質問本文情報
平成十八年六月十五日提出質問第三五八号
住民基本台帳ネットワークシステムによる「最適化計画」等に関する質問主意書
提出者 河村たかし
住民基本台帳ネットワークシステムによる「最適化計画」等に関する質問主意書
現在、国の各省庁は、「最適化計画」などと称する業務やデータベースシステムの抜本的な変革を行う計画を進行させている。また、外国人入国者については、その個人情報を、省庁を越えて「一元管理」する計画が進行中であるとも言われている。
これらが実現するならば、各省庁のデータベースの情報が、コンピュータネットワークによって容易に結合されうることになり、個人情報の一元管理(名寄せ、データマッチング)による国民や外国人入国者のプライバシー侵害の懸念が強くもたれるところである。
よって、以下の点につき質問する。
(1) 各省庁において、業務、システム等の「最適化計画」(例えば、「法務省情報ネットワーク(共通システム)最適化計画」、「社会保険業務の業務・システム最適化計画」など)、もしくはこれに類する計画が存在するか、明らかにされたい。
(2) 存在する場合は、省庁毎に、その@計画名、A計画内容を記載した文書名、B文書の作成名義、C文書の作成年月日、D公刊ないしホームページ等で公表されている場合は、その入手方法等について、明らかにされたい。
(3)@ 「最適化計画」においては、一省庁で一ネットワークを構築することが目指されているかどうかについて、明らかにされたい。
A 目指されている場合、その目的を簡潔に明らかにされたい。
(4)@ さらに、霞ヶ関WANやLGWANを通じて、省庁を越えて、ネットワーク化することが目指されているかどうかについて、明らかにされたい。
A 目指されている場合、その目的を簡潔に明らかにされたい。
B これに関する計画が存するのであれば、その文書名、作成者名、作成年月日等について明らかにされたい。
(5) ネットワーク化に資するように、各業務、各省庁のコンピュータシステムにおいて、OS(基本ソフト)の共通化や、使用ソフトウェアの共通化が図られているかどうかについて、明らかにされたい。
(6) 更に、各業務毎のデータベースの仕様を共通化することも検討されているかどうかについて、明らかにされたい。
(7) たとえば、法務省においては、ネットワークの適正化に向けて、省内の各ネットワークの統合により、一府省一ネットワークの実現をめざし、従来のネットワーク(「法務省WAN」)を新たな法務省情報ネットワーク(「法務省NW」)として再構築し、「法務省NW」に接続するすべての端末間で情報の共有を可能にし、かつ運用管理の一元化を図ろうとしている。そこで質問する。
@ 上記共有を図る情報には、国民(被疑者、被告人を含む)の個人情報も含まれているか否か明らかにされたい。含まれているとすれば、その情報の内容を網羅されたい。
A その場合、国民個々人を検索・名寄せする「検索キー」としてどのようなものを構想しているか明らかにされたい。
2 霞ヶ関WAN・LGWANの利用の実態について
(1) 各府省及び独立行政機関が所管するネットワークと地方公共団体との接続について
@ 既に霞ヶ関WAN・LGWANを利用しているシステムについて明らかにされたい。
A 霞ヶ関WAN・LGWANの利用を予定しているシステムを明らかにされたい。
B 課題が解決すれば霞ヶ関WAN・LGWANの利用が可能としているシステムを明らかにされたい。この場合の「課題」とは何であるか、明らかにされたい。
(2) 総務省主管の住民基本台帳ネットワークシステムについては、「立法府の要請や自営回線の敷設により、ネットワークに高度な独立性を確保する必要があることから現時点においては霞ヶ関WAN・LGWANの利用が困難なシステム」とされているようである。
@ 住民基本台帳ネットワークシステムについては、法の改正がなされれば、霞ヶ関WAN・LGWANとの接続・利用が可能という見解か、明らかにされたい。
A 「現時点においては」とされているが、住民基本台帳ネットワークシステムについて、将来、霞ヶ関WAN・LGWANの利用をすることの検討がなされているか否か、明らかにされたい。
