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平成十八年五月十一日提出
質問第二五六号

ふるさと銀河線廃止に関する質問主意書

提出者  松木謙公




ふるさと銀河線廃止に関する質問主意書


 ふるさと銀河線(以下「銀河線」という。)は、第三セクターである北海道ちほく高原鉄道株式会社(以下特別な場合を除く他、「会社」という。)が、旧国鉄財産の無償譲渡を受け、また旧国鉄時代からの転換交付金を財源とする「基金」の助けを借りて北海道池田町−北見市間(百四十キロメートル)を運行してきた鉄道である。
 このように、国民的な支援を受け、地域の期待を担い大きな公共性を有する事業であるにもかかわらず、会社は、四月二十日銀河線を廃止し、当日の深夜から翌日にかけて約九十箇所の踏切遮断機・警報機を撤去し、五月九日からは百四十箇所の踏切部分のレール撤去を開始した。更に六月には全線百四十キロメートルの鉄路撤去計画を企図している。
 しかし、第三セクター鉄道でありながら、会社はその出資者である沿線住民はもちろん北海道議会、沿線自治体議会に対し、再利用計画の意見を求めることもないまま、撤去計画、処分計画を早々に確定しようとすることはあまりに拙速であるといわざるを得ない。
 そこで、次の質問をする。

一 会社は六月中にも鉄道財産の撤去計画を固め、株主総会で残余財産の処分と法人解散の議決を行おうとしている。六月中に鉄路撤去を決定しなければならない理由は明確ではない。
 国土交通省は、会社の全体の残余財産の処分計画、解散時期について承知しているか。
二 過去、多くの鉄道が廃線となったが、その廃線路の多くで、レール、枕木、橋梁が撤去されないままとなっている実情にある。時にそれらは「歴史遺産」、「産業遺産」等として再認識され、旧鉄道事業者の思惑とは別に観光資源となるまでに至っている例もある。廃線後の鉄路等の全部について、それを早急に撤去すべきとする法的義務はあるか。
三 鉄道事業法第二十九条第一項において「法人の解散の決議又は総社員の同意は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない」とし、第二項において「国土交通大臣は、当該法人の解散の決議又は総社員の同意によって公衆の利便が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除き、前項の認可をしなければならない」と規定している。この規定によれば、「国土交通大臣は、当該法人の解散によって公衆の利便が著しく阻害されるおそれがあると認める場合は、前項の認可をしてはならない」と考えられるが、どうか。
 また、公衆の利便が著しく阻害されているか否かの判断において、鉄道事業廃止後の代替バスの乗客の逸走率が著しく高い場合には、代替交通は形式的に確保されるとしても現実に機能していないこととなる。そうした状況とは「公衆の利便が著しく阻害されている」状況に他ならないと考えるがどうか。
四 三セク鉄道で、その廃止後に全線を撤去し、会社を清算する事例は今回が全国初のこととなる。この廃止、清算、財産処分に係る手続き、方法をどのように進めるかは将来の地方鉄道廃線の前例ともなるものであり、慎重の上にも慎重に進めるべきと思うが如何か。
五 現在の会社はレール等を売却する方針であるが、国交省はこの全体の売却計画を承知しているか。承知している場合には、その売却方法、売却価格、レール等撤去費用の試算を回答されたい。
六 銀河線沿線の自然環境、高齢化の進行等から予想されることは、逸走率の高さに加えて、過疎化の急速な進行と地域の疲弊であり、これを危惧する声が多くの沿線関係者から寄せられている。
 このような中で、沿線関係者は廃線後の地域振興をどうするかに知恵を出そうとしている。寒冷で広大という北海道の特性の中で、鉄道は広大な大地の開拓に大きな役割を果たしてきたことはいうまでもない。今、鉄道の廃線により地域が再び荒野に戻ることは座視できない。
 陸別町においては、多くの観光客を呼んでいた天文台への入込数が銀河線廃線後に激減した。町では商工会を中心に銀河線九・八キロメートルを会社から譲り受け、動態保存事業で観光客確保に乗り出そうとしている。陸別町の関係者はこの動態保存事業の成否が町の存亡を決定付けるとの厳しい認識のもとに取組みを進めている。訓子府町の議会においては、一定期間の鉄路存続の必要性が議論され、町長は「振興に向けて必要があれば議題にあげていきたい」と答弁している。置戸町においても鉄路の存続と活用をめざそうと住民たちが検討を開始している。
 総延長百四十キロメートル、総面積六百四十万平方メートルの膨大な規模であるから、沿線自治体が様々な活用の検討に入っていることは当然である。しかし、最も先行した取組みを行っている陸別町においてさえ、その運行開始は来年からとしているように、廃線後の鉄道財産の活用にはそれなりの時間と資金が必要である。今後は住民や青年団体、商工団体、農業団体からまちおこし、産業おこしに連動したプランが出てくるであろう。しかし、これらのプランが出される前に会社が鉄路を撤去してしまうことは、様々な活用計画において最初から鉄路活用の選択肢を排除することになるものである。
 第三セクターとして、沿線自治体、沿線住民の資金もつぎ込まれて運営してきた会社が、その廃線後の財産活用について沿線住民の意思決定を規制するごとき枠をはめることはあってはならない。したがって鉄道財産の処分にかかる会社の判断においては、銀河線沿線住民による鉄道財産活用計画の動向に充分配慮すべきであり、そのような慎重な判断を会社に求めて行くべきと思われるが国交省に指導の考えはあるか。

 右質問する。



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