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平成十六年六月十五日提出
質問第一九九号

コンビニエンスストアをめぐる犯罪防止の観点からの「民民規制」の緩和、及び「社会的規制」の導入に関する質問主意書

提出者  金田誠一




コンビニエンスストアをめぐる犯罪防止の観点からの「民民規制」の緩和、及び「社会的規制」の導入に関する質問主意書


 近年わが国の小売業においては、コンビニエンスストアは売上高及び店舗数ともにその比重は極めて大きなものになっているが、一方において深刻な問題を生じている。それは、大多数のコンビニエンスストアが一年三六五日、一日二四時間、深夜から未明の一人勤務という営業形態をとっていることにより、コンビニエンスストアを舞台にした強盗や窃盗、青少年の非行といった防犯上の問題が多発していることである。
 例えば、私の選挙区は北海道の道南と呼ばれる地域であるが、地元紙には次のように報じられている(二〇〇四年六月二日付、函館新聞)。
 「道警函館方面本部管内では二月四日の厚沢部町の事件を皮切りに、五月に入り函館市内で七、十九、三十一日の三回、立て続けに強盗がコンビニに押し入った。四件とも発生時刻は未明で、勤務していた店員はいずれも一人だった。」
 これに続いて、二〇〇四年六月九日付北海道新聞には次のように報じられている。
 「九日午前三時四十五分ごろ、函館市吉川町三のコンビニエンスストアで、男がカウンター越しに男性店員(二一)にサバイバルナイフを突き付け、「金を出せ」と脅した。(中略)店員にけがはなく、当時はこの店員しかいなかった。」
 ここまで連続すればまさに異常事態であるが、こうした事態は何もこの地域に特有のものではない。今日、全国至るところで強盗が多発し、「コンビニ強盗」という造語まで生まれている。万引き(窃盗)は日常茶飯事となり、かつ低年齢化している。加えて、コンビニエンスストアの内外は深夜において青少年の溜まり場となって、非行の温床と化している。さらに、暴走族の集合、騒音、ゴミの散乱等々、地域住民の平安が脅かされている。
 これは重大な社会問題であって、もはや看過できる状態ではない。
 コンビニエンスストアをめぐって以上のような問題が生じていることには、二つの原因がある。一つはフランチャイズ本部による加盟店に対する行き過ぎた規制の強化、いわゆる「民民規制」の問題であり、いま一つは二四時間営業という新しい形態に対する「社会的規制」の立ち遅れである。
 まず、行き過ぎた「民民規制」についていえば、例えば、@過大なロイヤリティの料率が赤字経営になっても変更できない、A廃棄ロスにまでロイヤリティが掛る仕組みを変更できない、Bオープンアカウント等と呼ばれる全く不透明な会計システムで管理される、C商品の種類・数量・価格等が一方的に管理される、D採算割れの営業時間・休業日等を変更できない、等々の規制がなされている。
 このことは、当然ながら加盟店の経営を著しく圧迫して、夫婦で二四時間・三六五日働いても収益は極わずかか、残るのは借金ばかりという加盟店が多くなっている。その結果として経営は破綻、場合によっては自殺や夜逃げ、一家離散等に至るケースも少なくないことが報じられている。
 こうした悲惨な経営状態にあっては、深夜から未明の複数勤務はほとんどの加盟店において不可能である。また、加盟店が深夜から未明の時間帯を閉店したくても、例えその時間帯が採算割れであっても、本部の規制によって営業せざるを得ない。こうした行き過ぎた「民民規制」が、コンビニエンスストアの経営を圧迫するとともに犯罪を多発させている。
 ちなみにいえば、こうした事態に至るそもそもの原因は現行フランチャイズ・システム自体にある。加盟店にいくら赤字が生じても売り上げがあるかぎり本部は利益を得る、「本部はリスクを取らない」という仕組みである。その結果として各本部間の出店競争は激化し、加盟店の破綻を加速させ、システム全体の信用を喪失しつつある。このことを放置している公正取引委員会、経済産業省の責任は重い。
 そこで、まず第一にこうした「民民規制」を緩和することによって、フランチャイズ本部と加盟店の間に対等かつ共存共栄の関係を確立しなければならない。本来であれば、「仮称フランチャイズ新法」の制定が望まれるが、当面は独占禁止法や中小小売商業振興法の改正又は運用等で対応する必要がある。
 次に、「社会的規制」の立ち遅れについていえば、わが国小売業においては、コンビニエンスストアの登場以前は二四時間営業は一般的ではなく、例え存在したとしても一部の歓楽街など特定の地域に限定されていたと思われる。そのため、深夜から未明にかけての営業のあり方や勤務する人員についての「社会的規制」は、必ずしも必要とされてこなかったという経緯がある。
 しかし、今日においては、前段に指摘したとおりの異常事態であり、早急にしかるべき社会的規制措置が講じられなければならない。
 その場合、@「民民規制」の緩和、A「社会的規制」の導入の双方について、諸外国における状況を参考にすることは有効である。
 以上の立場から、次のとおり質問する。

