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平成十七年十月三十一日提出
質問第七一号

新石垣空港建設整備事業に関する質問主意書

提出者  川内博史




新石垣空港建設整備事業に関する質問主意書


一 新石垣空港環境影響評価書(以下「評価書」という。)に対する国土交通大臣意見に基づき沖縄県は補正を行い、本年九月九日から公告・縦覧したが、補正前の評価書について環境省は「主要なデータが足りていない。環境影響の見通しがついたとはいえない」と述べていた。補正後の評価書についても事業日程に合わせた不十分な補正との指摘があるが、補正後の評価書についての政府の見解を問う。
二 新石垣空港環境影響評価書に対する国交大臣意見1では、A洞窟及びD洞窟の保全に万全を期することが求められた。しかし沖縄県の「移動経路や洞口環境等の保全のために、A、D洞口周辺の土地を取得する」との対応は、「ゴルフ場の残地を利用して」と書かれていた補正前の評価書と実質的に何ら変わらない。また、ドレーン層の下流側への移動も大臣意見4で求められた措置を行なっただけである。大臣意見1は大臣意見2以下のA、D洞窟の小型コウモリ類に関する指摘以外の沖縄県独自にさらなる対応(努力)を「保全に万全を期すること」として求められているものであり、その点からして沖縄県はこの大臣意見1に何ら応えていない。大臣意見1に対する沖縄県の対応は適切かつ十分といえるのか、政府の見解を示されたい。
三 同国交大臣意見2に対して沖縄県は、C洞窟については、トンネルを設けて敷地外に洞口を創設するとしているが、そのトンネルは浸透池の地下を通すとしている。しかし、このトンネルの設置で浸透池の浸透能やろ過機能にどのような影響を与えるのか、検討されていないが、それについてどう考えるのか、答弁を求める。また、B洞窟及びE洞窟への対応を含めて供用後、航空騒音・振動の直下でこれらの洞窟がコウモリ類に利用される可能性はどれくらい期待できるものと判断しているのか、政府の見解を求める。
四 評価書に対する国土交通大臣意見3では事業実施区域及びその周辺洞窟の小型コウモリ類の追加調査が求められた。これに対して沖縄県は、五・六月に二回の調査を行なっただけで「集団で利用する洞窟ではない」との結論を出した。しかし、コウモリ研究者の意見書や環境省が外部に委託してコウモリ類の保全のありかたを取りまとめた報告書(「環境影響評価に関する事後調査報告等収集・整理・解析事業報告書」、平成十五年三月)、さらに国土交通省の外郭団体である国土技術政策総合研究所等が編集した「コウモリ類調査の手引2・3」(平成十七年三月)のいずれにおいてもコウモリ類は季節によって利用する洞窟を変えるため一年以上の調査の必要性が指摘されている。また、この結論の理由とされている洞窟の水没についても研究者は、自然洞窟は人間にはわからない抜け道がある可能性があり、又一年中水没しているわけではないのでせめて一年間の調査をしなければ利用の実態は把握できないと言っている。今回の大臣意見に基づく県のコウモリ類の追加調査を適切なものと評価するのか、政府の見解を問う。
五 同国交大臣意見5、6に対する沖縄県の対応は、補正前の評価書と実質的には何ら変わっていない。特にA、D洞窟の小型コウモリ類への工事中の騒音・振動に対する環境保全措置は、建設機械の稼動実態(機械の台数、稼動日数)とかけ離れた条件のもとで行なわれた調査実験に基づき策定されたものである。この環境保全措置でコウモリへの影響は回避・低減できるのか。小型コウモリ類についての沖縄県の影響評価の核であるA、D洞窟の保全に直結する事柄だけに、事後調査で対応するのではなく、稼動実態により近い条件のもとでさらに調査実験をしたうえ、環境保全措置を検討するべきではないか。政府の見解を示されたい。
六 大臣意見8の、新たに確認された場合の小型コウモリ類の利用についての調査は、四で指摘したように少なくとも一年以上は必要と考えるが、あらためて、政府の見解を示されたい。
七 大臣意見9の人工洞窟について、これまでの事例では、コウモリ類が利用している導水トンネルや避難壕は少なくとも二十数年以上の時間が経過している人口洞窟である。少々早い段階で人口洞窟を設置しても環境保全措置としては機能しないのではないか。政府の見解を示されたい。
