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平成十七年八月五日提出
質問第一一三号

朝鮮半島出身者の旧軍人・軍属及び旧民間徴用者の遺骨に関する質問主意書

提出者  小林千代美




朝鮮半島出身者の旧軍人・軍属及び旧民間徴用者の遺骨に関する質問主意書


 昨年十二月の日韓首脳会談に基づき、二〇〇五年五月二十五日の第一回日韓政府協議において「双方は、朝鮮半島出身の旧軍人・軍属及び旧民間徴用者等の遺骨の問題に対しては、@人道主義、A現実主義、B未来志向の三つの原則に基づいて取り組んでいくことに合意した。」(外務省プレス発表)といわれている。この近隣アジア諸国の戦争動員犠牲者の遺骨問題は、戦後六十年を経過しても未だ手のつけられてこなかった問題であり、近隣アジア諸国との友好を発展させるためには欠かせない事業である。しかし、この事業がきちんと行われなければ逆に近隣アジア諸国との友好を阻害することにもなりかねない問題であり、現状の政府の取り組みでは、きわめて不十分な結果を招く恐れを禁じえない。
 戦後六十年の節目の年を機会に、遺骨問題をきちんと解決し、近隣アジア諸国との和解と友好を発展させるために政府の積極的な取り組みが必要と考える。従って次の事項について質問する。

