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平成十九年九月十三日提出
質問第二一号

警察職員の不祥事に関する質問主意書

提出者  鉢呂吉雄




警察職員の不祥事に関する質問主意書


 平成十九年八月二十日 東京都国分寺市東元町のアパートに住む飲食店従業員の女性(以下、「被害女性」という)が、自宅アパートの部屋で警視庁立川警察署地域課の巡査長(以下、「巡査長」という)にけん銃で射殺され、この巡査長もけん銃で自殺するという事件が起きた。
 報道によると、この巡査長は被害女性とは飲食店の客として知りあったが、巡査長が客以上の交際を求めたため、被害女性に疎まれストーカー的な行為が高じて犯行に及んだ、とされている。
 犯行は制服で交番勤務中の出来事で、公務に使用するけん銃が使われたこともあって国民に大きな衝撃を与えた。
 かつては、日本の警察は世界に冠たる警察とされ、警察官も諸外国に比べて優秀で清廉潔白だと言われてきた。交番は国民の最も身近なところで国民の生命の安全を守る拠点であり、多くの国民から親しみをもってみられており、その有用性は世界でも注目を集めているところである。
 その交番の警察官が勤務中に殺人という凶悪事件を引き起こしたことは、警察に対する国民の信頼を著しく損ね、治安確保に重大な影響を与えるものであることから、問題の重大性、緊急性に鑑み、政府に対して質問する。なお国会法第七十五条第二項に規定する通り、質問主意書受領の日から七日以内に答弁されたい。また同様の文言が並ぶ場合でも、項目ごとに平易な文書で答弁されたい。

