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平成十三年六月十九日提出
質問第一〇四号

警視庁立川少年センター臨床心理士の発言に関する質問主意書

提出者  菅原喜重郎




警視庁立川少年センター臨床心理士の発言に関する質問主意書


 米国国務省は、平成十一年九月九日「国際宗教自由報告書一九九九年版」を発表し、その中で、宗教法人世界基督教統一神霊協会(以下、「統一教会」という。)の信者から、警察が日本国内に存在する強制改宗問題を取り締まらないとの訴えがあったことを報告し、以後、毎年発表される国際宗教自由報告書及び国際人権報告書において繰り返しこの問題を取り上げてきた。一方、平成十二年四月二十日、衆議院決算行政監視委員会においては桧田仁衆議院議員(当時)によりこの問題に関する国会質問が行われ、その際、田中節夫警察庁長官は、「警察職員は日本国憲法及び法律を擁護し、不偏不党かつ公平中正に職務を遂行している、警察が具体的に関与をして犯罪行為が行われるということは承知していない、全国の幾つかの県警察において、統一教会の信者から被害申告あるいは相談がなされたことは承知しているが、国民の生命、身体、財産の保護に任ずる警察としては、今後とも刑罰法令に触れる行為があれば、法と証拠に照らし、厳正に対処する」旨答弁したところである。
 しかるに、この度、統一教会信者に対する強制改宗活動に警視庁職員が深く関与し、警視庁もこれを警察の職務遂行活動の一環として容認しているという事実が明らかとなった。本年一月二十七日、東京都千代田区内の東京国際フォーラムにおいて、東京都青少年協会及び財団法人東京都ユースホステル協会の共催にて開催された「21世紀へのSPICE・平和への架け橋」と題する国際シンポジウムにパネリストとして登壇した警視庁立川少年センター臨床心理士竹江孝氏は、講演中次のような発言を行った。
 現在でも「ビデオセンター」、「スリーディズ研修」、「セブンディズ研修」という言葉をお聞き及びの方はいらっしゃいますでしょうか。あの「集団結婚式」をやる教会でございます。あそこは、ビデオセンターを通じて洗脳教育をしています。ですから、我々も相談を受けることがあるのですが、逆洗脳しなきゃならないわけで、ところが、教団の方と一緒に接していると、洗脳は繰り返し繰り返し受けるわけで、その教団から離して「監禁療法」から始めなきゃいけません。ですから、これを改善し引き戻すのは大変でございまして、私も成功した例は一件しかありません。
 これは、お父さんがお仕事をおやめになって、ホテルを借り切りまして、娘と二人で、ホテルの一室に監禁して、洗脳をゆるめていった。そして洗脳がゆるまってきたところで、別の正統派のキリスト教の教義を再洗脳していったということで、救い出していったわけです。
 ですから我々は親御さんに、「チェーンを巻いて、鍵をかけて、監禁しろ」と勧めるんですが、お母様がたいてい「かわいそうだ」と、時々カギを外すんです。それで逃げられてしまって、最初ははじめの所に戻るので引き戻せるんですが、二回目に逃げられた時は、違った所に行くんで、これで行方不明になって連れ戻すことができないという経験をしております。
 右発言中に「集団結婚式」をやる教会として指摘された宗教団体であることが文脈上明らかである統一教会は、右発言内容を入手するや、野田健警視総監に対し、平成十三年四月十二日付にて質問状を送付し、竹江氏の講演中の発言によって明らかとなった同人の日常業務における「監禁療法」の指導及び同人が講演で聴衆に対して行った「監禁療法」の指導が憲法その他の法令に違反することを指摘した上、これを問い質した。これに対し、警視庁は、警視庁生活安全部少年育成課長名義の本年五月十八日付文書により、統一教会に対して次のとおりの回答を行った。
 警察は、日本国憲法・法令を擁護し、不偏不党かつ公平中正にその職務を遂行しております。
 少年警察は、少年の非行防止、健全育成及び福祉を図ることを目的に活動しております。
 講演は、子供の育成のためには親の監護と深い愛情の必要性について述べている中の一部分で、講演者が以前に相談を受けた「我が娘の家出に悩む親の体験談」を事例として紹介したもので、貴会の名誉及び信教の自由を侵害する意図は全くありません。
 子供の問題で悩む家庭の多い昨今、家庭内での親と子供の在り方について、示唆したものであることを御理解いただきたいと思います。
 このように、警視庁は、右回答において、竹江氏が講演中紹介した「監禁療法」事例が実際に存在したことを認めたのみならず、「監禁療法」の指導が「家庭内での親と子供の在り方」を示唆したものであるとして、これを容認する主張を行ったものである。
 そこで以下の点について質したい。

