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平成十四年十二月六日提出
質問第三一号

テロ特措法にもとづく自衛隊海外派遣に関わる民間人派遣に関する質問主意書

提出者  川田悦子




テロ特措法にもとづく自衛隊海外派遣に関わる民間人派遣に関する質問主意書


 第一五三国会質問第三一号「テロ対策特別措置法に関連する民間企業の協力問題に関する質問主意書」(以下、質問三一号)、第一五四国会質問第六七号「テロ対策特別措置法に関連する民間企業の協力問題の事実関係に関する質問主意書」(同、質問六七号)において戦地への民間人派遣について重ねて政府の見解を尋ねた。
 質問三一および六七号に対する答弁(同、答弁三一号、答弁六七号)とその後の報道に齟齬がみられることから、事実がどこにあるのか、また今後の方針等についてあらためて問う。
 以下、質問する。

一 二〇〇一年一二月一八日付の答弁三一号では「民間企業に対する従業員の海外への派遣要請については、現時点において、具体的には考えていない」とし、今年二〇〇二年五月二八日「現在まで、民間企業に対し、従業員の派遣要請を行ったことはない」との回答であった。しかしその後、朝日新聞が同年一一月四日「派遣自衛艦修理に民間人」と題する記事を掲載し、「戦闘支援中の自衛隊に民間協力をさせる戦後初のケース」が明らかとなった。
 この間、「具体的には考えて」おらず、「派遣要請を行ったことはな」かった政府が、民間企業と「戦闘支援中の自衛隊」に修理協力する契約をするに至った経緯を明らかにされたい。
 @故障が発見されA自衛官自身が修理しようとしB自衛官自身では修理ができず民間企業と連絡をとり修理しようとしC最終的に民間企業従業員に修理を依頼することとしたのは、それぞれいつか。一一月八日までに明らかにされた「あさかぜ」「はまな」「いなづま」「ひえい」における計五回の修理と、またその後の修理の機会があったならそれも含めて各々述べられたい。
二 政府は、民間企業従業員に対し「派遣要請を行う場合には、防衛庁としても派遣される従業員の安全に配意することは当然のこと」(答弁三一号)としながら、「防衛庁において、民間企業による従業員の海外派遣に伴う安全性確保のための基準等は作成されていない」(答弁六七号)と答えてきた。ところが大井篤防衛庁防衛参事官は一一月八日、衆議院安全保障委員会で「従業員のいろいろな事故等に対する対応」は「企業側の方で対応を講じている」と答弁しつつ、「テロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画」(以下、基本計画)にある2(3)オの「区域」規定や、「従業員の安全ということにも配慮した結果」として「港で、着岸した上」での作業をあげている。この他にも、「安全に配意する」ことがあれば、いかなることを講ずることとしているのか。明らかにされたい。
三 民間企業による従業員の海外派遣については、「防衛庁が防衛庁設置法第五条第一三号の規定に基づき当該民間企業と締結する契約に基づいて行われるものであって、新たに法律上の根拠を要するものではない」(答弁六七号)としている。一方、周辺事態法第九条は「国以外の者による協力等」として民間人の規定を明文化している。テロ対策特措法では自衛隊が海外で戦闘支援をする初の機会であり、そうした海外の場で民間企業が修理協力をする契約を結ぶのは、防衛庁設置法制定時に想定されていなかった。かかる海外での修理契約を同法第五条第一三号をもって行い得るとするのは、裁量の範囲を逸脱しており脱法行為に等しいのではないか。見解を問う。
