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平成十四年十一月二十八日提出
質問第一六号

不当労働行為に対する労働委員会の救済命令不履行の違法性に関する質問主意書

提出者  川田悦子




不当労働行為に対する労働委員会の救済命令不履行の違法性に関する質問主意書


 労働委員会の救済命令を使用者が履行しない場合に使用者に対する直接の罰則規定は存在しない。従って、労働委員会の救済命令については、地方労働委員会の命令の場合は使用者は中央労働委員会に再審査の申立をし、又は地方労働委員会・中央労働委員会の救済命令の取消しの訴えが提起されて、当該命令が確定しない間は、裁判所がいわゆる緊急命令を発した場合を除き、使用者は刑罰又は行政罰により、当該救済命令の履行を強制されることはない。
 しかし、労働委員会命令は行政処分としていわゆる公定力を有する。その効力に関しては、次のような現行法令の明文規定及び裁判例もある。

@ 労働委員会の救済命令は、その命令書の「交付の日から効力を生ずる」(労働組合法二七条四項)
A 使用者は、「遅滞なくその命令を履行しなければならない」(労働委員会規則四五条一項)
B 中央労働委員会への再審査の「申立は、当該命令の効力を停止せず、その命令は、中央労働委員会が第二五条の規定により再審査の結果、これを取り消し、又は変更したときに限り、その効力を失う」(労働組合法二七条五項)
C 裁判所への「処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない」(行政事件訴訟法二五条一項)
D 東京地裁昭和四四年九月二六日判決(行政事件裁判例集二〇巻八・九号一一四一頁)は次のように述べている。

 「行政処分はその適法性について争いがあっても、権限ある行政庁によって取り消され、あるいは固有の司法作用による確定的法律判断によってその違法であることが確定されるまでは、一応適法なものとして取扱われる、いわゆる公定力を有」する。(一一五九頁)
 同事件における被告国の答弁でも、「行政処分は適法、違法について争いがあっても、司法審査によって終局的に違法と確定されて効力を失うまでは一応適法なものと扱われ、自力執行力を有するものである」と認めている。(一一五二頁)
 従って、たとえ地方労働委員会の救済命令に対し中央労働委員会への再審査申立、あるいは取消請求の行政訴訟中であっても、再審査の結果、地方労働委員会の命令が取り消されるか、あるいは地方労働委員会や中央労働委員会の命令を取り消す判決が終局的に確定するまでは、救済命令は一応適法なものとして有効であり、使用者は救済命令に従わなければならない。
 従って、次の事項について質問する。

一 使用者の救済命令不履行は違法である(命令に従いつつ、取消を求めなければならない)と考えるが、政府の見解はどうか。この点については、本質問主意書と同旨の質問に対して、政府は、平成十二年九月十二日において、「いわゆる緊急命令を発した場合を除き、使用者は刑罰又は行政罰により当該救済命令の履行を強制されることはない。」と答弁するのみで、救済命令の違法性については答弁をしていないので、明確に答弁されたい。
二 現在、例えばJR各社は、中央労働委員会への再審査申立、あるいは命令取消請求の行政訴訟の継続中だからということを理由に、数多くの労働委員会の命令不履行を続けている。こうした有効な行政処分違反という違法行為に対して、行政は強制手段は取れないが、監督官庁として、行政指導等の方法によりその是正を図るべきだと考えるが、政府の見解はどうか。

 右質問する。



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