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平成十三年六月二十八日提出
質問第一一九号

児童虐待防止法の運用に関する質問主意書

提出者  植田至紀




児童虐待防止法の運用に関する質問主意書


 昨年十一月に、本法の施行により、国民の間に、児童虐待への問題意識が喚起され、児童相談所への通告、警察への通報も大幅に増加しているという。半年間の運用を踏まえて、現場の苦悩を踏まえて、三年後の改正まで、より実効性のある運用と対策を求める立場から質問するものである。

一 児童相談所が県下に一箇所しかないような地域では、さきに警察に通報される場合もある。
 各警察によって、対応はさまざまであるが、ある県においては、児童虐待が警察に通報され直後に親を現行犯逮捕し、その後、子どもを児童相談所に引渡し、児童相談所の関与が警察の後となったケースでは、保護者は、児童相談所にも不信感をもち、児童相談所によるケースワークに困難を来たしたとの声がある。地方自治体によっては、警察との協力関係が順調なところもあり、またところによっては、介入の立会いにも消極的な地域もあるという。
 児童相談所が、ケアワーク中である保護者を児童相談所への相談なしに逮捕したケースでは、それまで児童相談所と保護者が築いた信頼関係を一気に破壊してしまい、マイナスからやり直すことになったという。
 子どもの命に関わるような、緊急性を要する場合は現行犯逮捕も必要であるが、本法の趣旨である家族の再統合を目指すとすれば、警察は児童相談所の方針を尊重、協力関係のもとに、行動すべきと考えるが如何。
二 警察庁は、厚生労働省と児童虐待対応について、対応方法を定め、また協力関係を推進する協議を持っているか如何。
三 今後、子どもに対応する事例が増えるに従い、警察においても専門性がなお一層要求される。全国的に統一した研修カリキュラムを設ける必要があるのではないか。
四 ある虐待事件では、警察の保護者逮捕後、児童相談所に保護された子どもの事情聴取で、児童相談所所長の立会いも認めなかった事例があるという。また、知的障害児への性的被害の聴取では、「きもちよかったか」などという、質問を発する捜査員がいたという。捜査上、被害者たる子どもから事情を聞く義務があるが、専門研修を経た専門担当者が行うべきだが、経過措置として婦人警官が、子どもへの聴取を行うことが、子どもの心の安定上からも適当ではないか。
五 児童相談所の介入まえに、警察が逮捕した事例を承知するか。それは何件か。また、児童相談所の対応中に、警察が介入した事例を承知するか。それは何件か。
六 警察が、保護者を逮捕した場合児童相談所所長に保護者を告発するように働きかける例もあるというが、警察庁の対応ガイドライン、指導等があるのか。
七 子どもの身体の安全、命の危険に関わる場合、警察の介入、児童相談所の調査への同行協力など、躊躇されてはならないが、警察の取るべき対応をどのように考えるか。
八 被虐待児を預かっていた里親が、保護者の強引な引き取りに対抗するため、家裁に「監護権」の申し立てを行い受理されたが、保護者側が地裁に上告したところ、地裁は「監護権は保護者にのみ認められる」ものとして、保護者側の訴えをみとめ、子どもが保護者に返されてしまった事例がある。この場合、地裁の判断は法解釈上妥当なものと認めざるを得ないが、関係者に疑問を残す形となった。一時保護の場合、施設においても強引な引き取りに対して、やむなく引取らせてしまうケースが存在する。里親制度の活用が、推進されているが、このような状態では、里親の負担も未知数であり、子どもの安定にもマイナスである。本法では、親権喪失と回復の積極的な運用によって対応するとしているが、親権喪失は、戸籍にも記載され、現場での運用が躊躇され活用されているとは言えない。
 子どもの命と身の安全に関わる問題であり、司法判断の選択肢の不備といわざるを得ない。
 児童福祉関係者は、親権を一時停止するなどの制度の創設を要望しており、親権の一時停止が可能ならば、強引な引取りも防ぐことができ、この間に、親に対するカウンセリングを義務付けるなど活用が構想されている。
 このような制度があれば、幼い命が、いくつとなく助かり、傷の浅いうちに回復の道に載せることが可能と信ずるものであるが、現場で要望されるように三年後の改正に向けて「親権の一時停止」の創設が必要ではないか。
九 現在日本でも、被虐待児を里親が預かるケースが増えているが、現在(昨年度)は全体の何割、何件であるか。
十 児童相談所で扱う子どもの多くが、被虐待児で占めるようになり、また民間施設も同様であり、50人以上の施設では、心理専門家の配置が義務付けられたといっても、専門家自体が虐待ケースに習熟していないという声がある。
 職員一に対して、子ども六など、実質は勤務時間の短縮により、八から十人の子どもを扱っているという。イギリスでは、一対一か、職員数の方が多いときく。
 心に傷を負った子どもたちの対応が必要とされている現在、これまで数十年続けてきた「育成」を軸とした処遇は、生活困窮家庭の子どもや、遺棄児童などを前提としており、対応が困難と言わざるを得ない。
 また、相次ぐ民間児童福祉施設での、体罰事件や不祥事は、心に傷のある子どもに人的体制が対応していないことが理由との見方もある。
 二一世紀を迎えて、わが国の被虐待児、心に傷を負った子どもに対する対応も、セラピュイック(治療的)手法に転換すべきではないか。
十一 米国では、治療的里親という報酬を伴う、専門トレーニングを受けた里親制度がある。わが国でも、導入を検討すべきではないか。
十二 現在、児童虐待に関する通告対応は、児童相談所に集中しており、去年の実数の倍のケースを担当する例もあるという。対応件数が多いがために、介入の機会を逸し、子どもを死亡させてしまった例も報告されている。今後、対応窓口を、子どものケア、親への対応など、地方自治体福祉担当、NGOなどに、緊急対応の迅速さが損なわれないよう、分散を推進、検討すべきではないか。

 右質問する。



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