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平成十三年十一月二十七日提出
質問第二三号

国際熱核融合実験炉(ITER)に関する質問主意書

提出者  北川れん子





国際熱核融合実験炉(ITER)に関する質問主意書


 原子力委員会は今年六月にITER計画の推進、日本へのITER誘致の方針を決定した。その後、文部科学省がITER誘致候補地の選定作業を進め、十月十八日、那珂町と六ヶ所村が「十分な適性を有している」との選定結果を発表した。誘致先の決定は総合科学技術会議と政府にゆだねられることになった。
 ITERは原発などと同じように住民の被曝の危険を伴う核施設である。ITER計画には莫大な投資を必要とし、しかも、ITERから核融合実用化に至る道筋は具体的に示されてはいない。このような問題点が誘致候補地の住民や国民に対して十分に説明されないまま、日本への誘致作業が進められていることは重大である。
 すでに、誘致候補となっている地元の住民、全国の市民団体と協力してITERに関する問題点を文部科学省や内閣府と三回にわたって話し合ってきたが、その経過を踏まえて、以下の点を質問する。

一 国の行政改革推進事務局は「特殊法人等の個別事業見直しの考え方」の〈日本原子力研究所〉の項で、「ITER」について「誘致に係わる費用対効果分析、我が国の原子力研究開発の現状(高速増殖炉などの実用化目標時期、道筋、実用化までに要するコストなど)など、国民にわかりやすく情報提供し、国民的議論を行い、ITER参加と誘致の適否を慎重に検討する」こととしている。

 (一) ITERは巨額の投資を必要とし運転停止まで三十年という長期の計画である。ITER誘致に関する費用対効果分析、およびITER計画後の核融合の実用化に至る道筋を示されたい。
 (二) 「ITER計画懇談会報告書」は、ITERへの投資は「将来の人類への保険料」と述べている。この意味をどのように理解しているのか。
 (三) ITERに関するわかりやすい情報提供、国民的議論はなされてないと考えるが、今後、行う計画はあるのか。

二 第九回総合科学技術会議(八月三十日)で、原子力船「むつ」や高速増殖炉「もんじゅ」の二の舞にならないよう評価をお願いしたいと塩川正十郎財務大臣は発言した。

 (一) 原子力船「むつ」の開発(一九六三年の「原子力船開発事業団」設立から九五年「むつ」廃船まで)、高速増殖炉開発(一九六七年の「動力炉・核燃料開発事業団」発足から現在まで)、それぞれにどれだけの国の予算を使ったのか。これら開発は失敗ではないか、見解を示されたい。
 また、一九六八年に核融合を原子力特定総合研究に指定して以降、核融合の研究開発にどれだけの国家予算を投入したのか。これから、実用化までにどれほどの予算の投入を見込んでいるのか。
 (二) 塩川大臣の発言に対して、井村裕夫氏(総合科学技術会議有識者議員)はITERの「成功の確率は高い」と答えているが、総合科学技術会議またはそのITER検討会として、ITER計画から核融合の実用化までの道筋、タイムスケジュール、全体としてのコストの検討結果を述べられたい。
 (三) 塩川大臣の発言に対して、尾身幸次議員(科学技術担当大臣)は誘致が決まってから地元の反対で、できなくなるということがないように、十全の確認、必要な手だてを打つと答えている。ところが、「青森地域社会研究所」の八月の調査によれば、県民の約半数がITERについて「知らない」か「名前を聞いたことがある」程度である。主婦グループによる那珂町の調査でも、ほとんどの人が「ITERは被曝の安全基準が必要とされる施設であること」を知らないという状況である。尾身大臣や総合科学技術会議は、このような地元の状況を把握しているのか。今後、どのような手だてをとるのか。

三 平成十三年度の分野別エネルギー研究開発関連経費予算(文部科学省調査)によれば、原子力が約二千八百五十億円で全体の七十二%を占め、これに対して、自然エネルギーはわずか四%にすぎない。原子力関連に大きくシフトしているエネルギー研究開発関連の予算を全面的に見直すべきだと考えるが、どうか。
四 ITERの放射性廃棄物について

 (一) ITERの国際設計チームは、ニオブ94、ニッケル59など長寿命核種の発生量をどのように評価しているのか。
 (二) ニオブ94などの長寿命核種を含む廃棄物は高βγ廃棄物同様に地中処分するということであるが、超長期(一万年以上にわたる)の処分サイトの保守、管理の費用はどうなるか、ホスト国の負担になるのか。またその金額はどのように見積もっているのか。

五 文部科学省は八月二十四日、前日の市民団体との話し合いでの同省の発言に関して、我が国の原子力法令において公衆の被曝線量限度は平常時一ミリシーベルト、想定事故時のめやすとしては五ミリシーベルト、国際原子力機関(IAEA)提唱の避難を要しない範囲としては五十ミリシーベルトだと、「地球救出アクション97」に対して補足修正を行った。

 (一) 事故時に国が守るべき公衆の被曝基準は五ミリシーベルトなのか。五ミリシーベルトであれば、その法的および安全上の根拠はなにか。
 (二) ITERで、過度の被曝をもたらすおそれのある事故が起きた場合、我が国でもIAEAの避難を必要としない五十ミリシーベルトの基準を準用するのか。
 (三) 「北海道ITER安全問題協議会」で山科俊郎委員と田中裕二氏(オブザーバー)が、また青森の「ITER誘致講演会」で苫米地顕氏(電力中央研究所)が、「トリチウム一〇〇グラムが環境中にでても周辺住民は大丈夫」との見解を表明した。一〇〇グラムが環境中に放出された場合、住民の被曝は最大で五十ミリシーベルトを超える場合があるが、これを否定するのか。このような被曝を受けても大丈夫なのか。

六 ITERで以下の災害が起きた場合、安全性は技術的に確保できると考えるのかどうか。

 (一) 航空機がITERの建屋に墜落または激突した場合
 (二) トリチウム輸送時に、輸送船、また輸送用のトラックが事故やテロで炎上した場合

七 ITERに関する原子力安全委員会等の安全評価、安全審査は、「基本設計」「詳細設計」「実施設計」のいずれに対して行われるのか。
八 トリチウムの海上および陸上輸送時の「テロ」に対する防護をどのように行うのか。
九 原子力委員会は八月二十三日、市民団体との話し合いにおいて、他極や米国の状況を見極めてITERに関して必要な判断を行うと述べた。

 (一) 米国のITER計画への復帰がなくても、ITER計画とその日本への誘致を積極的に進めるのか。
 (二) ITER計画に関するEUの費用分担の枠組みが決まるまでは、日本のITER誘致についての政府決定は延ばすのか。

 右質問する。



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