一 コンビニエンスストアの店舗数等について
 1 過去二〇年間において、コンビニエンスストアの店舗数、売上高は、各年ごとにどのように推移しているか。
 2 右の各年ごとの店舗数のうち、深夜から未明(おおむね午後一〇時から翌日午前七時。以下同じ。)の間に営業している店舗数はどのようになっているか。
 また、調査していないとすれば、早急に調査すべきではないか。
 3 右の深夜から未明の間に営業している店舗について、その時間帯のうちに一人勤務になる時間帯が存在する店舗数はどのようになっているか。
 また、調査していないとすれば、早急に調査すべきではないか。
二 コンビニエンスストアにおける犯罪等について
 1 過去二〇年間において、コンビニエンスストアにおける犯罪(未遂を含む。以下同じ。)の件数、検挙件数、検挙率は各年ごとにどのように推移しているか。
 2 右の犯罪の件数、検挙件数、検挙率については、その内訳(殺人、強盗、窃盗等)はどのようになっているか。
 3 右の犯罪の内訳による殺人、強盗については深夜から未明の間に発生した件数、割合はどのようになっているか。
 また、発生時点において一人勤務であった店舗数、割合はどのようになっているか。
 4 1の犯罪の件数について、その都道府県別の件数、検挙件数、検挙率はどのようになっているか。
 5 以上の点について調査していないとすれば、早急に調査すべきではないか。
三 コンビニエンスストアにおける少年犯罪等について
 1 過去二〇年間において、コンビニエンスストアにおける少年犯罪の件数、検挙件数、検挙率は、各年ごとにどのように推移しているか。
 2 右の犯罪の件数については、その内訳(殺人、強盗、窃盗等)はどのようになっているか。
 3 1の犯罪の件数について、その都道府県別の件数、検挙件数、検挙率はどのようになっているか。
 4 過去二〇年間において、コンビニエンスストアにおける不良行為少年の補導人員は、各年ごとにどのように推移しているか。
 5 右の不良行為少年の補導人員については、その補導時間帯が深夜から未明の間となる人員、割合はどのようになっているか。
 6 以上の点について調査していないとすれば、早急に調査すべきではないか。
四 諸外国におけるフランチャイズ契約及びコンビニエンスストアに係る規制のあり方について
 1 フランチャイズ契約に係る規制について
  (一) わが国においては、@独占禁止法及びこれに基づくガイドライン、A中小小売商業振興法が存在するが、諸外国(米、英、独、仏、韓。以下同じ。)においては、フランチャイズ契約を規制する法律の体系及び概要はどのようになっているか。
  (二) 諸外国における右の法律は、わが国と比較してそれぞれどのような特徴を有しているか。
  (三) 諸外国における規制について、調査していないとすれば調査すべきではないか。
 2 コンビニエンスストアの営業形態に係る規制について
  (一) コンビニエンスストアの営業形態、とりわけ@年間の営業日(又は休業日)、A深夜から未明の間の営業時間、B深夜から未明の間の勤務人員については、わが国においては規制は存在しないと仄聞しているが、これは事実か。
  (二) これに対して、諸外国においてはそれぞれどのような規制が存在するのか。法律の体系及び概要を示されたい。
  (三) 諸外国における規制について、調査していないとすれば調査すべきではないか。
五 コンビニエンスストアに係るフランチャイズ契約におけるいわゆる「民民規制」の緩和について
 1 深夜から未明の間の営業については、その間が採算割れの状態になっていて閉店した方が収益が上がる場合であっても、加盟店が営業時間の変更を求めても本部はこれを認めないという「民民規制」が通例となっている。
 こうした事実をどのように認識しているか。
