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平成十九年五月十五日提出
質問第二二六号

観光地における旅館業界の再生のための政府の施策に関する質問主意書

提出者  前田雄吉




観光地における旅館業界の再生のための政府の施策に関する質問主意書


 観光地にある旅館は、バブル崩壊後、長引く経済の不況と、過大な設備投資による債務負担のため、経営が困難な状況にある。旅館業界の不況は、地域経済へ深刻な影を落としている。
 地域経済の活性化のためには、旅館業界の再生へ向けた実効性ある対策が緊急に必要である。
 そこで、政府の観光地における旅館業界の再生のための施策について、質問する。

1 新聞報道によれば、金融機関から旅館に対する債権の譲渡を受けた整理回収機構が、破産手続きによる事業再生と称して、旅館業者について破産申立をしているケースが五例報道されている。
 これまでに、整理回収機構が、破産手続きを利用して事業再生を目指したケースは、どのくらいあるのか。時期ならびに、地域、業種別に明らかにされたい。
2 旅館は、サービス業種であり、サービスの質が大事である。従業員のマナーにしても、一朝一夕には教育できるものではないし、とりわけ集客には、旅館の顔である社長や女将の力が大である。破産という「敵対的な」強引なやり方では、旧経営者や従業員、取引先の反発を買って、とうてい事業再生ができるとは思われない。
 政府は、破産手続きを利用した企業再生を奨励しているのか。
3 地域の経済の活性化につながる企業再生のためには、事業譲渡先の選定は、重要である。たんなる投資目的で旅館を買い取るのでは、地域経済にはなんらプラスにはならない。整理回収機構が行った破産申立において、事業譲渡を受けた企業は、どのような企業か。どのような基準で選定されたのか。
4 現行破産法は、旧法と違って、破産手続きがきわめて迅速化されている。政府は、破産手続きを迅速化した立法趣旨について、自己破産が増大している現状をふまえ、債務者の迅速な救済をはかるためと説明している。
 ところが、新破産法は、和牛商法などのように、多くの国民から詐欺的手段でお金を集め、集めたお金を海外に持ち出されたりして、被害者の被害回復が困難になるような特殊なケースを別にして、迅速な審理手続きで、破産開始が決定されることは、想定していなかったのではないか。
5 ところで、日光川治温泉の柏屋ホテルのケースでは、本年二月十五日に整理回収機構は、柏屋ホテルについて、宇都宮地方裁判所に破産申立を行ったところ、宇都宮地裁は、1週間もしない二月二十一日に整理回収機構の申立を認め、破産開始決定を出している。
 1の報道にあった外の四件の旅館ホテルについて整理回収機構が行った破産申立では、破産申立から、破産開始決定までに、どのくらいの審理回数と審理日数を経ているか。
6 整理回収機構は、柏屋ホテルの連帯保証人である社長ならびに八十五歳になる女将についても、破産申立を行っている。これらの連帯保証人は、私財を処分して、六億円もの債務を弁済しているにもかかわらずである。
 連帯保証制度の悪弊に大きな批判が強まっている折から、連帯保証人についての破産申立は、少なくとも原則禁止とすべきではないか。
7 整理回収機構は、「新破産法には、切れ味がある」と言って、温泉ホテルだけではなく、他業種でも積極活用する方針であることが報道されているが、このような破産手続きの濫用は、会社更生法の脱法行為ではないか。
8 整理回収機構は、抵当権を持っている一債権者にすぎない。
 本来であれば、整理回収機構は、抵当権を実行して債権を回収するしかない。
 しかし、温泉地にある旅館ホテルは、不動産だけで評価するならば、それほど価値はないから、不動産を競売にかけても回収できる金額はそれほど大きくはない。整理回収機構は、旅館ホテルは、のれんや顧客など付加価値があって価値があるため、旅館ホテルの総体を売却すれば、高額での売却が可能であることから、有力債権者の地位を利用して、旅館ホテルを破産に追い込み、実質、租税や、一般債権者への配当を削減して、旅館ホテル売却代金のほとんどの独り占めをねらって破産の手法を使ったことは明らかである。
 整理回収機構が、企業再生をうたっても、整理回収機構は、売却代金から配当を得れば、整理回収機構の目的は達成される。整理回収機構は、もともと企業再生について責任を負える立場にはない。
 整理回収機構の手法が、まかりとおることになれば、債権者による企業乗っ取り(売却)が可能となる。
 政府はこのような現状についてどう認識し、今後どの様に対応するお考えか。

 右質問する。



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