八 国交大臣意見11に対する沖縄県の対応は、時間がかかるため新たな調査をすることなく、一地下水流域の観測値に基づき算出された流出量を地層が異なるなどの条件が違うにもかかわらず面積比だけで計算し、他の流域の地表流出量や地下水流出量として推定している。極めて杜撰と言わざるを得ない。また海域に浸出する経路については主な経路さえ示していない。大臣意見を軽視あるいは無視した沖縄県の補正は、アセスメント制度をないがしろにするものと考えるが、政府の見解を求めたい。
九 沖縄県から洞窟内の測量調査を委託された日本洞窟学会の副会長は最近の地元紙の記事において、予定地内の洞窟に珍しい鍾乳石や沖縄最大の石柱があると述べている。しかし、県はこれらの洞窟内生成物に関する調査をほとんど行なっていない。政府はこれらの貴重な文化財の調査と保護について必要な施策を県に求めるべきではないか。政府の見解を求める。
十 沖縄県は電気探査による空洞調査に基づき、滑走路下の洞窟は埋めなくても安全性に問題はないとの結論を出している。しかし、その後の実測調査で、これまでの電気探査では西方向に伸びているとされていた砂層の洞窟が、実際には滑走路の地下を滑走路に沿って南方向へ走行していることが判明するなど、当初推測されていた洞窟の位置が誤っていたことが明らかになった。しかし、沖縄県は空洞調査の再実施や滑走路の安全性について再確認を行なわないまま空港設置許可申請書を国土交通大臣に提出した。政府は空港の安全性確保のために再度の調査等を県に求めるべきではないのか。政府の見解を求める。
十一 一九九六年九月に当時の環境庁長官、沖縄県知事、そして石垣市長が白保海域を含む石垣島東海岸の国立公園化に合意している。しかしそれからすでに九年以上も経過しているにもかかわらず、国立公園になっていない。今後どのような手続きを経ていつ頃までに西表国立公園に編入する予定か、政府の方針を明らかにされたい。また、陸海の生態系は切り離されているわけではなく一体として保全するべきであるが、国立公園地域の線引きにあたって新石垣空港整備事業は重大な障害にならないか。国立公園地区内に沿岸陸域部をどの程度入れ込むべきと考えるのか、政府の見解を示されたい。
十二 航空法(昭和二十七年七月十五日法律第二百三十一号。以下「法」という。)第三十九条一項五号には「飛行場にあつては、申請者が、その敷地について所有権その他の使用の権原を有するか、又はこれを確実に取得することができると認められること」と定められ、空港設置許可の要件の一つになっている。しかし、予定地内中央部には空港建設に反対する、地元住民を含め六百人以上の地主が所有する土地があり、その約半数の地主が当該土地について「将来にわたって空港用地としては提供しない」との通知を国土交通大臣に内容証明付郵便で出している。このような状況で設置許可が可能なのか。政府の見解を求める。
十三 法第三十八条二項および施行規則第七十六条一項四号は、設置許可申請者に対して「飛行場予定地又は予定水面並びにそれらの所有者の氏名及び住所」を記載した申請書の提出を義務付けている。
 しかし、沖縄県の申請書には、事業用地の譲渡で地権者から同意が得られていない二筆の土地(石垣市字盛山東牛種子二二〇番地一四六号及び同一四七号)については、一名を除いて所有者(相続による所有者を含む。以下同じ。)の氏名及び住所が記載されていない。
 一方、同第三十八条三項においても飛行場の設置許可申請があったときは、二項と同様に「飛行場予定地等の所有者の氏名及び住所」を告示し現地で掲示しなければならないとされている。しかし、この手続についても一名を除き行なわれていない。
 「飛行場予定地等の所有者の氏名及び住所」は法第三十九条二項で定められている公聴会で公述の申し出をした者が、当該区域内に私法上の権利を有しているか否かを国土交通大臣が確認する(公述人の選定をする場合等)には不可欠なものであり、また、土地の所有者が自らの土地が当該区域内に存しているかどうかを確認するためにも不可欠であり、これは極めて重大な瑕疵であると考えられる。従って、政府は沖縄県に対し申請書の補正を求めるか、差し戻すべきではないかと考えるが、政府の見解を問う。

 右質問する。



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