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平成十五年十月十日提出
質問第三〇号

深刻化する国民及び中小企業の借金問題に関する質問主意書

提出者  井上和雄




深刻化する国民及び中小企業の借金問題に関する質問主意書


 深刻化する国民及び中小企業の借金問題の救済及び対策は、緊急を要すると考える。
 従って、次の事項について質問する。

第一 連日取り沙汰される大手企業の不良債権問題とは異なり、国民個人や中小零細企業の不良債権処理問題について取り上げられることは皆無である。しかし、深刻の度合いは大手企業以上と言えよう。もはや政府は、経済大国ならず経済破滅へのカウントダウンを推し進めているとさえ受けとれる。
 国民は、待ちくたびれている、嘆き苦しんでいるのである。国民個人の不良債権処理政策を遂行するのは急務であると考える。
 一 国民個人及び中小企業の不良債権処理に関し、
 (一) 緊急対策として、@住宅に関するローン利子控除制度、A連帯保証債務等、個人保証撤廃の政策が考えられる。今後、政府が最も重要視している課題もしくは施策とは何か。国民を不良債権処理問題から救済する観点でそれぞれ全て明らかにされたい。
 (二) 国民個人及び中小企業の不良債権処理問題に関し、中小企業に対して国家予算〇・一パーセント程度の対策で、国民及び中小零細企業対策が万全であると認識しているのか明らかにされたい。また、その根拠としている理由は何か明らかにされたい。
 (三) さらに今後政府としては、国民個人の不良債権処理問題について公的資金等による「国民救済的措置予算案」を検討しているのかどうかも明らかにされたい。
第二 先般多重債務問題等に関する質問主意書を提起し、政府から答弁書を受理した。改めて答弁内容を精査するところ、近い将来に破産者は三十万人、四十万人と加速度的に増加する傾向にある。法的救済方法があるにもかかわらず、依然、国民には司法手続に対する認識が低く、また、救済するべき機会が少ない上、敷居が高い。つまり、現行法の運用等が裁判所によって異なり、国民から救済の機会、裁判を受ける権利をも奪い、法の下の平等に反している。
 例えば、多重債務者が弁護士を通じて破産免責申立手続を進める上で、裁判所から複雑多岐な関係書類の提出を法律的に求められたり、制限等が過度に求められている。当該手続につき、一点でも必要書類等に不備がある場合には破産宣告等が延滞するという。
 国民はますます司法手続から敬遠し、また、手続の迅速化を進める観点からは大きな障害となっていると考える。
 一 前記した破産法の運用上の問題点を踏まえ、政府は法改正等の要件緩和・簡素化、迅速化を含めて検討しているのか明らかにされたい。また、検討しているならば現行破産法及び民事再生法につき、個別ごとに改正趣旨及び条文をそれぞれ明らかにされたい。
第三 ヤミ金融事犯に関し、第百五十六回通常国会において、深刻な社会問題となっているいわゆるヤミ金融に対処するため、貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律が成立した。近時、預金口座を利用しての公序良俗に反する行為、悪質違法な債権取立てを行なったり、身に覚えのない架空の請求書を送り付けて金融機関の預金口座に振り込みを要求する等、劣悪極まりない事例・事件が横行し、深刻な社会問題となっている。
 また、平成十五年九月十二日に竹中金融担当大臣は閣議後の会見において、「預金口座が不法行為の温床にならないように、預金取引停止や口座解約等の実施」という方針を提唱された。それを受け、金融庁事務ガイドライン(第一分冊・預金取扱い金融機関関係)の一部改正についても発表した。この件に関して質問する。
 一 当該事務ガイドライン改正後に、不法行為が認められるヤミ金融業者の口座数及び行政処分を検討しているヤミ金融業者数をそれぞれ明らかにされたい。
 二 ヤミ金融に被害を受けた人が相談する窓口として行政が運営する機関がある。当該機関は、一日中相談の電話等が鳴り止まず職員達も対応に忙殺され機能不全を引き起こしているという。ヤミ金融に被害を受けた人から録取した事実に、ようやく電話がつながり連絡がついて相談しようと思えば、受け付けるどころか、邪険に応対される始末である。結局、相談できるような状況にはならなかったという嘆かわしい話であった。
 (一) 緊急措置として、専門家等を含め相談員の増員を検討しているのか。
 (二) ヤミ金融被害に対し、相談を受け付けられないほど混沌としている現状は政府として認識しているか。@認識していたとしたら、関連機関に対して、いつ、どのような指導をしていたか。A認識していないとしたら、被害を受けた国民の立場で、今後どのような対応策を講ずるべきであるか明らかにされたい。
 三 ヤミ金融から被害を受けた国民を救済する民間団体も増え続け、国民はヤミ金融からの危険性等を敏感に受け止めている。政府は悪行を続けるヤミ金融に関し、被害に遭わないための注意を喚起するにとどまらず、国民に対して具体的にどのような危機管理を促し、防止策等の広報活動をするのか明らかにされたい。
 四 ヤミ金融対策に関し、弁護士や司法書士等が行政処分の申立及び刑事告発・告訴を提起した際に、未だに不受理処分をされているとの報告を得ている。監督及び捜査当局は不受理の理由として少数案件だけでは受理できない、と関係者は言う。
 (一) ヤミ金融に関し、政府は、監督及び捜査当局の前記した対応の実態、事実を把握しているのか。
 (二) 私が事務局長を務めたヤミ金融対策プロジェクト・チーム、また財務金融委員会においても、ヤミ金融対策に関して関係当局からは、積極的に取り締まる、警察権を発動させる、関係当局と連携を図る等、期待を抱いた。事実として行政処分の申立及び刑事告発・告訴の不受理とする理由はいかなるものか。それでは、処分並びに捜査を目的とした申立において、監督及び捜査当局が基準としている受理要件を明らかにされたい。
 (三) ヤミ金融事犯に関して捜査当局が逮捕・摘発等に至らない要因はどのような理由であると認識されているか。捜査上の問題点につき、明らかにされたい。
 五 本年六月、大阪府八尾市においてヤミ金融からの取立てを苦に一家三人が心中した事件は、記憶に新しい。被害を受けた国民は、どの機関の誰に対して通報し、どのような対応をしてもらえるのかがわからないのである。
 政府及び関係省庁は、@高金利等を要求された場合、A取立て行為をされた場合、Bその他、ヤミ金融からの嫌がらせを受けた場合等において、担当機関並びに相談窓口等をそれぞれ明らかにされたい。
 本件問題の解決は、国民のために現行法枠内で創意工夫して私たちも知恵をしぼるべきであるが、これが無理である場合は、政治的判断を仰いで決断するしかないことを具申する。

 右質問する。



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