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平成十八年三月二十三日提出
質問第一八〇号

医療費の推計に関する再質問主意書

提出者  山井和則




医療費の推計に関する再質問主意書


 平成十八年三月十日付内閣衆質一六四第一二一号の答弁書(以下、「前回答弁書」という。)の内容について、いくつかの疑問が生じたので、以下のとおり質問する。

一 前回答弁書によると、平成十六年五月十四日に厚生労働省が公表した「社会保障の給付と負担の見通し」(以下「社会保障の給付と負担の見通し」という。)に用いられた平成十六年度予算編成時点における医療費を「一人当たりの一般医療費は十七万円、一人当たりの高齢者医療費は八十万円と」見込んでいる。この数値を基礎として、国立社会保障・人口問題研究所の平成十六年度推計人口を一般と高齢者に分けてそれぞれ一人当たり医療費に乗じて国民医療費を算出し、医療給付費を国民医療費の八十五%として計算を行うと、平成十六年度予算における医療給付費は二十七・八兆円となった。一方、「社会保障の給付と負担の見通し」を見ると、平成十六年度予算における医療給付費は二十六兆円となっている。同じ平成十六年度予算を基礎とし、前回答弁書に従い一人当たり医療費から計算した医療給付費と、「社会保障の給付と負担の見通し」に書かれた医療給付費との間で二兆円近いずれが生じ、整合しない。私の計算に間違いがあれば、どこが間違いなのか具体的にご指摘いただきたい。もし計算間違いでないならば、なぜ整合しないか答弁されたい。
二 前回答弁書では「平成三十七年度の国民医療費の見通しは、起算点における一人当たりの一般医療費及び高齢者医療費に、一般医療費については毎年度二・一パーセントの伸び率を、高齢者医療費については毎年度三・二パーセントの伸び率を乗じて得た平成三十七年度の一人当たりの一般医療費及び高齢者医療費に、平成三十七年度時点で見込まれる一般の者と高齢者の人数をそれぞれ乗じて算出した平成三十七年度の一般医療費及び高齢者医療費の見通しの合計であり」とある。また平成十七年十月十九日に厚生労働省が公表した医療制度構造改革試案(以下「試案」という。)では、起算点の医療費は「一人当たりの高齢者医療費は八十二万円、一人当たりの一般医療費は十七万円」とされている。このことから、試案における平成三十七年度の国民医療費推計は、次の計算で行ったと理解して間違いないか。間違いがあれば、具体的にご指摘いただくとともに、正しい計算方法をお示し頂きたい。この際、文章で分かりにくい場合は、数式にてお示し頂きたい。
 ア 起算点の一人当たり医療費 一般医療費十七万円 高齢者医療費八十二万円
 イ 一般医療費の伸び率二・一パーセントを平成十八年度から平成三十七年度まで十九回乗ずる。つまり、一・〇二一を十九回乗じて、伸び率を決める。結果は、一・四八倍。この伸び率を起算点一般医療費十七万円に乗じ、平成三十七年度一人当たり一般医療費は二十五・二万円。
 ウ イと同様の計算により、平成三十七年度一人当たり高齢者医療費は、百四十九・二万円。
 エ 平成三十七年度人口を、国立社会保障・人口問題研究所の中位推計に従い、一般九千三百四十万人、高齢者二千七百八十万人とし、それぞれに一人当たり平成三十七年度医療費を乗じて、平成三十七年度一般・高齢者医療費を算出する。その結果は、一般二十三・五兆円、高齢者四十一・五兆円。
 オ 一般医療費と高齢者医療費を合計して、平成三十七年度国民医療費六十五兆円。
三 二と同様の計算により、平成十六年度を起算点、一人当たり一般医療費十七万円、一人当たり高齢者医療費八十万円として、「社会保障の給付と負担の見通し」の推計を私どもが再計算すると、平成三十七年度の国民医療費は六十七・八兆円となった。ここから医療給付費を国民医療費の八十五パーセントとして計算すると五十七・六兆円となった。一方、「社会保障の給付と負担の見通し」を見ると、平成三十七年度国民医療費六十九兆円、医療給付費五十九兆円となっている。この不一致はなぜ生じるのか。私の計算に間違いがあるならご指摘いただきたい。そうでないなら、理由を教えていただきたい。
四 前回答弁書を見ると、「社会保障の給付と負担の見通し」において、採用した平成十六年度予算編成時点での見込額から、起算点における高齢者一人当たり医療費は八十万円としたとある。一方、「平成十六年度医療費の動向」によると、高齢者一人当たり医療費は、七十三・九万円であるという。予算と実績の乖離はなぜかくも大きいのか、答弁いただきたい。
五 前回答弁書を見ると、試案における平成三十七年度医療費推計に当たっては、起算点として、一人当たり高齢者医療費八十二万円が用いられているとある。一方、「平成十六年度医療費の動向」による平成十六年度高齢者医療費一人当たり実績は七十三・九万円である。この平成十六年度高齢者一人当たり医療費七十三・九万円を起算点に平成十八年度概算要求で八十二万円となるには、年率五・三四%の伸び率を前提としていることとなる。この伸び率は、近年の高齢者一人当たり医療費の推移を見れば、妥当性を欠くのではないかと思われるが、政府の見解を述べられたい。
