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平成十六年七月三十日提出
質問第一一号

いわゆる「コピーコントロールCD」に関する質問主意書

 提出者
 川内博史    井上和雄




いわゆる「コピーコントロールCD」に関する質問主意書


 本年三月八日に提出した「今国会提出の著作権法の一部を改正する法律案に於ける「商業用レコード」の定義と法律の適用範囲に関する質問主意書」(衆質一五九第三三号)の三において指摘したとおり昨今、日本国内外の複数の大手商業用レコード製造事業者(以下「事業者」という。)は「違法コピーの防止」を名目に大挙して「コピーコントロールCD」(以下「CCCD」という。)と称する音楽用コンパクトディスク(以下「音楽用CD」という。)の規格に準拠していない仕様の録音物を発売している。しかし、CCCDはその仕様が音楽用CDの規格に準拠していないため過去に発売された再生機器はCCCDの再生を想定して設計されておらず、再生機器の生産事業者は正常な再生を保証していない場合が多い。そのため、CCCDの再生が再生機器の故障を誘発する原因となる恐れが指摘されているところである。また、CCCDを発売している事業者の大半はCCCDが正常に再生できない場合でも製造工程上の不良を除き返品・交換には一切応じないことを表明し、ジャケット等にこうした趣旨の免責事項を記載している。前記の問題点について、消費者保護の観点を中心に質問する。

一 平成十四年三月に最初のCCCDタイトルが発売されてから二年余を経過した現在「違法コピーの防止」と言う観点から売上の回復に寄与する効果は立証されたのか。CCCDを採用している事業者と採用していない事業者との間で有意の差が生じたか否かを明らかにした上で、政府の見解を明らかにされたい。
二 現在、日本国内で発売されているCCCDのほとんど全タイトルがアメリカ合衆国(以下「米国」という。)・マクロビジョン社がライセンス供与を行っている「カクタス・データシールド200」(以下「CDS−200」という。)と呼ばれる方式を採用しているが、平成十四年三月以降二年を経過してなお、音質の低下や再生保証が無いにも関わらず事業者が返品・交換を一切拒否していることを理由に多くの一般消費者やアーティストが敬遠する動きが見られるこの方式を事業者が使用し続けている理由は何であると考えられるか。
三 本年六月五日付朝日新聞夕刊によると、事業者がCCCDでの発売を強制したことを理由にアーティストが契約を解除し、CCCDを採用していない事業者と契約する動きが見られるとのことであるが、このような動きは現行のCDS−200方式によるCCCDでの発売を事業者が強制する行為がアーティストの表現活動を阻害していることを意味するのではないか。このような動きが続くようであれば、事業者に対してDVDオーディオやスーパーオーディオCDなどの著作権保護と再生保証を両立した次世代規格への積極的な移行を指導すべきではないか。また、こうした次世代規格が既に存在するにも関わらず、事業者が移行に消極的な理由は何であると考えられるか。
四 国民生活センターにおいてCCCDに関する苦情や問い合わせが平成十四年三月以降、本年六月三十日までの間に多く報告されていると聞くが、その具体的内容を明らかにした上で、これらの消費者の声をどのように認識し、政府としてどのように対応するか明らかにされたい。
五 英国のインターネットニュースサイト「The Register」が報じるところでは、フランス及びベルギーでは消費者団体がCCCDを発売している事業者に対して返金もしくは正常に再生可能な音楽用CDとの交換を求めて提訴し、このうちフランスの訴訟では昨年九月三日に消費者団体側の主張を認める判決が下されているが、海外でこうした訴訟が相次いで起こされているのに対して、わが国では現行法で団体訴権が認められていないため事業者側から見てCCCD発売による訴訟リスクが極めて低いものと考えられる。しかしながら、CCCDのジャケットに記載されている「CCCDが再生できない場合でも返品・交換には一切応じない」と言う趣旨の免責表示は、消費者契約法上の問題が生じるのではないか。
六 CCCDの再生と再生機器の故障に因果関係を立証することは一般に困難であるとされているが、挙証責任はCCCDを発売している事業者と一般消費者のどちらに属すると考えられるか。
七 CCCDであることが発売直前まで一般消費者のみならず小売店に対しても告知されないまま出荷される事例が見受けられるが、このことは事業者においてもCCCDであることを事前に告知して発売することが一般消費者からマイナスイメージを抱かれるという認識を有していることを意味するのではないか。また、このような商品の購入に際して重要な判断材料となる情報を発売前の段階において故意に周知しないことは、不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年五月十五日法律第百三十四号)第四条(不当な表示の禁止)における誤認を誘発する恐れがある行為に該当するのではないか。
八 本年三月八日に提出した衆質一五九第三三号の三において指摘したとおり、日本国内の事業者が発売する日本国内盤がCCCDで発売されているのに対し、米国並びに英国で生産された輸入盤に関しては音楽用CDの規格に準拠した仕様で発売されている事例が見られる。米国及び英国の一般消費者はわが国に比して著作権意識が格段に高い故にCCCDではなく音楽用CDの規格に準拠した仕様で発売されているのか。なお、本年三月三十一日付のインターネットニュースサイト「ITmedia」が報じるように全米レコード協会や国際レコード産業連盟はインターネットを介していわゆるファイル交換ソフトを使用し、楽曲を交換していると思われる北米及びヨーロッパに在住する二百余名の個人に対する訴訟を起こしているなど、これらの団体は欧米の一般消費者が日本の一般消費者に比して格段に高い著作権意識を有しているとの認識であるとは思われないところである。
九 海外事業者の日本現地法人が日本国内において、もしくは日本国内の事業者が海外事業者からライセンス供与を受けた日本国内盤がCCCDで発売されているのに対し、米国並びに英国で生産された同一タイトルの盤(以下「米英発売国外盤」という。)に関しては音楽用CDの規格に準拠した仕様で発売されている場合、著作権法(昭和四十五年五月六日法律第四十八号)第百十三条第五項が平成十七年一月一日に施行されて以降に同項の規定に基づき米英発売国外盤の輸入が禁止された場合は、日本の一般消費者は米英の一般消費者に比して過度の負担をCCCDの購入及び再生時に負うことになるが、内閣衆質一五九第三三号答弁「三について」で明らかにされた見解で、このような状況の招来を是認すべきと考える理由は何であるか具体的に示されたい。

 右質問する。



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