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平成十九年三月一日提出
質問第九五号

原子力の平和的利用に関する質問主意書

提出者  保坂展人




原子力の平和的利用に関する質問主意書


 原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府と欧州原子力共同体との間の協定(以下、日欧原子力協力協定)、原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(以下、日米原子力協力協定)、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とオーストラリア政府との間の協定(以下、日豪原子力協力協定)、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とカナダ政府との間の協定(以下、日加原子力協力協定)、原子力の平和的利用の分野における協力に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定(以下、日露原子力協力協定)について、以下、質問する。

一 これら以外に、日本が原子力協力協定を結んでいる国をすべて挙げられたい。
二 南アフリカ、ナミビア、ニジェールは、日本に原料ウランを供給している。日本とこれらの国々の間には、それぞれ原子力協力に関する協定、覚書、交換公文などはあるのか。
三 日欧原子力協力協定は、一方の締約者に違反が認められた場合、他方の締約者は移転された核物質の返還を要求する権利を行使することができる(同協定第十三条1)と規定されている。また、日米原子力協力協定(同協定第十二条1)は、核物質、物資等の物品、日豪原子力協力協定(同第七条1)は核物質、物品、機微な技術の返還を要求する権利を行使することができると規定されている。同じく、締約国が返還を要求する権利を行使する場合、当該核物質(あるいは当該物品、技術)の公正な市場価格(あるいは時価)について、他方の締約者又は関係する者に補償を行う(日欧原子力協力協定第十三条7、日米原子力協力協定第十二条5、日豪原子力協力協定第七条2)と規定している。
(1) これらの協定に照らし、日本に違反が認められた場合、たとえばオーストラリアから供給された八酸化三ウランが米国で濃縮された後、日本国内で燃料集合体に加工され、国内の原子炉に装荷され、その使用済み核燃料が海外(英国またはフランス)で再処理された場合、オーストラリア産ウランから生成されたプルトニウムは、どの国に返還されることになるのか。八酸化三ウランの供給国が、カナダ、ニジェール、南アフリカ、ナミビアの場合、それぞれ、どうなるのか。
(2) 日本に違反があった場合、「当該核物質(あるいは当該物品)の公正な市場価格(あるいは時価)について、他方の締約者又は関係する者に補償を行う」とは、たとえば質問三(1)の場合、どの国の何に対し、市場価格(時価)での補償が行われるのか。
(3) 質問三(2)に関連し、返還は放射性廃棄物とみなされる核物質や物品の移転にあたる場合もありうる。ウランやプルトニウムなどの特殊核分裂性物質を含め、返還できる形態のものは当該国に返還されるが、既に使用され変化したり消耗したり放射能汚染されたりするなどして返還に適さなくなった核物質や物品については、公正な市場価格(あるいは時価)での補償が行われる、と理解してよいのか。
(4) これらの協定のもとで移転された知的財産(原子炉やウラン濃縮工場や再処理工場などの核施設の設計や技術に関する特許や製造ライセンスなど)は、部品や核物質などの物品と同様、返還要求や補償の対象となるのか。
(5) これらの協定に照らし、英国あるいはフランスで再処理された使用済み核燃料から抽出されたプルトニウムを日本が利用する場合、その使途や使用が予定される核施設や加工が予定される施設などについて、それぞれ英国あるいはフランスの事前同意は必要か。
(6) 六ヶ所ウラン濃縮工場、六ヶ所再処理工場、高速増殖炉「もんじゅ」の部品や設計や技術や製造ライセンス等は、米、英、仏、豪、加、欧と日本との間の協定、あるいは他の協定にもとづく二国間あるいは多国間協議の対象となるのか。対象とならないものがあれば、その理由は何か。
(7) 日加原子力協力協定では返還請求権が定められていない。カナダ産の八酸化三ウランをカナダまたは日本国内で天然六フッ化ウランに転換し、それを国内で濃縮し、燃料集合体に加工し、カナダとの二国間協議の対象になっていない国内の原子炉で照射し、その使用済み核燃料を六ヶ所再処理工場で再処理して抽出されたプルトニウムを、日本が同協定に規定されている目的以外に使用した場合、カナダは返還もしくは補償などを日本に求めることができるのか。そのような使用済み核燃料は存在するのか。その場合、その量を明らかにされたい。
四 日米原子力協力協定のもとで二国間協議の対象になっていない原子力発電所、研究用原子炉、及びその他の核施設はどれか。
五 ウエスチングハウス(WH)社は東芝の傘下に入った。
(1) 米国及び英国議会は、原子炉等の製造ライセンスをWH社が東芝・WH社へ譲渡することを承認したのか。承認した場合、それぞれの承認年月日を明らかにされたい。
(2) 米国の現地法人となる東芝・WH社が、日本国外に原子炉や部品、技術などを供与する場合、米国政府の承認が必要となるのか。
(3) これまでにWH社の製造ライセンスのもとに建設された日本の原子炉は、WH社が東芝傘下に入った後も、米国との二国間協議の対象になるのか。
(4) 今後、日本国内で東芝・WH社が製造した原子炉を建設する場合、米国政府の承認が必要になるのか。
(5) 東芝・WH社の米国子会社が、日本と米国以外に原子炉や部品、技術などを供給する場合、その受領国と米国が原子力協力協定を締結しているなら、日本が当該受領国と原子力協力協定を締結している必要はないのか。