六 前回答弁書を見ると「社会保障の給付と負担の見通し」における「一人当たり医療費の伸び(一般医療費二・一%、高齢者医療費三・二%、平成七〜十一年度実績平均)」の算出に当たっては、高齢化等の人口構成の影響と医療保険制度改正の影響を除く補正が行われているとある。一方「社会保障の給付と負担の見通し」には、「平成七〜十一年度実績平均」とのみあり、補正が行われたことが記されていない。なぜ補正の事実を明記されなかったのか答弁いただきたい。
七 前回答弁書を見ると、「社会保障の給付と負担の見通し」における「一人当たり医療費の伸び(一般医療費二・一%、高齢者医療費三・二%、平成七〜十一年度実績平均)」の算出に当たっては、高齢化の影響等の人口構成の変化の影響を、医療費の伸び率から除外しているとある。採用した伸び率から、高齢化等の人口構成の影響が除外されているのならば、推計に当たって、起算点となる年度から推計する年度までの高齢化等の人口構成の影響を算出して、人口構成の影響を除外した伸び率による推計の結果に乗ずる必要がある。しかるに、二に示した前回答弁書の計算には、この高齢化等の人口構成の影響の計算が含まれていない。方法的に間違いであると思われるが、いかがか。
八 前回答弁書にある「一人当たり医療費の伸び(一般医療費二・一%、高齢者医療費三・二%、平成七〜十一年度実績平均)」算出に当たって適用した補正方法を平成十二〜平成十六年度までの各年度において行うことは、技術的に可能なことである。そこで、平成七年度から平成十六年度までの各年度について、前回答弁書に述べられた方法に従った一般・高齢者それぞれの、実績伸び率、高齢化等の人口構成の影響の補正率、医療保険制度改正の影響の補正率、実績から二つの影響を除外した推計用の伸び率を示していただきたい。そして、この近年五年の伸び率平均を用いて、平成三十七年度の国民医療費と医療給付費を推計するといくらになるか答弁いただきたい。
九 前回答弁書を見ると、高齢化の影響等の人口構成の変化の影響を補正するために、基準とする年度の「年齢階級別一人当たり医療費」を用いたとある。これは、国民医療費の五歳階級別医療費を意味すると理解するが間違いないか。
十 国民医療費の五歳階級別医療費は、平成十年度から平成十五年度までは公表されているが、それ以前については公表資料がない。そこで、推計の前提となっている伸び率「一般医療費二・一%、高齢者医療費三・二%」の算出に当たって用いた平成六年度から平成九年度までの国民医療費の五歳階級別医療費を教えていただきたい。もし存在しないのであれば、その期間の補正をどのような根拠によりどのような方法によって行ったのか、明確に回答いただきたい。
十一 前回答弁書によると「医療保険制度改正の影響の補正については、医療保険制度改正が行われた直後の期間における対前年同月比の実績の伸び率から医療保険制度改正の影響がないと考えられる期間における対前年同月比の実績の伸び率を控除することにより医療保険制度改正の影響率を算定している」とある。そして、一般医療費については平成九年度と十年度、高齢者医療費については、平成九年度と平成十年度と平成十一年度に医療保険制度改正の影響の補正が行われたとある。この五回の補正を行うに当たって利用した「医療保険制度改正が行われた直後の期間」とはそれぞれいつからいつまでの期間であるのかお答えいただきたい。また、それぞれの期間について、伸び率を控除する基礎とした「医療保険制度改正の影響がないと考えられる期間」はいつからいつまでの期間を採用したのか、その期間と選定基準をお答えいただきたい。
十二 十一で示された期間について、それぞれの伸び率の実績を示されたい。
十三 十一で示された五つの「医療保険制度改正の影響がないと考えられる期間」については、改正の前と後の両方にそのような期間があり得るが、実際に補正の基準とした期間が「医療保険制度改正が行われた直後の期間」より前の時期であるならば後の、後の時期であれば前の期間においても「医療保険制度改正の影響がないと考えられる期間」が存在する可能性があるので、その期間及びその期間における医療費の伸び率実績を示していただきたい。
十四 十三において、推計に使われていない「医療保険制度改正の影響がないと考えられる期間」があるならば、推計に採用した期間を選んだ理由について、それぞれ根拠を示して説明されたい。
十五 前回答弁書を見ると、平成三十七年度の国民医療費の見通しは「経済成長率を用いて算出はしていない」とある。また、一人当たり医療費の伸びの「平成七〜十一年度実績平均」の算定に当たっては「診療報酬改定の影響その他の事項については補正を行っていない」とある。では、平成七年度から平成十一年度までの診療報酬の伸び、名目経済成長率の伸び及び一人当たり国内総生産の伸びは、平均するとそれぞれ年率いくつであるのか教えていただきたい。
十六 平成三十七年度の医療費推計に当たり「診療報酬改定の影響その他の事項については補正を行っていない」とすると、推計期間において、この伸び率測定期間と同じ伸び率の診療報酬改定があると考えて推計を行ったことと同じであると思われるが、そのように理解して良いか。また、診療報酬改定は金額に大きな影響を与えるのに、その影響を排除しなかった根拠を教えていただきたい。
十七 将来における診療報酬改定が無かった場合及び一人当たり国内総生産の伸びと同じ率であった場合に平成三十七年度国民医療費はいくらになると政府は推計するか、答弁いただきたい。

 右質問する。



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