一 警察職員の身上監督の状況について
 (1) 警察には身上監督なる制度があるというが、どのようなものか、答弁願いたい。
 (2) 身上監督はいかなる根拠によって行われるのか、答弁願いたい。
 (3) 身上監督は警察職員の私生活にも及ぶのか、及ぶとした場合の根拠は何か、答弁願いたい。
  身上監督は、誰が、どのような方法で行うのか、答弁願いたい。
  身上監督をする者、現場の幹部は、カウンセリングなどの必要な知識、技能は身につけているのか、答弁願いたい。
  身上監督の結果は、当該警察官の昇進等に影響があるのか、答弁願いたい。
  それがその後の昇進などに影響すると受け止められてはいないか、答弁願いたい。
 (4) 巡査長にはどのような身上監督が行われていたのか、具体的な年月日時、内容を答弁願いたい。
  その記録は、どのように残されるのか、文書名を答弁願いたい。
 (5) 報道によると、上司は巡査長から「女性と結婚したい」との相談を受けたとあるが、相手は被害女性だったのか、答弁願いたい。
  誰が、いつ、どんな内容の相談を受けたのか、どのように指導したのか、答弁願いたい。
 (6) 報道によると、上司が巡査長と面接した際「仕事に意欲がなくなった」との訴えがあったとされているが、いつ、誰が、どんな相談を受けたのか、どのように指導したのか、答弁願いたい。
 (7) 報道によると、上司が「巡査長が被害女性に執拗につきまとっている」との風評を耳にし、巡査長に事情を聞いたとされるが、事実か。いつ、誰が事情を聞いたのか、どのような措置をとったのか、答弁願いたい。
 (8) 何故、素行上の問題点を把握できなかったのか、家庭訪問、身上調査といった身上監督の実効性に問題はないのか、答弁願いたい。
  特に、都会で勤務する警察官の身上監督は難しいとの指摘について、答弁願いたい。
 (9) 最近の警察官は、プライバシーに介入されることを嫌うため、事実上、身上監督は不可能になってきているとの指摘について、答弁願いたい。
二 警察職員の勤務監督の状況について
 (1) 交番勤務の警察官の勤務形態はどうなっているのか、答弁願いたい。
 (2) 勤務監督は、誰が、どのような方法で行うのか、答弁願いたい。
 (3) 巡査長の日常の勤務成績、勤務態度、あるいは勤務評定はどうだったのか、これらについて答弁願いたい。
 (4) 報道によると、巡査長は勤務意欲を失っていたとあるが、その原因はどこにあると考えていたのか、それに対して上司はどんな指導をしたのか、答弁願いたい。
 (5) 交番勤務の警察官の勤務成績は何によって決まるのか、検挙実績は振るわなかったとされているが、どのような基準があるのか、いわゆるノルマはあるのか、答弁願いたい。
 (6) 巡査長制度の目的はどこにあるのか、答弁願いたい。
  巡査長を「巡査長」に昇格させたのはいつか、昇格基準(勤務年数、勤務成績、指導力)には該当していたのか、答弁願いたい。
  巡査長制度が形骸化しているとの指摘について、答弁願いたい。
  巡査長は、何故、巡査部長に昇任できなかったのか、答弁願いたい。
 (7) 立川警察署長は、巡査長を七月十七日に富士見台交番に異動させたとされているが、異動の根拠を答弁願いたい。
  具体的にいかなる事情によって異動が決定されたのか、答弁願いたい。
 (8) 富士見台交番では、二十四歳の経験の浅い巡査と二人の勤務であったと聞くが問題はなかったのか、答弁願いたい。
 (9) 事件当日の上司による監督状況はどうだったのか、答弁願いたい。
 (10) 報道によると、巡査長の所在確認に際し、携帯電話を使ったとなっているが、この携帯電話は私物か、公務中に(私物の)携帯電話を使用させているのか、通話料金は誰が負担するのか、答弁願いたい。
 (11) 報道によると、巡査長は、本署から「浮浪者が寝ているとの通報があったので臨場せよ」との指示を受けて、バイクで交番を離れそのまま行方不明となり、遺体で発見されるまで約八時間も要している。このような指示をした場合の報告と措置を定めたものはないのか、答弁願いたい。
  立川警察署ではこの八時間にこの指示に対して何をしていたのか、具体的に答弁願いたい。
 (12) 報道によると、巡査長が日頃から勤務をさぼっていたとされるが、上司は何故そうした勤務を見逃していたのか、答弁願いたい。
 (13) 巡査長と上司らが、被害者の勤める飲食店に出入りしていたとされるが、そのような事実は存在するのか、答弁願いたい。
 (14) 警察庁は、平成三年以降幹部枠を大幅に拡大したと言うが、現時点での各階級別の定員に対する比率はどうなっているか。平成三年当時の比率はどうなっているか、答弁願いたい。
  特に、警部補の枠拡大により、どのような問題が生じたのか、答弁願いたい。
 (15) 全国的に警部補の不祥事が多いと聞くが、過去五年間の状況はどうか、その内容について答弁願いたい。
 (16) 長崎前市長射殺事件においては、事前情報に対する警察署の係長(警部補)の措置に問題があったとされている。警部補の資質・能力に問題があるとの指摘について、答弁願いたい。
 (17) 警察庁は、平成十三年六月に「職務執行の中核たる警部補の在り方について」なる通達を発しているが、警部補の在り方にどのような問題が生じていたのか、答弁願いたい。
 (18) 警察庁は、警部補を「プレイングマネージャー」と称しているようだが、実働的な役割が重視され、そのことが幹部としての自覚を希薄にしているとの指摘について、答弁願いたい。
三 今後の対応について
 (1) 昭和五十三年の警視庁北沢署交番勤務の制服警察官の女子大生殺し事件では、警視総監が減給処分を受けたほか、十二人の幹部が処分を受け、警察署長は引責辞任した。警視庁立川警察署地域課の巡査長が起こした今回の事件について、国家公安委員会と警視庁はどのような処分をするのか、答弁願いたい。
 (2) 被害女性の遺族に対する賠償はどうするのか、答弁願いたい。
 (3) 具体的な再発防止策について、答弁願いたい。
四 警察職員の不祥事について
 (1) 警察職員(警察官及び一般職員)の過去五年間の懲戒処分の状況はどうなっているか、階級別に答弁願いたい。
 (2) 警察職員(警察官及び一般職員)の過去五年間の懲戒処分以外の訓戒厳重注意等はどうなっているか、階級別に答弁願いたい。
 (3) 警察職員(警察官及び一般職員)の過去五年間の犯罪件数はどうか、罪種別・階級別に答弁願いたい。
 (4) 警察職員(警察官及び一般職員)の過去五年間の地方公務員法第二十八条及び国家公務員法第七十八条による降任又は免職の処分はどうなっているか、階級別に答弁願いたい。
五 平成十二年七月十三日、一連の警察不祥事を受けて「警察刷新会議」が緊急提言を行っている。その際、警察を管理する公安委員会が形骸化しているのではないかと指摘された。そのため公安委員会の活性化を図るため警察法の改正が行われ公安委員会の権限が強化される等の対策が行われた。しかしながら、警察職員の不祥事は依然として多発している。加えて、その後に多くの都道府県警察で裏金疑惑が発覚した。このことは依然として、公安委員会が市民の代表として警察活動をチェックするという公安委員会の制度趣旨に沿った運営が行われていないことを示している。
 (1) 各都道府県警察の警察法第四十三条の二(監察の指示等)の過去五年間の監察の指示の件数を答弁願いたい。
 (2) 各都道府県警察の警察法第五十六条第三項(警察職員の法令違反行為の報告)による報告の件数を答弁願いたい。
 (3) 各都道府県警察の警察法第七十九条(警察職員の職務執行についての苦情処理)による苦情の件数を答弁願いたい。
 (4) 各都道府県警察の公安委員会は、三〜五人の非常勤の特別職であり、その事務局は都道府県警察に置かれ、当該都道府県警察の職員がその事務を行っている。このことに関して、次の項目について答弁願いたい。
  @ 非常勤の公安委員にこれだけの事務は処理できるのか。
  A 公安委員の常勤を検討すべきではないか。
  B 事務局の実態(常駐体制、服務状況、職務内容)はどうなっているのか。
 (5) 都道府県公安委員会には、制度趣旨から運営の透明性が求められている。このことに関して、次の項目について答弁願いたい。
  @ 公安委員の選任に当たり、各都道府県警察が候補者を知事に推薦することが慣例的に行われているとされるが、どのように考えるか。
  A こうした慣例は今後廃止するべきだと考えるが、改めるために具体的な方策は考えられているのか。
 (6) 都道府県公安委員会には、厳正公平な立場で警察を管理することが求められるが、例えば、警察職員の職務執行についての苦情処理についても、その調査は事実上、都道府県警察が行っているのが実態である。これでは、厳正公平な調査は期待できない。このことに関して、次の項目について答弁願いたい。
  @ 事務局を都道府県警察から分離独立させる必要があると思うがどうか。
  A 事務局職員は、警察職員以外を以て充て、事務局体制を強化すべきと考えるが、どうか。

 右質問する。



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