 2 右のような状況に対しては、独占禁止法及び中小小売商業振興法等の観点から然るべき措置を講じることによって、適切に営業時間の変更を行ないうるよう「民民規制」を緩和する必要がある。
 具体的には、どのような措置を講じることが可能か。
 3 深夜から未明の間の営業については、その間が犯罪防止のために閉店することが適当な場合であっても、加盟店が営業時間の変更を求めても本部はこれを認めないという「民民規制」が通例となっている。
 こうした事実をどのように認識しているか。
 4 右のような状況に対しては、独占禁止法及び中小小売商業振興法等の観点から然るべき措置を講じることによって、適切に営業時間の変更を行ないうるよう「民民規制」を緩和する必要がある。
 こうした事実をどのように認識しているか。
 5 コンビニエンスストアに係るフランチャイズ契約については、右に指摘した営業時間のほか、本部と加盟店の間に対等かつ共存共栄の関係を確立することを基本に「民民規制」を緩和するためのルールを定める必要がある。そのため、「(仮称)フランチャイズ新法」を制定すべきと考えるが、このことについてどのように認識しているか。
 6 「(仮称)フランチャイズ新法」については、少なくとも次のような事項を盛り込む必要があると考えるが、このことについてどのように認識しているか。
  (一) 本部と加盟店が対等かつ共存共栄の関係を確立する仕組みのあり方
  (二) 契約内容の開示
  (三) ロイヤリティの料率と算定方式のルール
  (四) 商品の選定と価格設定の自由の確保
  (五) 計理システムの開示
  (六) 営業日、営業時間、勤務人員等の変更のあり方
  (七) 契約内容の変更、継続、終了のあり方
  (八) 苦情処理機関の設置
  (九) その他必要な事項
六 コンビニエンスストアの営業形態に係る「社会的規制」の導入について
 1 前段で指摘したとおり、今日、コンビニエンスストアをめぐる犯罪等の多発はまさに異常事態であり、もはや看過することのできない社会問題であると考える。
 このことについてどのように認識しているか。
 2 コンビニエンスストアをめぐる犯罪等の多発は、@二四時間営業(とりわけ深夜から未明の営業)及びAその間の一人勤務、という営業形態に主たる原因があると考える。
 このことについてどのように認識しているか。
 3 右の1及び2の指摘に基づき、@二四時間営業(とりわけ深夜から未明の営業)及びAその間の一人勤務、という営業形態について、然るべき「社会的規制」を導入する必要があると考える。
 このことについてどのように認識しているか。
 4 「社会的規制」の具体案としては、例えば深夜から未明の営業を一般的に規制するとともに、次のような条件を備えたものについては申請に基づき許可する等の方法が考えられる。
 これはあくまでも一つの例であるが、実施するとすればどのような方法が可能か。
  (一) 営業に社会的必要が認められること。
  (二) 複数勤務が常時確保されること。
  (三) 営業時間帯における犯罪等の可能性が極めて低いこと。
  (四) 近隣の同意が得られること。
七 関係省庁の連携について
 1 コンビニエンスストアをめぐる犯罪等の防止に関しては、少なくとも次のような省庁に関係していることからその連携が重要である。
 このことについてどのように認識しているか。
  (一) 公正取引委員会(独占禁止法)
  (二) 経済産業省(中小小売商業振興法)
  (三) 警察庁(犯罪等の防止)
  (四) 総務省(地方自治体)
  (五) 国土交通省(都市計画)
  (六) 厚生労働省(労働法制)
  (七) その他、法務省、文部科学省等
 2 右のような関係省庁の連携を強化するにあたっては、関係閣僚会議等の設置が望ましい。
 このことについてどのように認識しているか。

 右質問する。



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