衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十九年六月十五日提出
質問第三九三号

国際協力銀行が二〇〇五年三月三十一日にマレーシアのパハン・セランゴール導水事業に対し行った円借款融資に関する再質問主意書

提出者  前田雄吉




国際協力銀行が二〇〇五年三月三十一日にマレーシアのパハン・セランゴール導水事業に対し行った円借款融資に関する再質問主意書


 標記事業に係る円借款融資について、以下政府に対し質問する。

一 事業の全般と国際協力銀行の融資の開始について
 イ) 現在、同計画の総事業費は約千百七十一億円であるようだが、そのうち、ダム本体、パイプライン、導水トンネル、取水ポンプにかかる費用の内訳を示されたい。
 ロ) 既に、本計画のコンサルティング・サービスに係るコンサルタントの選定作業は終了したと理解しているが、その理解でよいか。
 ハ) コンサルティング・サービスの内容は、「本計画の詳細設計及び施工監理」であることが平成十九年五月十八日付け、内閣衆質一六六第二一八号の日本政府による質問主意書の答弁書で述べられているが、本計画のどの部分に関する詳細設計及び施工監理か。
 ニ) コンサルティング・サービスが開始されたことが事実だとすれば、国際協力銀行は近々融資を実施するのか。もしくは、既に融資を開始したのか。融資をこれから開始するとすれば、それはいつか。
二 入札に関して
 イ) 融資決定及び条件に係る二〇〇六年の外務省発表によると、本計画に関しては、融資契約の借款条件として、第三者委員会が設置され調達にかかわる審査をすることが明記されていると聞いているが、これは事実か。
 ロ) 本計画のコンサルティング・サービスに係るコンサルタントの選定も調達にあたるので、イ)が事実であるならば、本計画のコンサルティング・サービスに係るコンサルタントの選定にあたっても第三者委員会が設置されるべきではなかったのか。
 ハ) イ)が事実であるにもかかわらず、第三者委員会が設置されなかった場合、設置しなかった理由は何か。
 ニ) 二〇〇七年現在、コンサルタントが選定されたとのことである。現地マレーシアからの情報によると、東電設計グループと、モット・マクドナルド社グループの二つのグループの応札があったが、モット・マクドナルド社グループは入札条件が満たされず失格になり、最終的には東電設計グループが落札したようであるが、この経緯は事実か。
 ホ) ニ)で述べた落札経緯が事実であるならば、このモット・マクドナルド社グループの失格理由である「入札条件が満たされなかった」ということに関し、具体的にどのような条件が満たされなかったと日本政府は承知しているのか。
 ヘ) 国際協力銀行のコンサルタント雇用ガイドラインに則って、国際協力銀行は本事業のコンサルタント選定の妥当性について日本政府及び国際協力銀行は具体的にどのように確認したのか。具体的な確認の方法を示されたい。
 ト) 日本政府は、東電設計の水道事業に関する事業実績をどのように考えているのか。豊富な事業実績であると考えているのか。東電設計に水道事業の実績があるとすれば、日本政府が把握している東電設計の事業実績を挙げられたい。
三 事業の規模縮小に伴う影響に関して
 イ) ダム堤の高度が海抜九十メートルから八十五メートルと、規模が縮小したことに伴い、本計画による水供給量は減少すると理解しているが、この理解で正しいか。
 ロ) イ)の理解が正しければ、事業規模縮小により水供給量は何リットル減少し、現在同計画によるセランゴール州及びクアラルンプールへの水供給量は何リットルになったのか。
 ハ) そもそも同計画はセランゴール州の水不足に対応することを目的とした事業であったはずだが、供給量が減少しても水不足に対応できるということか。
 ニ) ハ)で、水供給量が減少しても水不足に対応できるとすれば、それはなぜか。
 ホ) セランゴール州及びクアラルンプールにおける、最新の水需要の予測の数値を示されたい。特に、二〇〇八年、二〇一〇年、二〇一五年、二〇二〇年について示されたい。
 ヘ) ダム堤の高度が海抜九十メートルから八十五メートルと、規模が縮小したことに伴い、ケラウダムによる湛水面積は何ヘクタールになったのか。
 ト) 事業規模の縮小により、以下の土地の湛水面積は当初よりも何ヘクタール減少し、現在何ヘクタールが水没することになっているのか。また、その湛水面積は、それぞれの全体の土地の面積の何パーセントに値するのか。