3 「外国人入国管理」関係
(1) 既に、平成一七年一月四日より、「事前旅客情報システム(APIS)」が導入されていると聞くが、以下そのシステム概要を説明されたい。
@ 「APIS」は、「航空会社が搭乗手続時に取得した旅客等に関する情報の提供を電子データとして受け、警察庁、法務省及び財務省の各省庁が保有するデータベースと自動的に照合することにより、厳正な入国管理局による上陸審査、税関による検査及び国際組織犯罪やテロ等に係る警察による取締りの効率化等を図るものである。」とされているが、そのとおりか。
A 参加する日本の官署は、警察庁、法務省、財務省だけか、他にも存するなら、その官署名を明らかにされたい。
B 日本人も含む全ての旅客、乗務員の情報が収集、提供されるのか明らかにされたい。
C いかなる「旅客情報」が収集、提供されるのか明らかにされたい。
D 航空会社と前記省庁の間は、ネットワーク化されているのか。
E 旅客等に関する情報を取得した航空会社は、情報をどこに対して、どのように提供するのか。前記省庁それぞれに提供するのか、それとも、一元的に提供する先が存するのか、明らかにされたい。あるとすればその機関を明らかにされたい。
F 前記省庁が照合に使用するデータベースとは、具体的にどのようなものか。記録されている情報はどのようなものか。それぞれ具体的に明らかにされたい。
G 航空会社から提供された情報と上記省庁が保有するデータベースとを照合する主体はどこか。
照合した結果はどこに、集約されるのか。具体的な機関名およびその方法について明らかにされたい。
H 提供された情報および照合した結果のデータは、どこの機関が、どのように保管管理するのか、明らかにされたい。また、保管期間について明らかにされたい。
I APISの設置、運営に関する規程の存否及びその名称、制定者、制定年月日について、明らかにされたい。
(2) @成田空港、及び、関西空港に「顔認証」機能のついたカメラが設置されているか否か、A同カメラシステムと、APISが関連しているかを明らかにされたい。更に、B関連しているとすれば、その関連の概要を説明されたい。
(3) 現在、外国人入国者の個人情報を一元管理する計画が存するか否かについて、明らかにされたい。
(4) 仮に、計画が存する場合は、その内容を記した文書名、作成名義、作成年月日等を明らかにされたい。
(5) 計画の概要を明らかにされたい。特に、@APISとの関係、A計画においては、どの機関が収集・管理する、どのような個人情報を、一元管理することが検討されているのか、B一元管理を行う機関としては、どの省庁が管轄する、どのような機関が検討されているのか、Cいかなる仕組みで一元管理することが検討されているか、明らかにされたい。
(6) 特定の「入国外国人」を検索、名寄せする場合の「検索キー」としては、どのようなものを検討しているのか、明らかにされたい。特に、「指紋」「掌紋」「光彩」「静脈」「顔貌」情報等で検索することが検討されているのか否かについて、明らかにされたい。
(7)@ 「法務省情報ネットワーク(共通システム)最適化計画」においても、出入国管理業務等のシステムの「最適化」が計画されているか、明らかにされたい。
A 同計画の中で、出入国者の、指紋、静脈、顔などのバイオメトリスク情報のデータベース化が、計画されているか否かを、明らかにされたい。
B 同計画の中で、IC旅券認証システム、生体情報システム、自動化ゲートシステムが位置づけられているか否かを、明らかにされたい。もし位置づけられているとすれば、その概要を説明されたい。
C 同計画の中で、「インテリジェンスシステム」なるものが位置づけられているかどうか、明らかにされたい。もし位置づけられているとすれば、その概要を説明されたい。
D 同計画において、他の官署(警察庁など)との連携、協同が検討されているか否かについて、明らかにされたい。もし検討されている場合は、その概要を明らかにされたい。
E 同計画とAPIS及び外国人入国者情報の一元管理化計画との関係について、明らかにされたい。
右質問する。