四 しんぶん赤旗は一一月九日、「防衛庁 民間人から誓約書」「『事故責任問いません』」「業務命令で戦場へ 洋上修理も」などと題して@「軍事産業の技術者をインド洋に派遣する計画は昨年一一月段階から始まってい」たA「軍事産業の技術者らを同一二月末から現地の港に派遣してい」たB「今後、同庁(=防衛庁、提出者註)は修理の場所を港内に限らず、安全性を確認したうえで洋上でも行うことになる、としてい」るC(1)「業務命令で派遣された技術者は、現場で何が起きても防衛庁の責任を免除する誓約書まで書かされてい」た(2)「誓約書は防衛庁の書式にもとづいたもので、『乗艦申請書』のなかで、『事故など何が起きても責任を問いません』との趣旨の誓約をしてい」たD「技術者は軍事産業と防衛庁が取り交わした協定書にもとづき、『秘密業務従事者』の有資格者が業務命令の形で派遣されてい」る、という内容の記事を掲載している。@〜Dについてそれぞれ事実か否か、答えられたい。事実である場合、いつ、どのように行われたか明らかにされたい。
五 防衛庁が艦船修理のため契約した民間企業との契約書、協定書について問う。
 (1) しんぶん赤旗が一一月九日に報じた「『秘密業務従事者』の有資格者」が従事するのは、「海上自衛隊仕様書」にある「秘密区分」が「特定防衛秘密(秘)」の場合と解してよいか。
 (2) 護衛艦「いなづま」の「海上自衛隊仕様書」は「工事施工場所は、***停泊時施行する」、護衛艦「ひえい」の「協定書」は「(履行場所)3 第1項に定める修理の履行場所は、『ひえい』艦内とする」、とそれぞれ修理時の場所について明記している。ところが他の護衛艦「あさかぜ」や補給艦「はまな」の「海上自衛隊仕様書」にはそのような規定はない。なぜか。
 (3) 護衛艦「ひえい」の「協定書」の5「(報告書の作成)」に類するものは、他の護衛艦「あさかぜ」、補給艦「はまな」、護衛艦「いなづま」の「海上自衛隊仕様書」にはみられない。なぜか。
六 基本計画2(2)ウ(ア)「修理及び整備」は、自衛隊の協力支援活動として海外における「米軍等の軍隊等に対して」「修理及び整備」を明記している。
 (1) 「修理及び整備」は今までに行われたか否か。行われた場合、いつ、どこで、どのように行われてきたか。
 (2) 自衛官自身が修理できず、民間企業従業員によって「米軍等の軍隊等に対して」「修理及び整備」がなされたことはあるか。あれば、いつ、どこでの、どのような「修理及び整備」か。それは防衛庁が契約をあっせんしたかたちをとるのか、明らかにされたい。
七 中谷元防衛庁長官(当時)は今年五月一七日、衆議院テロ対策特別委員会で「PKO活動を準備する際」「復旧が困難な故障が発生したために民間企業に修理を依頼」した件について「三井造船と川崎重工」から「七名」が派遣されたと答弁している。これに対して、大井参事官は一一月八日、衆議院安全保障委員会で今回の民間企業従業員の派遣については「テロに関連するということで、その特殊性等かんがみて、企業の名前というものを出さない」と述べ、前述の「PKO活動に係るもの」とは異なる特殊性等があることから企業名を明らかにしない旨答弁している。今回の民間企業従業員の派遣については「特殊性等」があるというのは、PKO時とは異なり、民間企業従業員の安全が担保されていないということの証左ではないのか。見解を述べられたい。
八 政府は一一月一九日、テロ特措法に基づく基本計画を閣議決定し、米軍などへの協力支援活動を再延長し、新たに「輸送艦による輸送を行う場合には、米国の軍隊の使用する飛行場施設の維持に資するための、建設用重機等及び人員の輸送」が加えられた。さらに一二月四日には石破茂防衛庁長官が、高いレーダー探知能力をもつというイージス艦派遣を発表した。昨二〇〇一年秋の臨時国会では米軍の「武力行使と一体化」への懸念や「集団的自衛権の行使」に当たる恐れが問題として議論され、イージス艦派遣は見送られた。「集団的自衛権の行使」の恐れがあるイージス艦派遣が実施された場合に、民間企業従業員が修理等に派遣されれば、事故等被害に遭う恐れはより一層高まると思われる。それでも(基本計画)にある2(3)オの「区域」規定によって安全が確保されると考えているのか。

 右質問する。



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