  ・ラクム森林保護地域
  ・オランアスリ居住地(耕作地等も含む)(テムアン)
  ・オランアスリ居住地(耕作地等も含む)(チェウォン)
四 モニタリング会合
 イ) 平成十九年五月十八日付け、内閣衆質一六六第二一八号の日本政府による質問主意書の答弁書において、同計画に関しては、マレーシア政府及び国際協力銀行職員の出席を得た形でのモニタリング会合を持って説明責任が果たされたと述べているが、そのような形では説明責任が果たされたことにはならない。再度質問するが、二〇〇七年三月に日本国大使館に提出された書簡に対し、日本政府として真摯に返答すべきではないのか。
 ロ) モニタリング会合の目的及び役割は何か。また、主催はマレーシア政府か。
 ハ) モニタリング会合へは、市民やNGO等が自由に参加できるのか。また、どのようにモニタリング会合の参加者を募っているのか。署名を出した五〇〇〇名もの住民や反対セミナーに参加したベントン付近の住民には、モニタリング会合の開催の案内を出しているのか。
 ニ) 過去三回、モニタリング会合の開催と参加の募集をどのようにかけたのか。
 ホ) 同計画に関して現地で開かれているモニタリング会合では、過去三回、何が話し合われたのか。また、モニタリング会合では、現地NGOまたは影響住民からどのような懸念が挙げられたのか。
 ヘ) ホ)で質問した、現地NGOまたは影響住民から挙げられた懸念は、モニタリング会合を通じて全て払拭もしくは解決されたのか。
 ト) モニタリング会合において国際協力銀行が果たしている役割は何か。
 チ) 過去三回開かれたモニタリング会合において、住民およびNGOなど市民側からの参加者はそれぞれ何人だったか。
 リ) 過去三回開かれたモニタリング会合において、先住民族からの参加者はそれぞれ何人だったか。
五 先住民族
 イ) 平成十九年五月十八日付け、内閣衆質一六六第二一八号の日本政府による質問主意書の答弁書において、「オランアスリは居住区の水没いかんにかかわらず、生活基盤となる耕作地の一部が水没するため、移転を希望する住民が存在するものと承知している」とある。移転を希望する住民が存在することも否定はしないが、問題は、「移転したくないのに、移転の有無に関する選択を知らされず、移転させられようとしている先住民族がいる」ことである。この問題に関し、国際協力銀行は現地で直接先住民族に確認したのか。
 ロ) 平成十九年五月十八日付け、内閣衆質一六六第二一八号の日本政府による質問主意書の答弁書において、「同銀行は、マレーシア政府がオランアスリに対し、冠水面積、ダム堤の高度の変更及び移転計画の概要を説明したほか、署名前には移転の有無を選択できる権利があることを説明したと承知している。」とあるが、イ)でも記したように、先住民族は移転の有無を選択できる権利があることを現在知らない。過去のマレーシア政府による説明の有無にかかわらず、現在オランアスリが移転の有無を選択できる権利があることを知らない以上、マレーシア政府は再度オランアスリと会合を持ち、その権利について適切に説明するべきであると考えるが、日本政府はどのような見解か。
 ハ) 平成十九年五月十八日付け、内閣衆質一六六第二一八号の日本政府による質問主意書の答弁書において、移転世帯数が増加した理由について、チェウォンの居住区が含まれていなかったことが述べられているが、チェウォンの居住区が移転世帯に含まれることになったのはいつか。
 ニ) チェウォンの居住区が当初同事業の環境影響評価に含まれなかった理由は何であると、日本政府は承知しているのか。
 ホ) チェウォンの生計手段や生活水準等、チェウォンに関する社会調査は実施されてしかるべきであると考えるが、実施されたのか。されたとすればそれはいつ実施され、それはマレーシア国内で公開されているのか。公開されている(た)場所と期間を示されたい。
六 報道の自由について
 平成十九年五月十八日付け、内閣衆質一六六第二一八号の日本政府による質問主意書の答弁書において、「マレーシアにおいて、我が国が供与する円借款を理由として報道の自由が規制されているとは承知していない」としているが、これについて日本政府としてどのように規制がないという事実を確認したのか。マレーシア政府からの情報によってのみ確認したのか。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.