一 竹江氏の講演中の発言によれば、同人は特定宗教団体信者の信仰を失わせるために同団体信者をホテルの一室等に監禁した上で「別の正統派のキリスト教」の教義を「再洗脳」することを「監禁療法」と称し、これまで信者の父兄に「監禁療法」の指導を繰り返し、実際の成功例が一件存在するということであるが、警視庁職員によって「監禁療法」なる特定宗教団体からの脱会説得方法が父兄に対して指導されている事実を政府として把握しているのか。
二 竹江氏が指導する「監禁療法」においては、特定宗教団体信者の信仰を破壊するために同宗教団体信者を監禁し、本人が希望しない別の宗教教義を「洗脳」するという手法がとられているが、こうした行為は、憲法第二十条が保障する信教の自由及び政教分離原則に明らかに反すると考えられるが、政府としてはどのように判断するのか。
三 警察庁長官においては、警察が「日本国憲法・法令を擁護し、不偏不党かつ公平中正にその職務を遂行している」旨答弁するが、他方で、同長官の指揮監督下にある警視庁にあっては、前記回答において、竹江氏が講演中紹介した「監禁療法」事例が実際に存在する事実を認めた上、講演での同氏による「監禁療法」の指導は「家庭内での親と子供の在り方」を示唆したものであるとし、警視庁として、その職員が特定宗教団体信者の父兄に対して行う「監禁療法」の指導及び講演会等で行う指導を警察の職務遂行活動の一環として位置づけており、警察庁長官のいう日本国憲法・法令の擁護及び不偏不党・公平中正とは程遠い立場をとっているものである。このような警察当局内における矛盾について、政府としてはどのように考えているのか。
四 警察庁長官は、親子あるいは親族であっても刑罰に触れる行為があれば厳正に対処している旨答弁しているところ、警視庁職員である竹江氏が特定宗教団体信者の父兄に「チェーンを巻いて、鍵をかけて、監禁しろ」と勧める「監禁療法」では、親が子をホテルの一室等に監禁するという手法がとられている。このような監禁行為は、明らかに刑法第二百二十条の監禁罪に該当するものと考えられるが、公務員たる警視庁職員が国民に具体的な犯罪行為の指導・教唆をしていることを政府として容認するのか。
五 警察庁長官は、警察が具体的に関与して犯罪行為が行われた事実は承知していないと答弁しているが、その指揮監督下にある警視庁職員である竹江氏は、その日常業務において特定宗教団体信者の父兄に対して監禁行為を指導していることを発言し、警視庁としてもこれを認める回答をしている。警察当局内部における杜撰な職員の管理監督体制の問題について、政府はどのように考えるのか。
六 平成十二年八月三十一日、鳥取地方裁判所は、統一教会信者を監禁して脱会させようとした両親及び牧師の損害賠償責任等を認める判決を下し、また、本年三月三十日、神戸地方裁判所は、エホバの証人信者を監禁して脱会させようとした牧師の行為を信教の自由を侵害するものと認定し、牧師の損害賠償責任を認める判決を下した。このような裁判所の判断に鑑みれば、竹江氏が特定宗教団体信者の父兄に指導する「監禁療法」は、民事上も違法(不法行為)であると考えられるが、政府としてはどのように判断するか。
七 竹江氏が特定宗教団体信者の父兄に対して行う「監禁療法」の指導は、憲法その他の法令に違反する極めて違法性の高い行為であり、国民の安全を守り人権を擁護すべき職責にある警察職員が国民に対して犯罪行為の指導をするなど到底許されないと考えられるが、政府としては、今後、竹江氏が行ってきた「監禁療法」の指導等の事実関係について徹底調査し、同氏に対する厳正な処分の検討を含めた関係省庁の監督指導を行う考えはあるのか。

 右質問する。



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