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平成十五年七月二十五日提出
質問第一四〇号

生命保険の運用利回り(予定利率)に関する質問主意書

提出者  家西 悟




生命保険の運用利回り(予定利率)に関する質問主意書


 生命保険会社が契約者に約束した運用利回り(予定利率)を破綻前に引き下げることができるとすることについては基本的な部分で大いに疑義があると思われるので、政府の見解を正したい。
 従って、次の事項について質問する。

一 金融庁が把握している生命保険会社各社ごとの最新のソルベンシーマージンを記せ。
二 前記各社のソルベンシーマージンのなかで、経営の実態を反映していないと思われるものはあるか。
三 ソルベンシーマージンが二〇〇%を超えていても早期是正措置が発動されることはありうるか。
四 一部生保の純資産に占める繰延税金資産の比率が極端に大きくなっていること、そしてそれがソルベンシーマージンを見ただけでは契約者にきちんと伝わらないという問題を金融庁は認識しているか。それについてどういう対策を打つつもりなのか。
五 生保各社がすでに予定利率引下げを認める今国会提出の法案(現時点では成立しているので以下「法律」という。)が成立しても利率引下げは行わないと公に発表している。もし、法律に基づく利率引下げを行うことがあれば、この間に解約をすることが出来たのに発表を聞いて解約をしなかった契約者に対する経営責任はどのように追及されるのか。
六 法律に従った予定利率の引下げよりも、破綻処理をすることによって基金、劣後債務を一〇〇%償却し、それに見合う資産を全て契約者保護に充てるほうが、契約者にメリットがあるケースがあるか。
七 株式会社であれば、破綻に直面した時に、株式、劣後債務、一般債務の順番で削減が行われる。相互会社であるならば、内部留保、基金、劣後債務がまず削減され、それで足りない部分を保険金カットで補うということになる。基金、劣後債が全て償却される前に、保険契約が変更されるのは、契約者保護ではなく、金融機関救済ではないか。
八 基金、劣後債を全て償却することなしに、利率引下げを行えば、日本の保険会社全体の資本の健全性や契約の法的安定性が疑われることになるのではないか。
 もし、予定利率の引下げが起これば、日本の生保の格付けは、基金や劣後債を含まないソルベンシーマージンや基金を除く純資産で評価されることになると思われるが、金融庁はそれに異論はないか。
九 この法律による格付けへの影響が、生保各社の経営に更なる影響を与えることがないのか。
十 金融庁は、予定利率引下げの場合でも、三利源をはじめ、個別情報の開示はしないとしているが、破綻前処理を行う保険会社に関する経営・財務内容の情報公開が完全に行われない場合、契約者に予定利率引下げの是非の判断を求めても、正確な判断が出来ないではないか。
十一 予定利率引下げにあたり、公表される情報は何か。公表されない情報は何か。
十二 現在の生保の経営危機は、利差損によるものではなく、株式、土地の評価額の下落および融資などが焦げ付いたことによる。株式の評価損は不可抗力のような議論をする者もいるが、きちんとポートフォリオを組み直し、株式価格の下落の影響を受けないような経営をしている生保もある。いかにも低金利が主な原因であるかの説明は、契約者をミスリードするものではないか。
十三 過去の破綻処理で更正特例法の適用を受けて、責任準備金が削減された例があるが、多額の繰延資産の計上によって、ソルベンシーマージンが水増しされ、早期是正措置の発動が遅れ、結果として実質債務超過が拡大するまで破綻処理に至らなかったことが原因である。責任準備金が削減された過去のケースで、早期是正措置が発動されるに至った経緯を詳細に説明せよ。
十四 生命保険会社の総代会のメンバーが、一般契約者から恣意的に選ばれていないという確認を金融庁はどのように行ってきたのか。
十五 金融庁が認識している総代会のメンバーと生命保険会社の間の利害関係を記せ。また、生命保険会社と利害関係にある総代会のメンバーの比率が、一般契約者のなかで生命保険会社と利害関係にある者の比率とほぼ同等であることを金融庁はどのように把握しているのか。
十六 生命保険会社との利害関係にある総代会のメンバーの比率が一番契約者よりも高い場合、あるいはその相関関係がわからない場合、この法律に規定する総代会による統治は働かないと考えられるが、金融庁もそう認識しているのか。
十七 契約者が最終的に利率引下げを受け入れるかどうかの判断をするときに、三利源を含め全ての情報が開示されていなくては、妥当な判断が下せないのではないか。
 破綻前処理には全ての情報開示が必要になるのではないか。
十八 この法律の仕組みでは、現経営陣の提示する利率引下げ案以外の代替案が、契約者に提示されることはなく、経営状態の情報開示もなければ、より契約者の保護になる提案があるかどうかの判断も出来ないのではないか。
十九 三%という利率引下げの下限を設けた状態で、二次破綻を防ぐことが出来るのか。破綻処理にして、裁判所を関与させ、厳格な資産査定をするほうが公正な処理が出来ると同時に、二次破綻を防ぐことになるのではないか。
二十 今日の生保危機を招いた金融当局の責任の取り方はどうするのか。
二十一 保険業法第三〇〇条にいう「重要事項」に保険料、保険料総額は該当するのか。
 「重要事項」に含まれるものとは何か。
二十二 明治生命の利率変動型積立終身保険「ライフアカウントLA」を例にとって、保険業法第三〇〇条にいう「重要事項」に当てはまる項目を全て列記せよ。
二十三 明治生命の終身保険「パイオニア」を例にとって、保険業法第三〇〇条にいう「重要事項」に当てはまる項目を全て列記せよ。

 右質問する。



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