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平成十九年二月十三日提出
質問第六二号

経済モデルによるシミュレーションに関する質問主意書

提出者  滝  実




経済モデルによるシミュレーションに関する質問主意書


 平成一九年度予算で新規国債発行額は約二五兆円とされている。これは歳出をできる限り抑えるとの方針のもとに予算編成された結果の数字に過ぎず、内閣総理大臣が施政方針に関する演説において「今こそ、日本経済を中長期的に新たな成長の舞台に引き上げていくことが重要」であると示された方向との関連が明確ではない。そこで以下の点について質問する。

一 経済財政諮問会議は一月一八日、新中期方針「日本経済の進路と戦略」を決定しているが、それを裏付ける経済モデルがあるはずだ。このような経済モデルを使ってシミュレーションを行って、新規国債発行額が予算に計上されている二五兆円の場合と五兆円増やして三〇兆円とした場合を比較してどちらが内閣総理大臣の施政方針演説に沿うのかを示すべきではないか。
二 今回の新中期方針の前身である「構造改革と経済財政の中期展望−二〇〇五年度改定」(以下「改革と展望」という。)は経済モデルによるシミュレーションを公表している。それによると新規国債発行額を五兆円増やし、それを所得税減税または公共投資を増額するような景気刺激策をとれば、成長は加速され、デフレ脱却を助け、少なくとも最初の一〜二年度には債務のGDP比を減らして財政再建に寄与させることができると結論付けている。このような景気刺激策をとると問題があるというのは三年目以降で債務のGDP比が増える可能性があるということか。
三 このモデルで景気刺激策をとると三年目以降で債務のGDP比が増えて問題だというのは景気回復期に短期金利が上昇すると仮定しているからであり、もしも短期金利の上昇を抑える政策をとれば三年目以降も債務のGDP比は減ると考えられるので、こういった試算を行って公表すべきではないか。
四 このモデルでは、債務のGDP比を計算するときに短期国債や交付国債を除外している。このような国債まで含めれば、三年目以降も債務のGDP比は改善すると考えられるのではないか。少なくともOECDの年次報告で引用されている債務のGDP比と同じ定義にすべきではないか。
五 日銀が持っている国債に対する利払いは国庫納付金として国庫に還流する。これをこのモデルに入れてシミュレーションを行い、景気刺激策のマイナス評価を修正すべきではないか。
六 政府は、経済モデルに基づいたシミュレーションにより経済発展と財政再建の戦略を練るべきであり、かつての経済審議会計量委員会のような専門家による検討が必要ではないか。
七 日銀の政策に政府が干渉すべきではないという原則が尊重されなければならない。しかし、デフレ脱却には政府と日銀が協力することが不可欠である。昭和の大恐慌の際は高橋是清大蔵大臣と深井英五日銀総裁の協力により日本の立ち直りは世界で最も早かったと評価されているのに、今回のデフレからは今なお脱却しきれず、多くの国民が苦労している。このような事情を考慮すれば、政府と日銀が協力するためのルールの明確化を急ぐべきではないか。

 右質問する。



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