力発電所で、ミャンマー全体の電力消費量の2割程度を生産している。1960年、日本の対ビルマ戦時賠償第一号として建設され、1986年には補修のための有償資金協力(35・3億円)が実施されている。
 ミャンマーの都市部では停電が常態化するなど電力事情の悪さが大きな問題になっている。一方、発電施設の老朽化、送電時の多大な電力ロス、また98年前後には、発電所水源地域での渇水により、発電量が低下したことが指摘されている。
 しかしながら、ミャンマーにおいては軍事政権による深刻な人権問題が存在しており、国連総会、国連人権委員会において軍事政権を非難する決議が採択されている。また、ILOなどの国際機関、人権活動家からも強い非難が寄せられており、状況が改善されない状況で大規模なODA供与を行うことに関しては、世界的な論議の対象になっている。5月15日に行われた米国上院歳出委員会小委員会での公聴会ではパウエル国務長官が「適切な投資ではない」と発言するなど、多くの批判が寄せられている。
 日本政府はミャンマーでの電力問題を水力発電所および、周辺設備の維持などの設備面からのみ検討するのではなく、国民民主連盟(NLD)と現政権の対話を進展させ、民主化推進に寄与する役割を果たす手段と捉え、電力確保という名目のもとで生存を脅かされている地域住民の人権状況の改善にも繋がるよう総合的な角度から検討すべきである。本プロジェクト決定の経緯や人権問題に関する政府の見解について、以下質問する。

一 地域住民の合意
 このプロジェクトを実施する上で、昨年、国際協力事業団の専門家がフィージビリティースタディー(F/S)を行ったが、プロジェクトの実施によって影響を受ける地域に住む住民の賛同意志については、当然意志確認調査を行ったものと考える。その手法は何か。またどのような結果が得られたのか。プロセスも含め、詳細に示されたい。
二 事前調査について

 1 バルーチャン水力発電所の修復に関しては35億円の無償資金が供与されるとされている。従来ミャンマーにおいては、このようなプロジェクト実施に使われる金額の不透明性が指摘されており、このプロジェクトに対する世界的な批判を考慮すると、徹底して透明性を追求しなければならない。35億円はダムの修復費用としては極めて大きな金額であるが、金額の根拠を項目ごとに詳細に示されたい。
 2 同州やシャン州では97年から数年に渡って降水量が減少しており、バルーチャン川上流のインレー湖でも水量が激減した。その結果、発電所上流のモブエ・ダムの水量が減少したことが、深刻な電力不足の根本の原因であると指摘されている。同ダムの水量の減少が電力不足の要因であるならば、発電所の修復は本質的な解決にはならないと考えられるが、この点について政府はどのように考えているのか。見解を伺いたい。
 3 この水不足を原因の一つとして、モブエ・ダムから農業用水を引いていた農民に対し、ミャンマー政府は98年に取水制限命令を下し、すべての水を発電所向けに確保するため、モブエ・ダムの両脇の水路を閉鎖した。この措置によって、周辺に住む農民は作物を栽培できない状態であると伝えられている。
 ダムの修復作業によって、この状況がさらに悪化する可能性も考えられるが、周辺の農業への影響緩和のためにはどのような対策を考えているのか。具体的な対応策を示されたい。

三 人権問題

 1 ミャンマーでは従来、大きなプロジェクトが入ると一帯が軍の支配下に置かれ、直接間接的に軍の使役や建設作業のために強制労働が行われる。地域住民の生活は大きな打撃を受け、農業や教育などにも悪影響が生じている。
 この実態については国連総会、国連人権委員会において軍事政権を非難する決議が採択されている他、ILOなどの国際機関、人権活動家から強い批判が寄せられているが、政府はミャンマーの人権状況、および奉仕労働の強制の実態をどのように認識しているのか。詳細な説明を示されたい。
 2 ミャンマーにおいては、プロジェクトの実施によって発生する強制労働や無償での立ち退きなどより、地域の住民生活の貧困化に拍車がかかるとの見方が一般的である。これは、ODA大綱にある人権への配慮には明らかに反するとみなされ、本プロジェクトの実施についても見直すべきとの諸外国から強い非難が寄せられている。この点に関し政府はどのように認識しているか。 見解を詳細に伺いたい。
 3 軍事政権は1981年以降、水力発電所周辺に地雷を設置しており、周辺には未だ3000もの地雷があると言われている。厳密には停戦状態にはないとの指摘もあり、ミャンマー国内の民族融和と民主化が進展していない状況での修復は再び反政府勢力の標的となり、援助が無駄になる可能性もある。これらの状況について政府はどのように認識しているか、見解を示されたい。
 4 軍事政権・国家平和発展評議会による民主化勢力の抑圧や少数民族への人権侵害は全国的に続いており、国境のタイ側には13万人以上とも言われる難民が避難している。また数十万人が国内避難民として国内で生活しており、外部から一切の援助を受けることができない状況が続いていると報道されている。これらはこの国の人権問題を表す実例であるが、政府はこの状況についてどのように認識しているのか。

四 ユーゴスラビアの援助と中国からの資金の還流
 このプロジェクトに関する日本政府が実施予定の改修工事以外の送電線工事などについては、ユーゴスラビアが請け負うことになり、総額3000万ドル、年利3・5%で有償資金協力を行うことがミャンマー政府との間で契約に正式調印された(平成13年5月17日)。
 しかしながら、ユーゴスラビアが海外に資金援助できる余裕がないことは明白で、日本から資金援助を受ける一方で、第三国への支援を拡大している中国の資金の還流を指摘する声も出ている。

 1 この件に関しては、中国、およびユーゴ政府の見解について、どのような形で事情聴取を行ったのか。中国、ユーゴスラビア両政府の見解はどのようなものだったのか詳細を示されたい。
 2 我が国のODAが第三国に還流される事態は看過できないものであるが、日本政府としてはどのように認識しているのか。また、今後はどのような対応を考えているのか、具体的に示されたい。

五 電力の軍事利用に関して
 日本政府はこのプロジェクトを人道援助としているが、インターナショナルヘラルドトリビューン紙などの報道機関は、電力の3分の1は軍関係が使っているとの調査結果を報道している。人道援助と称して発電所の改修を行い、軍に電力を供給することは許されないとの国際社会の指摘について、政府の見解を示されたい。
六 民主化実現への影響
 ミャンマー国内において人権問題等の状況に進展が見られず、国際社会が軍事政権と国民民主連盟(NLD)との対話を慎重な姿勢を取る中、日本が経済援助を行うことは、軍事政権の政策を容認しているとのシグナルを発することになる。この点についての影響力をどのように認識しているのか。見解を示されたい。

 右質問する。



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