一 政府は「旧民間徴用者等の遺骨については、国と直接雇用関係になかった者の遺骨であること等種々の制約があり、今まで政府としては関与しない立場であった」(外務省発表文書)とし、また、新聞報道でも「民間のことなので政府としてどれだけのことができるか」などと、民間企業への戦時強制動員に政府の責任が無かったかのごとく言っているが、民間企業に対する朝鮮人の戦時動員は、閣議決定の国家総動員計画によって決められ、国家権力を背景に行われたものであり、日本政府が深く関与し実行されたものである。政府は、朝鮮人などの「旧民間徴用者」の戦時動員と国の関与についてどう考えるか。
二 日本政府による戦時動員犠牲者の遺骨問題を解決するための本格的な取り組みはこの六十年間されないまま今日まで来た。
 この度の遺骨問題の取り組みも、昨年十二月に韓国盧武鉉大統領から小泉総理大臣に協力要請があり、日本側が協力する立場で始められたものである。
 今から十年前、村山内閣総理大臣は、「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に過ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます。」と述べた。
 また、小泉内閣総理大臣は本年四月に「我が国は、かつて植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。こうした歴史の事実を謙虚に受けとめ、痛切なる反省と心からのお詫びの気持ちを常に心に刻み」と述べた。
 このような立場に立つならば、日本政府は「協力」の立場ではなく、自らの責任として遺骨問題に取り組む立場が必要であり、主体的、本格的に取り組まなければならないと考えるが如何か。
三 六十年間に渡って未着手であった遺骨問題の解決のためには、それなりの体制と時間をかけた取り組みが必要である。政府は今年八月を一つのめどとして調査結果をまとめようとしているが、現状の取り組みでは八月のまとめは大変不十分なものになる恐れがある。
 国際的にも信頼の得られる結果を出すためには、少なくとも一年、二年の時間をかけ、相手が納得するまできちんとした調査を行うことが必要と考える。調査を中断することなく続行させる意思があるか。
四 戦後六十年が経過しているにも関わらず、死亡犠牲者の遺族の元に遺骨の返還はおろか死亡の通知さえ行われておらず、遺族の方々には今もなお心痛を与えている現実がある。遺骨問題の解決には、死亡者を調査し、その遺族を捜し、遺骨を遺族の手にお返しすることが必要である。政府は、死亡者調査を行う意思があるか。
五 政府において、死亡者を調査し、その遺族に死亡をお知らせし、遺骨の状況を説明し、長期に渡って連絡をせず遺骨を放置してきたことについて謝罪することが人道上の立場として必要と考える。
 日本政府が「すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げ」「痛切なる反省と心からのお詫びの気持ちを常に心に刻む」ならば、日本政府の責任において、死亡者を調査し、遺族を探し、死亡を連絡し、「深い哀悼の念を捧げ」「痛切なる反省と心からのお詫びの気持ち」を日本政府が直接に遺族にお伝えするべきだが如何か。
六 政府は、地方公共団体、寺院などに対し、朝鮮半島出身の旧民間徴用者の遺骨について情報提供を依頼し調査を進めているが、発見された遺骨について韓国籍のものか、朝鮮籍のものかを区分けすることは困難であり、また、遺族を探すには韓国政府とともに朝鮮民主主義人民共和国政府の協力が必要である。したがって両国の政府に対し遺骨調査の結果を報告し遺骨問題の解決のための協力を求めることが必要であると考えるが如何か。
七 政府は、当時日本に連れてこられてきた朝鮮人の総数、事業場数、死亡者数をどのように把握しているか、現在、政府が把握している数値を伺う。その死亡者のうち死亡通知が行われたことが確認できる数、返還された遺骨の数はいくつか。
八 日本以外の地域に戦時動員された朝鮮人の総数、地域名、事業場数、死亡者数について、政府が現在把握している数値を伺う。
 その死亡者のうち死亡通知が行われたことが確認できる数、返還された遺骨の数はいくつか。
九 政府は、各地方自治体、宗教団体、関係企業の一部に情報提供を依頼しているが、政府自体が持っている情報を提供することなしに遺骨調査を進めることは困難であると考える。
 例えば、政府が持っている厚生年金データから戦時動員者の就労企業、死亡の有無などの個人データを取ることは可能であり、また、供託金名簿からも戦時動員者のデータが作成できると考える。軍人・軍属についても陸海軍の各種名簿から死亡者、死亡場所などのデータを作成することが可能である。政府は、そのような調査を行う考えはあるか。
十 政府は、それらのデータから死亡者の全体数を把握し、関係企業、関係市町村に情報を提供し、各地方自治体や関係企業に何名が動員され、何名が死亡したかを知らせ、その遺骨の行方を調査してもらうことが必要と考えるが如何か。
十一 また、各地で市民グループがこれまでに幾つかの死亡者名簿を作成している。このような民間人が作成した名簿の提供も受け、その関係企業、市町村などに調査依頼を出すべきと考えるが如何か。
十二 戦時中に強制動員されたのは朝鮮人だけではない。中国からも台湾からも戦時動員が行われ多くの犠牲者を出している。朝鮮人に限らず死亡者と遺骨の調査を日本政府は自らの責任として当然行わなければならないと考えるが如何か。
十三 中国人の遺骨については、日本での死亡者数約六千人に対して、遺骨が返還されたのは約二千人分であり、約四千人分の遺骨が未返還のままであるとの民間の調査があるが、日本政府は、中国人の遺骨返還状況についてどのように把握しているか。
十四 戦後六十年を節目にした今日、日本が主体的に遺骨問題を解決するために、政府においてその調査体制と予算措置を確立した上で、調査を行うことが必要と考えるが如何か。
十五 地方自治体においては、その地域の関係事業場、関係企業、関係寺院などについてきちんとした調査が求められる。これを実行するには、市町村での体制確立と執行の予算処置が必要である。政府においても地方自治体に対する予算措置をすべきと考えるが如何か。
十六 遺骨の返還は遺族に対して行われるものであり、日本政府および関係企業などが遺族に礼をつくしてお返しをするべきものであり、他国の政府から渡してもらっている現在の返還手法の改善が必要であると考えるが如何か。
十七 本願寺札幌別院に保管され、合葬された一〇一名の遺骨に朝鮮人の遺骨とともに、軍人・軍属の日本人の遺骨六体分が含まれていることが厚生労働省の調査で判明した。それら日本人の遺族を調査し経過を説明することが必要と考えるが如何か。また、その作業はどこでどのように行うのが適切であると考えるか。
十八 遺骨の状況によっては、個別性が失われ遺族の元にお返しすることが困難なものもある。しかし、この場合についても遺骨の処分を国や企業などが勝手に行うことはすべきではない。あくまでも遺族を探し、遺族の意向を踏まえて対処されなければならないと考えるが如何か。また、本籍地などが不明の「無縁仏」をどのように扱う考えか。
十九 遺骨の返還に当たっては、葬祭費等遺族の負担がないよう配慮が必要と考えるが如何か。
二十 室蘭のお寺に保管されている遺骨三体と根室のお寺の一体の合計四体については、遺族も判明し、遺骨の個別性も確保されており、政府と関係企業の謝罪など適切な対応があれば早期に返還が可能であり、人道主義、現実主義、未来志向の立場で早期に返還すべきであると考える。この遺骨の返還に当たっては、国と関係企業の謝罪と葬祭費の負担が必要であると考える。政府は、これらの遺骨返還についてどのような対応が可能か。

 右質問する。



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