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平成十四年六月十七日提出
質問第一〇八号

高速横浜環状道路南線に関する質問主意書

提出者  佐藤謙一郎




高速横浜環状道路南線に関する質問主意書


 本事業は一九九五年四月に都市計画決定がなされているものの、住民の合意が得られず、工事は進んでいない。
 特に、公田インターチェンジが建設される谷間には自動車排気ガスが滞留しやすい逆転層が発生するため大気汚染公害の危険性があるとの懸念から、住民は事業者(国土交通省、日本道路公団、横浜市)に対して、この危険性を回避する方策について説明を求めているが、事業者は住民が納得する説明責任を果たさず事業を強行しようとしている。
 すなわち、この大規模な事業に関して、住民との間の合意形成が出来ていない状況にある。この状況に鑑み、この道路計画について住民が疑問に思っている事項について政府の見解が明示され、事業者が持っているのと同じ情報及びデータを住民が入手して合意形成の為のPT(市民参画)プロセスを適用し、両者が懸案事項について衆知を集めて議論を進めれば、両者の間で同一の結論が得られるものと期待するものである。
 従って、次の事項について質問する。

一 本事業による大気汚染が周辺住民に健康被害を与える危険性について
 1 旧建設省土木研究所の交通環境研究室の平成十一年度研究成果概要によれば「谷や盆地のような局地的に閉じた地形においては、逆転層発生時には大気汚染物質が滞留し、大気汚染の影響が顕著になると考えられるが、現在のところこのような地形による逆転層の影響を予測できないため、その予測手法の確立が必要である」として研究(期間平成十年〜十三年)が進められている。
 現在のところこの予測手法は確立されていないと考えるが、いかがか。
この予測手法が未だ確立されていない事を知っていながら、事業者はパフ式やプルーム式などこの予測手法として適格性を欠く手法を使って公田、神戸橋、田谷などの大気汚染予測評価を行ったことになる。すなわち、上記三ヶ所におけるNO、CO、SOの大気汚染予測値は全て環境保全目標を達成しているとする環境アセスメントは偽りであり、無効であると考えられるが相違ないか。
 予測手法が確立されていないにもかかわらず環境保全目標を達成できると断言するのであれば、その根拠を明示してほしい。
 上記の研究の成果は国民の財産である。現時点での研究の成果について公開出来るのかどうか、政府の見解をうかがいたい。公開できないのであれば、その理由を明示されたい。
 なお、環境省国立環境研究所で同様の研究が行われているのであれば、その研究の成果についても前述と同様の質問に回答されたい。
 2 公田インターチェンジは盆地や山岳地帯に設置されるものではなく、
   @周辺に住宅街がありA幅約三〇〇m、深さ約六〇m、長さ約一.五kmほどの狭い谷間に設置されBこの谷間では最高で約八℃/一〇〇mという強い逆転層が出現することが確認されている。
 このような条件を備えたインターチェンジの類似事例の有無について明らかにされたい。類似事例がある場合、逆転層の影響による大気汚染の事後調査(モニタリング)データの有無について、及びある場合には、データを公開出来るのかどうか、政府の見解をうかがいたい。
 3 換気所から排出される自動車排出ガスの土壌脱硝装置に関して、既に供用している実施例についての詳細データ(設置場所、供用開始時期、脱硝技術の種類、容量、性能、建設費等)及び夫々の実証試験結果を公開出来るのかどうか、政府の見解をうかがいたい。なお、土壌脱硝技術は既に実用されているのであるから,本事業に脱硝装置を設置すべきと考えるが、いかがか。設置しないというのであれば,その理由を説明されたい。
 4 事業者は「SPM及びDEPについては環境アセスの段階では予測が困難であるということから実施していないが、事後調査の調査項目として予定している」としている。一九九七年にSPMの予測評価方式が確立されているにもかかわらず、予測評価を行って大気汚染公害の危険性を回避しようともせず道路を造り供用し、危険性を回避する保証のない事後調査で対応しようとしているが、最近の道路公害裁判の判決事例をみても許される事ではない。早急に予測評価を実施の上、環境保全目標を達成しているか確認すべきと考えるが、いかがか。もし実施する必要がないとするならば、その理由を明らかにされたい。
 5 環境影響審査書についての環境庁長官意見(一九九五年四月)を受けて建設省が公田、神戸橋、田谷の三ヶ所で実施した気象調査(一九九五年十二月五日〜一九九六年十二月四日)の分析結果は逆転層発生時における大気汚染公害を回避する為に活用されるべき重要資料であるにもかかわらず、今迄公開されていない。この調査・分析結果の詳細な報告書を公開出来るのかどうか、出来ないのであればその理由について政府の見解をうかがいたい。
 この気象調査は、環境影響評価審査書に対する報告書(一九九五年四月)の提出以降に行われたもので、報告書には当然反映されていない。
 従って、大気汚染公害を回避するためには、この気象調査の分析結果に基づき、予測評価のやり直しを実施すべきと考えるが、政府の見解をお示しいただきたい。もし実施する必要がないとするならば、その理由を明らかにされたい。
