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平成十七年十月三十一日提出
質問第四四号

情報収集衛星の運用実態に関する質問主意書

提出者  吉井英勝




情報収集衛星の運用実態に関する質問主意書


 外交・防衛などの「安全保障」と、「地震や火山噴火など大規模災害などへの対応」という二つの目的で、二〇〇三年に二基の情報収集衛星が打ち上げられた。来年度には光学衛星とレーダー衛星をそれぞれ一基打ち上げる計画で、光学衛星二基・レーダー衛星二基での一セット体制がつくられようとしている。わが党は〇三年の打ち上げに際し、「情報収集衛星と呼んでいるが、軍事偵察衛星という任務をもっていることは、まぎれもない事実である。これまで、わが国の衛星活動は宇宙の平和利用に限定されてきた。その枠組みを破って、宇宙の軍事利用に足を踏み出すことは、公開を原則としてきた宇宙の平和利用に大きな障害をつくりだすことになる。しかも軍事利用は、いったんこの道に踏み出したならば、今回の第一歩にとどまらず、歯止めなしに拡大する危険を強くもっている」という書記局長談話を発表したが、事態はそのとおりに進んでいる。
 よって、次のとおり質問する。

(一) 情報収集衛星が撮影したデータは公表されたことがないが、目的の一つにあげている「大規模災害の対応」に活用されたことはないのではないか。内閣府は、情報収集衛星のデータを活用した事例はなく、昨年発生した新潟中越地震の際でもアメリカの人工衛星「イコノス」の画像を購入して活用したと説明している。その他の省庁の情報収集衛星の活用状況はどうなっているか。各省庁が打ち上げの際に提案した利用計画に即して答えられたい。
(二) 産業技術総合研究所は、パキスタン地震で発生した大規模な地滑りの人工衛星画像をホームページ上で公開しているが、この衛星画像はアメリカの人工衛星「テラ」を使って撮影したものである。なぜ大規模災害に備えた自国の情報収集衛星を使わないのか。
(三) 宇宙航空研究開発機構は、人工衛星で観測したデータをアジアで発生した地震災害などの状況把握に活用する「アジア防災・危機管理システム」をつくることになったと報じられている。これには情報収集衛星のデータも活用するのか。
(四) 宇宙航空研究開発機構は、災害観測のための衛星群を打ち上げることを明らかにしている。今年度は「陸域観測技術衛星・エイロス」を打ち上げ、二〇一〇年度からは二〜三年おきに情報収集衛星と同型式の光学衛星とレーダー衛星を、二基ずつ打ち上げる計画になっている。これらの計画は、実際は情報収集衛星に「大規模災害への対応」という目的がないことを示しているのではないか。
(五) 軍事偵察衛星では「宇宙に打ち上げられる物体及びその打上げ用ロケットの開発及び利用は、平和の目的に限る」とした国会決議に反するため、国は大規模災害に備えるという目的を付け加えた「多目的衛星」に仕立て上げた。衛星が撮影した情報の非公開、衛星の軌道・機能の非公開、海外地上局の場所の非公開、業務を担当する内閣衛星情報センターの人事や内規の非公開、同センター職員の出張場所と目的の非公開、同センターへの立ち入りの拒否など、業務は国民の目が一切届かない場所で秘密裏に進められている。情報を非公開・秘密にする根拠はどこに定められているのか。防災にどう利用したかを国民に明らかにせず、関係省庁にも情報を提供しないのでは、「国民生活の向上及び人類社会の福祉」をうたった国会決議に反するのではないか。
(六) 情報収集衛星の開発、打ち上げ、運用の予算は、内閣官房・文部科学省・経済産業省・総務省などが執行している。内閣官房と文部科学省は宇宙航空研究開発機構に、経済産業省は新エネルギー・産業技術総合開発機構に、総務省は情報通信研究機構にそれぞれ業務を委託している。委託を受けた各独立行政法人は、三菱重工業、三菱電機、日本電気などのメーカーなどに業務を再発注している。資料を求めて整理したところ、国が独立行政法人に委託した金額と、独立行政法人が再発注した金額には差額があるが、その差額は何に使われているのか。各独立行政法人への委託金額の総額と、メーカーなどへの再発注金額の総額を示し答えられたい。各省は独立行政法人を介さず、直接発注できないか。
(七) 情報収集衛星の経費は、今年度は当初予算で六百二十四億円が計上され、来年度の概算要求額は六百六十六億円である。昨年度までの決算額約三千七百三十四億円を合計すると、総額約五千二十四億円にものぼる。衛星の寿命は約五年間で、二〜三年に一回の打ち上げが計画されている。毎年数百億円規模の衛星の開発費と維持管理費、ロケット打ち上げ一回に要する約百億円を加えれば、途方もない巨額の予算が際限なく投じ続けられることになる。打ち上げ目的がはがれ落ち、予算を浪費し続ける情報収集衛星の運用は、ただちに中止すべきではないか。

 右質問する。



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