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平成十三年六月二十九日提出
質問第一三四号

日本政府のカンボジア援助方針に関する質問主意書

提出者  首藤信彦




日本政府のカンボジア援助方針に関する質問主意書


 我が国はカンボジア和平、さらにその後の経済再建プロセスにおいて大きな役割を果たしてきたと言えよう。これまでのカンボジア援助政策は、市場経済化を推進し、経済発展を目指すことが基調になっていた。ところが、カンボジアが国際社会に復帰して約10年が経過した現在、援助の持続可能性と共に貧困層に対する公正な支援の実現が問われている。
 経済成長優先の開発援助は、環境の破壊と自然環境を生活基盤としていた人々の暮らしを破壊することで貧困化を加速し、貧富の格差に起因する社会不安をもたらす側面がある。
 従って、貧困層による農村開発への主体的な参画、そしてセイフティーネットのための公共サービスの実現が求められている。そのためには人間能力が発揮される社会環境整備が重要であり「行政改革」「司法改革」「軍・警察の改革」を含む「良い統治」「法の支配」の実現に向けたソフト分野の支援が必要不可欠となっている。
 日本政府はカンボジアの持続的開発の重点課題を、一部の上流階級や裕福層の成長のチャンス創出におくのではなく、貧困層の生活安定と内発的発展の機会を支援することに置くべきである。そのためには計画策定、実施のプロセスにおいてNGOの参加が不可欠であるという視点において以下質問する。

 T カンボジア援助計画を含むODA政策の策定プロセスの公開性とNGOの関与の在り方について

一 6月12・13日に、世界銀行(以下、世銀)主催のカンボジア支援国会合が開催されたが、世銀が進めるPRSP(Poverty Reduction Strategic Paper=貧困削減戦略書)作成の過程およびその後の運営について、世銀の理事国である日本政府に質問したい。
 (1) 世銀のPRSPの基本原則は、当事国のイニシアティブとオーナーシップ、また、貧困削減の対象である貧困層の人々、および、そのような人々と現場で密に関っているNGOの参加とそのための情報公開である。
 今回のカンボジア支援国会合において、この原則は実現されたと理解するべきか否か。その根拠を述べられたい。また、この原則を実現するため具体的にどのような配慮が行われたのか。どのような基準でNGOを選択し、実際にどのような情報を提供したのか。詳細な説明を頂きたい。
 (2) カンボジア政府においては、世銀やIMFによりPRSPの完成を急がされていることにより、オーナーシップやNGOの参加が脅かされていると言及する者もあると承知している。この点について、日本政府の見解を詳細に伺いたい。
二 外務省経済協力局政策課国別計画策定室が、2000年度に作成を予定していた日本政府の『カンボジア国別援助計画』について、第一次ODA改革懇談会フォローアップ小委員会の2000年5月30日の会合においては、国別援助計画に関し、NGO側からの「作成過程におけるNGOの参加の要望と、作成後のフォローアップ」に関する質問に対し、「骨子がまとまる前の時点でNGOの意見を聞きたい」との回答があった。また「策定後のフォローは検討中であり、現地NGOから意見をもらう機会を作ることも可能」とのコメントがあった。
 実際に『カンボジア国別援助計画』の作成過程において、それはどのように実施されたのか、詳細に答えられたい。
三 日本のODA理念や方針を検討する「第2次ODA改革懇談会」が田中外相の私的懇談会として進められているが、そこにおいて公開性やNGO参加の理念はどのように具現化されているのか。具体的な説明を頂きたい。一方、会議の公開や議事録の公開に関し、2年前の閣議決定で決められた「審議会等の整理統合に関する基本計画」では、会議の原則公開および議事録の公開が明記されているが、その原則はどのように具現化されているか、詳細な説明を頂きたい。

 U 武装解除計画について

一 カンボジア支援国会合においては、武装解除、および除隊兵士の支援のため約一億ドルの支援が決定し、日本政府も一千万ドルの支援を約束したと承知している。カンボジア再建に関わってきた経緯からも、明確なイニシアティブを取ってこの問題に関わるべきだと考えるが、日本政府の方針について質問する。
 (1) 日本政府のカンボジア支援において、武装解除および除隊兵士支援にはどのような意味があり、どの程度の優先度で取り組む予定なのか。政府の見解を述べられたい。
 (2) すでにEUやUNDPなどがパイロットプロジェクトの支援活動を行っており、日本政府の支援はそれらのプロジェクトを補完するものと考えられている。優先度が高いものであれば独自の戦略があるべきであるが、それは何か。具体的な説明を詳細に頂きたい。
 (3) この経験は、世界における紛争後の平和再建に苦しんでいる各国に応用することができるものでなくてはならないと考えるが、どのように国際社会に広げていく予定なのか。具体的な説明を詳細に頂きたい。
 (4) 一億ドルの支援は具体的にどのように使われるのか。項目ごとに詳細に述べられたい。

 右質問する。



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