六 二〇一七年に期限切れとなる日米原子力協力協定の更新や改訂に向けた協議は既に開始されているのか、あるいは、いつから開始される予定か。
七 日本とロシアの間では、一九九一年に日露原子力協力協定が締約された以降、改訂、付属書、覚書を含め、条約内容に変更・追加はあったか。
八 二〇〇五年末の日露首脳会談において、同協定の改訂は議題にはならなかったのか。
九 東京電力は一九九九年、ロシアのテネックス社と濃縮役務契約を締結し、ロシアで濃縮されたウランを、二〇〇〇年に米国で再転換し、二〇〇二年および二〇〇三年に日本で燃料集合体に成型加工した後、福島第一および第二原子力発電所に装荷したと聞いている。また、二〇〇一年にもテネックス社と濃縮役務契約を締結したと聞いている。
(1) 東京電力とテネックス社との間で結ばれたウラン濃縮役務は、一九九一年に締結された日露原子力協力協定の、どの条項にもとづいて許可されたものなのか。
(2) 濃縮役務契約に係る所管官庁への届出および申請等並びに許可の年月日を明らかにされたい。
(3) 福島第一および第二原子力発電所の原子炉から取り外される使用済み核燃料の再処理、及び再処理によって抽出されたプルトニウムの使途と使用が予定される核施設について、ロシアは事前同意権をもっているのか。
(4) ロシアから供給された濃縮ウランの使用済み核燃料は、ロシアで再処理する条件になっているのか。
(5) 東京電力によると、ロシアで濃縮されたウラン燃料は、米国に移転され、米国で再転換された。再転換作業を米国に委託したのはなぜか。ロシアには再転換技術、並びにその能力がないのか。
(6) 東京電力によると、テネックス社に濃縮を委託したウランの原産国はナミビアである。東京電力が買い付けたナミビア原産のウランは、ナミビアからロシアへ移転され、それをテネックス社の工場で濃縮した後、その低濃縮ウランが米国に移転され、米国で再転換されたのか。それともロシアの解体核兵器から取り出された高濃縮ウランを、同社の工場で低濃縮ウランにし、それを米国で再転換し、東京電力に供給したのか。
(7) 米国との再転換契約に係る所管官庁への届出および申請等並びに許可の年月日を明らかにされたい。
十 これらの協定以外に、二〇〇六年八月二八日、日本国政府とカザフスタン共和国政府は、「原子力の平和的利用の分野における協力の促進に関する日本国政府とカザフスタン共和国政府との間の覚書」(以下、日カザフ覚書という)に合意している。日カザフ覚書では「より高い加工レベルのカザフスタンのウラン製品及び核燃料加工役務の日本市場への提供」とある。この「より高い加工レベル」とは、具体的に何を指すのか。
十一 日カザフ覚書について、二〇〇六年八月三〇日付け電気新聞は、「日本企業が再転換や燃料加工をカザフ企業に委託することも想定される」と報じている。
(1) 英国、フランス及び日本国内で再処理された日本の使用済み核燃料から回収されたウランの再転換は、「より高い加工レベル」に含まれるのか。
(2) 日本の電気事業者はカザフスタンの事業者と、回収ウランの再転換委託契約を既に締結したのか。あるいは、その予定はあるのか。
(3) 十一の(2)に関し、既に締結したのであれば、それに係る所管官庁への届出および申請等並びに許可の年月日を明らかにされたい。
十二 海外から輸入した天然ウランを日本国内で濃縮した場合、その過程でできた劣化ウランは、その使途、使用が予定される核施設、加工が予定されている核施設について、原子力協力に関して日本が外国と締約している、すべての協定、覚書、交換公文などに照らし、二国間または多国間協議の対象となるのか。
十三 東海再処理工場で保管されている回収ウランの量を明らかにされたい。同工場で保管されている回収ウランは、その使途、使用が予定される核施設、加工が予定されている核施設について、原子力協力に関して日本が外国と締約している、すべての協定、覚書、交換公文などに照らし、二国間または多国間協議の対象となるのか。
十四 東海再処理工場で回収されたウランは、再び濃縮され、核燃料に加工され、国内の原子炉に装荷されていると聞いている。製造された体数、装荷された原子炉名、その時期について明らかにされたい。それらの照射済み核燃料は、どのように保管、あるいは処理されているのか。
十五 六ヶ所再処理工場で保管される回収ウランは、その使途、使用が予定される核施設、加工が予定されている核施設について、原子力協力に関して日本が外国と締約している、すべての協定、覚書、交換公文などに照らし、二国間あるいは多国間協議の対象となるのか。
十六 英国並びにフランスに保管されている日本の回収ウランは、その使途、使用が予定される核施設、加工が予定される核施設について、原子力協力に関して日本が外国と締約している、すべての協定、覚書、交換公文などに照らし、二国間あるいは多国間協議の対象となるのか。
十七 これらの協定、覚書、交換公文のもとで、人形峠あるいは六ヶ所ウラン濃縮工場で濃縮するために日本へ移転された八酸化三ウランの原産国と、これまでに移転された量を国別に明らかにされたい。
十八 これらの協定、覚書、交換公文を締結していない国から、人形峠あるいは六ヶ所ウラン濃縮工場で濃縮するために日本へ移転された八酸化三ウランはあるのか。その場合、国名と、これまでに移転された量を国別に明らかにされたい。
十九 これらの協定、覚書、交換公文のもとで、日本国内の燃料加工工場で加工するために日本へ移転された天然六フッ化ウランと、その転換事業者名、これまでに移転された量を明らかにされたい。
二十 これらの協定、覚書、交換公文を締結していない国から、日本国内の燃料加工工場で加工するために日本へ移転された天然六フッ化ウランはあるのか。その場合、その転換事業者名、これまでに移転された量を明らかにされたい。
二十一 ウラン濃縮役務は、どの国のどの事業者と、今後、何年先まで手当てされているのか、明らかにされたい。

 右質問する。



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