 6 公田、神戸橋、田谷の三ヶ所における大気汚染による周辺住民への健康被害の危険性を回避するためには、NOの環境予測の長期評価(日平均値の年間九十八%値)に加えて、大気汚染が高濃度になる冬季の最も強い逆転層が継続する期間、例えば二日間、四日間、七日間を選んで、夫々の期間における環境予測の短期評価を実施する事が不可欠と考えるが、政府の見解をお示しいただきたい。
 もし、実施する必要がないとするならば、その理由を明らかにされたい。
 7 事業者は公田インターチェンジ周辺の大気汚染公害の危険性を予測しながらこれを回避せず、事後調査(モニタリング)で対応しようとしている。
 これ迄、事後調査で環境保全目標値を上回る調査結果が出ても、事後では適切な対策を採り得ないことは、東京港臨港道路などで実証済みと考えられる。にもかかわらず事後調査の実施でなぜ危険性の回避を保証出来るのか、その根拠を示して欲しい。
 8 最近の道路公害裁判(国道四十三号線と西淀川大気汚染公害)の判決は「公害の危険性が予測される場合、危険性を回避する可能性があるにもかかわらず、回避策を十分検討する事なく、危険性を有したまま道路を造り供用し、事後調査で対応するやり方は許されない」と当該事業者を厳しく断罪している。事業者はこの同じ過ちをこの事業において犯そうとしているのではないか、政府の見解をうかがいたい。
 公害が発生した場合、国は当然その責任(不作為責任・未必の故意)を負わなければならないと考えるがどうか。
二 本事業の総建設費増大の理由について
 本事業の総建設費は一九八八年当時の発表では二〇〇〇億円であったものが一九九九年の発表では三五六五億円に増大した。一九八八年から一九九九年に亘るバブル崩壊による地価の大幅な下落を併せ考えると、この建設費の増大は到底納得出来ない、と住民は指摘している。この建設費の増大の理由とその内訳について情報を公開出来るのかどうか、出来ないのであればその理由について政府の見解をうかがいたい。
三 本道路計画の抜本的見直しの必要性について
 1 事業者は「昭和六〇年度及び平成二年度全国道路交通情勢調査」を計画交通量の算出根拠としているが、この十二年の間に社会・経済情勢は激変しており、これらの古いセンサスに基づく交通量予測は今や当てにならないのではないか。最新のセンサスに基づいた予測をやり直すべきと考えるが、いかがか。なお、南線及び上郷公田線に関連する新設道路、アクセス道路、従来の道路などを含めた道路網全体の交通量、交通流などを明らかにした上で、どのように計画交通量を決めたのかを明示した算出結果の報告書を公開出来るのかどうか、出来ないのであればその理由について政府の見解をうかがいたい。
 2 本事業は七年前に都市計画決定されているものの、住民の合意が得られず工事は進んでいない。この間に、経済・環境状況は激変し、現状の道路計画とその環境アセスメントはすでに陳腐化していると考えられる。
 従って、この大規模な事業についてはPI(市民参画)を適用して衆知を集めて道路計画の諸要素(道路の必要性、ルート、計画交通量、事業実施時期、事業予算、事業の採算性など)の抜本的見直しをする事が不可欠と考えるが、政府の考えはいかがか。見直しの必要はないと考えるのであれば、その理由を明らかにしていただきたい。
四 環境影響評価法に基づく本事業の環境アセスメントの再実施の必要性について
 上記三の2項で述べた見直し後の道路計画による環境への影響を回避、低減する為に、環境影響評価法三十二条を適用して環境影響評価法に基づく環境アセスメントの再実施(再アセス)とそれに基づく環境保全対策を、逆転層が発生する谷部での大気汚染及びSPM,DEPによる大気汚染を重点アセス対象項目として、更にオオタカの営巣地の発見や阪神大震災から学んだ項目も加えて、PIを適用して実施する事が不可欠と考えるが、政府の考えはいかがか。再アセスの実施の必要がないと考えるのであれば、その理由を明示していただきたい。
五 本事業にPI(市民参画)による合意形成プロセスを適用する必要性について
 この道路計画が住民の知るところとなって以来現在に至るまで、事業者から住民への情報伝達が一方的、形式・手続的で、事業者は住民の問いに真摯に答えず、話し合いの拒否、不公正かつ不透明な対応に終始し、説明責任を果たさず、住民との合意形成を図ろうとしていない、と住民は指摘している。
 「公共事業の説明責任向上行動指針」や「道路計画合意形成研究会提言」などの国の通達が本事業では全く実効を上げていない状況にあると考えられる。
 この状況を改善して住民の合意を得るために、「都市計画決定がなされているものの、市民等の反対等により事業化に至っていない大規模な事業について、合意形成が必要なものについてはPIプロセスを適用すべきである」とする国土交通省の方針に基づき、本事業にPIを適用すべきと考えるが、政府の見解をうかがいたい。もし、その必要はないというのであれば、その理由を明示していただきたい。

 右質問する。



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