衆議院

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平成十七年六月一日提出
質問第七四号

介護保険制度等に関する再質問主意書

提出者  山井和則




介護保険制度等に関する再質問主意書


 先般、介護保険法改正案が衆議院で可決されたが、改正の中で積み残しとなった課題も少なからず存在する。そこで以下の通り質問する。

一 前回の答弁書(内閣衆質一六二第六二号、以下同じ)には、「現行の認定基準に基づく要介護度は、在宅サービスの利用者のニーズを正確に反映していると考えられる」とある。しかし、現実に要介護認定は生活から遊離しているためほとんどケアプランに活かされていない、活かすことができないのが実態と思われるがいかがか。
二 ドイツでは基本介護に要する時間に加え、実測の家事援助に要する時間を入れて査定されるため、介護時間は日本に比べ非常に長く計算されることから、ドイツの要介護等級一は日本の要介護度一または二に該当すると指摘する専門家がいる一方で、前回の答弁書にはドイツの介護保険対象者が「おおよそ日本の介護保険制度における認定基準に定める要介護三程度以上の者」とあるが、国は詳細に調査したのか。国の見解として間違いないのか。
三 国が今後行う介護サービス情報の公表、福祉サービスの第三者評価事業(介護サービス)、認知症高齢者グループホームの外部評価事業、行政による指導監査はその目的や手法が異なるが、それぞれの調査内容が一部共通していることから、事業者の負担を減らすためにも調査情報の共有化、それぞれの役割分担を含め検討すべきと考えるがいかがか。
四 国が今後行う介護サービス情報の公表では、事業者から費用を徴収するということであるが、介護保険制度を運営する国が費用を負担するのが理にかなっているのではないか。
五 四において次期介護報酬改定でその公表に関する費用を盛り込み、その介護報酬を指定調査機関が回収するというのは行政コストの無駄ではないのか、そもそも最初から指定調査機関に介護保険から拠出すればよいのではないか。
六 認知症介護研究・研修東京センターが実施する外部評価では二ユニットで六万円、第三者評価機関が実施する評価事業では二ユニットのグループホームで約三十七万円(シルバーサービス振興会)の費用がかかるが、国が認知症高齢者グループホームに対して外部評価を義務化するのであれば、その費用を介護報酬に盛り込むべきではないか。また国が介護サービスの評価事業を推進していくのであれば他の介護保険サービスについても介護報酬において盛り込んでいくべきではないか。
七 前回の答弁書において二七三五の社会福祉事業のうち「二一〇九の事業場について何らかの労働基準法等の違反が認められた」とあるが、これについてどのような対応をしたのか。また介護保険事業を運営していく上でどう考えるのか。
八 七において、これからこれらの職に就く者や現在働いている者にとって、安心して働くためにも、個々の違反の情報が公表されるべきと考えるがいかがか。
九 前回の答弁書で「介護保険施設に入所している低所得者に配慮した特別の制度として、特定入所者介護サービス費を支給する制度を導入する」とあるが、居住費及び食費を支払うことができない低所得者は、特定施設や認知症高齢者グループホームを利用できなくても構わないと国は考えているのか。またそのような状況では、より施設志向が高まると考えられるがいかがか。
十 今後地域密着型サービスの中で、二十九人以下の小規模特養や小規模の介護専用型特定施設、認知症高齢者グループホームが存在することになるが、いずれも個室型、同じユニット数、定員の場合、利用者の視点に立てば、似たような介護サービスが利用者に提供されるにもかかわらず、介護報酬が異なり利用料が違ってくることは、不可解な仕組みであると考えるがいかがか。また高齢者住宅を含めた介護施設体系のあり方そのものを再検討すべきと考えるがいかがか。
十一 連合調査等でも明らかなように看護職員の夜勤体制を組むことができず、介護職員がやむを得ず痰の吸引等の医療行為を行っている施設が多い。この実態を踏まえ、施設や在宅での医療面での不安を解消するためにも、一定の研修や試験などをクリアした介護福祉士を「医療介護士」などの資格をもって認めていくことを検討すべきではないか。
十二 要介護度四、五の利用者しかいない介護施設において、三対一の人員配置基準通りで身体拘束することなしに介護することは可能かという質問に対し、昨年の答弁書(内閣衆質一六一第二四号)において「御指摘のような入所者の状況及び人員配置の場合であっても、身体拘束を行わずに介護を行うことは十分可能であると考えている。」とあるが、その具体的な根拠は何かという前回の質問書に対し、何ら当を得た回答がなかった。まだ身体拘束ゼロを実現できていない施設に「十分可能である」ことを示すためにも、一、二か所の例示でもかまわないのでお示し頂きたい。
十三 前回の答弁書で、個室ユニットケア型特養一三二か所のうち、「介護職員及び看護職員一人当たりの入所者数が二・五人以上三・〇人未満であった施設は五か所」とあるが、ならば個室ユニットケアを行う施設の最低限必要な人員配置基準は二・五対一以上とすべきではないか。
十四 前回の答弁書で「個室ユニットケア型特養については、一般の特別養護老人ホームよりも高い介護報酬を設定している」とあるが、個室ユニットケア型の施設でなくても人員配置を厚くしている施設に対しては、高い介護報酬にすべきではないか。また、それにともない基準を下回る四・一対一の基準は介護保険制度が五年経過したことから廃止すべきではないか。
十五 今後介護サービス事業所に対し情報を公表させることは非常に良いことだと考えるが、一方で国としても介護職員の待遇改善のためにも介護報酬の積算根拠等について情報を開示し、透明化すべきではないか。
十六 例えば、生活援助型の訪問介護を中心とする事業所が、労働基準法を遵守し、研修やヘルパーの移動、事務処理などを行える介護報酬となっているのか。生活援助一時間二九一〇円のうち、研修を行う費用はいくらと想定しているのか。
十七 大星ビル管理事件の最高裁判決(平成十四年二月二十八日)では、仮眠時間が労働からの解放が保障された休憩時間であるとは認められず、事業所に時間外割増賃金・深夜割増賃金の支払いを命じたが、同様の勤務体制である介護施設・事業所においてこの判決に準拠した賃金が支払われているのか。又支払えるだけの介護報酬となっているのか。
十八 軽度者のケアプランについては今後、適切であるかどうか地域包括支援センターでチェックされる仕組みになったが、重度者のケアプランについても適切でないものが当然存在すると考えられることから、重度者についても軽度者と同様に何らかのチェックをする仕組みが必要と考えられるがいかがか。

 右質問する。



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