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平成十九年十月三十日提出
質問第一七三号

富山県における冤罪判決に関する第三回質問主意書

提出者  鈴木宗男




富山県における冤罪判決に関する第三回質問主意書


 「前回答弁書」(内閣衆質一六八第一三八号)を踏まえ、再度質問する。

一 強姦などの疑いで富山県警に誤認逮捕され、二年あまり服役した柳原浩氏の再審判決公判が二〇〇七年十月十一日、富山地裁高岡支部で行われ、藤田敏裁判長は柳原氏に無罪を言い渡し、柳原氏の無罪が確定した事件(以下、「富山事件」という。)につき、「富山事件」に巻き込まれた柳原氏は、職も失い、家族とも会えず、筆舌に尽くしがたい甚大な被害を被ったと考えるが、「富山事件」で柳原氏が被った不利益、被害につき、政府はどのような認識を有しているか。
二 「富山事件」で柳原氏が被った不利益、被害に対して、第一義的責任を負うべきは、「前回答弁書」で政府があくまでその官職氏名の公表を拒んでいる「富山事件」を担当した検察官(以下、「検察官」という。)及びその管理責任者ではないのか。政府の見解如何。
三 前回質問主意書で、「富山事件」に際して柳原氏に対して行われた取り調べの中で、「検察官」が「身内の者が間違いないと言っている」「『うん』か『はい』以外に言うな。『いいえ』という言葉を使うな」と柳原氏に言ったと、二〇〇七年一月二十六日付読売新聞夕刊一面の記事(以下、「読売記事」という。)において柳原氏が述べているが、「前回答弁書」では、「取調べを担当した検察官が・・・御指摘のような発言をした事実は認められていないものと承知している。」との答弁がなされているが、右答弁は、「検察官」に対して然るべき確認作業を行った上での答弁か。
四 三で、「検察官」に対して然るべき確認作業を行った上での答弁ならば、柳原氏の発言及び「読売記事」の内容が嘘であることになるが、検察庁として「読売記事」に対して何らかの意見を伝えたか。伝えていないのならば、その理由を明らかにされたい。
五 国家公務員法第八十二条第一項に規定する「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行」とは、具体的にどのような行為を指すか説明されたい。
六 過去に、国家公務員法第八十二条第一項に規定する「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行」に該当する行為を行い、処分を受けた国家公務員はいるか。いるならば、直近五年の事例を明らかにされたい。
七 「前回答弁書」では、「最高検察庁が調査・検討したところによれば、被告人とされた方が『積極的に犯行状況について供述するのではなく、検察官が』同氏を『誘導することにより供述を得ていたことが窺われる』とされているものと承知している。」との答弁がなされているが、柳原氏が自白するにあたって、「検察官」は柳原氏に犯行状況について積極的に供述させるのではなく、どのようにして誘導を行い、供述させていたのか明らかにされたい。
八 「検察官」への処分について、「前回答弁書」では、「(前々回答弁書(平成十九年十月十九日内閣衆質一六八第一一一号))六及び七についてで述べたとおり、『富山事件』において被告人とされた方の取調べを担当した検察官については、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第八十二条第一項に規定する懲戒処分に該当する事由はなかったと認められる。」「御指摘の『富山事件』に関わった検察官及びその監督者については、(前々回答弁書)六及び七についてで述べたとおり、処分する必要はないものと考えている。」との答弁がなされているが、「検察官」が七の様な方策をもって柳原氏に自白をさせ、「富山事件」の発端となったことを考えれば、五の行為に該当し、「検察官」を処分する事由となるのではないか。
九 「前回答弁書」では、「富山事件」のような事件の再発を防止する方策として、「最高検察庁としては、平成十九年八月十日に公表した報告書において、いわゆる消極証拠を含め収集した証拠を慎重に吟味すること、警察から送致を受けた事件についても、検察官が早い段階から積極的に捜査に関与するなどして適切に警察と連携を図ること、事件を担当する検察官を指揮監督する立場にある検察官において適切な指揮・指導に努めること、適切な捜査態勢を確立すること等に十分留意すべきであるとし、今後も、適正な捜査・公判の実現に向けての協議・研修を実施することとしているものと承知している。」との答弁がなされているが、「富山事件」を引き起こした「検察官」に対する処分は右の再発防止策に含まれているのか。
十 九で、含まれていないのならば、それは適切であると政府は考えているか。「前回答弁書」で、長勢前法務大臣が二〇〇七年四月五日、検察長官会同において、検察として今回の一連の事態を重く受け止め、十分検証するよう訓示を行った旨答弁がなされているが、その上でも「検察官」に対する処分がなされないのはなぜか。
十一 取り調べを録画・録音するなどの方法による取り調べの可視化(以下、「可視化」という。)の是非につき、「前回答弁書」では「現在の刑事訴訟の実務上、適正な取調べによって得られた被疑者の供述が事案の真相を解明する上で極めて重要な役割を果たしていることにかんがみると、取調べの全過程について録音・録画を義務付けることについては、被疑者と取調官との信頼関係を築くことが困難になるとともに、被疑者に供述をためらわせる要因となり、その結果、真相を十分解明し得なくなるおそれがあるほか、取調べ中における組織犯罪に関する情報収集や関係者の名誉・プライバシーの保護に支障を生ずるおそれがあるなどの問題がある」との答弁がなされているが、右答弁の中の「被疑者と取調官との信頼関係」の意味が明らかでないところ、具体的にどのような意味を指すのか、また「可視化」によってなぜ「被疑者と取調官との信頼関係」が損なわれるのか説明されたい。
十二 十一の答弁に、「可視化」により「取調べ中における組織犯罪に関する情報収集や関係者の名誉・プライバシーの保護に支障を生ずるおそれがある」とあるが、本来当該事案に関係のない個人に関わる情報が公表されることはなく、また「可視化」によって名誉が毀損されるとも考えられない。「可視化」によってなぜ右の答弁のような事態が発生すると考えるのか、明確な説明を求める。
十三 「富山事件」に関しては、十一の答弁でいう「適正な取調べ」は行われず、「被疑者に供述をためらわせる」どころか嘘の供述をさせた経緯があり、「可視化」については、右答弁にあるようなデメリットがあることも承知しているが、少なくとも「可視化」により、取調官の理不尽で非人間的な取り調べは防止できると考える。それでも政府が「可視化」の実施について慎重な検討が必要であると慎重な姿勢を崩さないのであるならば、それでは「富山事件」のように無罪の人間が服役を余儀なくされ、自己の人生に多大な不利益、被害を被る事件を防止するには、どのような方策をとるべきであると政府は考えているか。「前回答弁書」の答弁にあるように、「検察官」に対する処分をあくまで行わず、組織としての信賞必罰がなされないのならば、やはり「可視化」等の方策により、「富山事件」に際しての「検察官」による柳原氏に対するような取り調べを防止する等の方策が必要であると考えるが、政府の見解如何。

 右質問する。



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